ツイステッドワンダーランド
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そして……
『えー……ゴホン。ナイトレイブンカレッジ寮対抗マジカルシフト大会へご来場のみなさま。大変長らくお待たせいたしました。いよいよ選手の入場です!』
「「「「ワ~~~~!!」」」」
「まずは去年の優勝寮!3連覇なるか?君臨する閃光!ディア~~~~ソムニアアァ~~~~~~~!!!」
「「「「ワ~~~~~!!!」」」」
遂に大会が始まった。
俺達はその様子が一望出来る場所で……ディアソムニアの選手軍団に観客達が突っ込んでいくのを見る。
『おおっと!?これはどういうことでしょうか!?猪突猛進する観客たちが、さらに他の観客を巻き込んで暴走している!みなさん落ちついて!落ちついてください!』
「「「「ワアアア……!!!」」」」
さーて、此処からは俺の腕の見せ所だ。
『パニック状態の観客たちが向かう先にはディアソムニア寮がーーー!みなさん逃げて!逃げてくださーーい!!』
「「「「ワアアアアア~~~!!!!」」」」
「まずい、このままでは群衆に押しつぶされる!マレウス様をお守りしろ!」
「マレウス様こちらへ!マレウス様ー!!ぐわ~!!間に合わない!押しつぶされるぅうう~~~~!!!」
「ああ~~~~っ!マレウス様~~~!!」
観客に飲み込まれるディアソムニア寮。
「ハル、彼奴が去るのが見えた」
「了解。じゃあ、後はマレウスとやらに任せて…………幻術解除」
「これはこれは、ハーツラビュルのみなさんお揃いで。それにそこにいるのはウチの1年坊じゃないか。ハーツラビュルに転寮したのか?」
「オレはただ、今のあんたたちと肩を並べたくねぇだけだ」
「この裏切りもんが!」
「「間に合ったか?」」
「うん、大丈夫」
サバナクロー寮に突撃していた優羽達と合流した。
そんな俺達を見て、彼等が一瞬顔を歪める。
「伝統ある試合を汚す行為。“厳格”をモットーとするハーツラビュル寮の寮長として、見逃すわけにはいかない」
「あのなぁ、お坊ちゃんがた。正義のヒーローごっこはよそでやってくれないか?」
「わざわざ敵のまっただ中に少人数で乗り込んでくんなんて、酔っちゃってるッスねぇ~!」
「レオナさん、やっちまいますか?」
「フン。軽く遊んでやれ」
俺達に襲い掛かろうとするサバナクロー寮。
「「!」」
一応対応しようとしたが、そんな俺達の前にハーツラビュルの皆が出た。
「此処はボクたちに任せて」
「双子ちゃんと監督生ちゃんは下がってて!」
という事で、彼等に任せる事に。
「『首をはねろ!』」
「ぐ……つ、強ぇえ……」
「寮長クラス、ハンパねぇ……」
「ふん。口ほどにもない。エース、デュース、まだやれるね?」
「全然、ヨユー」
「もちろんです!」
リドルとケイトの活躍で、サバナクロー寮生は地面に伏す事に。
「チッ……やっぱりコイツらじゃリドルの相手は無理か」
「シシシッ!でも、こんなことしたってどうせディアソムニアのヤツらは手遅れッス!」
「ほほう?それは興味深い話じゃ」
俺達の背後にやって来たヴァンルージュ達ディアソムニア寮生。
「誰が手遅れだと?」
「このとおり、俺たちディアソムニア寮の選手には怪我1つない。そいつらのお陰でな」
ディアソムニアには怪我一つ無い。
「えっ!?あれっ!?お前らはさっき、群衆に飲み込まれたはず……」
「悪ぃな。アレは俺が出した幻術だ」
「「はぁ!?」」
昔、幻術を得意とする奴と敵対した時にその技をよく見たお陰で、俺も幻術が使える。
「俺が幻術でディアソムニア選手を作っていたんだよ」
「リドルから話を聞いてな。ハルと手を組んで、ひと芝居打たせてもらった」
「じゃ、じゃあ……マレウスは?」
