ツイステッドワンダーランド
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あの騒動の夜。
流石に寝たら、俺がこの世界に来た日の事を夢に見た。
俺は……故郷の世界で、新しい時代の導師と旅をして……大量の穢れやらドラゴン化の浄化やらで穢れを溜めに溜めた上で、凄い弱っていた。
弱ってただけなら異空間の俺の領域で休んでりゃいいんだが……大量の穢れを抱えてる事を懸念して、異世界に行く事にしたんだっけ。
ドンドン
ノック音に目が覚める。
「……今の状況がアイツにバレたら面倒だな」
ドンドン
再びのノック音と近くの部屋から優羽達が出て来るのを感じ、俺も部屋を出た。
「優羽、行くのか?」
「うん、一応……って、ハル!?」
「その髪と目はどうしたんだゾ!?」
「あー……」
普段は黒くしている髪と瞳は、寝るからと本来の色に戻したままである。
「説明面倒くせぇから、後でな」
「う、うん……」
そして、俺達は一緒に玄関に向かった。
「はーい、どちらさま?」
「……オレ、エース。ちょっと中に入れてよ」
「エース?こんな時間にどーした……って!なんだその首輪は!!」
トラッポラの首には、ハート型の首輪が嵌められている。
「も~、絶対ハーツラビュルに戻んねえ。今日からオレ、ここの寮生になる!」
「にゃに~~~!?」
「……また面倒事かよ」
「って、ハル!?」
「……面倒くせぇ」
一先ず談話室で話を聞く事にした。
取り敢えず優羽とグリム、トラッポラにホットミルクを出す。
「あ、今日はホットミルクなんだ」
「同じヤツじゃ飽きんだろ……で?」
「オマエ、なんでそんのつけてんだ?」
「タルト食った」
「え?タルト?」
「はぁ?」
タルト食ったから首輪付けられた?
「そーだよ、それだけ!小腹が空いたから寮のキッチンに行ったら冷蔵庫にタルトが冷やしてあったんだよ。しかも、ホール3つ分も!だから……」
それからエースの話を聞くと、冷蔵庫のタルトを盗み食いし、ハーツラビュルの寮長に見付かり、
因みに、効果は魔法封じだそうだ。
「……ってわけ」
「「「…………」」」
つい俺達は黙り込んだ。
「どっちもどっちなんだゾ」
「たかがタルトを盗み食いしただけで魔法封じされるのはおかしくね!?魔法士にとっては手枷と足枷つけられるみたいなもんじゃん。しかも3ホールもあるんだよ!?絶対1人で食い切れねーだろ!心が狭いにもほどがあるでしょ!」
「う~ん……まあ……」
「なんだよその煮え切らない反応~!」
「くだらねぇ。俺は部屋に戻る」
「おやすみ~」
「おう」
「ハル!?」
あんまりにもくだらねぇと判断し、俺はさっさと部屋に戻る。
少しして……
コンコンコン
「ハル……エースどこで寝ていいかって」
「空いてる部屋なら何処でいい。優羽もさっさと寝な」
「うん、ありがとー」
翌朝。
ドンドン
朝からノックされた。
その音にトラッポラが起きてくる。
「う~。誰だよこんな朝っぱらからドアをドンドンするの……」
「夜中の強引な泊まりも非常識だと思うけどな」
「うっ、はいはい誰だー?」
誤魔化すにしたって雑過ぎんだろ。
扉を開けると、そこに居たのはスペードだった。
「やっぱりココに来てたのか」
「げ。デュース……」
「他の寮生から話は聞いたぞ。寮長のタルトを盗み食いして首輪をはめられるとは……お前、相当バカだな」
「うるっせ!お前にだけは言われたくねー!……ところで、寮長、まだ怒ってた?」
「そうでもない。すこしイライラしている様子で起床時間を守れなかった奴が……3人ほどお前と同じ目にあってたくらいだ」
