ツイステッドワンダーランド
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放課後。
「1日中掃除してもうクタクタなんだゾ~……それなのに、これから窓拭き100枚だなんて……」
「殆ど俺の聖隷術でやったじゃねぇか。学園長捜して来るわ」
「どっちかと言うと、聖隷時を見てのはしゃぎ疲れだよね。あ、お願い」
大食堂に優羽とグリムを置いて、俺は学園長の元へと向かう。
因みに、優羽とは掃除中に話し合って敬語無しになった。
「ったく、手間取らせやがって」
「君、本当に貶してきますね」
「お前は信用も信頼もしねぇって決めたからな」
「酷っ!」
無駄に捜すのに時間が掛かり、少し遅れて大食堂へと向かう。
「…………!」
「え!?ハルくん!?」
何となく嫌な予感がして駆け出た。
大食堂に入り……咄嗟に見たのが、なぜか空中に居るハートのガキとグリム、下に居る優羽と見覚えのない少年……そして、落ちる大きなシャンデリア。
「優羽!」
「っ!」
咄嗟に優羽と少年を引き寄せ、落ちてくるグリムとハート少年を風で護る。
ガシャーーン!!!
物凄い音。
「……………………」
「え、えっと、ハル?」
「……無事か?」
「う、うん」
「お、同じく……」
「そっちは?」
「え、あ、うん。なんか、風が護ってくれたから……」
「それより、ハル!血が出てる!」
「……あー、大した事ねぇよ」
彼等を解放して右腕を見れば、血が出ていた。
こんなの、左目のに比べりゃ……
「あ~な~た~た~ち~は~~~~ッ一体なにをしているんですか!!!!」
「「「「あ、学園長」」」」
「ふにゃぁあぁ……目が回るんだゾ~~」
「石像に傷を付けただけでは飽き足らずシャンデリアを破壊して、ハルくんに怪我をさせるなんて!もう許せません。全員、即刻退学です!」
「「ええええええ~~~~っ!!??」」
「……………」
どーすっかな、此れ……
「そんな!どうかそれだけはお許しください!オレはこの学校でやらなきゃいけないことがあるんです!」
見覚えのない少年が学園長に縋りつく。
「つーか、アレ誰?」
「えっと、エースと同じクラスのデュース・スペードだって」
「馬鹿な真似をした自分を恨むんですね」
「許していただけるなら弁償でもなんでもします!」
「このシャンデリアはただのシャンデリアではありません。魔法を動力源とし永遠に尽きないろうそくに炎が灯る魔法のシャンデリア。伝説の魔法道具マイスターに作らせた逸品です。学園設立当時からずっと大切に受け継がれてきたというのに……歴史的価値を考えれば10億マドルはくだらない品物ですよ。それを弁償できるとでも?」
10億か……流石に学生の此奴等に弁償は無理だな。
「じゅ、10億マドル……!?」
「で、でもさ、先生の魔法でパパッと直せちゃったりとか……」
「魔法は万能ではありません。しかも魔法道具の心臓とも呼べる魔法石が割れてしまった。魔法石に2つと同じものはない。もう二度とこのシャンデリアに光が灯ることはないでしょう」
「そんなぁ……」
「ちくしょう……なにやってんだ俺は……母さんになんて言えば……」
完全にお通夜ムードな二人。
「…………………そうだ。一つだけ。一つだけシャンデリアを直す方法があるかもしれません」
「「えっ!?」」
「このシャンデリアに使われた魔法石はドワーフ鉱山で採掘されたもの。同じ性質を持つ魔法石が手に入れば修理も可能かもしれません」
魔法石……ね。
俺の能力なら……
「僕、魔法石を取りに行きます!行かせてください!」
「ですが、鉱山に魔法石が残っている確証はありません。閉山してしばらく経ちますし、魔法石全て掘りつくされてしまっている可能性も高い」
「退学を撤回してもらえるなら、なんでもします!」
スペードマークの少年……何か必死だな。
「……いいでしょう。では一晩だけ待ってさしあげます。明日の朝までに魔法石を持って帰ってこられなければ君たちは退学です」
「はい……!ありがとうございます!」