「もちろんご健在だ!先ほどの群衆の混乱も、全ての人間をコロシアムまで安全に魔法で誘導して下さった。感謝しろ!」
「そ、そんなのアリッスか!?」
悪ぃな…………相手が悪かったという事で。
「…………………………あー、もういい」
「えっ?」
「やめだ、やめ」
「ちょ、レオナさん?それってどういう……」
彼の言葉にラギー・ブッチが恐る恐る尋ねた。
「バーカ。マレウスが五体満足で試合に出るなら俺たちに勝ち目があるわけねぇだろうが。そんな試合に出たって意味ねぇよ。俺は降りる」
「そ、そんな!マレウスはともかく、他寮の有力選手はみんな潰してきたじゃないッスか。なのに、レオナさんが出ないなんて3位にだってなれるかどうか……オレたちの夢はどうなるんスか?」
「どれだけ世界が注目していようが所詮は学生のお遊びだ。お前らが目ぇキラキラさせて夢語ってんのは可笑しくて、少し付き合ってやっただけだろ」
「なんで……?オレたちで、世界をひっくり返すんじゃなかったんスか!?」
必死に追い縋るラギー・ブッチに、彼は面倒くさそうな雰囲気を出す。
「キャンキャンうるせぇな……じゃあ本当のことを教えてやるよ。お前はゴミ溜め育ちのハイエナで俺は永遠に王になれない嫌われ者の第二王子!なにをしようが、それが覆ることは絶対にねぇ!」
「ふ……ふざけんなよ!なんだよそれ!ここまできて諦めるなんて……」
「そりゃあんまりだ、レオナさん!」
「ブン殴ってでも試合に出てもらうぜ!」
「あぁ……面倒くせぇ。黙れよ雑魚ども!」
ポタポタポタ…
ああ、この感じは不味いな。
そう思うと同時に俺は動いていた。
「ぐえぇっ……!」
「「うゎああっ!!」」
「な、なんだコレ?鼻が乾く……目がいてぇ!」
「レオナ先輩が触れたものが全て砂に変わっていく……!?」
「これが俺のユニーク魔法……『
次から次へと砂に変わる。
其は……ラギー・ブッチを庇い、彼に掴まれている俺の左腕も同じだった。
「…………」
「ハーヴェル兄ちゃん!止めてレオナさん……ッ!」
「ハルの腕にひび割れが!」
「まさか人間も干上がらせるってのかよ!?」
「レオナ、それ以上はやめるんだ!『首をはねろ!』!!」
彼にリドルの魔法が放たれるが、其は弾かれて消える。
「ふな゛っ!?リドルの首輪が弾かれた!」
「秀才だがなんだ知らねぇが、年上をナメるなよ。生憎、俺は防衛魔法の成績がいいんだ」
「くっ!」
ラギーが俺を助けようと腕を伸ばすのを視線で制した。
「触るな、ラギー。お前も巻き込まれる」
「でも!」
「……貴方は俺の味方じゃないのか」
「……レオナ」
「お前も俺を疎むのか……!」
掴む力が強まった所為か、腕の皹が肩まで広がる。
「まずい、あのままじゃハルが!」
「殴ってでも止める!」
アキが俺を見詰めた。
其れに俺も問題ない意味を込めて見詰め返す。
「それほどの力があって、何故こんなことをする!」
「何故……?理由なんか聞いてどうする。俺を叱って、慰めてくれるって?実力があったって、努力したってどうしようもねぇことが世の中にはいくらでもあんだよ。現にあのハーヴェルもこの俺に手も足も出ねぇ。可哀想に。憐れだよなあ……」
「レオナ……」「ハーヴェル兄ちゃん!!」
「──もうやめねぇか!!『
その時、ジャックが大きな白い狼へと姿を変えた。
「あれは……!?」
「ガウガウッ!!ガルルル!ガウッ!!!」
「へ、変身した!?」
「なんだと!?ぐぁっ!」
狼姿のジャックがレオナに突っ込み、その間にラギーが俺を引っ張り解放する。
「レオナに隙が出来た!『首をはねろ』!」
「ぐあぁっっ!!」
「リドルくん、さすが!レオナくんの魔法が止まった!」
「ハルからも手が離れたぞ!早くこっちへ!」
そのまま俺はラギーに引っ張られ、アキの隣に戻った。
「セベク、俺たちは他の怪我人を外へ運び出すぞ」
