ツイステッドワンダーランド
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授業終わり、何となく気分で食堂の側を通るとゴースト達が何かしていた。
「何をしてるんだ?」
「ああ、今日はパンの販売に来ていてね~。良かったらどうだい?」
「わぁ、美味しそうですね」
「ん、じゃあオススメ幾つかくれ」
「はーい毎度あり~」
アキはあの見た目で大食漢だからな。
折角だしアキの土産にしよう。
俺達が食堂を出るのと行き違いに大量の生徒が駆け込んできた。
凄い人気なんだな。
其れからアキと合流し、今度は優羽とグリムと合流する為に再び食堂へと向かう。
そして、エースとデュースも加えての昼飯となった。
「うっうっ、今日は(ふがふが)最低の(もぐもぐ)1日なんだゾ(がつがつ)……パンもろくにノドを通らねえんだゾ……」
「アッと今に3つも平らげておいてよく言うぜ」
何か悔しそうなグリムに呆れた様にエースが言う。
「それにしても、さっきはどうしたんだ?そんなに文句を言うなら交換してやらなきゃよかっただろう」
「ちげーんだゾ!なんか、アイツが手を差し出したらオレ様も勝手にアイツと同じ動きをしてて……それで、気付いたらパンを交換してたんだ」
「ああ、その気がなくても思わずノッちゃった~みたいなことたまにあるよね」
「そういうんじゃなくて……ううん、うまく説明できねぇんだゾ~!もう、わけわかんねぇからやけ食いしてやる!デュース、オマエのパスタも一口よこすんだゾ!」
「僕は関係ないだろう!やめろ!」
「コラ、グリム。此れやるからデュースの取るの止めろ」
よく分かんねぇが、やりたくねぇ交換でもしたって所だろ。
「むぐ、ああ!デラックスメンチカツサンド!」
「商品名は知らねぇ。テキトーにオススメ買ったからな」
「オレ様、コレが食べたかったんだゾ!」
「そりゃ良かった」
「良かったね……というか、あの列の中に居なかったよね?」
「ハルは昔からラッキーな所があるからな。今回もそうだろ」
……まぁ、勘はよく当たるから従ってるのはあるからな。
「そういやオレたち、今日の放課後学園長に話があるから来いって言われてるじゃん。一体なんの話だろうね?」
あー、そういや授業終わったら来いって言われてたっけか。
思わず舌打ちしそうになったヤツ。
「もしかすると、先日のローズハート寮長の件かもしれないな」
「こないだの闇落ちバーサーカー事件か。それかもね」
「ハッ……あの日大活躍したオレ様にツナ缶のご褒美かもしれねーんだゾ!」
「いや、ツナ缶はねーわ」
「なんかさっきの人、気になるなぁ……」
「「あの人?」」
優羽が気になると言ったのは、グリムとパンを交換した人物の事だそうだ。
何処かで見た事があるらしい。
それから、放課後の学園長室。
「学園長、失礼します」
「失礼しまーす」
「みな揃っていますね。では、早速本題に入りますが……先日のハーツラビュル寮の一件が一段落ついたので、君たちにもきちんと話をしておこうと思いまして。魔法士になるからには、ローズハートくんが陥った暴走状態については詳しく知っておく必要があります」
「オーバーブロット、でしたっけ」
「ええ、そうです」
名前から察するに、ブロットというヤツの許容範囲を越えた、て感じだな。
「オレも兄貴から話を聞いたことくらいはあったけど。ブロットが溜まりすぎるとまさかあんな風になるなんてなぁ~。マジで闇落ちバーサーカー状態ってカンジだったね」
「なあなあ、まずブロットってなんなんだゾ?」
「そうでした。キミとグリムくん、そして双子はそこから説明が必要でしたね。では教えてさしあげましょう。私、優しいので「優しい奴は自分で言わない」う゛」
あーあ、俺は言わねぇ様にしてたのに。
「アキ、ちょっと黙っとこうな?」
「分かった」