「はーぁ。しゃーねえ。んじゃパパッと行って魔法石を持って帰ってきますか」
「ドワーフ鉱山までは鏡の
「はい!」
スペード少年は直ぐに走り出し、ハートのガキがそれに続いた。
「ハッ!な、なんだぁ……?オレ様は一体なにを……」
「……なんだか、とんでもない事になっちゃった。あ、ハル!ちゃんと手当して貰ってね!」
優羽もそう呟き、グリムを抱えてついて行く。
「…………」
「ハルくん?」
それを見送り……俺は壊れたシャンデリアに触れた。
少しだけ聖主の力を解放し……時を戻す。
「……よし、完全に戻ったな」
「えぇぇ……!?ハルくん、君は一体何者なんですか?」
「お前に説明する義理はねぇ……さっさと追い掛けるか」
「ちょっと待ってください!第一、君は怪我を!」
「大した事ねーし、痛みは元々感じねぇから問題ねぇ」
「問題大有りです!ああ、もう!」
「!」
腕を掴まれそうになったのを回避した。
「チッ……癒しの力よ……ヒール」
「!?」
「此れでいいだろ。お前に構ってる暇はねぇんだよ」
「ちょ……ちょっと待ちなさいって!」
叫ぶ学園長を無視して、彼等の後を追い掛ける。
ああ、面倒くせぇ……。
──ドワーフ鉱山──
「ウォオオオ~~~~~!!!」
追い付いた時には、彼等は何かに襲われていた。
「チッ……蒼破!!」
「グワッ!!」
「「「「!?」」」」
「獅子戦吼!グズグズすんじゃねぇ!早く来い!」
咄嗟にそれを攻撃し、怯んでる隙に彼等を連れて鉱山の外に出る。
「ハァハァ、ここまでくれば大丈夫か?」
「いってぇ……なんだったんだよさっきの!あんなのが居るなんて聞いてねーって!てか、その剣何!?」
「ただのゴーストではなさそうだったな……一体どこから出したんだ?」
「攻撃されたのかよ?説明は面倒くせぇ。命を照らす光よ 此処に来たれ……ハートレスサークル」
「「おお」」
少年二人はアレに攻撃されたみたいだが、どうやら軽傷らしい。
「もう諦めて帰ろーよ。あんなんと戦うくらいなら退学でいいじゃん、もう」
「なっ!?ざっけんな!退学になるくらいだったら死んだほうがマシだ!魔法石が目の前にあるのに、あきらめて帰れるかよ!」
「はっ。オレより魔法ヘタクソなくせになに言ってんだか。行くなら勝手に1人で行けよ。オレはやーめた」
「あぁ、そうかよ!なら腰抜け野郎はそこでガタガタ震えてろ!」
……このデュース・スペードって、こういうキャラなのか?
スパーダやヒスイ的な……
「はぁ~~~~??腰抜け?誰に向かって言ってんの?」
「な、なぁ……デュース。オマエなんかキャラ変わってる気がするんだゾ?」
「……ハッ!ご、ごほん!悪い。少し取り乱した」
グリムの言葉にスペード少年は咳払いして、落ち着きを取り戻した。
「オマエら、バーンとド派手な魔法とか使えねーのか?」
「大がかりな魔法や複雑な魔法の使用には訓練が要る」
「だから魔法学校があるんだけどね。パッと思い浮かべたとおりに魔法を使うにはかなり練習が必要ってワケ。ぶっちゃけ、テンパってるとミスりやすい」
「だからグリムは火しか出せないのかぁ」
「んなっ!こ、これからもっとすごい魔法を使えるようになるんだゾ!オ、オレ様はまだ本気出してないだけなんだゾ!」
「…………」
「ハル?どうしたの?」
「こえー顔になってるんだゾ」
「あー……此処の空気が合わなくて頭痛ぇだけだ」
……この場所、そしてアレは不味いな。
俺にとっての“穢れ”みたいのがある。
「具合悪いなら、無理すんなよ」
「させてんのは誰が原因だ?」
「うっ」
「と、とにかく、僕はなんとかしてあいつを倒して魔法石を持ち帰る」
無理矢理話戻したな。
「だーかーら、お前さーシャンデリアの時といい実は相当バカでしょ。さっき全然歯が立たなかったくせに『なんとか』ってなに?何度やったって同じだろ。ハルが来なきゃ、危なかったじゃん」
「なんだと!?お前こそ……」
「また始まったんだゾ」
「じゃあ全員仲良く退学ってことで」
「「えっ……」」
