ツイステッドワンダーランド
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「う………ここは……」
「良かった。なんとか正気を取り戻したようですね」
「ふな゛ぁ……しばらくあのバケモンの夢見そーなんだゾ……」
「じゃ、じゃびる……うぉおおおええええあああわあああああん!!!!」
泣き声に目を開けた。
「!ハーヴェル、大丈夫か?」
「ん、ああ……大丈夫だ」
俺を抱き起こしているアキ。
向こうでは起き上がったジャミルにアジームが抱き付いている。
「ラッコちゃん、全然言葉しゃべれてねーじゃん」
「1発殴ってやると言っていたのもすっかり忘れていますね」
「い、生きててよかった……いぎででよがっだ……」
「……………お前はどうしてそう…………はぁ~~~……」
アキに支えらえながら、彼等に歩み寄った。
「オレ、オレ……うっ、お前がどんな気持ちで過ごしてきたか知らなかった。ず、ずっと、ズヒッ……我慢させてたこともひぐっ、ぜんぜん、知らなぐでっ……」
「その結果が、この手酷い裏切りですよ」
「そーだよ。ウミヘビくんは内心ず~っとラッコちゃんのことバカにしながら生きてたんだよ」
……お前等はどっちの味方だ?
「オマエら、オレ様より空気読まねぇんだゾ!」
「お前は、ひ、ひどいヤツだ……だけど、やっぱりずっとオレを助けてくれてたのも、お前なんだ」
「カリム……」
「だからもう、今日からはやめよう。親の地位とか主従関係とか、そういうことで遠慮するのは」
「………は?」
ジャミルは戸惑った様にアジームを見る。
「今日からは、遠慮なしで本気で一番を奪い合うライバルになろう。改めて対等な立場で……友達になろう、ジャミル」
「対等な立場で、友達に…………?ふ……お前らしい結論だな、カリム……なら、対等な立場で言わせてほしい。絶っっっっっ対にお断りだ!!!!」
「えっ」
即効かつ強く拒否したジャミル。
其れに声は出ないが思わず笑った。
「え゛~~~~~~~!?」
「考えなしで大雑把、間抜けで不器用、超がつくほど能天気で傲慢、デリカシーゼロのボンボンが!!そんなヤツと誰が好き好んで友達になるか!利害関係がないなら、お前とは1ミリたりとも関わり合いたくないね!」
「え、えぇ~~~~!?なんだよれそぇえ!?」
「なんか吹っ切れちまったのかズバズバキツいこと言いまくりなんだゾ」
「本当はあんな性格だったんだ」
笑いが溢れる……が、強い眠気がやって来る。
「ハル、休め。流石に無理をし過ぎだ」
「……そんなか」
「そんなだ。少し寝ろ」
「…………ん」
俺はアキに支えられ……目を閉じて眠りに就いた。
「よおし、ジャミルの体調も回復したし、ハルも起きたし、冬休みの課題も終わった!今日はみんなでホリデーの宴といこうじゃないか!」
「お前の宴好き、なんとかならないのか?」
「まあまあ、いいじゃありませんか、賑やかなホリデーパーティーで嬉しい限りです」
「ラクダにはたっぷりご馳走と飲み物積み込みましたし……」
「オアシスで泳ぐために水着も持った!」
「それじゃあ……像もクジャクもみんな連れてオアシスまでパレードだ!」
「出発進行!なんだゾ~!」
俺は約三日程眠りに就いていたらしい。
此れには優羽とグリム、アズールが涙目で心配してたし、ジャミルも焦ってた様だ。
因みに起きて直ぐ、アキからは深々と溜め息を貰っている。
その翌日、俺達はオアシスでパーティーをするとの事で行進する事になった。
まぁ、俺はまだ眠いし、体調が回復してない為、像の上でアジームと一緒だ。
「……今回の事、巻き込んで悪かったな」
「ん……?」
「アキから聞いた。寮生の不満がハルの体調不良の原因だって。本当は、ハルは療養の為にこの世界に来て、まだ悪いのが中に残ってるって」
「其処まで話しやがったのか……」
「そんな状態でも、ジャミルが追い詰められてるのに気付いて、支えててくれてたんだって……俺、全然気付かなかった」
「……アジーム。お前は本当の意味でジャミルが見えてなかったんだよ」
「…………うん」
「そんな風にしちまったのは周りの大人だ…………まぁ、それじゃお前も納得しねぇだろうしな」
アジームの頭に手を置く。
「許す代わりに宣戦布告してやる。ジャミルが望むなら、俺はアジームとバイパーからジャミルをかっ拐うからな。俺に奪われねぇ様によーく見るこった。カリム」
「……おう!なぁなぁ、ハルも熱砂の国に来ないか?」
「あー……俺の島があるからな。当分無理だ」
「そっか」
其れからオアシスへと着いた。
が、俺は直ぐにアキの肩を借りて寝る。
起きた時には何故かエーデュースが加わって大騒ぎしていた。
「何でエーデュースが居んだよ」
「監督生が連絡していたらしい」
「……おう、ジャミル」
そして、俺に肩を貸してるのはアキではなくジャミルになっている。
