ツイステッドワンダーランド
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いつも通りに新しい世界に降り立った……筈だった。
が、気付いたら真っ暗で、恐らく何か箱みたいのに入れられてる。
どういう事だよ。
初めてのパターンにちょっと考えていると……
ガタガタッ
「やべえ。そろそろ人がきちまうゾ。早いところ制服を……うーん!!!この蓋、重いんだゾ」
何か物音と声がした。
蓋……いや、目の前のこの蓋じゃねぇな。
違う蓋を開けようとしてるのか?
「こうなったら……奥の手だ!ふな゛~~~~それっ!」
「うわぁっ!」
「さてさて、お目当ての……って、ギャーーーーー!!!!オマエ、なんでもう起きてるんだ!?」
「しゃ、喋る狸?」
賑やかな物音と声に蓋を押し開けると、少年と喋る狸?みたいのが何か揉めてる。
いや、別に喋るくらいなら全く問題ねぇんだけど。
喋る猫とか犬とかブウサギとか……兎に角沢山居たし。
「誰が狸じゃーーーー!!!!オレ様はグリム様なんだゾ!まあいい。そこのニンゲン!オレ様にその服をよこすんだゾ!さもなくば……丸焼きだ!」
「おっと」
「「!」」
狸擬きが青い炎を吐き出したのを見て、少年の腕を引っ張った。
「ふなっ!?なんで他にも起きてるヤツが……」
「……ちょーっと、悪いな」
「うわっ」
「あ!待つんだゾ!」
「ちったぁ、大人してやがれ」
少年をお姫様抱っこして部屋を出つつ、時間稼ぎの為に狸擬きの前に竜巻を起こす。
外には長い廊下があり、其処を進むと教室の様な部屋、中庭、等々……そして、最終的に図書室の様な所に出た。
其処で少年を下ろす。
「急に悪いな。あの狸擬きが居たら話にならねぇと思ってな」
「い、いえ……助けてくれてありがとうございます」
「で、悪いんだけど……此処は何処だ?どっかの学校か何かか?」
「え……と」
沢山の棚に納められた本に浮かんでいる本。
浮かんでいる方の本を一冊取って、その中身を見た。
うん、前に居た世界の文字じゃないけど、読めない事もない文字だ。
「ごめんなさい、俺も分からないんです」
「ん?」
「俺も起きたら、あの棺桶の中に居て……」
「……もしかしてお前、迷い込んだのか?」
「へ?」
ボォオオ…
「おっと」
「うわっ!?」
話していたら、目の前にまたあの青い炎。
それを避けて本を放り、少年を抱き寄せる。
「オレ様の鼻から逃げられると思ったか!ニンゲンめ!」
「俺は厳密には人間じゃねぇけど」
「ふな?ニンゲンじゃない?」
「で、お前は俺達に何か用だよ?」
「そ、そうだった。さあ、丸焼きにされたくなかったらその服を──」
ビュンッ バシッ
「ふぎゃっ!?痛ぇゾ!なんだぁこの紐!」
と、狸擬きに紐状の物が飛んで来て捕らえた。
「紐ではありません。愛の鞭です!」
「うわ……不審者」
「ああ、やっと見つけました。君たち、今年の新入生ですね?」
俺達の前に現れたのは、鴉の様な格好をした男。
「ダメじゃありませんか。勝手に
「離せ~!オレ様はこんなヤツらの使い魔じゃねぇんだゾ!」
「はいはい、反抗的な使い魔はみんなそう言うんです。少し静かにしていましょうね」
「ふがふが!」
不審者が狸擬きの口を塞ぐ。
「まったく。勝手に扉を開けて出てきてしまった新入生など前代未聞です!はぁ……どれだけせっかちさんなんですか」
何言ってんだ、この不審者。
「さあさあ、とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間へ行きましょう」
「つーかよ……新入生とか鏡の間とか、何なんだよ?」
「それ、俺も聞きたい」
「貴方たちが目覚めたたくさんの扉が並んでた部屋ですよ。この学園へ入学する生徒は、全てあの扉をくぐってこの学園へやってくるのです。通常、特殊な鍵で扉を開くまでは生徒は目覚めないはずなんですが……」
