ツイステッドワンダーランド
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「んん、それにマジフトは運動神経だけでなく魔法の技を競うスポーツでもありますから。我が校の寮対抗マジカルシフト大会はプロリーグ関係者のみならず、世界中の魔法関係者の注目が集まるのです。当日はたくさん出店も並びますし、世界各国から来賓もたくさんいらっしゃいます。手に汗握るトーナメント戦は、中継のテレビカメラを通して世界中が熱狂する、一大行事なんです」
「テレビカメラ!?」
「「げっ……」」
俺達そーいうのは遠慮したいんだよな。
「世界中に放映される!?じゃあじゃあ、オレ様がその大秋で活躍すれば世界中がオレ様に大注目するんだゾ!?」
「もちろん!大会で活躍した選手は世界中のプロチームや一流企業から引く手あまたの人気者になること間違いなしです」
「グリムの場合、魔法より先にモンスターが選手してるってことで驚かれそうだな」
「「確かに」」
ある意味大注目で人気出そうだな。
「よっしゃ~!早速今日から特訓して絶対に活躍して目立ってやるんだゾ!」
「あ、でもグリムくんは出られませんよ」
「えっ」
「さっきから何度も『寮対抗』だって言ってるじゃないですか。君たちの寮は寮生が7人に満たないでしょう?ですから、出場登録ができません」
「ええええええ~~~っ!?そんなぁ~~~!!!」
俺達の寮はグリムを入れても四人だしな。
「当日は観客席でドリンクを売る仕事やグラウンド整備の仕事など、いくらでもやることはありますよ。フィールドに立つ選手だけが主役ではありませんから」
「やだやだ~~!!テレビに映って『きゃ~!グリムくんかっこいいー!』『おい、今のスーパープレー見たか!?』って言われながらチヤホヤされたいんだゾ~!」
「いやに具体的な妄想だな……」
「俺は勘弁だから、別にいいわ」
「同じく」
俺はルアを、アキはソルを撫でる。
「うーん、人数が足りないのは仕方ない。来年オンボロ寮に新入生が入るかもしれないことに望みをかけて、今年の出場は諦めるしかないかもな」
「そんわけで私はこれで!ああ忙しい、忙しい」
「さんざん期待させといてひでぇんだゾ~~~………ふなぁ~……」
「「まぁまぁ」」
落ち込むグリムを慰めながら俺達は学園長室を出た。
余程テレビに出たかったのか、グリムは優羽の腕の中で半泣きしている。
此ばっかりはなぁ……。
「あ゛~……なにもかもにやる気が出ねぇんだゾ~……ソレもコレもマジカルシフト大会に出られないせいだ」
「まだ諦めつかないの?」
オンボロ寮に戻った後も、グリムは拗ねていた。
「どうしたグリ坊。なんだか最近毛艶が悪いな」
「マジカルシフト大会に出られくて拗ねてるんだってさ~。ヒッヒッヒッ!」
「そんなにマジカルシフトがやりたいなら、わしらが相手してやるぞ。90年前はわしも選抜メンバーに選ばれてキャーキャー言われとったんじゃ!」
そんなグリムにゴースト達が声を掛ける。
「7人いねぇと、できねーんだろ?」
「試合じゃなければ関係ないさ。さあ始めるぞ!」
ゴースト達がグリムを外に連れ出し、其について行こうとした優羽が俺達に振り返った。
「双子は?」
「俺はちょっと購買に行く用があるんでな」
「俺はハルと一緒に行く」
「そっか。また後でね」
其れから購買で買い物を済ませると、丁度オンボロ寮から出てきた学園長と擦れ違う。
「「…………?」」
「お、双子!オレ様たちテレビに出れるかもしれないんだゾ!」
「「はぁ?」」
「あの、実は……」
最近、例のマジフト大会に出る予定の主力選手が怪我をする事件が連発しているらしい。
