ツイステッドワンダーランド
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「ハル、お前は下がってろ」
「戦えるぞ?」
「駄目だ。それに、行けるからな……よし、行くぞ」
アキから放たれる闘気。
此方はオーバーリミッツか。
「此れで終わりだ……バレットオブフォース!!」
アキは一切の手加減をしなかったらしく、凄い威力の秘奥義が化身へと放たれる。
結果、その一撃で化身は倒れた。
そして、アキは振り返り様にレオナに手刀を入れて気絶させる。
『ハル、此処は……』
『また、みたいだな』
俺達はまた、あのモノクロの空間に居た。
そして、今度見せられたのは……蔑ろにされているレオナ。
第二王子として生まれたレオナは常に厳しい目で見られ……決して一番になれない姿。
『……言っただろ?レオナ。ちゃんとお前を見てるのも居るって』
『だけど、俺は王になれない。俺は一番になれない』
『レオナ』
俯く子供の姿のレオナを抱き締める。
『俺やアキはちゃんとお前を見てた。お前がどれだけ努力しているのも知ってる……なぁ、レオナ。お前、夕焼けの草原の王じゃないと駄目か?』
『『え?』』
『お前を認めない夕焼けの草原じゃなくて、俺が此れから創る国を治めてくれないか?』
『お前が創る国?』
『そうだ。まぁ、それは起きてから……一緒に考えよう』
「オイ!起きろ!」
「…………あ?」
「やったー!起きた!ずっと気絶したままだったらどうしようかと思ったんだゾ!さあ、早く今までの事件は自分が企てましたと自白しろ」
目を開けると、グリムがレオナを起こしていた。
「なに……なんだって?」
「キングスカラーくん。貴方はブロットの負のエネルギーに取り込まれて暴走し、オーバーブロットしてしまったのです。覚えていませんか?」
「この俺が暴走して……オーバーブロット?嘘だろ……」
「ハル、大丈夫か?」
「ああ」
アキが俺を少し離れた所に座らせる。
「そんなことより、マジカルシフト大会がもう始まっちまう。オマエが自白してくれねーと、オレ様がご褒美に試合に出してもらえねぇんだゾ!」
「あァ…?なんだそりゃ?」
「こいつら、学園長にマジカルシフト大会に出して貰うことを条件に先輩たちを追ってたんス」
「えぇ?そ、そんなことのためにッスか?」
「そんなことぉ!?だったらオマエらだってそんなことのために怪我人まで出してたんだゾ」
「うっ、そ、それは……そうッスけど」
まぁ、俺からしたらどっちも“そんな事”なんだけどな。
「今までの連続傷害事件は君たちがやっていたということで間違いありませんね?」
「…………あぁ、そうだ」
学園長の言葉をレオナが認める。
「わかりました。ではまず、君たちサバナクロー寮は今回の大会を失格とします。そして今後の処分については、被害者のみなさんと話し合った上で決定します。いいですね?」
「……わかった」
「「…………」」
「学園長、待ってください」
学園長に待ったを掛けたのは……リドルだった。
彼の後ろにはトレイを始めとした被害者達が居る。
「ローズハートくん?それに……みなさんは、確か」
「はい。彼らは今回の事件の被害者です」
「学園長、俺たち被害者全員からお願いがあります。今回の大会、どうかサバナクロー寮を失格にせず出場させてくれませんか」
トレイに言葉に学園長が目を瞠った。
「なんですって?つまり……彼らを許すと?」
「アンタたち……」
「いいや、許すわけじゃない」
「サバナクロー寮に欠場されると、気兼ねなく仕返し出来ないからな」
……仕返し?
