ツイステッドワンダーランド
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「はは、後輩から金を巻き上げるわけないだろ。次にリドルが食べたがっていたタルトを作るのに栗がたくさんいるんだ。集めてきてくれないか?」
「どっちにせよめんどっ。で、どれくらい栗が必要なんですか?」
「パーティ用なら相当な数になるんじゃねぇか?」
「そうだな。『なんでもない日』のパーティで出すとすると……2~300個くらいかな」
「「そんなに!?」」
「栗に熱を通して皮を剥いて裏ごしするところまで手伝ってもらおうか」
「うわ、その辺すげぇ面倒くせぇぞ」
「オレ様、帰っていいか?」
「僕も」
「薄情者!」
グリムとスペードの言葉にトラッポラが叫ぶ様に言った。
「まーまー!みんなで作ってみんなで食べたら絶対美味しいって。思い出作りってやつ?お料理ブロガーデビューもできちゃうかもよ」
「寮長には内緒だけどマロンタルトは作りたて一番美味いんだ。出来立てを食べられるのは作った奴だけだぞ」
「おうおうオマエら!気合い入れろ!栗を拾って拾って拾いまくるんだゾ!」
「変わり身早っ」
「栗の木は学園内の植物園の裏の森にたくさんあったはずだ」
「よーし、んじゃ、放課後植物園の前に集合で」
「ゴーゴー栗拾い!なんだゾ~!」
「…………はぁ」
それから午後の授業を受け、放課後。
鏡の間に来た時……
ピカァアッ!
「!?」
「な、何だ!?」
「きゅ、急に鏡が……」
「光り出したんだゾ!?」
「っと」
突然光を放った闇の鏡から、見覚えのある人影達が飛び出して来る。
「……何してんだ。アキ、ルア、ソル」
「ハル!!」「「ハル様!」」
「おっと」
名前を呼んだ途端……ルアとソルが俺に抱き付いてきた。
「えっと、ハルの知り合い?てか、そっくりな人が……」
「ああ、アイツは俺の双子の兄弟」
「「「双子の兄弟!?」」」
優羽を指せば、アキは頷いて彼とグリムの前に立ち、ルアとソルは俺の肩に乗る。
「初めまして。俺の事はアキと呼んでおくれ」
「僕はルアです。ルア=ルーナ」「僕はソルです。ソル=ソーレ」
「あ、はい。えっと、優羽といいます」
「オレ様はグリム様なんだゾ!」
「よろしく」
「で、お前何で来たんだよ。そして、帰れ」
「俺がハルから離れる訳無いだろう?だから帰らない」
「「僕達も帰りません」」
アキ達の言葉に溜め息を吐いた。
コイツはこうなったら譲らないからな。
「悪ぃ、マロンタルト俺不参加だわ」
「「「「えぇえええ!」」」」
「コイツの事を学園長に報告しねぇといけねぇからな」
「うーん、まぁしょうがないかぁ」
「その代わり、オマエのマロンタルトはオレ様が食べるからな!」
「おう、好きにしてくれ」
それからアキ達を連れて学園長を捕獲。
状況説明をし、アキはソルと共にC組に編入する事になり、ルアは俺と行動する事になった。
そんな事をしてる内に夜になり、俺達はハーツラビュルには寄らずにオンボロ寮へと戻る。
「あ、ハル……とアキさん、それとルアとソル、おかえりー」
「おう」
「俺の事も呼び捨てで構わないぞ?」
「「ただいま戻りました」」
「おかえりー」
「おかえりなんだゾ!腹減ったから早くご飯作ってくれ」
「あんなに食べたのにか?ああ、それとおかえり」
「何か人数可笑しくねぇか?」
トラッポラは兎も角、何でスペードまで居るんだよ。
「先輩に今日はエースと一緒にオンボロ寮に泊まって来いって」
「クローバーか……まぁ、いい。時間が時間だから、省略verのマーボーカレーでも作るか」
「あ、ラッキー」
「「やったぁ!」」
「ラッキー?」
「「マーボーカレー?」」
「ハルの得意料理でな。マーボーカレーとキッシュとピーチパイは絶品なんだ」
「ハードル上げんな。つーか、アキは飲み物」
「はいはい」
「「僕達もお手伝いします!」」
「あ、俺も手伝うよ」
翌朝。