で、あんまりに続く為、学園長が優羽とグリムに調査を依頼。
グリムはマジフト大会に参加させる事を対価に、優羽は遠回しに衣食住の保証を脅された事で請け負う事にしたとの事。
「「…………へぇ」」
あの野郎……次は苦無じゃ済まさねぇ。
「まぁ、請け負ったのは仕方ねぇ。俺も手伝う」
「ハルがやるなら、俺も手伝う」
「ありがとう!」
其れから俺達は手分けして怪我をした人の話を聞く事に。
念の為、優羽にはソルとルアを着けておいた。
俺はアキと保健室に向かう。
「足を怪我した奴が居るらしいな」
「彼奴だろうな。すまん、ちょっといいか?」
「なんだ?お前ら」
「あ、『なんでもない日』のパーティーで歌った2人じゃん」
「そういえば……また今度歌ってくれよ」
保健室に居たのはハーツラビュルの先輩方。
「歌はちょいと置いといてくれや」
「怪我した時の話を聞かせてくれ」
「俺にもよくわかんねぇんだよ。コイツと話しながら歩いてて……気付いたら階段から落ちてたっていうか」
「うん。躓いたとか滑ったとかそういうカンジじゃなくて」
「勝手に身体がフワッと前に出たっつーか……うまく説明できねぇけど」
身体がフワッと……もしかすると、誰かに操られたのか?
「ん、話聞かせてくれてありがとな。此、見舞品」
「美味いから食べるといい」
「あ、ありがとう」
彼等に見舞品のカップケーキを渡して、保健室を出た。
其れから、授業中に熱々の鍋に手を突っ込んだっつー奴の話を聞きに行っていた優羽達と合流する。
「なーんか、どいつもこいつもおっちょこちょいってカンジしかしねーんだゾ。やっぱり事件じゃないんじゃねーのか?」
グリムが呟いた直後、インターホンが鳴った。
「ん?誰だ?」
「おーっす。あれ、グリムは機嫌が直ったみたいじゃん」
「なんだ、オマエか。今オレ様は忙しいから遊んでやるヒマはねーんだゾ」
「忙しい?宿題終わらねーの?」
「実は……」
遊びに来た様子のエースに、優羽が事情を説明する。
「ふーん、不審な事故による怪我、ねえ」
「でも話を聞いてるうちに。全員がおっちょこちょいか、大会が楽しみで浮かれてるだけじゃねーかって思ってきたんだゾ」
と、バタバタと慌てた様子の足音がした。
「エース!大変だ!」
「ん?なんだよそんな慌てて……」
現れたのは、焦った様子のデュース。
「クローバー先輩が階段から落ちて怪我をしたって……!」
「「えっ!?」」
トレイが階段から落ちた?
……いや、彼奴はそんなドジを踏む奴じゃねぇ。
となると、リドルを庇ったのか?
「ふな゛っ!まさかあの食えない眼鏡のトレイも?」
「おっちょこちょいとは思いづらい」
「確かに、トレイ先輩はウッカリで転んだりはしなさそう」
「話を聞きに行ってみるんだゾ!」
「…………ちょっと待ってろ。見舞品持ってくるから」
見舞品を持って、俺達は揃ってトレイの部屋を訪れる。
「失礼しまーす」
「クローバー先輩、大丈夫ですか?」
「おう、眼鏡!シケたツラ拝みにきてやったんだゾ!」
「「こら、グリム」」
「「「お邪魔します」」」
中に入ると、ベッドに座っているトレイとその向かいに座っているケイトが居た。
「あれ、エーデュースコンビじゃん。それにグリちゃんに監督生ちゃんに双子ちゃんまで勢揃いで」
「どもっす……って。ケイト先輩、その『エーデュース』ってなに?」
「え?2人とも『ス』が名前の最後についてるからまとめてみただけ」
「横着しないでくださいっ!」
「ユーリみたいだな」
「ああ、名前略すのな」
結構略してたよな、彼奴も。
「そんなことより、トレイ先輩の怪我ってどんなカンジなんすか?」
「ああ。階段から足を踏み外したんだ。受け身をとりそこねて右足を派手にやっちまった。しばらくは松葉杖生活だな」
