ツイステッドワンダーランド
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
其れから俺達はマジフト大会に参加した……が、優羽の頭目掛けてグリムが投げたディスクが飛び、俺がそれを庇って頭に受ける。
で、気絶はしなかったが念の為俺と付き添いとして優羽は保健室で休む事に。
俺達の空いた分はゴーストが埋めてくれるそうだ。
「あっ、ユウ!ハル!目が覚めたんだゾ?」
「……あれっ?寝てた」
「…………」
「ハル、大丈夫か?」
保健室のベッドで横になっていたら、二人揃って寝てしまったらしい。
「全然目を覚まさないから打ち所が悪かったんじゃないかとか、ユウも怪我してたんじゃないか心配してたんだ」
「てなわけでお前たちが寝てる間に閉会式もとっくに終わって、もう会場の撤収作業始まっちゃてるよ」
そんなに寝てたのか……まぁ、穢れを受けたしな。
「サバナクロー寮はどうなったの?」
「チッ……あいつら、マジでディスクじゃなくて俺たちを直接狙ってきやがって」
「おかげでディアソムニア寮と戦う頃にはオレたちヨレヨレ。結局優勝はディアソムニア寮ッスよ」
他のベッドにレオナ達が寝かされていた。
その体は俺達が治癒した筈だが、ボロボロになっている。
「レオナ先輩、ラギー先輩!目が覚めたんスか」
「チッ……この俺が昼寝以外で保健室のベッドを使うハメになるとはな」
「ディアソムニア寮生は1人もここに担ぎ込まれてないとこがまた、腹立つッスねぇ」
「噂には聞いてたけど、マジでディアソムニアの寮長ハンパなかったわ」
「ああ……凄かったな。監督生やハルも見たら驚くはずだ」
「アレに勝てるイメージ湧かないのはわかる……って思っちゃった。アキ以外」
「…………」
エースの言葉にアキは視線を逸らした。
……アキの奴、俺達が退場してから何したんだ?
「フン。挑む前から負ける気でいたら勝てるもんも勝てねぇよ。俺は来年は絶対ディアソムニア寮に勝って見せる。卑怯な手を使わず、俺の全力を尽くしてな」
「フン。卑怯な手だって、自分の力のうちだろ?」
「反省の色が見えない……」
「反省?どこに反省の必要が?今年の大会は、俺なりに全力を尽くした。来年もまた、勝つために全力を尽くすだけだ」
「シシシッ!さすがレオナさん。そうこなくっちゃ」
「やれやれ。先が思いやられるぜ……」
レオナとジャックの考えは真逆なんだな。
「来年こそはトーナメント戦に出てやるんだゾ!」
「僕たちも選手枠として出られるように頑張らないとな」
「確かに。今年みたいに格好悪い目立ち方は、もう勘弁だわ」
「おう、頑張れ」
ふと、気配を感じて入口に視線を向けた。
「あーーっ!おじたん!やっと見つけた!」
「ン?なんなんだゾ?この子ども」
「レオナおじたん!」
其処にいたのはまだ幼い子供。
「あ~……クソ。うるせぇのが来た」
「レオナ、おじ……たん?」
「この毛玉は兄貴の息子のチェカ……………………俺の甥だ」
「「「「「お、甥~~~~~!?」」」」」
甥……つまり、次期国王って事か。
「ってことは、これが王位継承権第一位の……?」
「おじたんの試合、カッコ良かった!今度帰ってきたら、僕にもマジカルシフト教えて!」
レオナの甥はレオナのベッドに上り、その耳元で話す。
「わかった。わかったから、耳元で大声出すな。お前、お付きのヤツらはどうした?今頃泡食って探してるぞ」
「おじたんに早く会いたくてみんな置いて来ちゃった。えへへ」
……今頃、そのお付きとやらは慌ててんだろうな。
「え……っと。レオナ先輩の苦悩の種って……」
「無邪気な天使……?」
「「天使?」」
「しかもめちゃくちゃ懐かれてるんだゾ」
「うるせぇな……じろじろ見てんじゃねぇ!」
レオナが優羽とグリムを睨むと、彼等はアキの後ろに隠れた。
「ねえねえ、おじたん!次いつ帰ってくるの?来週?その次?あっ、僕のお手紙読んでくれた?」
「あー、何度も言ったろ。ホリデーには帰……痛っ、おい、腹に乗るな!」
「レ、レオナ先輩の腹にずかずかと馬乗りに!?」
「プッ……あはは!こりゃ大物ッスわ。レオナさんが実家に帰らたがらないのこういうことだったんスね」
つまり、凄い慕ってくる甥に引っ付かれるから、か。
「みんな、おじたんのお友達?」
「くくくっ。そーそー。おじたんのオトモダチ。ねー、レオナおじたん!」
「お、おじたんって……ッ!アハハ!いでで、笑ったら傷に響く~~」