「おはようございます、ハル様」
「おはよう、ハル……あれ、髪型違わないか?」
「おう、おはよう。髪はルアがやりたがるんでな」
ルアが率先して俺の髪を結いたがるから、今の髪型は適当に纏めただけだ。
「起きてきた所悪ぃが、トラッポラを起こして来てくれ。もう朝飯出来るから……あ、ゴースト達は何時も通り優羽達を頼む。ソルはアキとルアな」
「畏まりました!」「「「はいよー」」」「ああ、分かった」
賑やかな朝飯を終えて、ルアが俺の髪を結い終わった頃……
ドンドン
「ん?誰か来たみたいだな」
「みてーだな」
「アレ?呼び鈴無かったか?」
「アレは俺が此処を改装する時に作ったからな。気付いてねぇんだろ」
「そうか。俺が行ってくるな」
「僕も行きます」
迎えに行ったアキとソルが連れてきたのはダイヤモンドの姿をしたものだった。
「おっはよー!昨日のお泊り会は楽しかった?枕投げとかトランプとかして青春しちゃった?」
「ケイト先輩おはよーございまーす。しましたよ、トランプ。グリムが全然ルール知らないから、ババ抜きだけど」
「くそー!全然勝てなかったんだゾー!!」
「お前はジョーカーを引いたとき、顔に出しすぎだ……僕はその後のハルの話の続きが気になる」
「あ、それよく分かる」
「また今度な」
視線でにこにこ笑ってるダイヤモンドらしきものに先を促す。
「それじゃあ早速、昨日作ったタルトを持ってリドルくんに謝りにいこっか。てか昨日のトラブルで今人手が足りてないから急いで来て欲しいんだよね」
「ヒトデ?」
「その言い方だと、海底にいるヤツみたいのだな」
「ううん、こっちの話。じゃあ『なんでもない日』のパーティに向けて、れっつらごー!」
「「…………」」
「……?」
其れから俺達は彼の案内の元、ハーツラビュル寮を訪れた。
「んじゃ、パパッと寮長にタルトを渡して謝って……」
「おーい!やっと来た。待ってたよー、オレくん!」
「たっだいまー、お待たせ、オレくん」
「「「!!??」」」
ダイヤモンドらしき者を出迎えたのはダイヤモンド。
「ダ、ダイヤモンド先輩が2人!?」
「ハルみたいに双子だったんすか!?」
「いやいや、男きょうだいはオレだけ。コレはオレのユニーク魔法『スプリット・カード』。魔法で自分の分身を作れるんだ」
「昨日倒しても倒しても倒れなかったのはこういうことだったのか……」
「ハル達が警戒してたのは、本当のケイト先輩じゃなかったからかぁ」
「「「!」」」
思わずアキと揃って優羽を見る。
……まさか、気付いてるなんてな。
「おかえり~。あ、知らない子が居るー。名前教えてよー」
「いらっしゃい、監督生ちゃん♪ハルちゃん♪」
「もーマジしんどい!遅いよぉエースちゃんたち」
「うわっ!もっと来た!」
おお、結構増えんだな。
「ちなみに本物のケイトくんはオレでーす♪増えるのってめっちゃしんどうからあんま長持ちしないんだけどね。とにかく、遅れたら首をはねられちゃう。人手が足りないからみんな手を貸してよ。終わったらリドルくんのとこに案内してあげるからさ」
「またバラを赤くする仕事か?」
「「薔薇?」」「「薔薇ですか?」」
「アンタ、ほんと調子いいヤツだな~!」
「さっ、それじゃ早速始めましょ~!」
どうやら魔法やペンキで白い薔薇を赤くしないといけないらしい。
「……丁度いい。この世界の魔法の練習だ」
「俺はまだ慣れないから、俺なりのやり方にさせて貰う」
「ルアとソルはペンキを運んどくれ」
「「畏まりました!」」
俺はマジカルペンを構え、アキは輝石にした赤ペンキを飛ばした。
「(うわ、あの2人居るだけで凄い捗る)」
「はあ、はあ……き、昨日よりは上手くできたぞ」
「よくできました♪おっと!そろそろ時間だ。オレくんたち、お仕事終了!」
「「「あいあいさ~♪」」」
どうやらパーティの時間らしく、沢山のダイヤモンドが消える。
そのまま俺達も会場へと押される様に向かった。
パーティ会場にファンファーレが流れ……