「え、ええっ!?」
「仕返しだと!?」
「学園内で魔法による私闘は禁止されているからね」
「マジカルシフトなら、れっきとしたスポーツだろ?ただし、別名・魔法力を全開で戦うフィールドの格闘技……だけどな」
「ああ、お前たちに一発お見舞いしてやらねぇと気がすまねぇ」
「いざ決闘だ!手袋を拾いたまえ!」
「なにがあったか知らないが、サバナクロー寮生のほうが俺たちよりボロボロみたいだしな」
……つまり、私闘が出来ない代わりに、試合を通してサバナクロー寮に仕返しをしたいという事か。
「犯人が誰かわかった以上、むしろ俺たちが恨みを晴らすのにマジカルシフト大会は好都合、ってこと」
「レオナくん、前に自分で言ってたじゃん?試合中の攻撃は校則違反じゃないって」
「伝統ある競技で私怨を晴らすだなんて普段なら首をはねてしまいたいところだけど……トレイたちがどうしてもと言うからね。今回だけは目を瞑ろう」
「「ふふふ、はははは!」」
なかなかの考えに思わずアキと一緒に笑ってしまう。
「君たちの気持ちはわかりました。しかし、この状態でサバナクロー寮生たちが試合に出られるかどうか。とくにキングスカラーくんは立っているのもやっとの状態では?」
「ふ………ふ、ははは!!ナメるなよ、クロウリー。手負いの草食動物を仕留めるなんて昼寝しながらだって出来る」
「言ってくれるな」
レオナはまた、あの不敵な笑みを浮かべた。
「俺は謝るつもりは毛頭ないぜ。この俺に謝らせたい奴は力尽くで謝らせてみろ」
「ってわけで、学園長。いいですよね?」
「まったく。感動的な話かと思って期待した私が馬鹿でした。いいでしょう、予定通りサバナクロー寮の大会出場を許可します。学園としても、大会当日にこのような不祥事が世界中に生中継されるのは避けたいところですしね」
「「聞こえてるぞ」」
「大人の事情だ!」
優羽に余計な事を聞かせるなよな。
「ゴホン!さあ、観客のみなさんが選手の入場を待ちわびていますよ。早く準備を」
「じゃあ、行くか……っ、ぐ、痛ってぇ……」
と、痛がるレオナの前にラギーが立つ。
「……オレ、アンタのこと許したわけじゃねーからな」
「あァ、そうかよ」
「でも……なんでッスかね。そんなふうに情けない顔したアンタは見たくねーって思っちゃうんスよね。アンタはいつもみたいにふんぞり返って、ニヤニヤしてるほうがお似合いッス……こんな風に!そら『
ラギーがユニーク魔法を使うと、レオナが全く同じ動きで自分の頬を掴んで口角を上げた。
「
「シシシッ!
「
随分楽しそうな事をしているなぁ。
「なにやってんだ、あんたら……フッ」
「あ、笑った!」
「べ、別に笑ってねぇ。あんたたちには世話になった。おかげで俺もやっと本気を出して戦える」
「ここからは敵同士だ。手加減はしないよ」
「望むところだ!」
青春、だな。
「アキ」
「ああ、分かった」
アキに手を差し出せば直ぐに察して手を握り返してくれる。
「「白き天の使いよ その微笑みを我らに……ナース」」
「「「「!」」」」
サバナクロー寮も被害者達も纏めて治癒した。
「なあなあ、学園長!オレ様たち、ちゃんと犯人を見付けたんだゾ!コレで約束通り試合にだしてくれるんだろーな!?」
「え!?あぁ~……っと、そんな約束してましたねぇ。絶対に無理だと思って、すでにトーナメント表を発表してしまいました。さてどうしましょうか」
「えええ~~~!!!!ひでぇんだゾ!詐欺なんだゾ!!嘘つきの尻は燃やしてやる!ふな゛~~~~~っ!」
「「やってやれ、グリム」」
また約束を破ろうとしやがったのか……エアプレッシャーでも掛けるか。