「アキなら、連絡する所があると……それで、交代を頼まれた」
「そっか」
ジャミルはそっと俺の手を握った。
「……本当に連れ出してくれるのか」
「おう。俺はこー見えて強いんでね。お前が望むなら幾らでも連れ出してやる」
「そうか……アジームもバイパーも関係無い所で、ハルの隣で──」
更に数日後。
「はぁ~……やっと寮に戻ってこれたんだゾ」
「ずいぶん長い間帰ってきてなかった気がするね」
「流石に疲れたし、寮でしっかり休みてぇな」
「寧ろ、お前は休め。暫く寝てろ」
俺達はオンボロ寮へと帰って来る。
「おぉ~い、みんな!」
「ゴーストのおっちゃんの顔も、あの牢獄生活を思えばなんだか可愛く見えてくるんだゾ」
出迎えてくれたゴーストを見ながら、グリムも安堵した様に息を吐いた。
「ずっと帰ってこないから、お前さんたちがあの世に行っちまったんじゃないか……って、みんなで心配してたんだぜぇ。ヒッヒッヒ……」
「無事だったんだじゃな。良かった、良かった」
「大食堂の暖炉の日の番はわしらがやっておいてやったぞ」
「ふな゛っ!?そういえば……すっかり忘れてたんだゾ!」
「凍えるほど寒いホリデーはゴメンだからねぇ。ハル坊とアキ坊にも頼まれてたしなぁ」
……念の為、頼んでおいて良かった。
「そうそう、学園長からご馳走のプレゼントも届いてるぞい」
「にゃっはー!ご馳走!!おいオマエら、早く見に行くんだゾ!」
ご馳走の言葉に大はしゃぎし、ゴースト達と共にオンボロ寮へと入って行く。
「──おお、戻ったか」
「うわーーー!びっくりしたーーー!!」
「「おお」」
上から逆さまになったヴァンルージュが現れ、驚いた優羽が俺達の腕を掴んだ。
「くふふ、驚かすのがクセになりそうな良き反応じゃ。わしはディアソムニアの副寮長リリア・ヴァンルージュ。今日はお主にさるお方からのホリデーカードを届けに参った」
ヴァンルージュがそう言うと、優羽の手にメッセージカードを渡す。
「今年のホリデーは誰からもパーティーに招かれず拗ねておったようだが……いずれお主が仲間とパーティーを開くことがあればあやつも招待してやってくれ。では、わしはこれで。良きホリデーを」
そう告げると、ヴァンルージュは消えた。
「差出人のM.D……誰だろう?」
M.D……そーいや、この学園で有名な奴のイニシャルもM.Dだっけ。
「お~~~い!!!早くしないとご馳走全部食っちまうんだゾ~~!」
「ほっほっほ!ハッピーホリデー!」
「……行こっか」
「「ああ」」
そして、俺もオンボロ寮へと入る。
「──あのさ、アキ」
「……どうした?」
「あの時、ハルに違う名前を言ってたよね?」
「ああ」
「遠くだから予測なんだけど……──って言った?」
「……さぁな」
「…………」
「もし、お前の知る名前だったとしても……彼奴は俺の片割れで弟だ」
「……うん、分かってるよ」
暫くして、ホリデーバケーションが終わった。
久々の登校日。
俺達は偶には、という事で優羽達とメインストリートを歩く。
「おーっす、監督生。双子。あけましておめでとー」
「「おめでとう」」
「いつもの顔ぶれなのに、なんだか懐かしい気すらするな。ハルは大丈夫か?」
「へへ~ん。休みの間オレ様に会えなくて寂しかったんだろ」
「俺は大丈夫だ」
アキの過保護が働いて、俺は残りの休み何もさせて貰えず、唯寝てただけだからな。
コツコツ
「オイ、お前らチョロチョロと道塞いでんじゃねぇよ」
エーデュースと談笑していると、ジャックがやって来た。
「あれ、ジャック。なんか肌の黒さが増してね?」
「そうか?休暇中はスキー三昧だったからかもな」
「へー、実家は雪国なんだ?」
「スキーってなんだ?オレ様もやってみてぇんだゾ!」
スキーという単語にグリムが興味津々な様子で、デュースの足元をウロチョロする。
「こら、グリム!足元でウロチョロするな!」
ドンッ!
そんなグリムを避けようとしてふら付いたデュースは、偶々通り掛かった少年にぶつかってしまった。
「あっ……!」
「……っと、悪い!大丈夫か?」
「あ、う……ううっ」
「えっ!?な、泣いてる!?」
ぶつかった少年の目から涙が零れ落ちる。
其れに俺達は目を瞠った。
「せんせ~、デュースくんが他の寮の子泣かせてまーす」
が、エースだけは裏声?を使ってデュースを揶揄う。
「「こら、エース」」
「からかうな、エース!泣くほど痛かったなんて、本当にすまない。保健室に連れて行くから、僕の肩に掴まって……」
「もう……こでらいね……!」
「え?こで……?」
こでらいね……?
「っ……!」
タッタッタ
少年は走り去ってしまった。
「あーあ。行っちゃった」
「アイツ、俺とハルと同じクラスのヤツだ。たしか、ポムフィオーレ寮の……エペル・フェルミエ」
「ポムフィオーレの、エペル……」
確かに、去って行く彼は同じクラスのフェルミエだな。
それにしても確か……こでらいねって、何処かの方便か?
end.