ツイステッドワンダーランド
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「てめーら、まだ懲りずに犯人捜しやってんのか」
ハウルが現れ、呆れた様に言ってきた。
「んだよ、見てたんなら手伝えよな。おたくんとこの先輩、超悪いヤツなんですけど?」
あんなの可愛いもんだと思うけどな。
「お前ら、何故そんなに他人のために必死になれる?」
「他人のため?」
「怪我したダチの仇討とうって気持ちはわからなくもねぇが……」
「は?なに言ってんの?」
「え?」
エースは当然の様に言い始める。
「だーれが他人のためにやるかっつーの」
「僕たちはこの事件の犯人を捕まえて手柄を立てたいだけだ」
「そーそー、あわよくばマジカルシフト大会の選手枠に入りたいし。で、世界中にイイとこ見せたい」
「オレ様だって、絶対アイツを捕まえてテレビに映ってやるんだゾ!」
「トレイ先輩には悪いけど出番はイタダキ、みたいな?」
……こういう奴等なんだよな。
「ハッ!他人のために動くようなヤツは信用ならねぇと思ってたが……お前ら、思ってたよりひでぇ奴らだな」
「なんだよ、オレらよりお前の方がひでーじゃん。その様子じゃ知ってたんだろ?アイツが事件の犯人だって」
「あっ!そうか、同じ寮だから『自分は狙われない』って言ってたのか?」
「…………オイ、てめーら。俺と勝負しろ」
……いきなり何だ?
「はぁ~?突然なんだよ?」
「男が腹割って話すんなら、まずは拳からだろ。てめーらが口だけの輩じゃないと俺に証明できたら俺の知ってる話を教えてやってもいい」
「げっ。オレそういう汗臭いの苦手なんだけど」
「俺はそういうの嫌いじゃねぇぞ。わかりやすくていいじゃねぇか!」
「ふな゛っ!デュースのワルスイッチが入っちまったんだゾ!」
「なんでいつもこうなるかな!?」
……たまに居るんだよな、こういう熱血系統の。
まぁ、デュースがヤル気満々みたいだし、任せるか。
「うぉぉぉぉあ!!」
「おらあああ!!」
「はぁ、はぁ……な、なかなか鋭いの打ち込みやがる……」
「はー、そっちこそ……はー、やるじゃねぇか……」
其れから暫く殴り合うデュースとハウル。
「オマエのパンチ、オレ様のハートに響いたんだゾ……」
「ぜー、はー……お前ら空気に飲まれすぎじゃね?もう選手枠とかどーでもいいわ……しんど……」
「みんなボロボロだね」
「治癒術いんのかねぇ」
「どうだろうな」
最初から参加しなかった俺達と優羽、そして途中で抜け出して来たエースとグリムでテキトーに座って殴り合いを見学していた。
「……よし、これでケジメはつけた。俺の知ってる事は話してやる」
取り敢えず終わったみてぇだな。
俺達は立ち上がって二人に歩み寄る。
「ケジメって、なんのケジメだよ」
「俺自身の心のケジメだ。所属寮を裏切ることには違いねぇからな。だが、俺はもう我慢ならねぇ!!」
声を荒げるハウル。
「どんなに強い相手だろうが、自分自身の力で挑んでこその勝負だろ。今回の大会だって、俺は自分がどこまでやれるのか挑戦するつもりで自分を鍛えてきた。卑怯な小細工なんて反吐が出る!そんな勝利になんの意味がある?俺は、自分自身の力で勝ち上がってテッペン獲ってやりたかったんだ!」
「あ、こいつスゲー面倒くさい奴だ」
「あくまで自分のためなんだ」
「わかる!俺はわかるぞ!!その気持ち!!」
「コッチにも面倒くさいヤツがいるんだゾ」
……別に卑怯な小細工使う事がそんなに悪い事とは思えねぇんだけどな。
其だって、力を持たねぇ奴の戦い方ってヤツだろ。
「ラギー先輩のユニーク魔法は……『相手に自分と同じ動きをさせることができる』ものだ。操りたい相手と同じ動きをすることによって本人の不注意にみせかけて事故を起こしてきた」
