ツイステッドワンダーランド
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軈て、彼等が戻って来る。
「はぁ~~~!!本当に楽しかったんだゾ!」
「喜んでもらえてよかった、なんだかんだアッと今に夕餉の時間だな」
「「おかえり」」
「「お帰りなさいませ」」
「あ、双子!来てたんだゾ?」
「迎えに来るって連絡くれてたじゃん。ごめんね、遅くなっちゃって」
「「気にするな」」
申し訳なさそうな優羽の頭を撫でた。
「監督生の友達か?」
「あ、はい。同じオンボロ寮で色々世話になってる双子です」
「「双子は名前じゃないんだが」」
「カリム!やっと戻ってきたな。夕食の前に確認しておきたいことがある。来てくれないか」
「ああ、わかった。お前たちは先に談話室に行っててくれ。双子も後でな!」
「「だから双子は名前じゃない」」
少年は太陽みたいな笑顔を浮かべながら、ジャミルに引っ張られて行く。
其から談話室に移動しながら、優羽達がジャミルに誘われてスカラビア寮に来て、どうしていたかを聞いた。
そして、そのまま夕飯を食べていく流れとなる。
「あ~腹減った。今日の夕食はなんだろう?」
「今日の特訓もキツかったな~」
「ここはまさに楽園なんだゾ。料理はハルのとはまた違って美味いし。カリムもいいヤツだじ。オレ様ここに寮生になりてぇな~♪」
ぞろぞろとスカラビア寮生も談話室に集まって来た。
取り敢えず楽しそうなグリムを撫でておく。
「楽しませて貰ったみたいで良かったな」
「おう!」
「…………ハル?」
「ん?」
「大丈夫?」
「……おう。大丈夫だ。どーかしたか?」
「いや、うん。大丈夫ならいいんだ」
……相変わらず優羽は察しがいいな。
コツコツ……
「みんな揃ってるな?夕食の前に、寮長から寮生全員に話があるそうだ」
少しすると、ジャミルとアジームが現れた。
「寮長から話……ですか?」
「あ、そっか。そういえばカリムのヤツ……居残り特訓をやめて明日からスカラビアも冬休みにするって言ってたんだゾ。寮生のヤツらは超喜ぶだろうけど。オレ様は美味いメシが冬休みのあいだ食えなくなって残念なんだゾ~」
そーいや、聞いてた話の中でもアジームが合宿取り止めみてぇな事言ってたっつってたな。
その発表……にしちゃあ、険しい顔だな。
「…………この冬休み、オレたちスカラビアは自主的に寮に残り毎日6時間自習すると決定したが……オレは気付いた。それじゃ、全然生ぬるい!!!!!」
「「「えっ!?」」」
アジームの言葉にジャミルや寮生達、グリムが戸惑った様な声を出す。
「カリム、寮生を家に帰すと決めたんじゃ……!?」
「アイツ、さっきと言ってることが全然違うんだゾ!?」
「1日たった6時間で、他寮にとった遅れが挽回できるはずがない。他寮の2倍、いや、5倍の努力をしなければ成績最下位寮の汚名をそそげないと思え!明日から毎日5時間の勉強と、4時間の実技訓練を全員の義務とする!」
勉強五時間に実技四時間?
幾らなんでも普通の人間にはキツいんじゃねぇか?
「えぇ?毎日9時間も修行させる気か?」
「今日の夕食後は、防衛魔法の特訓を行う!さっさと食って準備をしろ」
「「「は……はいっ!」」」
「スカラビアに来たからには、お前とグリムも強制参加だ!いいな!」
「えぇ~!なんでオレ様たちまで!?」
「なんだか大変なことになってきた」
「「「…………」」」
夕食後の防衛魔法の特訓。
俺達は特に強制参加しろとは言われなかった為、見学をしていた。
「本日はここまで!明日の午前中は、東のオアシスまで行進だ。徹底的にしごいてやるから、そのつもりでいろ!」
そう怒鳴るように言うと、アジームは去って行く。
「はぁ……はぁ……手も足もガクガクだ……」
「誰か、水……水をくれ……」
「明日からも朝から砂漠を行進なんて……」
「寮長はどうしちまったんだ。前はこんなことする人じゃなかったのに」
「大丈夫か?」
「ほら、水だ。ゆっくり飲め」
俺達は各々地面に伏している寮生の介抱に回った。
パンパン!