俺は元から寝てないし、普通に蓋空いたんだけど。
少年の方はあの狸擬きが燃やしたらしい。
「……おっと!長話を……「つーか、そもそもお前は何なんだ?」おや?君、まだ意識がはっきりしてないんですか?空間転移魔法の影響で記憶が混乱してるんですかねぇ……「当然の疑問だろうが」……まあいいでしょう。よくあることです。では歩きながら説明してさしあげます。私、優しいので」
「……優しいので……ね」
それから俺達は歩きながら、この世界が『ツイステッドワンダーランド』である事、この学園は『ナイトレイヴンガレッジ』という『魔法士』というのを育成する場所である事、そしてこの不審者は学園長の『ディア・クロウリー』である事を説明された。
「……いや、絶対勘違いしんだろ。俺、そんなに若くねぇぞ」
「え、俺よりちょっと上くらいなんじゃ」
「見た目は18だな」
「あ、やっぱり……見た目?」
「何を話してるんですか。さあ、寮分けがまだなのは君たちだけですよ。狸くんは私が預かっておきますから、早く闇の鏡の前へ」
「ふぐぐー!!」
少年と話してたら、鏡と沢山の少年達が居る……件の部屋辿り着いたらしい。
狸擬きは回収されて、先に少年が鏡の前に立つ。
「汝の名を告げよ」
「っ!」
鏡から聞こえた声に反応し掛けて、何とか取り繕った。
よりによってこの声かよ……。
「えと、優羽です」
「ユウ……汝の魂のかたちは…………………………」
何か、長い沈黙に入る。
少年が困った様にチラチラと俺を見てきたが、正直どうしようもない。
「……………………わからぬ」
「なんですって?」
その果てにそんな事を言われた。
「この者からは魔力の波長が一切感じられない……色も、形も、一切の無である。よって、どの寮にもふさわしくない!」
途端に部屋の中がざわめく。
困惑してオロオロしている少年の横に並んだ。
「俺も名乗った方がいいのか?」
「ああ……汝等の名を告げよ」
「ハル」
「ハル………………汝もわからぬ」
「はぁ!?」
「魔力の波長は感じられぬが、大きな何かを感じる。だが、魔力ではない故に別けられぬ。つまり、どの寮にも相応しくない!」
……まぁ、確かに“魔力”はねぇな。
「魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!生徒選定の手違いなど、この100年ただの一度もなかったはず。一体なぜ……」
「知るかよ」
そもそも黒い馬車なんて来てないし、俺は異世界から来たし……俺が使うのは魔法じゃなくて聖隷術だし。
「もごもご…ぷはっ!だったらその席、オレ様に譲るんだゾ!」
その時、狸擬きが不審者の腕から抜け出す。
「あっ待ちなさい!この狸!」
「そこのニンゲンたちと違ってオレ様は魔法が使えるんだゾ!だから代わりにオレ様を学校に入れろ!魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ!」
「チッ」
「みんな伏せて!」
「ん゛な゛~~~!!」
狸擬きがまた青い炎を放った。
俺は少年を引っ張りながら普通に避け、青い炎に混乱する部屋の中を観察する。
「飛散せよ 流転の泉……スプレッド」
そんな中、ターバンの少年の尻に着いた火を聖隷術で消した。
ターバンの少年は暫くキョロキョロして、俺を見た。
それに視線を逸らして逃げ回る狸擬きに視線を戻す。
「ったく……
「ふなっ!?」
床に足を強く下ろし、其処を伝って地の聖隷術で出来た鎖を狸擬きの下に出して拘束した。
「チンタラやってんじゃねぇよ」
「なっ、そもそも貴方たちの使い魔「誰の使い魔だって?」え?貴方たちのじゃない?」
「俺もコイツもひ と こ と も自分の使い魔だって言ってねぇだろ。その狸擬きと契約した覚えはねぇ」
