ツイステッドワンダーランド
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「たくさんあるんですね」
「みんな名前がなげぇ!そんな一気に覚えられねぇんだゾ~!」
んー……まぁ、此れは育ちの問題だな。
俺はそんなに覚え辛いとは思わねぇし。
「あはは!ざっくりでおけおけ。そのうち嫌でも覚えるし」
「どの寮に入るかは、入学式のとき魂の資質で闇の鏡が決めるとされてるけど……なんとなく、寮ごとにキャラが固まってる感じはあるな」
「それはあるねー。めっちゃわかる」
「キャラ……ですか?」
「例えば……ホラ、あいつ」
クローバーが指したのは狼の耳をした少年。
「犬の耳が生えてる!?」
「……ガジュマか」
「「「「ガジュマ?」」」」
「気にすんな」
ガジュマよりもヒューマに近い姿だしな。
「で、あの鍛えてそーなのが何なんだ?」
「ああ、あのゴツさは見るからにサバナクロー寮って感じだな」
「それな~!運動とか格闘が得意なタイプが多い寮なんだよね。肉体派っていうか、イカツイお兄系っていうか?黄色と黒の腕章つけてるのはサバナクロー寮」
格闘家、戦士とかいった部類の奴等が多いって事か。
「ほー。じゃあ、あっちの灰色と薄紫の紐を腕に巻いてるのは?」
グリムが指したのは銀髪に眼鏡の少年。
「彼はオクタヴィネル寮だな。その手前のテーブルに座っている臙脂と黄色の腕章はスカラビア寮の生徒だ」
銀髪眼鏡の側には、笑っているターバンの少年と一歩引いたものを感じる長髪の少年。
「どっちも頭脳派揃いって言われてる。筆記テストはそこ2寮がデッドヒートってカンジだよね。あ、でもスカラビアの寮長は勉強はそこまでってカンジで~」
「はーい。これ話が脱線するフラグ」
「お前、順応早いなぁ」
魔術師とか僧侶系の部類ってとこか。
「話を戻すと、あっちのキラキラしいのはポムフィオーレ寮。紫と赤の腕章をしている」
其処に居たのは紫の髪の少年と帽子の少年。
「ホワッ!超可愛い女の子がいるんだゾ!」
「エッ!?男子校なのに!?」
「アホ。男子校に正式入学した奴に女がいるわけないでしょーが」
「「え゛~っ!?」」
「…………?」
「……其れ、本人の前で言うんじゃねぇぞ。中には女みてぇな容姿を気にしてる奴だって居るだろうし」
「そういえば、ハルもどっちかと言うと……」
「気にしてる奴も居るって言ったよな?」
「ハイ、スミマセン」
……小さい頃はよく変な大人に声掛けられて、この度に兄さんやアイツが飛んで来てたな。
「女の子といえば、西校舎の肖像画ロザリアちゃんはなかなかレベル高いよ。興味あるなら紹介するけど。お見合いパーティセッティングしよっか?」
「いらねーっす!!ロザリアちゃん可愛くても平面なんでしょ!?」
「イケてるなら平たくてもいいじゃん。ま、ポムフィオーレは顔面偏差値&美容意識ハンパない連中ってことで。寮長もフォロワー数500万人いるマジカメグラマーだよ」
マジカメグラマー……?
よく分からねぇが、マジカメの有名人って所か?
「おいおい。顔面偏差値だけで話をまとめるな。ポムフィオーレ寮は魔法薬学や呪術が優秀な生徒が多いのも特徴だ」
「あはは、そーでした。んで、次はイグニハイド寮だけど……赤と黒の腕章のヤツ、この辺には座ってないな。あそこの寮、なんかみんなガード堅くてオレも友達いないんだよね。陽キャラ揃いのハーツラビュルとは正反対ってゆーか?」
「根暗が多いってことか?」
「こら、グリム」
「こらこら!言い方!確かに大人しい奴が多いイメージはあるけど。魔法エネルギー工学とかデジタル系に強い奴が多い寮かな」
最先端技術に詳しいのか?
