出会いと再会編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お、お兄ちゃん、あの箱カリカリ音がして…」
「∑だからって置いてこられたら切ないぞ;;あれは俺の命より大切なものなのに…」
……中身妹だからな。
ミシッ ギィィィィ ミシッ ミシッ
「キャアアア!」
「「「「∑」」」」
響く音に善逸君がしゃがみ、その際に炭治郎君と妹のお嬢を部屋の方に押し出す。
「∑あっ、ごめん…尻が」
ポン ポン ポン
鼓の音が鳴ると……部屋の中の炭治郎君達が消えた。
「……炭治郎君?」
「え、消えた!?」
「て、てる子!!てる子!!」
「阿呆」
駆け出しそうな少年の手を掴む。
「君が一人で駆け出して、鬼に遭遇したら無駄死にだぞ」
「でも…でも!」
「落ち着け。私の弟分は大きな岩すら斬った男だ……君の妹を必ず護る」
「………うん」
「私は雫。妹はてる子少女だな……君は?」
「正一」
「兄は?」
「清…兄ちゃん」
「そうか……」
正一少年を放し、目を閉じた。
……屋敷の構造がおかしくなっている。
「善逸君、玄関に続く扉を開けてくれるか」
「え、うん」
善逸君が先程まで玄関だった扉を開けた。
「え、えぇええぇえぇぇ!?玄関が無くなってる!?」
「やはりか……恐らく、あの鼓の音が血鬼術で、屋敷の構造を変える能力があるのか……?」
感覚を研ぎ澄ます。
人間の気配は……私達を含め、七人。
鬼は……三匹。
「大丈夫……君の家族は無事だ」
「そ、そうなんだ…良かった」
「善逸君、彼を頼む……私が先行する」
「う、うん!」
「出来れば離れない様に手を繋いでおいてくれ」
そして、屋敷の中を進んだ。
一先ずまた会った事の無い気配を辿って部屋を開けた時……
「ふしゅぅぅぅぅ」
何かが部屋の中に立っている。
それは猪の皮を被っていた。
「化ケモノだァーーーーーッ!」
善逸君が叫ぶと、猪頭が駆け出す。
「ギャアァァ!」
善逸君と正一少年を庇うが、猪頭は私達に目もくれずに去っていった。
「……………」
「何だよォ!その目なに!?やだそんな目!」
「ほら、行くぞ」
「う、うわぁあん」
あの猪頭からは人間の気配がしていたな。
となると、もう一つの方が件の兄か。
「……なぁ、善逸君」
「は、はい!?」
「君……“獪岳”って知っているか?」
「え、兄貴……あ、えと、兄弟子のことも知ってるの?」
……そうか、この子が彼の言っていた……なら、一つの型しか使えないとはいえ、それなりに強い筈だが。
そんな事を考えつつ、新しい部屋に入った時……
ポン
「……しまった」
部屋が変わってしまう。
善逸君達とはぐれたな……。
部屋の中を見渡せば、一人の少年が座り込んでいた。
「…ひっ…」
「……君、もしかして清少年か?」
「え、どうして名前…」
「君の弟妹が君を心配して追い掛けていた」
「!?ふ、二人は無事ですか!?」
「てる子少女にも正一少年にも鬼狩りの剣士が付いている……恐れるな」
「!」
癒しの炎で彼の傷を癒す。
「よく一人で頑張った……偉いぞ」
「うっ……うっ…うっ…」
スパン
その時、襖が開かれた。
そこに居たのは……てる子少女を連れた炭治郎君が。
「清兄ちゃん!!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「てる子…!」
再会した兄妹が駆け寄って抱き合う。
「炭治郎君、無事だったか」
「雫兄ちゃんも…善逸たちとは一緒じゃなかったのか?」
「二回目ではぐれた」
「そうなんだ」
「……さて、清少年」
「はい?」
清少年の前に膝をついた。
「君の前に三匹の鬼……化け物が現れ、君の取り合いをしたんじゃないか?」
「…は…はい、そうです」
「そして、君の持っていた鼓はその内の一匹が落とした物だろう……それが部屋の配置を変えていた」
「う、うん」
「鼓の鬼なら見た。部屋を回転させてたりした」
「ふむ……それと、“稀血”と言われたか?」
「!言われた!俺のことをマレチって呼ぶんだ!」
「カァーーーーア!!稀血トハ!!珍シキ血ノ持チ主デアル!!」
その時、炭治郎君の鎹鴉が叫ぶ。
「∑うわっ……」「∑キャア!」
「っと」
「グワハハハ!!ガキ共!!ツツキ回スゾ!!」
「よせ」
それに兄妹が私に抱き付き、炭治郎君が鎹鴉を制した。
「珍しき血って、どういうことだ?」
「ああ……説明していなかったか」
「生キ物ノ血ニハ種類系統ガアルノダ馬鹿メ」フフンッ
……前から思ってはいたが……炭治郎君、自分の鎹鴉に舐められてないか?