何人かに治癒術を掛けると、優羽達と話してたジャミルが手を叩いて寮生を呼ぶ。
「お呼びでしょうか、副寮長」
「お前たち、客人を部屋に案内しろ」
「「「はっ!」」」
「あ、双子は俺と来てくれ」
「「……ああ」」
「「?」」
其れから俺達は何故かジャミルの部屋に案内された。
ジャミルはアジームを寝かし付けた後、茶を持って部屋に戻って来る。
「すまない、他の寮生の前じゃあまり話せないと思って……」
「……別に構わねぇよ。つーか」
「相変わらず甘えるのは下手か?」
「仕方ないだろ……兄さんたち以外に甘えられる相手なんてない」
一瞬暗い目をしたジャミルを二人で撫でた。
その時……
ピーー ピーーピーー
少し離れた所から笛の音がする。
「……何でもないから、気にしないでくれ」
「「そうか」」
「「皆様、今日は早めに休まれては?」」
「そうだな。兄さんたちは監督生たちが居る間は居てくれるんだろ?」
「「一応そのつもりだ」」
「なら、まだ話す機会もあるか。良かったら一緒に休もう」
「おう」「……そう、だな……」
「「…………」」
翌朝。
俺達は優羽達やスカラビア寮生と共に東のオアシスへと行進した。
ザッザッ
「この光景……夢で見たことがあるような」
「「どうした?優羽」」
「オイ、ユウ。なにボーッとしてんだゾ。暑さでやられちまったのか?」
その様子を見ながらボーッとしてる優羽の顔を覗く。
「──全体、止まれ!」
「や、やっとオアシスに着いたんだゾ?」
「これより15分の休憩をとる。その後、また寮へ向かい、行進開始だ」
取り敢えずオアシスには着いたらしい。
「水、水…………って、このオアシス、水が全部干上がっちまってるんだゾ!」
が、肝心なオアシスの水は干上がっていた。
「みず……水……、水がほしいのか?」
「当たり前なんだゾ!もう喉がカラカラだぁ……ハル……」
「おう……あー、ちょっと待ってくれ」
「なら、俺がよく冷えた美味い水を飲ませてやるよ!『熱砂の憩い、終わらぬ宴。歌え、踊れ!……
ザァ……
アジームが歌う様に呪文を唱えると、水が雨の様に降り注ぐ。
「うわ~~~!恵みの雨なんだゾ~~~!!」
「うめぇ~!乾いた身体中に染み渡る美味さだ……!」
「はぁ、生き返る……」
……確かにこの水は俺からしても助かるな。
「そうか、美味いか!水だけでいいなら、乾いたオアシスをたっぷり満たすくらい出してやれるぜ。オレのユニーク魔法『枯れない恵みは』は……少しの魔力で美味しい水をたくさん作り出すことができるんだ」
「なんか……『水がいっぱい出る』ってユニーク魔法にしてはめっちゃ地味なんだゾ。水が出せる魔法士は他にもたくさんいるし……」
「そう言ってくれるなよ。少しの魔力でいっぱい出るってのが、オレの『枯れない恵み』のウリなんだ。水道が普及してない時代なら、水汲みや加熱殺菌しなくていい水がいくらでも出るなんて、すっげー重宝されたと思うんだがなぁ」
……いや、今でも重宝される様なヤツだぞ?
アジームは使い方を分かってねぇのか?
