ツバサクロニクル
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『これは一度、あなた達の手を離れて、今はあたしの元にある。返して欲しいならば対価がいるの』
ビキッ「なんだと!?屁理屈こねやがってー!」
「まーまーお父さん」
「「お父さん」」
「拾いものは拾った人のもの。って事ですねーー」
「だからソレやめろ!!お前らも繰り返すな!!」
っと、黒鋼に怒られたな。
「何をお渡しすればいいですか」
『この服に見合うものを』
「「見合うもの……」」
一方、真面目に考え込む小狼とサクラ。
『考えついたらモコナにいって、あたしを呼び出しなさい。それまで預かっておくわ』
「はい!」
『ああ。でも、あんまり長く待たせると流しちゃうかもね。質流れみたいに』
Σガン「え?!」「質草かよ!!」
「「「…………」」」
「「「???質流れ?」」」
ショックを受けたのは小狼と黒鋼。
サクラとファイ、コウはそういうのに縁が無かったのか、首を傾げる。
「あ、あの!」
『何かしら』
「最初の時、わたしは眠ってて。高麗国の時はまだ、半分夢の中みたいで。だからお会い出来たらお礼を伝えたいって考えたんです。モコちゃんを貸して下さって、有り難うございました」
そう言い、サクラは笑顔で頭を下げた。
『……旅はどう?』
「一人だったらきっと辛かったと思います。でも」
俺達へと振り返るサクラ。
「……一緒だから」
……そうだな。
サクラには小狼達も俺達も居るな。
「でも、まだいっぱい眠っちゃって、役に立ててないんですけど」
俯くサクラを、小狼が優しく微笑んで見詰める。
『バタン バタバタ』
『……来たわね』
向こうで騒がしい音がした。
『じゃあ、またね』
「うん、またね侑子~🖤」
消える姿にサクラがもう一度頭を下げる。
『そうそう「ホワイトデー」。あんまり待たせ続けると銀龍とイレズミも質流れさせるわよ』
「ふざけんなこの強欲女ーー!!!」うがーーっ
「「「『ホワイトデー』って なんでしょう/なに/なんだろー ?」」」
ホワイトデー?
其れって、バレンタインデーのお返しをする日だよな?
「あ。説明するの忘れてた」
ぽんと短い手を叩くモコナ。
「あのね、前にフォンダンショコラ来たでしょ?侑子から」
「あーー桜都国の時ねーー」
あー……俺達が食わなかったヤツ。
「あれは『バレンタインデー』のなの。『バレンタインデー』」はね、モコナがいた国では、美味しいチョコレートをあげる日なの。で、『バレンタインデー』にチョコレートをもらったり『ホワイトデー』にお返ししなきゃいけないの」
「なんだそりゃ」
説明しながら何かの紙をモコナが取り出し、小狼の頭の上に乗った。
「だけど小狼達、誰もお返ししてないから。侑子怒ってるんだと思う」
「無理矢理押し付けといて何がお返しだ!!」
「「俺達関係ないな」」
「「食べてないし」」
俺達はお返しする必要あんのか?
「そうだったんだー」
「お返し何がいいんだろう。決まり事とかあるのかな」
「ある国もあるけど、何でもいいんだよ」
「……したいな」
サクラの呟きが聞こえ、皆が彼女に振り返る。
「次元の魔女さんにお礼したいな」
「そうですね」
笑顔のサクラに同じく笑顔で返す小狼。
そんな小狼をサクラが見詰めた。
「じゃ、何をお返しするか相談しようか。小狼君がここんとこきゅーーってなってた理由も聞きたいしーー」
「はい」
小狼の頭からファイの頭の上に移るモコナ。
「おやつ食べながらにしようよーー手伝ってーーお父さーん🖤」
「お父さーーん🖤」
ゴゴゴゴゴ ぐわしっ
「「きゃー🖤」」
ファイとモコナの言葉に苛ついたらしい黒鋼がモコナを掴む。
フィイィ
「楽しそうですわね」
「「わぁ!!」」
声に上空を見ると、飛行機に乗った知世嬢が居た。
其れから彼女やボディーガードを加えてのお茶会が始まる。
「美味しいですわ」
「それはサクラも一緒に作ったんだよ」
「ああ」
「素晴らしいですわ」
「えっへん」
菓子は俺とサクラが、茶はアキが用意した。
「サクラちゃん、最近料理の腕前急上昇中なんだよねーー」
「ファイさんとハルさんが分かりやすく教えてくれるから」
「私もサクラちゃんとお呼びして、よろしいですか?」
「もちろん。わたしも知世ちゃんって呼んでもいいですか?」
「はい。もちろんですわ」
途端に笑顔になる少女二人。
いい絵になるなぁ……
「いいねーー可愛い女の子が笑顔全開でーー。んーーお花畑?」
「モコナも笑顔全開ーーほらほらーーモコナもかわいい~~🖤」
「けっ!白まんじゅうは、いっつも糸目じゃねぇかよ」
「ハル、此れってどうやって作るんだ?」
「ん?ああ、また今度教えてやるよ」
「最近知りたがるな」
「ああ……ユキが作れない分、俺が作ってハルの負担を減らそうと思って」
「別に出来ない訳じゃないんだけど」
「「「お前は出禁だ」」」
ユキだけは絶対に参加させねぇ。
料理下手には何人か会った事はあるけど、ユキの場合は直す気がねぇから余計に質悪ぃ。
「予選レースで妨害行為があったんですか?」
小狼の言葉に、知世嬢がピクと反応する。
「何故、そうと?」
「今日、会った人がそう言っていました。笙悟さんと残さんという人です」
知世嬢の様子を見ながら、視線を一度外に向けた。
誰だ?