アイツが喜びそうな所だな。
「あとは……ディアホニャララ寮ですっけ」
「キリッとした顔で誤魔化してんなよ。ディアソムニア寮ね」
「か、噛んだだけだ!噛んだだけ!」
「あー、確かに言い辛いかもしれねぇな」
「そ、そうなんだ!」
まぁ、其処まで言い辛くはねぇけどな。
「ディアソムニア寮は……いたいた。あの食堂の奥の特等席に固まってるメンツ。黄緑と黒の腕章が目印。あそこはなんつーか、超セレブっていうの?オレたち庶民が話しかけづらいオーラ放ちまくりなんだよね。寮長からして近寄りがたさMAXっていうか……」
奥に居たのは銀髪の少年に一見幼く見える少年、そして緑髪の少年。
「あれ?子どもが混じってる」
「いや、アレは俺に近いパターンだな」
「それって……」
「うちの学校は飛び級入学がアリだからな。でも、彼は子どもじゃないぞ。俺たちと同じ3年生の……」
「リリアじゃ。リリア・ヴァンルージュ」
「「「「「!!??」」」」」
「上からは止めてやれよ。特に今は食事中だぞ」
俺達の頭上に逆さまで転移して来た一見幼い少年に返す。
「コ、コイツ、瞬間移動したんだゾ!」
「お主ら、わしの年齢が気になるとな?くふふ。こんなピチピチで愛らしい美少年のわしだが、たしかにそこの眼鏡が言うように子どもとは呼べない歳かもしれんな」
「ピチピチ……」
「んな言葉、俺でも使わねぇぞ……」
「遠くから見るだけでなく気軽に話しかけにくればよかろう。同じ学園に通う学友ではないか。我がディアソムニア寮はいつでもお前たちを歓迎するぞ」
「…………」「…………」
ヴァンルージュの言葉に反し、向こうの席の奴等は顔をしかめていた。
「あっちのメンツは全然気軽に話しかけて欲しいってカンジじゃないけどな……」
「くふふ。食事中、上から失礼したな。ではまた、いずれ」
そう言うと、ヴァンルージュは元の席へと戻る。
「あっちの席とオレたちの席、軽く20メートル以上離れてんのに、オレらの話が聞こえてたってこと?コワッ!」
「ま、まあ……そんなわけでディアソムニア寮は少し特殊な奴が多いイメージだな。魔法全般に長けた優秀な生徒が多い。寮長のマレウス・ドラコニアは世界でも5本の指に入ると言われてるくらいだ」
「マレウスくんは正直、ヤバヤバのヤバだよね。つか、それを言うならウチの寮長も激ヤバなんだけど~」
「ほんっとにな!タルトを1切れ食ったくらいでこんな首輪つけやがって。心の狭さが激ヤバ…っ!?」
「ふうん?ボクって激ヤバなの?」
咄嗟にトラッポラの口を塞いだが、間に合わなかったらしい。
「でぇっ!寮長!」
俺達の背後には入学式で見掛けた赤毛の少年が居た。
恐らく、コイツが例の寮長だろう。
「おっと、リドルくん。今日も激ヤバなくらいかわい~ね♪」
「ふん、ケイト。あまりおしゃべりが過ぎるとそのよく回る口ごと首をはねてしまうよ」
「いやいや、勘弁してよ~!」
「キミたちは、昨日退学騒ぎになった新入生か。まったく、学園長も甘い。規律違反を許していてはいずれ全体が緩んで崩れる。ルールに逆らったやつはみんなひと思いに首をはねてしまえばいいのに」
「顔に似合わず、言うことこっわ……」
「…………」
「学園長はキミたちを許したようだけど次に規律違反をしたらボクが許さないよ」
……手厳しいな。
つーか、俺や優羽はハーツラビュル寮じゃねぇから許される必要はねぇと思うけど。
「………あのー、ところで寮長この首輪って……外して貰えたりしませんかね?」
「反省してるようなら外してあげようかと思ったけど、先ほどの発言からしてキミに反省の色があるようには見えないな。しばらくそれをつけて過ごすといい」
つまり、暫くはトラッポラは魔法が使えねぇ訳か。
「心配しなくても、1年生の序盤は魔法の実践より基礎を学ぶ座学が中心だ。魔法が使えなければ昨日のような騒ぎも起こさなくて、ちょうど良いだろう?さあ、昼食を食べたらダラダラしゃべってないで早く次の授業の支度を。ハートの女王の法律・第271条『昼食後は15分以内に席を立たねばならない』。ルール違反は……おわかりだね?」
「はぁ、また変なルール……」
「返事は『ハイ、寮長』!」
「「はい、寮長!」」
「よろしい」
15分以内……何か、理由でもあるんだろうけど、面倒くせぇな。
「まあまあ、俺がちゃんと見張っておきますから」
「……フン、キミは副寮長なんだからヘラヘラしてないでしっかりしてよね」
クローバーには強く言わねぇ……か。
ああ、そうか……思い出した。
「ボクはハートの女王の法律・第339条『食後の紅茶は必ず角砂糖を2つ入れたレモンティーでなければならない』を守るために購買に角砂糖を買いに行かなきゃならないから、これで失礼。全く、シュガーポットに角砂糖を切らすなんて重罪だよ……」
ポタポタ…… ゾワリ…
「…………?」
「ひえ~。焦った~」
「超カンジが悪いんだゾ、アイツ!」
「コラ!失礼だぞ!」
何だ、今……何かが垂れ落ちる音がした?