「稀血ノ中デモサラニ数少ナイモノ珍シキ血デアレバアル程、鬼ニハ!!ソノ稀血一人デ五十人!!百人!!人ヲ喰ッタノト同ジクライノ栄養ガアル!!稀血ハ鬼ノ御馳走ダ!!大好物ダ!!」
「……あ」
ある事を思い出して、保存袋(巾着袋)の中を探る。
「?……そう言えば、雫兄ちゃんも稀血って」
「ああ。昔、少し血を流しただけで鬼に群がられた」
「「「え」」」
『よもや、何とも厄介な。やはり、お前は…』
……嫌な事思い出した。
「ああ、あった……ほら」
「?これは?」
「藤の花の香り袋……それが有れば、鬼は君に近寄れない」
清少年に香り袋を渡し、目を閉じて集中する。
「……鬼の気配は一匹だけ。残っているのはそれだろう」
「そうか……雫兄ちゃん、一緒に来てくれる?」
「ああ」
「え、あ…」
ギュッ
「…………」
立ち上がると、清少年に服を掴まれた。
「……少年」
「!」
そんな清少年の頭に狐面を置く。
「え、これ」
「厄除の面……私の大切な物だ。必ず取りに来る」
「は、はい!待ってます!」
「てる子少女、兄の側を離れるなよ」
「う、うん!」
「俺たちはこれから鬼を倒しに行く。いいか、てる子。兄ちゃんは今、本当に疲れているから、てる子が助けてやるんだぞ。鬼が出たらすぐに鼓を打って移動しろ。俺たちは必ず迎えに来る。二人の匂いや気配を辿って。戸を開ける時は名前を呼ぶから」
「……出来るな?」
兄妹はしっかりと頷いた。
「えらい!強いな。行ってくる」
炭治郎君も気付いているのだろう……残った鬼が近くまで来ている事に。
ギッ ギイイ
私達は同時に飛び出す。
「叩け!!」
背後で襖が閉まり、部屋が変わった気配がした。
「虫けらが……忌々しい………」
ポポン
部屋が逆さになる。
ポン
続いて、三つの爪の様な攻撃。
ポポン ポンポン
それから続く回転と攻撃。
私は氷柱を出して足場にしつつ、鬼を観察した。
「……炭治郎君、大丈夫か?」
「ごめん!余裕無い!」
「そうか」
私と違って一々体勢を整えている炭治郎君には余裕が無いらしい。
「……君、下弦落ちだろう」
「!?」
鬼の動きが止まる。
……図星か。
「大方、前程喰えなくなって落とされた、と言った所か」
「貴様…」
「まぁ、殺されなかっただけマシか。鬼舞辻は容赦しないらしいからな」
「黙っ…「はいちょっと静かにしてください!!」∑」
「∑す……すまない?」
「あ、雫兄ちゃんに言ったんじゃないんだ!」
……流石に驚いた。
「頑張れ炭治郎頑張れ!!俺は今までよくやってきた!!俺はできる奴だ!!そして今日も!!これからも!!俺が挫けることは絶対に無い!!」
「……ああ、頑張れ。そして、君が斬る為に考えろ」
「!」
炭治郎君の手を掴み、私同様に氷を足場にさせる。
そうする事で冷静になった様だ。
その直後……
ポポンポンポンポン
更に鼓が速く打たれた。