「そうです。赤の他人です」
「赤の他獣じゃねぇか?」
「あ、そっか」
「そうそう」
「そ、そうでしたっけ?」
「……お前、いい加減にしろよ。俺もコイツも異世界から来たばっかで何もわからねぇっつーのに」
「へ、異世界?」
「…………」
コイツ、頼りにならねぇな。
それから狸擬きは摘み出され、俺達以外は寮?へと散らされる。
「──さて、ユウさん。ハルさん。大変残念なことですが……貴方たちには、この学園から出て行ってもらわねばなりません。魔法の力を持たない者をこの学園へ入学させるわけにはいかない」
「全く残念じゃないねぇから安心してくれ。つーか、いつになったら俺達の話を聞くんだよ」
「は、はい?」
此処まで来てやっと俺の事を説明出来た。
どうやら俺は異世界に行こうとした時、優羽は何らかしらの時に、闇の鏡の手違いか何かで此処に喚ばれたらしい。
一先ず、俺と少年は元の世界に帰れるまで、今は使われていないというオンボロ寮に住まわせて貰う事に。
俺の場合は帰れるっちゃ、帰れるが次元移動は連続して使えない。
戻れる様になる迄には時間が掛かるから、そういう事にしてある。
で、住む予定の寮がその名の通りオンボロだったり、摘まみ出された筈の狸擬きが雨宿りしに戻って来てたり、ゴーストが住み着いてたり……色々あったな。
「……やっぱ、人が住む様な所じゃねぇな。それに一歩間違えりゃ、業魔化しちまう」
「ごうま?」
「俺の事情だ。気にすんな……お前の居た所ってさ、靴脱ぐ家?脱がない家?」
「脱ぐ家です」
「成る程な……おい、ゴースト!」
「なんだなんだ?」
「どうした?同胞擬き」
「俺はお前等とは違う種族だ。で、この中改造していいか?」
「ああ、構わんさ」
「綺麗になるのは一向に構わないさ!」
「そーかい」
んじゃ、先住民の許可も得たし……この寮と敷地を俺の領域にさせて貰おうか。
「「え……ぇええええええええ!?」」
「どうしました!?騒がしい声が外まで……って、はぁあああ!?」
別に驚く様な事はしてねぇんだけど。
俺の領域にした事で、外装はそのままに内装だけ綺麗に、かつ……あー、和風だっけ?に変えた。
そうしたら優羽と狸擬きに叫ばれ、なぜか現れた不審者にも叫ばれる。
「うるせぇ。つーか、何の用だよ」
「え、えっと夕飯を……」
「自分で用意出来るわ。他は?」
「あ、明日からお2人……って、狸くん!?」
「いいから話進めやがれ。お前が終わってから説明してやる」
「は、はぁ……」
それから俺と優羽、序でに狸擬きことグリムは明日から雑用係として学園の掃除をする事に。
という事で、一先ず解散。
「面倒だが、明日から大変らしいからな。さっさと寝ろよ」
「う、うん……」
「……ったく、しょーがねぇな」
「?」
「好きな部屋選んどけよ」
何処か緊張した様子の優羽。
その姿に、流石に同情して……取り敢えず先に部屋に行かせた。
そして、待ってる優羽とオマケのグリムにマシュマロココアを持っていく。
「うわぁ……マシュマロ入りのココアだ!」
「その様子なら甘いのも大丈夫そうだな」
「うん!」
「オレ様にも寄越すんだゾ!」
「慌てんなよ。お前様に冷ましたのも持って来てるわ」
一人と一匹は目を輝かせて受け取った。
「そーいや、今更だけどグリムはだいまほうしとやらになりてぇのか?」
「そうだゾ!」
その為にこの学校に不法侵入した言ってし、それは本当だろうな。
「そーかい。じゃあ、頑張れよ。思い続ければ、叶うかもしれねぇからな」
「当たり前なんだゾ」
「優羽、まだ緊張してるか?」
「え、ああ……でも、ココアのお陰で大分落ち着いたかな」
「そ……じゃあ、寝物語代わりに物語でも話してやるか?」
「!異世界の?聞きたい!」
「オレ様も聞いてやるんだゾ!」
「そうさな……此れは故郷を奪われた優しい青年と故郷を想う悲しい魔王の物語」