「ま、お前の言う通り、水道が普及した現代じゃあんまり役に立たない魔法なんだけどさ。あっはっは!でも!オレが生み出す水は、世界一美味い自信があるぜ」
「そう言われてみれば……確かに、お腹に優しい冷たさでありながら、決してぬるくない。新鮮な湧き水のように口当たりまろやかでゴクゴクいけるお水なんだゾ」
「「出た、食リポ」」
つーか、グリムは水まで食リポ出来んのかよ。
「モンスターに水の違いなんかわかるのか?」
「なにおぅ?失礼な!オレ様の味覚は確かなんだゾ!」
「うんうん、オレの見込み通りだ!グリムは違いがわかるヤツだって思ってた。よし、褒美にクラッカーをやろう」
「ウッ、ハラは減ってるけど、今バサバサしたものは食いたくねぇんだゾ~……」
グイグイとグリムにクラッカーを食べさせようとするアジーム。
「アジーム、勘弁してやれ」
取り敢えずグリムを回収して優羽に渡した。
「……また朗らかな性格に戻ってる?」
「確かに出発前とは別人みてーなんだゾ」
確かに性格が大きく変わってる。
こりゃあ、もしかすると……
「ん?なんだユウ、なにか言ったか?」
「……カリム、15分休憩がもう終わる。みなを集合させて寮へと戻ろう」
「もう?もう少し休んでいってもいいじゃないか」
「あまりのんびりしていると陽が高くなる、気温が上がるとその分キツくなるぞ」
「それもそうか。よーしお前ら、寮へ戻って朝食だ!帰り道も頑張ろうぜ」
疑惑を抱いたまま、俺達はスカラビア寮へと行進した。
「あぐ!はぐはぐ!もぐもぐ!くっ……こんな囚人生活からは一刻も早く逃げ出したいのに。悔しいことにメシだけはメチャクチャ美味いんだゾ!!」
スカラビアに戻ると、遅い朝食が始まる。
「しゅうじんせいかつ?よくわからないけど気に入ったなら良かったぜ、たくさん食えよな!グリム、今日は牛乳の青カビチーズがあるぜ。たっぷりクラッカーに乗せて食えよ」
「えっ。クラッカーはもういいんだゾ……」
「なんだよ、遠慮すんなって。あっはっは!」
「むががっもがっ!ほががっ!」
アジームが笑いながら次から次へと、チーズを乗せたクラッカーをグリムの口に入れた。
「「おい、アジーム」」
「カリム、そう次々と食い物を口に詰め込むんじゃない。グリムが窒息するだろ」
「おっと、ゆっくり食っていいんだぜ。まだまだあるんだから」
「もぐもぐ……ごっくん。うぅ、そういう問題じゃねぇんだゾ~~……」
「「飲み物飲まれますか?」」
何とか飲み込んだグリムにルアとソルが飲み物を差し出す。
「今日は昨日食えなかったアイスクリームをデザートに用意してあるぞ。たくさん種類を並べて、でかいスプーンで好きなだけザクザクすくって食べるのがカリム流だ」
「スプーンでザクザク……?」
「「?」」
「そうそう、いくら腹一杯でも、デザートは別腹だろ?今持ってきてやるから待ってろよ」
そう言い、アジームが立ち上がった。
「!カリム、待て。俺が用意してくるから、お前は座ってろ」
「いいって。アイスの用意なんか、冷蔵庫から出してくるだけだろ?」
「馬鹿。主人に給仕させる従者がどこにいるんだ。お前はもう少しアジーム家の後継としての自覚を持ってくれ。お前にそんなことさせたと知られたら俺が父さんの怒られる」
「ジャミルは本当に真面目だなあ、いいじゃないか。今は同じ学園の学生同士だろ?」
……アジームは……悪い奴じゃねぇけど、無神経な所があるな。
「……はぁ。それじゃあ、俺が皿に盛り付けるから運ぶのを手伝ってくれるか?」
「お安い御用だぜ!」
「ごそごそ……ごそごそ……」
……?
グリムの奴、何してやがんだ?
「ん?どうかしたか?」
「い、いや?なんでもねぇんだゾ!」
「よし!今用意してくるから少し待ってろよ!」
そして、アジームはジャミルと一緒に談話室を出て行く。
「……オレ様、いよいよ混乱してきたんだゾ。今のカリムは人の話をきかないけど悪いヤツじゃねぇ気がするんだゾ」
「「…………」」
タッタッタ
「おい、お前たち……いつまでメシを食ってるつおりだ!王様にでもなったつもりか!?」
「「「え、えぇ~~~~!?」」」
突然駆けて戻って来たアジームの言葉に、俺達の周りが大声を出して驚いた。
「今すぐ食器を片付けろ!すぐに午後の特訓を始める!」
「「「は、はい……っ!」」」
「ヒィ……また怖い方のカリムになっちまったんゾ!」
「お前たちも逃がさないぞ。今日は夜までみっちり防衛魔法の特訓だ。さあ、庭に出ろ!」
「情緒不安定ってレベルじゃない!」
「「…………」」