「い、いやいや!燃やすのは待ってください。双子も詠唱準備しないでください。今、何かアイデアを考えます。うーんうーん……そうだ!エキシビションマッチで特別参加枠というのはいかがです?トーナメント本線が始まる前に、余興として行えば問題ありません。きっと目立ちますよぉ~!」
「目立つ!?」
「えぇ、そりゃもう」
「目立てるんならなんでもいいんだゾ!やった~!テレビで大活躍するオレ様を見てスカウトがいっぱい来ちゃうかもなんだゾ!」
……俺は目立ちたくねぇが、グリムがいいなら其れでいいか。
「そういえば、補填選手の件は?」
「補填選手……うーん、どうしましょう……それから対戦相手も、教師でチームを急造するしか……」
「ふな゛っ!?オメーそれも忘れてたんだゾ!?」
「話は聞かせてもらったぜ」
「その助っ人の件、僕たちが請け負おう」
真っ先に手を挙げたのはエースとデュース。
「なにを言ってるんだい?キミたちはハーツラビュル寮の所属じゃないか」
「大会のルールに『他の寮のチームに入っちゃいけません』なんて書いてねーもん」
「ははっ!そんなこと考えたこともなかったけどそう言われれば書いてないな」
「なにそれ、面白そう!オレも監督生ちゃんのチーム入りたいな~」
「ケイトはうちのレギュラーメンバーだろう!?」
「ちぇっ」
残念そうなケイトの頭を撫でれば、彼は顔を赤くする。
反応が可愛いな。
「先輩たちの試合応援するだけなんてつまんないし。どーせなら試合出たいじゃん」
「ぼ、僕はこいつと違いますよ!純粋に友人を助けたいだけです」
「対戦相手がいねぇなら、俺たちサバナクロー寮が相手になるぜ」
「ふなッ?オマエらが?」
対戦相手で名乗り出たのはジャックだった。
「教師チームが相手なんて、ママゴト丸出しだろうがよ」
「なーんだ、お前案外良い奴じゃん♪」
「か、勘違いするんじゃねぇ。借りをさっさとチャラにしちまいたいだけだ!いいだろ。先輩がた」
「はぁ~。ただでさえヘトヘトだっつーのにもう1試合増やそうってか。ジャックくん、鬼ッスねぇ……」
「あ゛~。もう面倒くせぇ。まとめてかかってこいよ、草食動物ども。エキシビションっつっても、接待試合はしてやらねぇからな。覚悟しておけ」
という事で対戦相手の件も解決。
「ホッ……良かった。またトレイン先生に3時間ほど小言を言われるところでした。「また?」「他にもやらかしてんだろ」双子くん黙って!監督生くん、君のチームは助っ人を含め6名。あと1名選手を集めれば試合が出来ますよ!」
……俺達、参加するって言って無いんだけど。
「オイ、足りてねーじゃねーか!せっかく他の寮のヤツらまでチームに入ってくれたのに~~!なんでオレ様たちの寮は4人しかいねぇんだゾ~!」
「あ、寮にいるといえば……」
「……あ!そうか!寮生って、寮に住んでるヤツのことなんだゾ?」
「まあ、大雑把に言うとそーね」
「ならオンボロ寮には、オレ様たち4人以外にも住んでるじゃねーか!」
「90年前の選手が!」
……それって、ゴーストを参加させるって事か。
「えぇっ?ゴーストのみなさんを選手に登録するということですか!?」
「昔強い選手だった言ってたヤツもいるしうってつけなんだゾ!オレ様呼んで来る!きゃっほーい!テレビに出られるんだゾ~!」
グリムは大喜びでオンボロ寮へと向かう。
「ったく。なんでもありだな……幽霊相手にまともな試合できんのか?」
「ま、いーんじゃない?監督生なんて選手なのに、魔法が使えないんだぜ」
「なんだかテレビに出ると思ったら急に緊張してきたな……」
「では早速会場へ……っと、その前に。みなさん、足元に黒い石のようなものが落ちていませんか?」
「え?黒い石?」
「学園長が落としたんですか?」
「いえ……見当たらないなら結構です。さあ、コロシアムへ急ぎましょう」
「監督生、双子。行くぞ」
「いざ、マジカルシフト大会へ!」
「「…………」」