ツイステッドワンダーランド
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「ッハ!期末テストでアイツと契約したバカ共を自由にするために取引しただと!?ハハハ!コイツはいいな。背筋が寒くなるぜ」
「ま、アズールくんのテスト対策ノートはスゴいって噂ッスからね。欲しくなるのもわからなくもないッスけど」
「そういえば、2人とも今回の試験でアズールとは取引しなかったんスね。レオナ先輩とか、一番楽したがりそうなのに……あっ、いや、なんでもないっス」
……誤魔化せてはねぇな。
「ばーか、誰が好き好んであんなインチキ野郎と何度も取引するか。背に腹は変えられなくて取引したことはあるが……毎度ロクな条件じゃなかった」
「確かに、進んで力を借りたい相手じゃないッスよね。ちょっと無茶なお願いでもホイッと叶えてくれるし実力がある魔法士なのは確かなんスけど」
「そもそも取引ってのじゃ、欲しいものがあるほうが不利に決まってる。頭の回らない草食動物が軽い気持ちで契約すりゃあの手この手でカモられるのがオチだ」
「勝てるのだろうか……」
「「俺達が勝たせてやるさ」」
オンボロ寮は学園長の物だが、俺の領域となってる。
幾らあの子といえど、そう易々とはくれてやらねぇさ。
「話のタネに聞いてやる。どんな条件で契約したんだ?」
優羽は簡単に取引を説明した。
「3日後の日没までに………………」
「アトランティカ記念博物館に忍び込んで写真を取ってくる………………」
「「……………………」」
何で黙り込んだんだ?
「なんか……ご愁傷様ッス」
「勝負が始まって早々、縁起でもねぇこと言うんじゃねぇんだゾ!!」
「そもそもアトランティカ記念博物館って海の中じゃないっスか。どうやって行くつもりなんスか?」
「アイツら、水の中で呼吸が出来る魔法薬をくれたんだゾ」
「効き目のほどはわからねぇけどな」
アズールから渡された巻き貝の形をしたビンに入れられた緑色の薬。
飲みたくねぇな。
「アズールくんがくれたなら、効き目は間違いないと思うッスけどね。あの人のプライド的に、せこい魔法薬を掴ませてくるとは思えないし」
「…………ふぅん。なら、さっさと行動を起こせばいいじゃねえぁ。時は金なり、だぜ」
「ふなッ!そうだ、ユウ。双子。早くアトランティカ記念博物館に出かけるんだゾ!」
「そうだな。たった3日しかないんだ。のんびりしてられねぇ」
「エースとデュースも道連れだ。いざ出発!」
優羽達が急いで片付けて行った。
「……兄ちゃんたち、アズールくんたちは……」
「「人魚なんだろ?」」
「「それにリーチ兄弟は回収者で妨害者」」
「「……流石」」
其れから俺達はエースとデュースを捕まえ、闇の鏡の前に集まる。
「このアズールがくれた魔法薬、本当に水の中で呼吸が出来るようになるのか?」
「疑ってても始まらねぇ。とりあえず飲んでみるしかねぇだろ」
「んじゃ、せーのでいきますか。せーの!」
ごくごくっ
優羽達が薬を飲んだ。
俺達は必要ねぇから、ルアとソルに術を掛けておく。
「ウッ……こ、これはっ……」
「うげぇぇ~~干しガエルと腐ったキノコを混ぜたみたいな味がするんだゾ!てか、何で双子は飲まねぇんだゾ!」
「「必要無いから」」
「どんな例えだ。食ったことがあんのか、それ。ゲホッ……確かにすごい味だが……」
サレトーマみてぇに不味いのか。
アレは念の為に食べさせられて、軽くトラウマなったんだよな。
「魔法薬のマズさってわりと深刻な問題だと思うんだけど、なんでみんな放っておくんだろーね……うっぷ」
「味より効き目のが大切なんだろ。ん……なんだ?少し、息苦しくなってきた……っ!?」
「肺が水中呼吸に対応してきってことか?」
「はぁ、はぁ……やべ、ホントに苦しくなってきた。早く海ん中行こーよ!」