此方を見てやがんのは。
「そうですか。残さんが予選レースの映像を……」
小狼の話を聞き、視線を下に向ける知世嬢。
「嘘発見器、ふつうの椅子みたいだったよ」
「それは凄いねぇ」
「知世ちゃんとは幼なじみだとおっしゃっていました」
「ええ、そうです」
「笙悟さんは自警団だと」
「その通りですわ」
……知世嬢の表情は優れねぇ。
其れから察するに……
「でも何だか知世ちゃん浮かない顔だねぇ」
「いえ、何でもないんですが。少し気になる事があって……」
気になる事、ね。
「予選レースに不正があったというのは事実なんでしょうか」
「残念ながら」
「何かお手伝い出来る事はありますか?」
「有り難う御座います。でも、不正を防げなかったのは我が社、ひいては社長である私の責任。現在、我が社の調査部がレース出場者および関係者の調査に入っています。誰があんな事をしたのか、突きとめて必ず捜し出しますわ」
「…………」
……黒鋼、何かに気付いたな。
「知世は今日はそのお話で来たの?」
「いいえ、実は……」
知世嬢は立ち上がり……
「本選では何をお召しになりますの!?」
「「「「え」」」」
サクラの手を握って放たれた言葉に、思わず呆気に取られる。
そんね真剣な顔で言う事か?
「え?;;」
「もう決めてしまわれました?」
「い、いいえ」
「でしたら是非、是非!私に作らせて下さいな!」
……おー、キラキラしてんな。
「超絶可愛いサクラちゃんにぴったりな、レースコスチュームを考えましたのーー🖤」
飛んで来る花に、俺達男性陣は見てるだけしか出来ない。
「私の作ったコスチュームを着て、颯爽と空を駆けるサクラちゃん!素晴らしいですわーー!」
ぱあと笑顔で言う知世嬢。
俺達は思わず視線を交わして苦笑した。
「モコナもコスチューム欲しいーー🖤」
「お任せ下さいな🖤」
「と……知世ちゃん…」
「…………たまにアキもあんな感じになるよね」
「∑ぇ……そ、そうか?」
「俺の作ってる時」
「「ありますね」」
「あ、それともう一つ」
「「「「?」」」」
知世嬢が俺達の方に歩み寄って来る。
「もしよろしかったらバイトなさいませんか?」
「「「「バイト?」」」」
其れから帰る知世嬢を見送って数時間後。
「知世の作ってくれる服楽しみーー🖤るらら♪るらら♪」
「はりきってたもんねぇ、知世ちゃんーーー。サクラちゃんも『ドラゴンフライ』の練習頑張ってるし」
フイィイィィ
「そうです、そのまま高さを維持して!」
「はい!」
上空では小狼とサクラがドラゴンフライに乗って練習をしていた。
「サクラがんばれーー!」
そんなサクラを応援するモコナ。
因みにファイと黒鋼は座って雑談。
俺達は夕飯の準備をしている。
「でも不正かーー。黒りーが時々、感じるオレ達を見てる視線と関係あるのかなぁ」
「………」
「何にせよ、本選は気をつけないとね。あ、そっち手伝うー?」
「大丈夫だ。もう少しで出来るからな」
「はーい」
フィィィ
「そこでブレーキを!」
「はい!」
ゴォォ
「きゃー!!」
「そっちはアクセルです姫ーーー!;;」
どっかに向かってフラフラと飛んで行くサクラのドラゴンフライ。
「特にサクラちゃん。面白すぎるよーー」
「姫!」ギューーン
「きゃーー」
「サクラやっぱりサイコー♡」
「んとに、大丈夫なのかよ。おい」
「「「「…………」」」」
黒鋼の言葉に、俺達は苦笑するしかなかった。
そして……本選当日。
ワァアァ ワァァア
「賑わってますね」
「まぁ、そんだけ注目が高ぇって事なんだろ」
今、俺はルアと第二チェック
此処でいざという時のフォローをするのが俺達のバイト。
「どうやらサクラ殿が一番の様です」
「相変わらずの幸運だな」
今回はスタート地点を抽選で決めるらしく、サクラが一番いい地点から出る様だ。
『今回の「ドラゴンフライレース」はいつもと違います!!レース参加者に渡されている羅針計が示す通り進み!ゴールまでに3ヶ所あるチェック地点でバッジを受け取らねばなりません!バッジは3つの中継地点すべて違うものです!』
因みに第一にユキとコウ、第二に俺達、最終にアキとソルが控えてる。
パーパパパーー♪
ラッパの音の後、知世嬢が映し出された。
そして、知世嬢の持ってるプレートがカウントダウンを始める。
『3つのバッジをゲットして、目指せ!栄光のゴールへーーー!!』
開始されたレース。
まぁ、予想通りサクラはあっという間に越され、先頭集団に黒鋼が、その時点にファイが、更にその後に小狼が出た。
第一チェック地点では、磁場ボールの中のバッジを取る物。
先頭集団は問題なく取れたが、小狼が来た辺りでボールが壊れ、バッジは次々と無くなっていく。
タイミングをずらされた小狼は機体を回転させ、翼でバッジを弾いてキャッチ。
サクラも最後の一つを急降下で何とか手に入れたらしい。
向こうのフォローはユキ達がするだろう。
「さて、来たか」
一位は黒鋼を越した先日の自警団のリーダー、続いていつぞやの偽医師、そして追い抜き変えそうとする黒鋼の順だった。
第二チェック地点は、曲がりくねった動くチューブ。
此れを通り抜ければクリアだが……
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