「お」
思わず俺は優羽を見た。
「オ、オイユウ。いきなりキツいこと言い出してどうしたんだゾ」
「そんなだから2人とも歯が立たないんだよ。ハルが来てくれたから良かったけど。そのハルだって、具合悪いんだし」
「ふ…ふなぁ……」
「大した事ねぇよ」
……今の所は。
「ぐっ……し、しかし……一体どうしろっていうんだ」
「ちゃんと作戦を立てるべきだと思う」
「作戦?それってみんなで仲良く協力しろってこと?ハッ、なにそれ寒ッ。よくそんなこと真顔で言えんね」
「同感だ。こいつと協力なんか出来るわけない」
「でも……入学初日で退学って、もっとダセー気がするのだ」
「うっ、それは……」
「…………………」
グリムの言葉に二人は視線を逸らす。
「1つ提案があるんだけど」
「………はぁ、わぁったよ。やればいいでしょ、やれば!──で、どんな作戦?」
優羽が作戦を語り……それを実行する事になった。
「ユウ~……ほんとにその作戦上手く行くのかよぉ……こわ……いや、不安なんだゾ」
「こうなったら腹を括ろう」
「ははっ、カタくなりすぎ。気楽にいこうぜ。そじゃ、パパッとやりますか!」
という事で俺達はそれぞれの場所へと散らばる。
「やい、バケモノ!コ、コココッチなんだゾ!」
「グルルルル………ガエレェエエエェエエエエエエ!!!」
「ギャッ!来た!ユウ~!」
「ここまでおいで~!」
「……さぁ、遊ぼうぜ」
グリムと優羽、そして俺で奴を引き付けた。
「グルッ!?コッチニモ…ドロボウ……ワタサヌ……オデノ……オデノ!!」
ドゴォ
「ぴゃっ!あんなパンチ当たったらひとたまりもねぇんだゾ!」
「当たんねーから問題ねぇよ」
「なるだけ洞窟から引き離そう」
「デテイケ!デテイケ!!」
付かず離れずで逃げる俺達を追い掛けてくる奴。
「だいぶ洞窟から離したんだゾ!」
「今だっ!」
「そびえよ望楼 鋭き頂きに心眼を持て……アスティオン!」
「オッケー、お任せ!いくぜ、特大突風!」
ビュォオオオ
「アーンド・グリム様ファイアースペシャル!ふな゛~~~~~~っ!」
ゴォオオオオ!
「グアアアア!!?」
ハート少年の風で火力を増したグリムの炎が奴を襲う。
「どーよ!グリムのショボい炎も、俺が風で煽ってやればバーナー並の火力だぜっ!」
「ショボくねーっ!ほっとにオマエ、一言多くてムカつくんだゾ!」
「今がチャンス!」
優羽が指示したのは……スペード少年。
「落ち着け……よく狙うんだ…俺が知る中で一番大きく……重たい……いでよ、大釜!」
ドゴォン
「グアアッ!?」
奴目掛けて落とされた大釜。
「やった!上手く行ったんだゾ!オイ、見てみろユウ!バケモノがさっきのエースみたいに大釜に押しつぶされて、ペッタンコになってるんだゾ!」
「何その面白そうな状況」
「さっきのオレみたいってのは余計だっつの!ったく、今日はマジいいとこナシじゃん」
「あいつが足止めをくらってるうちに魔法石を取りに行くぞ!」
俺達は鉱山の中に駆け込んだ。
「!?マデエエエエエ!!!!」
そして、最深部に目的の物を見付ける。
「あったぞ!魔法石だ!」
魔法石を俺とグリムが拾おうとすると……
「ザワルナア゛アアアアアアアアアアア!!」
奴が暴れ出した。
「やっば!アイツもう重しを押しのけそうじゃん!」
「オイ、デュース!もっとなんか乗せるんだゾ!」
「えぇっと、重たいもの!?い、いでよ!大釜!」
ガシャン!
「あとは、えーとえーっと、大釜!?」
ガシャン!!
「それから、大釜っ!」
ガシャン!!!
「ヌグゥアア!!」
計三つの大釜が伸し掛かる。
「お前、大釜以外に召喚レパートリーないわけ!?」
「うるせえな!テンパってんだよ俺だって!」
「一応、追撃しとくか。万有傅く膝元に……エアプレッシャー!」
「グォオオ!」
更に聖隷術で駄目押し。
「魔法石はゲットした!ずらかるんだゾ!」
「了解っ!」
俺とグリムがそれぞれ持って、直ぐに鉱山から脱け出した。
「オ゛レ゛ノ……ダアアアアアアア!!!」
「…………っ」