「えっ!それ、わりと重症じゃないですか」
「今年のマジフト大会、俺は見学になりそうだ」
「かすり傷だったら渡すのやめようと思ってたけど……コレ、見舞いのツナ缶。元気出すんだゾ、眼鏡」
「はは、ありがとな」
別に嫌なら断ってもいいと思うんだけどな。
と、チラッとトレイが俺の持つバスケットを見る。
「俺からの見舞品。ピーチパイ」
「凄く嬉しい。味わって食べさせて貰うよ」
「おう」
ニコニコとバスケットを受け取るトレイの頭を思わず撫でた。
「……そういえば、トレイも例のマジフト大会に出るのか?」
「そうだよー。ホントにもー、マジ勘弁。主力選手のトレイくんがいないのしんどいし、また選手選びをし直さなきゃ」
「「!!選手選び?」」
コンコン
エースとデュースが反応した直後、部屋がノックされる。
「なんだいキミたち。ケガ人の部屋にどやどやと集まって」
入って来たのはリドルだった。
「ふな゛っ!怒りんぼリドル!」
「怒りんぼって。キミたちがルール違反しないなら怒らないよ。トレイ、具合はどう?なにか食べたいものや飲みたいものはある?」
「そんなに心配しなくても大丈夫だって言ってるだろ?」
「でも、その怪我はボクのせいで……」
リドルの所為……という事は、やっぱり庇ったのか。
「どういうことッスか?」
「用事があって、昼休みに3年生の教室に行ったんだ。その時……」
其れからリドルは階段から落ち掛けた所を、咄嗟に割り込んだトレイに庇われた時の事を説明する。
「階段から落ちかけたボクを庇ったばかりにトレイが怪我を……」
「お前なら飛行術で受け身がとれてたと思うぞ。俺が勝手にしくじっただけだからもう気にするなって」
「でも……」
明らかに気にしているリドル。
彼を慰める為に、俺は頭を撫で、アキが背中を撫で、ルアとソルが肩に乗った。
「監督生、双子、これってさ……」
「いよいよ怪しい」
エースの言葉に優羽が頷く。
……まぁ、有り得ねぇわな。
「まーまー!リドルくん。そんなに暗くなってもしゅーがないって。トレイくんの怪我は残念だったけどその分リドルくんが超頑張ればいいじゃん♪」
「あ、ああ。そうだね」
「ささ、もう怪我人はゆっくり休ませてあげよ。退散、退散~」
……本当、ケイトは空気を読むのが上手いし、空気を作るのも慣れてるな。
「俺はもうちょいトレイに話があるから、先に行っててくれ」
「あ、うん。分かった」
優羽達が出て行き、残ったのは俺とアキとトレイ。
「……大丈夫か?トレイ」
「…………うん、まぁ……ちょっとな」
「無理すんな」
「ああ……よくやった」
「ありがとう。ハーヴェル兄さん、アーキス兄さん」
其れから少しトレイの話を聞き、俺達は部屋を出て談話室に居た優羽達と合流した。
此処からはエースとデュース、そしてリドルとケイトも合流して、事件を調査する事にしたらしい。
そして、此からケイトが予めピックアップした有力選手の元に行くとの事。
「…………」
「どうかした?」
「いや、何でもねぇ。取り敢えず、行ってみるか」
という事で、俺達は先ずポムフィオーレ寮に行く事に。
「まずはココ。ポムフィオーレ寮。けーくんチェックでは、3年生のルーク・ハントくんに注目だね。金色のボブヘアー&帽子がトレードマーク」
「ルーク先輩は去年も試合で活躍していた優秀な選手だよ。でも、あの人はちょっと変わってるというか……」
「あ、あそこに座ってるのそうじゃないか?」
こっそりポムフィオーレの談話室に入り、目標だと思われる人物を含む三人組を見る。
「ウワッ。なんかめちゃキラキラしてる……」
……あの三人組って、前に寮の説明を聞いた時に食堂に居た奴等じゃないか?