「ゴホン。ブロットというのは、魔法の使用に伴う廃棄物のようなものです。例えば、自動車は燃料を消費して走り同時に排気ガスを吐き出しますよね。魔法は魔力を消費して発現し、同時にブロットを吐き出される……と考えるとわかりやすいでしょうか」
「つまり、魔法の排気ガス?」
「その通りです。有史以来、現在に至るまでブロットについてはさまざまな研究が進められていますが、その存在にはいまだ謎が多い。1つだけハッキリわかっているのは非常に毒素が強く、溜めすぎると魔法士の心身を害するということだけ」
成る程ね。
確かに何かをするには対価を必要とする。
俺達は聖隷術を使うのに、自分達の命の根元を使ってるからな。
「そういや、昔ばーちゃんから『ブロットが溜まるから気軽に魔法を使うな』って口酸っぱく言われたっけ」
「大きな力にはリスクが伴う。どんなに優れた魔法士でも、無尽蔵に魔法を使えるわけではないんです」
「つまり魔法を使えば使うほど不健康になるってことなんだゾ!?」
「いいえ、そうとも限りません。ふぅむ、こればかりは説明するより見せたほうが早そうですね。ゴーストのみなさん、お仕事ですよ!」
学園長が呼び掛けると、複数のゴースト達が現れた。
「やあやあ。お呼びかね、学園長」
「え?な、なになに?」
「ひとつ、この若人たちに胸を貸して鍛えてやってください」
「えぇっ?」
「よしきた。いっちょ揉んでやりますかな」
「さあ、君たちマジカルペンを構えなさい。学園長の特別授業はまだまだ続きますよ」
要は実践しようって事か。
「あ、双子くんはこっちで」
「「りょーかい」」
俺達は学園長と見学になるらしい。
そして、優羽の指示でグリム達とゴーストが戦う。
……優羽の奴、指揮とか慣れてる気がするのは気の所為か?
「オイ学園長!ブロットの話と、ゴーストとの戦いなんの関係もなくねぇか!?」
戦い終わると、直ぐにグリムが文句を言った。
「グリムくん、首輪についた魔法石を見てごらんなさい」
「ふな゛っ!?オレ様の魔法石、なんか薄汚れてるんだゾ!?肉球で擦っても汚れがとれねぇ!」
「「肉球じゃなぁ」」
「「取れないでしょうね」」
つーか、グリムの場合手で擦るんじゃなくて、肉球で擦んのか。
「魔法石についてるインクを垂らしたような黒いシミ。それこそが魔法を使ったことにより生じたブロットです」
「あっ、よく見ると俺のマジカルペンにもうっすらシミが……!」
「うえぇ、なんか汚ねぇんだゾ!」
確かに彼等のマジカルペンの魔法石には黒い染みが浮かんでいる。
「綺麗にする方法はあるんですか?」
「もちろんあります」
「特別な石鹸で洗うとかか?」
「あくまで内側なんだ」
「外側から洗っても仕方ねぇだろ」
特別な石鹸って……魔法で作ったとか、材料が特殊とかか?
「十分な休息を取れば、時間経過と共にブロットは消えていきます。魔法石は魔法の発現を助けてくれるだけでなくブロットが直接術者の身体に蓄積されないよう。ある程度肩代わりもしてくれる素敵なアイテムなのです」
「なるほど。つまり魔法石が曇ってきたら身体を休めろ、ってことですね」
「正解です。よく食べ、よく眠ることで大抵のブロットは解消されますから」
「なーんだ!!じゃあオレ様が大魔法士になって、どでかい魔法をバンバン使えるようになっても安心なんだゾ!いつもとく食べてよく寝てるし」
「「確かに」」
グリムはアキみてぇに沢山食うし、満腹になった後は大体寝てるしな。
「魔力量は人によって千差万別ですが、ごく一部の例外を除いて、ブロットの許容量にそれほど大きな差はありません」
「どういうことなんだゾ?」
「つまりローズハートくんのように魔力量が多い人ほど、ブロット蓄積には細心の注意をはらわなければならない、ということです」
「たくさん使えるからって考えなしにバカスカ魔法をぶっ放しまくれば、あっという間にブロットが溜まっちゃうってことか」
「まあその点、君たち程度の魔力量ならそれほど気を遣わずとも大丈夫だと思いますが。良かったですね!」