同じ……って事は、首輪付きが三人増えたのか。
「全然そうでもなくねぇじゃん!めっちゃ怒ってるじゃん!」
「朝から玄関で騒いでんじゃねぇよ」
「うっ、すまない。ハル」
「おーい、ゴースト。優羽とグリム起こしてくれ。もう朝飯出来んぞ」
「「「は~~い」」」
それから彼等が朝飯食ってる間にさっさと準備する。
「優羽、グリム、俺は先に行くけど遅刻すんなよ」
「えっ!?先に行っちゃうの!?」
「俺はお前等とクラスも違ぇし、態々一緒に行く事ねぇだろ」
「それもそっか」
「あと、トラッポラ」
「何?」
「お前、ハーツラビュルの寮長に謝んのか?」
「え、うん」
「一応クッキー焼いといたから、せめて詫びの品で持ってけ」
「!わりー!サンキュー!」
彼等を置いてさっさと外に出た。
♪~♪~~…
「……俺だけど?」
『何故勝手な事をしたんだ!?』
異世界産のスマホから聞こえた声に顔を顰める。
チッ、もうバレたか。
「うるせぇよ」
『異空間移動するなら俺達も連れて行けと……』
「コッチは今日から生徒なんでな。切るぞ」
『おい!?』
さっさと切り、そのまま電源も落とした。
こうしとかねーと、授業中に鳴りかねねーし。
因みに俺のクラスはB組らしい。
ああ、面倒くせぇ。
それから昼休みになり、大食堂へと向かう。
「歯ぁ食いしばれ!」
「お前等がな」
「「「「あ」」」」
そしたら、優羽達が絡まれた。
取り敢えず、後ろから片方の頭に飛び蹴りを喰らわせる。
「……で?」
「カルボナーラの温玉崩したって」
「くだらねぇ……てか、器小せぇな。面倒だし……ピコハン」
「「うわぁっ」」
ピコピコハンマーが絡んでいた奴等に当たり、そいつ等が目を回した。
「え、ピコピコハンマー?」
「黒曜の輝き 快速の槍となり 敵を討つ……デモンズランス」
目を回している間に詠唱。
が、当てずにギリギリの寸止めにする。
「「ひっ」」
「で、やんのか?」
「お、思ったよりやるじゃねぇか……」
「パスタが伸びちゃうから今日の所は見逃してやるっ!」
絡んでた奴等は慌てて逃げ出した。
「へんっ!!口ほどにもねーヤツらなんだゾ!おとといきやがれってんだ!」
「お前、何かしたのか?」
「揉め事ご法度って言われたばっかりなのに」
「とにかくオレらもランチにしよ」
「はあ、ひどい目に遭った。優秀な魔法士を輩出する名門校にあんなテンプレな不良がいるとは……」
「……つーか、お前等何で絡まれたんだよカルボナーラが何だって?」
「えーと、グリムがぶつかって、カルボナーラの温玉を崩したから?」
「…………はぁ?」
何か、また変なのに絡まれたんだな。
取り敢えず俺達は空いてる席に座る。
「では気を取り直して!いただきまーす!はぐはぐ!うま~い!オムレツの卵がふわふわで中からチーズがとろ~り!はぐはぐ!」
「食べながら喋んな。誰も取らねぇから落ち着いて食えよ」
「(ハルって、世話好きなのかな?)てか、ハルは何食べてるの?」
「プリンパン」
「「「何それ!?」」」
何それって、プリンパン。
昼飯代わりに作ってきただけなんだけど。
「ところでオマエたちの寮は今朝見たけど他の寮ってどんなのなんだゾ?」
「学園のメインストリートにグレート・セブンの石像が立ってたじゃん?あの7人に倣ってこの学園には7つの寮があるんだよ」
声に振り返ると、オレンジ髪と緑髪の青年が居た。
「げっ!アンタは今朝の!」
「オレ様たちを騙してバラに色を塗らせたヤツなんだゾ!」
「はぁ?」
「えっと……」
「騙したなんて人聞き悪いなあ。オレもやりたくてやってるわけじゃないんだよ?寮の決まりだから仕方なくやってるだけで」
寮の決まりで薔薇に色を塗った……?
