出会いと再会編
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「待ってくれ!!ちょっと待ってくれないか!怖いんだ!!目的地が近づいてきてとても怖い!!」
那田蜘蛛山の目の前まで来た所で、善逸君が座り込んでしまった。
「なに座ってんだ、こいつ。気持ち悪い奴だな…」
「お前に言われたくねーよ猪頭!!気持ち悪なんてない!!普通だ!!俺は普通で!お前らが異常だ!!」
「おい」
何故か私の羽織を掴んでいる。
面倒なので、羽織を脱いで彼に被せた。
それから、炭治郎君とどうしたものかと視線を交わした時……
「「!!」」
気配に振り返る。
そして、山の入口で倒れ込んでいる鬼殺隊員を見付けた。
「たす……助けて……」
「どうした?」
「(兄ちゃん速っ…!)」
「∑ヒャアッ待って!!」
鬼殺隊員に駆け寄り、抱き起こす。
「隊服を着てる!!鬼殺隊員だ!何かあったんだ!大丈夫な!!どうした!!」
此れは……刀傷?
まさか、鬼が刀を……
キリキリキリ ぐんっ
突然、糸の様な音がしたと思ったら……鬼殺隊員が私の腕から消えた。
「……!!」
「!?」
何かに引っ張られる様に空中に放り出されている鬼殺隊員。
「アアアア!
「…………っ!」
「たすけてくれえ!」
「雪の呼吸 捌ノ型“風花”!!」
「「「!!」」」
上手く型が当たったのか、鬼殺隊員が落ちてくる。
それをギリギリで受け止めた。
「たす、助かっ…」
「中で何があった」
「あ、あぁ…」
「……チッ」
この様子じゃ話せそうにないか。
「……戦えないなら撤退しろ。邪魔だ」
「あ、兄ちゃん!!」
鬼殺隊員を地面に置き、私は那田蜘蛛山に入る。
気配ではまだ複数の鬼殺隊員が居る……嫌な感じだ。
「…………!君」
「!?」
中を進んでいると、身を潜めている青年を見付けた。
「!その、狐面…」
「…………」
『だーっ!もう無茶すんな!俺より年下の癖に!』
村田……先輩……
「…炯「雫」え?」
「私は雫だ」
「ち、違うのか…」
彼は悲しそうな顔をする。
……そうだ、炯寿郎は死んだんだ。
私は炯寿郎じゃない。
「……来たか」
「え?」
振り返ると、炭治郎君と伊之助君が此方に気付いて駆け寄って来た。
「応援に来ました。階級・癸、竈門炭治郎です」
「私は一般人だがな」
「癸…………癸……!?なんで“柱”じゃないんだ…!!癸なんて何人来ても同じだ!意味が無い!!」
ゴッ
「「∑」」
村田先ぱ……村田殿の顔に伊之助君の拳が入る。
「伊之助!!」
「うるせぇ!意味のあるなしで言ったら、お前の存在自体意味がねぇんだよ。さっさと状況を説明しやがれ弱味噌が!!」
「……伊之助君、相手は君の先輩だ。止めなさい」
髪を掴む手を放させる。
「かっ、鴉から…!!指令が入って十人の隊員がここに来た!山に入ってしばらくしたら、隊員が…隊員同士で………斬り合いになって……!!」
……斬り合い……繋がっていた……糸の音……此処の鬼は対象に糸でも付けて操る血鬼術でも使うのか?
「はっ!」
村田殿の声に視線を上げると、そこにはゆらゆらと立つ鬼殺隊員が居た。
キリキリキリキリキリキリ
「アハハハハッ!ハッハァーーッ!」
斬り掛かってくる鬼殺隊員の刀を避ける。
「こいつらみんな馬鹿だぜ!!隊員同士でやり合うのが御法度だって知らねえんだ」
「君が言うか」
「いや違う!!動きがおかしい!何かに操られている!!」
「よし、じゃあぶった斬ってやるぜ!!」
「駄目だ!!生きてる!!まだ生きてる人も混じってる!それに仲間の亡骸を傷つけるわけにはいかない!!」
「否定ばっかすんじゃねぇ!!」
炭治郎君の腹に突進する伊之助君。
「雪の呼吸……!」
雪の結晶に触れ、鬼殺隊員の背中から伸びる細いものが凍った。
それを斬れば、鬼殺隊員が倒れる。
「……本当に糸で操られているとはな」
「!糸を斬るんだ!!伊之助!!」
「わかってるわ!!」
直ぐに察した炭治郎君と伊之助君も糸を斬った事で、全員の体が解放された。
「!」
と、炭治郎君の左腕が引かれ、糸を斬ると……そこには小さな蜘蛛が居る。
咄嗟にその蜘蛛は氷らせたが……
キリキリキリキリ
解放された鬼殺隊員がまた動き出した。
「糸を斬るだけじゃ駄目だ!!また蜘蛛が操り糸を繋ぐ!!だから…」
言い掛けた炭治郎君が鼻を塞ぐ。
その足元に迫る蜘蛛をまた氷らせた。
「雫兄ちゃん!」
「多分全て氷らせるのは無理だ……やり過ぎれば、鬼は兎も角、生きている鬼殺隊員が耐えられない」
「気配は!?」
「気配が多過ぎて辿るのは厳しい」
「伊之助!!操っている鬼を見つけなければいけないけと、変な匂いが流れてきていて俺の鼻もうまく機能しない!もし君が鬼の位置を正確に探る何らかの力を持っているなら!協力してくれ!!」
バキッ
「「「!?」」」
鬼殺隊員の日輪刀を折り、無力化を図る。
まぁ、時間稼ぎだ。
「(日輪刀折った…兄ちゃん凄い)あ、それからえーっと…」
「村田だ!!」
「村田さん!!兄ちゃんと村田さんと俺で操られている人たちは何とかする!伊之助は…」
ふと、上に鬼の気配を感じた。
それに視線を上げる。
「僕たち家族の静かな暮らしを邪魔するな」
月を背負って現れたのは……まだ幼い少年の姿をした鬼だった。
アレは……
「お前らなんてすぐに、
……母さん?