「なるほどね。だから食堂ではバレないようにグリムと同じ動きをしてパンを交換したってわけか」
「クソー!その話が出るたび腹が立つんだゾ!食べものの恨みは恐ろしいんだゾ!ハルがくれたからまだいいけど!」
「「ならいいだろ」」
グリムは食い物の事となると厄介だな。
「でも、待てよ。ターゲットのそばで階段から飛び降りるような動きをしたら、すぐ怪しまれそうなものじゃないか?」
「一連の事件は、ラギー先輩が単独でやってるわけじゃねぇ。おそらくサバナクロー寮の奴らほとんどがグルだ」
「ふな゛っ!?」
「そいつが言うようにターゲットのそばで変な動きをしていれば目立つ。だから、寮生どもがラギー先輩の壁になって目立たないよう誤魔化してるんだと思う」
成る程な、前に優羽達と合流した時に見掛けた奴等はガタイがいいのばっかだったしな。
小柄な彼の体くらい簡単に隠せんだろ。
「寮ぐるみの犯行……どうしてそんなことを」
「んー。マジカルシフト大会での順位や活躍ってかなり将来に響くんだろ?だったら気持ちはわからなくもないけど」
「グルルル……!」
「うわ恐っ。歯ぁ剥き出して唸るなよ。冗談じゃん」
へぇ、唸りは獣そのものなんだな。
「フン!将来より今だろ。今の自分の実力を見せつけなきゃ意味ねぇだろうが。俺が特に気に入らねえのは寮長、レオナ・キングスカラーだ!アイツはすごい実力があるはずなのにちっとも本気を出しやしねぇ」
「「…………」」
「確かに、アイツダラダラしてるのにめちゃくちゃ強かったんだゾ」
「だろ!?せっかく持っている力を何故磨かない!?俺はそういうヤツが一番嫌いだ。3年前、レオナ先輩が大会で見せたプレイは本当に凄かった。だから、俺はこの学園に入れて……サバナクロー寮に入って、あの人と
……なんかさっきから結局寮長の事、褒めて尊敬してね?
「あのさー……監督生。コイツ、さっきからずっと自分トコの寮長に文句言ってるようでいて……」
「実はすっごく憧れていたのでは……」
優羽達も同じ考えらしい。
「今までの事件は、奴らにとって行きがけの駄賃みたいなものだ。奴らはもっと大きなことを目論んでる」
「大きなこと?」
「ディアソムニア寮寮長、マレウス・ドラコニアだ。ヤツはバケモノ並のパワーでディアソムニア寮を2年連続で優勝に導いた。そのせいでサバナクロー寮は無得点のままトーナメント初戦敗退。先輩達はそれに恨みを持ってる」
「無得点で初戦敗退……優勝常連寮としてはさぞ悔しかったんだろうな……」
「ああ。世界中が注目する中、大恥をかかされたわけだ。先輩たちはその雪辱を果たそうとしている。しかも、卑怯なやり方で」
卑怯なやり方、という所でハウルは怒りを込めるかのように声を低くした。
「大会当日、ディアソムニア寮になにか仕掛けるつもりってことか」
「そうだ。だから、俺はその計画をぶっ潰す!」
「話は聞かせてもらったよ」
「ローズハート寮長、ダイヤモンド先輩」
其処にリドルとケイトがやって来た為、二人のマジカルペンを渡す。
「伝統ある大事な行事を支援で汚そうだなんて、許せないな。ありがとう、ハル」
「どうする?リドルくん。ありがとね、アキちゃん」
「今までのラギーの犯行も証拠がない以上断罪することはできない。狡賢いレオナ先輩たちのことだ。今告発してもうまくかわすだろう」
「つまり犯行現場を押さえるっきゃない、ってこと?」
「ボクに少し考えがある。まずは……」
「待て、知ってる情報を話しはしたが俺はお前らとツルむつもりはねぇ」
リドルが説明しようとすると、ハウルが制して去ろうとした。
「え~、ここにきてそれ言う~?」
「自分の寮の落とし前は自分でつける。じゃあな」
「でも、今までの事件も止められてないよね」
「……あ?」
「「おお」」
「ひ、久々に出たんだゾ……コイツのグサッと鋭い一言……」