其れにこの嫌な感じは何だ?
「寮長、行ったか?俺、ハートの女王の法律・第186条『火曜日にハンバーグを食べるべからず』に違反してハンバーグ食べてたから見つかったらどうしようかと思った」
「はぁ……。食うものくらい自由にさせて欲しいよな~…」
「「………………」」
ハーツラビュル寮生らしい奴等が安堵する音が聞こえる。
「……寮長は、入学して1週間と経たずに寮長の座についた。少し言葉がキツくなりがちだけど、寮をよくしようと思ってのことで、根は悪い奴じゃないんだ」
「お前の言う根が良い奴はユニーク魔法とやらで、首輪を着ける奴も含まれんのか?」
「「ははは……」」
「そういえば『ユニーク魔法』って?」
優羽が不思議そうにダイヤモンドに問い掛けた。
「ん?リドルくんのユニーク魔法のこと?」
「ユニーク……ということは、寮長独自の魔法ということですか?」
「厳密に世界に1人かはさておき……一般的にその人しか使えない個性的な魔法のことを『ユニーク魔法』と呼ぶ。そのうち授業でちゃんと習うと思うぞ」
「リドルくんのユニーク魔法は『他人の魔法を一定時間封じることができる魔法』。その名も……」
「
「ヒェッ!名前がもう怖ぇ~のだ!」
「魔法士にとっては魔法を封じられるのは首を失うくらいイタいからね~。ってわけで、寮内ではリドルくんのルールには逆らわないほうがいいよ」
「逆にルールにさえ従っていればリドル寮長も怖くないってことだ」
そりゃ、どうかねぇ。
「そういや、オレタルト買って帰らないとまたケイト先輩に追い出されるわけ?」
「そうだね~。ハートの女王の法律・第53条でそう決まってるからさ。あとリドルくんは特にホールケーキの最初の1ピースを食べるのを楽しみにしてるから、きっとホールじゃないと許してうれないよ」
「仲良くしようとか言っといてそこは見逃してくんねーのかよ!」
「それはそれ、これはこれ」
「……タルト?」
「あ、あのね……」
優羽から今朝の事を聞かされる。
どうやらクッキーじゃ駄目だったらしい。
「しかし、タルトをホールでってだいぶ高くないか?」
「げー。オレそんな金持ってないんですけど」
「じゃあ作っちゃえば?あのタルトも全部トレイくんが作ったやつだし」
「意外な特技!あ、でもハルも作れる?」
「あのタルト、トレイ先輩が作ったの?すげー!売り物みたいでしたよ。あ、クッキーどうすればいい?」
「作れるけど、面倒くせぇ。クッキーはお前等でテキトーに食え」
「はは、ありがとうな。確かに器具や調味料なんかは人一通り揃えてあるが……タダで提供するわけにはいかないな」
「えぇ~!?金取るのかよ!クッキーはありがと!」
……話がごちゃごちゃになるから、クッキーの話はもう止めてくれ。