共喰いする鬼が……家族形態を作っているのか?
「オラァ!!」
その時、伊之助君が鬼殺隊員を踏み台に、上空へと跳ぶ。
そして、日輪刀を振るうが、届かずに空かす事に。
「くっそォ!!どこ行きやがるテメェ!勝負しろ勝負!!」
その間に、鬼の坊は歩いて去った。
「何のために出てきてんだあっ!!」
「着地くらいしてくれ」
落ちてくる伊之助君の下に氷の滑り台を作って、衝撃を無くす。
「あの子は恐らく操り糸の鬼じゃないんだ!だからまず先に…」
「あーあーあー!!わかったっつうの!鬼の居場所を探れってことだろ!うるせぇデコ太郎が!」
そう言うと伊之助君は地面に日輪刀を突き刺し、左膝をついて両手を広げる。
「獣の呼吸 漆ノ型“空間識覚”!!!」
伊之助君を護る様に私達は鬼殺隊員と対峙した。
「見つけたァそこか!!」
どうやら見付けてくれたらしい。
「ここは俺に任せて君たちも先に行け!!」
「……!?」「えっ……」
「小便漏らしが何言ってんだ!」
「誰が漏らしたこのクソ猪!!テメェに話しかけてねぇわ黙っとけ!!💢」
……君達、相性悪いな。
「情けない所を見せたが俺も鬼殺隊の剣士だ!!ここは何とかする!!糸を斬ればいいというのがわかったし、ここで操られている者たちは動きも単純だ!蜘蛛にも気をつける!鬼の近くにはもっと強力に操られている者がいるはず!三人で行ってくれ!!」
……本当に村田先輩は男前だ。
「………わかりました!!感謝します!!」
「まずテメェを一発殴ってからな!!誰がクソ猪だ!!戻って来たら絶対殴るからな!」
「……雪の呼吸 壱ノ型“細雪”」
「!」
鬼殺隊員の日輪刀を全て折り、序でに確認出来る蜘蛛を氷らせる。
「流石男前です……村田先輩」
「!!やっぱりお前…!」
そして、私も二人の後を追った。
「アイツ絶対ぶん殴ってやる!」
「そういうこと言うのやめろ!!」
「クソ猪とか言われたんだぜ紋次郎!」
「誰だ紋次郎って……」
「炭治郎だ!!💢」
「!止まれ!」
「「!!」」
新たに現れた鬼殺隊員に私達は足を止める。
「駄目……こっちに来ないで。階級が上の人を連れて来て!!そうじゃないとみんな殺してしまう!!お願い……お願い!!」
そこには、涙を流しながら右手の日輪刀で仲間の首を刺し、左手で別の仲間の髪を掴んでいる女性隊員が居た。
キリキリキリ
「逃げてェ!!」
先程の鬼殺隊員よりも速い動きで刀が振るわれる。
「操られているから動きが全然違うのよ!!
グン バキ
「……!!」
ミシミシミシミシ
「アアアッ……」
ベキ
「うう゛っ!!」
動き度に嫌な音が彼女からしていた。
キリキリキリキリ
「こ…殺してくれ……」
糸の音の先に居たのは……先程、女性隊員に捕まっていた二人。
この内の、髪を掴まれていた方が喋る。
「手足も…骨…骨が…内蔵に刺さって…るんだ…動かされると……激痛で…耐えられない…どの道…もう…死ぬ。助けてくれ……」
「「……!!」」
「止めを…刺してくれ…!!」
ブチッ パキパキィイ
「「「「!?」」」」
鬼殺隊員全員の四肢を氷らせ、動きを止めた。
「炭治郎君、伊之助君、君達は先へ」
「「え」」
「大丈夫……早く鬼を倒すんだ」
「わ、わかった!」
「死ぬんじゃねぇぞ!」
炭治郎君と伊之助君が駆けて行く。
その間に絡み付いている糸を斬り、辺りの地面や木々ごと蜘蛛を氷らせた。
それから、彼等を解放し……癒しの炎で彼等を治す。
「「ひっ…」」
「…………」
明らかに怯えている彼等を一瞥し、既に息の無い一人の目を閉じさせた。
「すまない……私は死者の蘇生は出来ない……すまない、もっと早く来ていれば……せめて、来世は平和な世に生まれてくれ」
「「………」」
「すまない……」
「あ、謝らないで」
そう言われ、彼等に振り返る。
「た、助けてくれ…その…ありがとう」
「俺からも…ありがとう」
「……癒しの炎は体力まで回復出来ない。休んでいた方がいい」
……ああ、寒いな。
それから少しして、蜘蛛が崩れた。
炭治郎君達がやってくれたのだろう。
「私は先の二人を追う……君達は戻って村田先輩と合流しろ」
「「(先輩……?)」」
私は彼等に振り返る事なく、炭治郎君達を追い掛ける。
……恐らく、あの時の坊は下弦だろうが十二鬼月だ。
今の炭治郎君達ではまだ敵わないかもしれない。
「……!」
途中、川で明らかに故意に倒された木を見付けた。
……まだ近くで戦闘をしているのかもしれない。
私は方向を変え、木々の中を駆け抜ける。
「俺は死なねええぇぇえ!!」
伊之助君の声が聞こえた。
その方向に急いで向かう。
そこには……大きな鬼に首を掴まれている伊之助君の姿があった。