とは言え、まだ私の対応範囲なので氷を足場と五つに増えた爪の攻撃の盾にする。
「「!!」」
と、上から手書きの紙の束が落ちてきた。
「!!」
咄嗟に炭治郎君は踏まない様に避け、私はその紙を手に取る。
「……小説か?此れは……興味深いな」
「!!」
「後で読むか……炭治郎君、そろそろ行けるか?」
「行ける!」
「では、援護しよう」
紙を一旦懐に仕舞い、構えた。
「全集中・水の呼吸」 「全集中・雪の呼吸」
「玖ノ型“水流飛沫・乱”」 「捌ノ型“風花”」
炭治郎君が鬼へと迫る。
「君の血鬼術は凄かった!!」
そして……頸を斬った。
私は炭治郎君に駆け寄り、頭を撫でる。
……この程度なら、私は瞬殺出来たかもしれないが……それでは炭治郎君の成長に繋がらないからな?
「小僧…答えろ…」
「!?」
「小生の…血鬼術は………凄いか………」
「…………………凄かった。でも、人を殺したことは、許せない」
「…………そうか」
炭治郎君が崩れ始める体に、血を採るナイフを投げた。
「もう一人の……小生の小説は……興味深いか」
「……ああ」
……そうか、この鬼は……剣士として認められたかった
「凄かった……私は鬼として君を認める事は出来ないが、小説と鼓の腕は認めよう」
そう言えば、鬼は涙を流しながら完全に崩れる。
「………雫兄ちゃん」
「血は送ったか?」
「あ、うん。猫に預けた」
「じゃあ、迎えに行くか」
「……うん」
「…………はぁ、寒い」
そして、私達は清少年達の元へと向かった。
「清!!てる子ーー!!」
「キャァアア!」「うわーーーっ!」
炭治郎君が開けると物が飛んで来た為、咄嗟に凍らせて受け止める。
「なんで物を投げつけるんだ!」
「たっ、炭治郎さん、雫さん。ごめんなさい、鼓が消えちゃって、混乱して………」
「……早く外に出よう。寒くて仕方ない」
「………雫兄ちゃんって寒がりだよな」
「ああ」
兄妹を回収した私達は外へと向かった。
「あっ、善逸と正一の匂いがする。外に出てるな。二人共無事かな」
「大丈夫だろ……?」
不穏な気配を察知し、炭治郎君と視線を交わしてそれぞれ兄妹を抱えて駆け出す。
ドガッ
「!!」
「刀を抜いて戦え!この弱味噌が!!」
そこには両手に日輪刀を持つ猪頭とボロボロになりながら箱を護る善逸君が居た。
「炭治郎…俺…守ったよ……お前が…これ…命より大事なものだって…言ってたから………」
善逸君……
「威勢のいいと言ったくせに、刀も抜かねえこの愚図が!!同じ鬼殺隊なら戦ってみせ「調子に乗るな」ろぅ!」
思わず猪頭に回転蹴りをしてしまう。
猪頭は吹っ飛ばされた。
「……やらかしたか?」
「に、兄ちゃぁああん」
「……ああ」
戻って来ない所を見ると、そのまま気絶したか。
……まぁ、自業自得という事にしておこう。
善逸君の傷を治しつつ、そっと責任転嫁する。
そもそも私は鬼殺隊じゃないし、いいよな……?
end.