どんな寮なんだよ。
「めちゃくちゃ笑顔でしたけど……」
「まあまあデュースちゃん。寮の外なら例のルールに従わなくていいし今のけーくんは後輩に優しい先輩だから」
「ち、ちゃん付けはやめてください、先輩!」
「はは。それはケイトの愛情表現だからな」
「つか、隣のアンタは誰?」
「俺からしたら両方誰だけどな。それと、尋ねる時は自分から名乗んのが礼儀だぞ」
あー……久々に食べるプリンパン旨いな。
そんな事を考えてたら、グリムがキラキラした目を向けて来たので、半分別けてやる。
「おっと、悪い。オレはトレイ。トレイ・クローバー。ケイトと同じくハーツラビュルの3年だ。君はオンボロ……ゴホン、使われてなかった寮の監督生に着任した新入生のユウとハルだろう?ケイトに聞いてる。昨日はうちの寮の奴らが迷惑をかけて悪かったな」
「俺はケイト・ダイヤモンド!気軽にケーくんって呼んでね!」
「って、ちゃっかり隣に座ってるし……」
言いながら二人の先輩は俺達の隣に座ってきた。
「まーまー、せっかく同じ寮に入ったんだから仲良くしよーよ。とりまアドレス交換で~」
「スマホは持ってません」
「えっ、スマホ持ってないの!?マジヤバ!天然記念物並みにレアじゃん。最新機種安くしてくれるお店、紹介したげるよ~今度スマホ選びデートとかどお?」
「俺は持ってるから断る」
「え!?ハル持ってるの?」
「おう。異世界でも使える様に改造したヤツ。予備のでよけりゃ、使うか?」
「いいの!?」
自分のヤツを見せながら、予備のを差し出せば優羽が恐る恐る受け取る。
「じゃあ、アドレス交換しようよ~」
「面倒くせぇ……」
「ケイト。新入生が引いてるから、ほどほどにな」
「あはは、ごめんごめん!で、寮の話だっけ?いいねえ~、会話がフレッシュ!なんでもお兄さんたちが教えてあげよう」
お兄さん、ね。
多分俺のが上だろうけど。
「つか、他よりまずウチの寮について教えて欲しいんすけど。あの『ハートの女王の法律』とかいう変なルールは一体なんなの?」
「伝説のハートの女王についてはお前たちもよく知ってるだろう?」
「お前達の常識で図んな。俺と優羽は異世界から来てて、グリムには人間常識通じねぇぞ」
「おっと、すまない」
……何か、生意気な後輩を見守る様な目で見てくんだけど。
「規律を重んじ、厳格なルールを作ることによって変な奴らばかりの不思議の国を治めていた」
「そんなハートの女王をリスペクトして我がハーツラビュル寮は、ハートの女王のドレスの色である赤と黒の腕章をつけて、ハートの女王の作った法律に従うのが伝統ってわけ」
「肩が凝りそうな寮なんだゾ~!」
「あー……そーいや、トラッポラもその法律を破ったから刎ねられたんだっけ」
「そーですよー」
不貞腐れるトラッポラの頭を撫でた。
すると、頭を押さえながらバッと顔を上げてくる。
15、6じゃ頭撫でんの恥ずかしいか?
アイツ等とか優羽やグリムは嬉しそうにすんから分かんねぇな。
「どれくらい厳しく伝統を守るかは寮長の気分次第で前の寮長はかなりゆるゆるだったんだけどね~」
「リドル寮長は歴代寮長の中でも飛び抜けて真面目でね。だから最大限その伝統を守ろうとしてるというわけだ」
「げぇ~~、めんどくさ……」
……トラッポラは面倒だと言うが、ある程度の縛りは必要だと思うけどな。
まぁ、度が過ぎなけりゃの話だけど。
「なあなあ、他の寮はどんな寮なんだ?」
「さっきケイトも言ってたけど、この学園にはグレート・セブンに倣った寮が7つある。まず、俺たちが所属している、ハートの女王の厳格な精神に基づく『ハーツラビュル』寮。あとは……」
グリムの言葉にクローバーが答えた。
「百獣の王の不屈の精神に基づく『サバナクロー』寮。海の魔女の慈悲の精神に基づく『オクタヴィネル』寮。砂漠の魔術師の熟慮の精神に基づく『スカラビア』寮。美しき女王の奮励の精神に基づく『ポムフィオーレ』寮」。死者の国の王の勤勉な精神に基づく『イグニハイド』寮。そして、茨の魔女の高尚な精神に基づく『ディアソムニア』寮」