「偉そうに僕に指図するな、シルバー!」
ヴァンルージュ以外のディアソムニア寮生が怪我人を連れ出してくれる。
「クソが……っ!ライオンであるこの俺に、首輪だと……!?ジャック!テメェ変身薬なんてご禁制の魔法薬どこで手に入れた?」
「『月夜を破る遠吠え』!……身体を狼に変化させる、オレのユニーク魔法だ!」
「は……魔法で本物の犬ッコロになれるって?そいつぁユニークだ。本当にな!」
「レオナ先輩……俺は……俺は!あんたに憧れてこの学園を目指した!俺の憧れたあんたは、どこに行っちまったんだ!?」
「勝手に俺に夢みてんじゃねぇ……うぜぇな……」
俺の腕にルアとソルが布を巻いてくれた。
まぁ、その内治るだろ。
「ボクも人のこと言えたぎりではないけどね。今の君は見るに堪えない。謹慎部屋に入って、少し頭を冷やすといい!」
「……お前らになにがわかる?兄貴みてぇに俺に説教たれてんじゃねェよ……」
「フン。お主のような男には、王冠よりその首輪が似合いじゃ。サバンナの王のライオンが聞いて呆れるわ」
レオナをヴァンルージュが否定する。
「……あぁッ!?」
「お主は持って生まれた才や順序のせいで王になれぬと嘆いておるようだが……報われるからと怠惰に生き、思惑が外れれば臣下に当たり散らすその技量さ。その程度の器で王になろうなどと……我らが王、マレウスと張り合おうなどと、笑わせる。たとえマレウスを倒したとて、その腐った心根を捨てぬ限り……お主は真の王にはなれんだろうよ!」
「ヴァンルージュ、言い過ぎだ」
レオナの其は……環境によって歪められたモノ。
「は、はは……アァ、そうだな。そうだろうとも。お前の言う通りだ…………はははは!俺は絶対に王になれない……どれだけ努力しようがなァ…………!」
レオナから放たれる大き過ぎる魔力。
「なんだ!?全身の毛がゾワゾワするんだゾ!」
「急速にレオナの魔力が高まって……っ、くっ、魔法封じが、持続できないっ…!!!」
「ちがう。これは魔力ではない。この邪悪な負のエネルギー……まさか!」
「みんな、伏せろ!」
「「「!!!!!」」」
ケイトが叫んだ直後、レオナの首輪が弾け飛んだ。
「リドルくんの魔法封じの首輪が、吹っ飛ばされた!?」
「俺は生まれたときから忌み嫌われ、居場所も未来もなく生きてきた。どんなに努力しても、絶対に報われることはない。その苦痛が、絶望が……お前らにわかるかぁアアアアアアアッ!」
ああ、やってしまった……。
レオナの姿が変わり、その背後に現れる大きな獅子の形をした化身。
「ガアアァアアッ!!!」
「なんだ、ありゃぁ…!?レオナ先輩の身体から、でけぇ影が!」
「あれは……ブロットの化身!」
「アイツ、リドルみてぇに闇落ちバーサーカー状態になっちまったのか!?」
俺は愛刀を出し、アキも軌石を出す。
「くっ……立てる者は自力で退避!エース、デュースは怪我人を連れて外へ。リリア先輩、先生たちに救援を頼みます!」
「「はい!」」
「あいわかった。しばし持ちこたえよ」
ヴァンルージュが消えた。
「ガアアアアァアッ!」
「うぇ~、なんでこんな怖い目にばっかあうの?オレ、こういうの向いてないんだけど!」
「怖いなら逃げても構わないよ」
「リドルくん置いて逃げたら、トレイくんに後でボコられちゃう。お供しますよ、寮長」
其々構えるリドルとケイト。
「よくわからねぇが、レオナ先輩をブン殴って正気に戻せばいいんだな?」
「オレも手伝うッス。あそこまで言われて、逃げてられるってか……それに、兄ちゃんの事もあるし」
「ハイエナ風情が俺に歯向かおうってのか?ハハハハハ……笑えねぇ冗談だ。全員明日の朝日は拝めないと思え!」
「ユウ、アイツを捕まえればマジカルシフト大会に出られる!気合入れるんだゾ!」
「──いこう、みんな!」