優羽の言葉にルアとソルが拍手する。
本当にグサッといくなぁ。
「確かに1人対寮全員じゃ、勝算が低いよな」
「賢い狼は群れで狩りをするよ」
「……………………いいだろう。話くらいは聞いてやる。だが。もし気にくわねぇ作戦だったら、俺は抜けるぜ」
「コイツ、マジめんどくさ……」
「頑固さではエースちゃんたちもどっこいだけどね~」
「じゃあ、さっきの話の続きをするよ。まず…………」
俺達はリドルの作戦を聞き、途中で俺からの提案も受け入れられて、作戦が決まった。
「なるほどね。いーんじゃね?」
「さすがローズハート寮長です」
「んじゃ、オレは当日までに色々根回ししとくね♪」
「頼んだよ。怪しまれないようにね」
「ケイト、俺も行くから声を掛けろ」
「りょーかい。で?リドルくんの作戦を聞いた結果ジャックくんはどーすんの?抜ける?」
ケイトに問い掛けられたハウルは気まずそうに視線を逸らす。
「…………卑怯な作戦ではなかった……今回は、協力してやってもいい」
「コイツ、いちいち素直じゃねぇんだゾ」
「じゃ、今日のところは寮に帰ろうぜ。はぁ、もうクタクタ」
「オレ様も腹減ったんだゾ~」
「今日の飯、何かリクエストあるか?」
「……マーボーカレー」
「「「「賛成!」」」」
「え、今日マーボーカレーなの?俺、オンボロ寮に泊まる!」
「ぼ、僕も!」
……そんなに気に入ったのか、マーボーカレー。
得意料理だからいいんだけどさ。
「ハウルも来るか?今の寮に戻んのキツイだろ」
「……別に」
「じゃあ、言葉を変える。同じクラスだし、作戦に向けて交流しておきたいから泊まりに来い」
「……わかったよ」
という事で、一年はオンボロ寮に泊まる事に。
「そうだ、1年生たち。今回は情報提供に免じて、校則第6条『学園内での私闘を禁ず』の違反を見逃してあげるけれど……次に見つけたら全員首をはねてしまうよ。おわかりだね?」
「「「はい。すいません」」」
「……ッス」
リドルの威圧感タップリな言葉にエースとデュースだけでなく、ハウルも頷いた。
「よろしい。では、寮に戻ろう」
「弱っちそうだと思ってたが、お前らのところの寮長こえーな」
「そーだよ。か弱いハリネズミと見せかけた、超攻撃型ヤマアラシだから。マジで逆らわないほうがいいぜ」
「当日まで気を引き締めていこう!」
其れから数日後、マジフト大会当日。
ハウル基ジャック(泊まりの時にそう呼べ言われたと)が態々オンボロ寮に迎えに来る。
「悪ぃが、優羽達を起こして来てくれるか?」
「ああ、わかった」
さて、俺は作戦に備えるかね。
「おはよー、ハル」
「おはよう、優羽」
「そういえば、双子は今日どうするの?」
「作戦の前に一回会場を見ておきてぇからな。アキと見回るつもりだ」
「……一緒に行ってもいい?」
「おう、構わねぇよ。そもそも、俺が見て回りたいだけで、アキは勝手について来るだけだろうし」
「うん!」
其れからグリムとアキも起きてきて、先にジャックは会場に向かった。
朝飯を済ませて揃って外に出る。
すると、エースとデュースが合流し、全員で会場を回る事になった。
フェスティバルの会場の一部であるサイドストリートには出店が沢山並んでおり、いい匂いがしている。
「ふぁ~~~!!見てみろユウ!双子!食い物の出店がいっぱいなんだゾ!チェロスに、フライドケーキ、あっ、スモークチキンもある!」
「ちぇ~。結局選抜チームになれなかった……」
「同じく……」
「来年があるよ」
「だが、僕たちには今日大事な仕事がある。気を引き締めよう」
「そーね。オレらはそっちを頑張りますか」
「あのタコ焼きってなんなんだゾ?食べたい、食べたい!」
「あーとーで!ほら、行くぞ!」
食べたいとねだるグリムをエースが引っ張って行った。
「ルア」「ソル」
「「畏まりました」」