「なんか素直に喜びづらいんスけど!?そのセリフ!」
若干馬鹿にした様な言い方にエースが叫ぶ様に返した。
「魔法の使い過ぎで魔法石が真っ黒になると、みんなこないだのリドルみたいに闇落ちバーサーカーになっちまうのか?でっけー魔神みたいのも出てて怖かったんだゾ」
「ブロットの蓄積量は魔法士自身の精神状態に大きく影響を受けます。怒り、悲しみ、恐怖、混乱……そういった負のエネルギーを抱えているとブロットが非常に溜まりやすく、オーバーブロットを引き起こしやすくなります」
「負のエネルギー……」
「「…………」」
俺達の故郷で言う業魔、若しくは憑魔化みてぇなもんか。
アレも、人が抱えた負の感情が穢れとなって放出され…………異形なモノと化す。
「暴走状態のローズハートくんの背後に現れた巨大な影。あれは負のエネルギーとブロットが融合して現れる負の化身だと言われていますが……実際のところ、詳しいことはわかっていません。オーバーブロットについては未知数なことが多い。なにせ事例がそう多くはありませんから」
「事例が多くてたまるかっつーの。あんなの二度とゴメンだわ」
「ローズハートくんは幸いにもその場で正気に戻すことができましたが、もしあのままだったら……あぁーーっ!考えたくない!恐ろしい!」
突然の大声に全員がビクッとした。
「ぅわっ!いきなりでけぇ声出すからびびったんだゾ!」
「ゴホン。失礼、つい取り乱してしまいました。長々と話しましたが、魔法の使用には常に危険が伴う、ということです。みなさんゆめゆめお忘れなきように」
「「「はーい」」」
……まぁ、強い力程対価は大きくなるもんだしな。
「というわけで、優しい学園長の特別授業はここまで!さ、みなさんさっさと教室に戻ってください」
「ところで自分が帰るための方法は……?」
「あ、あぁ~~~。君が元の世界に帰る方法ね。もちろん探していますとも。忘れてなんかいませんよ、いやですねぇ。最近ちょっと忙しくて」
「目が泳いでるんだゾ」
「「…………学園長?」」
俺は苦無を、アキは短剣を構える。
「う、嘘じゃありませんよ。今私は10月に行われる寮対抗マジカルシフト大会の準備で大忙しだんです。この後も寮長を集めた会議がありますし……」
「「「マジカルシフト大会?」」」
「え、監督生と双子ってマジフト知らねーの?」
「世界的に有名なスポーツだぞ。プロリーグもあるし、世界大会もある」
「オレ様も知らねぇんだゾ!」
俺達と優羽が聞き返せば、エースとデュースが驚いた様に言ってきた。
「「異世界産というのを忘れるな」」
「あ、そっか。マジカルシフト……「通称マジフトは7人ずつのチームに分かれて戦うスポーツです。簡潔に纏めますと、一つのディスクを奪い合って相手の陣地にあるゴールに入れる事で得点になり、より点を多く取った方が勝ちとなります」えっ、何でそんなルア詳しいの?」
説明しようとしたエースを遮り、ルアがパッと説明する。
「ルアは情報関連強ぇからな」
「マジか」
「マジフト……アメフトみたいな響きだね」
「アメフト?それは監督生の地元のスポーツか?」
「ふむ。聞いたことがない名前ですが今度図書室で調べてみましょう。なにか手がかりになるかもしれないですし……」
どーだろな。
つーか、本当に調べるか怪しいとこなんだが。
「んー、でも監督生がマジフトの試合に出るのはちょっと厳しいかもな」
「なんでなんだゾ?」
「マジカルシフトは魔法を使ったスポーツなんだ。ディスクを運ぶのも魔法なら、守備も攻撃もすべて魔法で行う」
「どんだけ魔法を派手に魅せられるかってのも選手の腕の見せ所だったりするんだよね♪」
つまり、魔法が使えない優羽じゃ何も出来ない感じか。
「そう!だからこそ、このナイトレイブンカレッジはマジカルシフト強豪校として世界に名を馳せているのです!我が校OBのプロ選手は数知れず!」
何か、急に興奮し始めたぞ。