「闇の鏡よ!俺たちを珊瑚の海へ導きたまえ!」
優羽達が闇の鏡に駆け込んだ。
俺達も其れについて行く。
「がばばばば!いきなり水の中なんだゾ!溺れ死ぬ!」
「……っ、あれ?苦しくない」
「え?あ、本当なんだゾ」
「マジで水の中で息ができてるんだな」
「「大丈夫そうだな」」
「本当に双子は必要無かったんだな」
この辺りの海は綺麗だな。
珊瑚礁が素晴らしい。
「うわ、一面の珊瑚礁、すっげー眺め!ケイト先輩が見たら、『マジカメ映え~』とか言って撮影しまくりそー」
「すごく綺麗だね」
「ゆっくり景色を楽しんでるヒマはねぇぞ。早いところ目的の場所へ向かおう」
「ふんがッ!水の中って全然前に勧めねぇんだゾ~」
「ほら、グリム」
グリムとルアを抱えて先へと進んだ。
アキはソルを抱え、優羽の手を掴んで進んでいる。
「ちょ、何でそんな早く進めんの!?」
「「半聖隷だからな」」
「「「?」」」
そうやって進んで行くと……アトランティカ記念博物館らしいのが見えてきた。
「おっ……なにか見えてきた」
「あれ、アトランティカ記念博物館じゃね?」
「ふなっ!足が魚みてぇになってるヤツらがいっぱいいるんだゾ」
「人魚……か?マジで水の中で生活してる奴らがいるなんて」
その時、長い影が二つ通る。
「あ~~~♡きたきた、小エビちゃんたち」
「ごきげんよう、みなさん。いかがです?海底の世界は」
「この声は……そっくり兄弟!」
「正解で~す」
「「「!!!!!!」」」
「「そっくり兄弟は俺達もなんだが?」」
何でグリムは俺達は双子で向こうの双子をそっくり兄弟っつーんだ?
「あ、あんたらなんだその姿は!?」
「んな意外か?」
「話を聞いてる段階でも人魚なのは予想出来ただろ」
「なにって、“いつもの姿”だけど?だってオレたち、そっちの双子の言う通り人魚だもん」
「学園にいる時は、2本足だったはずじゃ……」
「地上にいる時は魔法薬で姿を変えているんで
す。この尾ビレでは陸を歩けませんからね」
リーチ兄弟は緑色を主体とした人魚の姿をしていた。
「ってか、めちゃくちゃ長っ!身長……いや、全長何メートル!?」
「ウミヘビかなにかか!?」
「残念、ウツボでぇす」
「「ウツボ……」」
だから長いのか。
つーか、ウツボなら黄色系統じゃねぇのか……?
「そんなことより、オマエらなにしにきたんだゾ!」
「あはは、そんなの、オマエらの邪魔しにきたに決まってんじゃん」
「やっぱそ~ですよね」
「そう簡単に条件をクリアされては困りますから」
エース達がマジカルペンを取り出し、リーチ兄弟へと魔法を放つ。
「いでよ、氷よ!せやっ!」
「そんな魔法じゃ、全然当たんないよ~」
「このノーコン!1発くらい当てろっての!でやっ!」
「ふふふ、どこを狙ってるんです?」
「お前も人のこと言えないじゃないか!」
「嘘っ。オレがあんなハズしかたするなんて……」
エース達の魔法は一切当たらない。
「チッ、どいてろ、俺がやる!オラァ!!なにっ!?アイツらに魔法が当たる直前で、勝手に軌道が変わってる!?これは……」
「へぇ、ウニちゃんはよく見てんじゃん」
「やはり、陸の獣は目がいいんですねぇ」
「なんでオレらに魔法が当たらないか教えてあげる。俺のユニーク魔法『
……別に話した所で能力が上がっている様には見えねぇ。
別に誓約とかそーいうのじゃなく、関係なく話したのか。
「ちっとも面白くねぇ!そんなの、反則技なんだゾ!」
「はぁ……フロイド。ユニーク魔法をペラペラと他人に教えてしまうのはあまり感心しませんよ」
「いいじゃん。わかってたってコイツらには止められねーし」
「はいはい。今日は魔法の調子が良いみたいでなによりです。いつもこうだと、僕も嬉しいんですがね。気分が乗らないと一度も成功しないんですから……困ったものです」