「てめーら笑ってんじゃねぇ!後で覚えてろ……!」
俺達以外が爆笑する。
「さて、レオナは怪我をしているんだ」
「降りてやりな」
アキがレオナの甥をベッドから降ろした。
「おじたん、お怪我してるの?ごめんなさい」
「ほら、お付きが心配してるだろう。俺が送るから、戻ろうな」
「うぅん、わかった。またね、おじたん!」
レオナの甥はアキに手を引かれて出ていく。
「……慕われてんだな、レオナ」
「ハッ、ハーヴェルの兄上程じゃねぇさ」
「「「「あ、兄上!?」」」」
「そういえば、ラギー先輩も兄ちゃんって言ってなかったっけ?」
「ああ、リドルやトレイみたいに彼等も幼い頃に迷い込んで来た子だ」
「俺、ちっちゃい頃にあの街に行って、沢山ご飯も貰ったし、生きていく術も教えてくれたんスよ」
そうそう、来たばかりのラギーはガリガリだったからな。
色々と世話焼いたんだっけ。
「…………兄上」
「どうした?レオナ」
「あの話……国を創るって」
「「「「え?」」」
「ああ、実はアキと相談していてな。俺の領域であるあの街は完全に切り離された空間で、成長は出来ない。だから、何時かはあの街を出ないといけない……だから、時々俺達は大丈夫だと判断したら、色んな世界の拠点に住まわせるんだよ」
「へぇ」
「だけど、この世界の拠点は学園長の物。だから、いっそ新しい島でも創ってやろうかなって」
「大規模だぁ」
今、ルアとソルにいい場所を探して貰い、大体の見当も付けている。
「勿論、この世界の人間でも歓迎する。で、一応その統治者としてレオナをスカウトしたんだよ。まぁ、あんだけ慕われてんなら、無理にとは言わねぇけど」
「その国って、スラムの奴とか関係なく暮らせるッスか?」
「ああ。俺達が気にしねぇし、ちゃんと食べて行けるようにする」
「じゃあ、俺もそこに住みたいッス!」
「……いいな。そのスカウト、受けて立つぜ?」
「いいのか?そりゃ有難い。まぁ、其処を任せんのはお前が卒業してからな。スラムの方はアキと相談して創ったら、無理しない範囲で移動するか」
「あざッス!」
レオナが小さく息を吐いたのを視認した。
……気にしてたんだろうな、スラムの事。
「なぁなぁ、話は終わったんだゾ?」
「ん?おう」
グリムが俺のベッドに登って来た為、抱き上げる。
「じゃあ、今度は違う話が聞きたいんだゾ!」
「違う話?……いつものか?」
「そうだゾ!」
確か、この間話し終わったんだよな。
今度は何にするかな……
「──己の生まれてきた意味を探した……レプリカと呼ばれた青年の物語」
「…………何事だ?」
「話をしただけなんだけどな」
アキが訝し気に俺達を見た。
気付いたら俺の周りを一年生が、更に先程より近い距離にレオナとラギーが居る。
保健室は中々広いのに、何故か密集してる状態。
「なぁなぁ続きは?」
「ん、オンボロ寮に帰ってからな。流石にこれ以上保健室居たら迷惑だし」
「「えぇ!?」」
「「「…………」」」
「エースとデュースにはまた昼休みにでも話してやる」
「絶対だからな!約束だからな!」
「おう。俺は学園長と違ってちゃんと約束は守る」
「学園長信用ない……当然だけど」
「よぉし!オンボロ寮に帰るんだゾ!」
その日の夜。
俺は前に作ったベンチに座っていた。
膝の上には寝落ちしたルアが居る。
「……ハル、此処に居たんだ」
「優羽?」
「えっと……隣いいかな」
「おう」
アキの上着を羽織った優羽が俺の隣に座った。
優羽が起き出したのを見て、貸したって所か。
「……俺さ、この世界に来る前はちょっとした役職に居たんだ」
「へぇ」
「けど、ちょっと色々あって……気付いたら此処にいて……」
優羽の話を聞いたのは初めてだな。
「多分、俺がリドル先輩やレオナ先輩の過去を見たのも、俺の役職が関わってるのかなって」
「…………」
「ハルは心当たりある?」
……正直、俺は空間に関われるが、心の方までは干渉出来る筈がない。
優羽に引き摺られたにしても、アキはならないのに何故?ってなる。
つまり……
「さぁな」
「そっか……ごめん、ちょっと期待しちゃった」
「?」
「ハルが、俺が凄いお世話になった人に似てたから」
「……そうか」
「よし、疲れたから休むね」
「おう、お休み」
「お休み」
優羽が寮へと戻った。
「……お世話になった人、ね」
…………さて、俺も中に戻るか。
今度期末テストがあるっつーし、対策ノートでも作るかね。
end.