「我らがリーダー!赤き支配者!リドル寮長のおなーりー!」
「「「「「リドル寮長、バンザーイ!」」」」」
「うん。庭の薔薇は赤く、テーブルクロスは白。完璧な『なんでもない日』だ。ちゃんとティーポットの中に眠りネズミは入ってるんだろうね?」
「もちろん。もしもの時の鼻に塗るジャムも万全です」
「よろしい」
特別な衣装のあの子が現れる。
「ふわっ!なんだあの服!かっけーんだゾ!」
「ふふーん。かっこいいっしょ、ハーツラビュルの寮服!流行も押さえつつ、マジカメ映えもバッチリ☆というわけでオレもお着換え」
そう言ったダイヤモンドの衣装が変わった。
「パーティの日は正装ってハートの女王の法律でも決まってるからね。今日はサービスでお兄さんがコーディネイトしてあげよう」
今度は俺達の衣装が変わる。
「おお……!」
「おーっ!めっちゃイケてる!」
「にゃっはー!かっけーんだゾ!」
「馬子にも衣裳って感じ」
「それ、誉めてねぇだろ」
「うん」
うん、ってはっきり認めたな。
「マロンタルトの贈り物を忘れずに。んじゃ、パーティへれっつらごー!」
ダイヤモンドを先頭に、会場の中を進んだ。
「クロッケー大会の前にまずは乾杯を。ティーカップは行き渡ってるね?では、誰の誕生日でもない『なんでもない日』を祝して!乾杯!」
「「「「「カンパーイ!」」」」」
「エースちゃん、今がチャンスじゃない?」
「よし……。あのー、寮長」
「キミは……ああ、タルト泥棒の1年生か」
俺達は少し離れた所で様子を見る事に。
「えーっと、タルトを食べちゃったことを謝りたいと思って、新しくタルトを焼いてきたんですけど」
「ふぅん?一応聞くけど、なんのタルト?」
「よくぞ聞いてくれました!旬の栗をたっぷり使ったマロンタルトです!」
「マロンタルトだって!?信じられない!」
「えぇっ?」
此れは嬉しいっつーより、怒ってんのか?
「ハートの女王の法律・第562条。『『なんでもない日』のティーパーティーにマロンタルトを持ち込むべからず』これは重大な
「だ、第562条!?」
「全部頭に入ってるの!?」
「全810条。ボクは全て頭に入ってるよ。寮長なんだから当然だろう」
「アキも覚えられるよな?」
「今俺の名前を出さないで欲しいな」
俺の言葉に苦笑するアキ。
「あちゃー、こりゃヤバイ……トレイくん、知ってた?」
「俺が暗記出来てたのは第350条までだ。完全に油断してた。タルトの種類にまでルールがあるなんて……」
どうやら三年の二人も覚えてなかったらしい。
「ハートの女王の厳格さを重んじるハーツラビュル寮長であるボクが、この違反に目を瞑ることはできない。マロンタルトはすぐに破棄しろ!それから、こいつらは寮外へつまみ出せ!」
おいおい、破棄しちまうのかよ。
「ちょっと待てよ!そんな無茶苦茶なルールあるか!」
「そうだゾ!捨てるんだったらオレ様が食う!」
「寮長、申し訳ありません。マロンタルトを作ろうと言ったのは俺です」
「そうそう。まさかそんな決まりがあるなんて全然思ってなくて」
「作ったことが重要なんじゃない。今日!今、ここに!持ち込んだこと“だけ”が問題なんだ!」
クローバーとダイヤモンドが間に入るが、怒りは収まらないらしい。
「そんなおかしなルールに従ってるなんて馬鹿みたい」
「馬鹿……だって?」
優羽は相変わらずはっきり言うな……。
「ちょ、ストップ!それは言っちゃダメなやつ。あとリドルくんも、コイツらまだ入学し立てほやほやの新入生だからね」
「いーや言うね。そんなルールに従ってタルトを捨てるなんて馬鹿だって思うだろ。ふざけんなよ」
「俺もエースに賛成です。もちろん、ルールは守らなければいけないものだとは思いますが……さすがに突飛すぎる」
「ボクに口答えとはいい度胸がおありだね。いいかい。小さなルール違反が、大きな問題に繋がるんだ」
「…………」
「あー……アキ……」「「アキ様……」」
アキが笑顔を崩して真顔になる。