「ほらほら、早く逃げなよ。捕まえたらオレの尾ビレでギューっとしちゃうよ。どいつから絞めてやろうかな?」
「アイツら、狩りを楽しんでやがる……!このままじゃ一方的にボコられちまうぞ!」
「作戦を練り直「滄溟たる波濤よ 戦禍となりて 厄を飲み込め……タイダルウェイブ」そう……!」
敢えてリーチ兄弟に当たるギリギリの所に聖隷術を発動させた。
「そーいや、この前また遊ぶ約束してたなぁ?」
「この前の鬼ごっこの続きだ……鬼は交代だな」
ルアとソルを優羽に預け、リーチ兄弟に迫る。
彼等が驚いた様に退くのをスルーし、眼前まで近付いた。
「「ほら、遊ぼう?」」
「「……っ……!!」」
……今回は退いてやるか。
俺が優羽の所に戻れば、アキもやって来る。
「「帰るぞ」」
「え、でも……」
「「じゃあ、またなー」」
俺達は優羽達を引っ張り、帰る事にした。
そして、優羽達を鏡に通させ、俺達はリーチ兄弟の所に戻る。
「あれ、どうしたの?」
「いや、一応言っとこうと思ってな」
「次は俺達も本格的に鬼ごっこをする」
「「覚悟をして準備をしろ」」
「「……はい」」
「いい子だ」
リーチ兄弟の頭を撫で、俺達も帰る事に。
そして、鏡の間で優羽達と合流して、サバナクロー寮に戻る事になった。
その日の夜──
優羽とジャックがレオナとラギーに相談に行くという事で、俺は夜食を作る。
「何を作ってるんだ?」
「焼き鳥丼。彼奴等なら食えんだろ。優羽には一応お握り作ってる……摘まみ食いすんな。お前の分も用意してんだから」
「ん」
作った夜食を持って談話室へと入った。
「まず、なんとかして契約書を破る方法を考えるぜ」
「でも、あの契約書は無敵なんだゾ!?」
「ハア……お前ら、本当に脳みそが小せえな」
「他人のなりすましとか、詐欺にあっさり引っかかるタイプッスねぇ」
「ふな゛っ!?」
なんか白熱してんなぁ。
パァ…と顔を上げた優羽の頭を撫で、夜食を置いていく。
「そもそも、なーんで君たちはアズールくんの『絶対に破れない』って言葉を素直に信じ込んでるスか?」
「えっ?でも、攻撃はマジで効いてなかったし……」
「その場限りのパフォーマンス……言っちゃえばハッタリの可能性だってあるじゃないスか」
「!!」
「どんな魔法にだって弱点はある。魔法を封じる
話し合いながら彼等は夜食を手に取って食べ始めた。
……いや、話し終わってから食えよ。
「あの『黄金の契約書』にも必ず弱点はある……海の中でリーチ兄弟に挑むより、地上で契約書の“弱点”を暴くことを目指したほうがまだ勝算は高い……ってことか。でも、なんかそれって反則くせぇな」
「あのねぇ、ジャックくん。意識高いのは結構ッスけど、君ら地上でもアズールくんたちに歯が立ってないじゃないスか。美味っ」
「うぐっ、それは……」「そりゃあ良かった」
「大体なぁ、アイツらはなにも知らない草食動物を騙して、身ぐるみ剥ごうって悪党だぜ。遠慮する必要がどこにある?卑怯だろうが、場外乱闘だろうが、契約が無効になりゃこっちの勝ちだろうが。悪くねぇな」
「くぅ~っ、さっすがレオナさん!骨の髄まで卑怯者!」
「全く褒めてないような!?」
確かにラギーの誉めてんのか分からねぇな。
「言ったろ?俺はいつだって全力を尽くす、ってなァ」
「……目には目を、歯には歯を、か。よし、残り2日、全力でアズールに張り付いて契約書を破くチャンスを狙うぞ!」
「もはやストーカー状態……」
「じゃ、せいぜい頑張れよ1年坊主ども」
あ、もう食べ終えたのか。
早いな。
「えぇっ!?あそこまでアオッといて協力はしてくれねーのか!?」
「なんで俺が。サービスでヒントは与えてやったろ。あとはテメェらで勝手にやれ。じゃあな」
「ってわけで、オレもここで。3人とも頑張るッスよ~。あ、今度レシピ教えて欲しいッス!」
「じゃあレシピ表やるよ」
「やった!」
「は、薄情者~~!!」