ツバサクロニクル
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翌日。
俺はコウとルア、小狼、サクラ、モコナと共に買い出しに出る。
一旦小狼達と別れ、途中で合流する予定だ。
「阪神共和国にもありましたよ」
「その時私、まだ寝てたから……」
「あ、小狼とサクラとモコナだ」
「コウ、ハル兄、ルア」
「こっち、全部買えました!」
「おう、ありがとな。今日は此れで美味い飯作ってやるよ」
「「「わーい」」」
ふと、気配を感じて振り返った。
ザッ
「!」
直後、俺達を男達が囲む。
「『ドラゴンフライレース』の予選通過者だな」
狙いは小狼達か。
俺が小狼を、コウがサクラを背に庇った。
「何か?」
「話があるんだ。来てもらおうか」
そう言って来たのは、昨日見かけた笙悟っぽい青年。
「笙悟さん!?」
「?」
「あん?俺の名前知ってんのか?」
「笙悟有名人だからな」
「『ドラゴンフライレース』の上位入賞常連だしな」
此処でも笙悟は有名人、という事か。
「その有名人さん達が何の用だ?」
「ちょっとついて来てもらいたい」
「何の用ですか?」
「来たら話すさ」
ニッと笑う笙悟。
「悪ぃが、帰って夕飯作んなきゃいけねぇんだ」
「今からか?」
「おう。今日の夕飯は時間を掛けて作るマーボーカレーなんでな。此奴等にも手伝って欲しいし。それに……」
「知らない人についてっちゃダメだって」
「そういうこった」
「あぁ?ロボットか?」
つまり、絶対について行かねぇという姿勢の俺達。
「どうしてもか」
「はっ、ついて来て欲しけりゃアポでも取っておくんだな」
「益々、来てもらわないとな」
その言葉と共に、俺達を囲んでいた男達がレアボードの様な物に乗って迫って来る。
「「!」」
其れに臨戦態勢になったコウと小狼を手で制した。
ビリッ
「っと」
その間に向けられた警棒の様な物を払い除けると、痺れを感じる。
此れは……スタンガンか。
「ハル!!」
「問題ねぇよ」
コウに返しながら、隠し武器の苦無を取り出した。
「そら……よっと!」
「「「「!」」」」」
その苦無を高速で俺の周りをグルグルと回っていた男の一人が持っている警棒に当てる。
「足止めてんじゃねぇよ」
そのまま次から次へと苦無を取り出し、同様に警棒に当てた。
そうする事で、相手側は苦無を全部落とす。
「駄目だぞ?武器をそんな簡単に手放したら」
「え?」
次の瞬間には、俺を囲んでいた奴等を全員蹴り飛ばした。
「は、速っ……」
「当然です。ハル様はアキ様よりも速いのです。僕はハル様より速い方は存じ上げません」
「大袈裟だぞ、ルア」
驚くコウにそんな事を言うルア。
まぁ、俺はあんましパワー的な筋力が付かなかったからな。
代わりに速さを磨いた。
「で、まだやんのかい?」
「あんた何者だ?」
「質問に質問で返すんじゃねぇよ……強いて言うなら渡り鳥だ」
「渡り鳥?」
「異なる力異なる地へ、羽ばたきながら渡る。だから、渡り鳥。で、まだやんのか?其れとも……そっちが相手してくれんのか?」
「お気付きでしたか」
俺の問い掛けに黒服の若い三人組が歩み寄って来る。
彼等に敵意を感じない為、その中の一人が近付くのをそのまま見た。
「お美しいお嬢さん、貴方はきっと無実です」
「え?」「え?」
「「「…………」」」
その青年がサクラに一輪の花を差し出す。
小狼とサクラは戸惑い、俺達は視線を交わした。
何だ、此奴……
「『ドラゴンフライレース』の予選通過した人だーー」
「ロボット?」
困惑するサクラの代わりに花を受け取ったモコナがそう言う。
「その予選通過者に用があるんだ」
「何故です?」
「昨日のレースで妨害行為があったらしい」
「昨日のレースはテレビ中継されていました。テレビの映像だけでははっきり分からなかったんですか。僕がこの二人に撮影してもらった望遠ハイビジョンカメラの映像をチェックしていると、光る粉が空中に撒かれていた事が判明しました」
話を聞きながらコウが俺の方をチラッと見た。
まぁ、コウには言ってあるからな。
「撒かれていたのはレース終盤。風向きや状況から考えて不正を働いたのは予選通過者上位20名の中にいる」
「え!?」
其れから小狼が詳しく話を聞きたいという事で、近くの店に入る。
「城之山 残と申します」
「鷹村 蘇芳です」
「伊集院 玲です」
「笙悟さん、改めて自己紹介なさらないと」
「笙悟・アサギだ」
「こっちはサクラ!こっちは小狼!こっちはハル!こっちは綱平!こっちはルア!でもってモコナ!」
貰った花で一人一人俺達を指しながら紹介するモコナ。
その花気に入ったんか?
「サクラさんと小狼君と綱平君とハルさんと、ルアさん?くん?モコナさん?くん?」
「モコナはモコナ!」
「僕もルアで構いません」
「じゃあ、モコナとルアと呼びましょう」
「俺も君なのか……!?」
「まぁ、妥当だろ」
「Σ!?」
コウは何かショックを受けた様な顔をした。
「あ、そーいや此じゃ失礼か」
「「!」」
「改めてハルだ」
「……お前、キレーな顔してんだな」
「綺麗とか言うな」
「顔を隠される必要はないのでは?」
「見ての通り傷物なんでね。其れに被ってんのに慣れちまってるからな」
一応フードを取りながら自己紹介する。
「映像を見て下さい」
そう言われ、映し出されたのは昨日のレースの様子。
「これは二人が撮影していた映像です」
「すごいねーー。それにも映りたかった🖤」
「残はピッフル・プリンセスと並ぶ隣国の巨大総合企業イモノヤマ・カンパニー、オーナーの末裔で。飲食部門の責任者だからな。ちなみにこの店も残の店だ」
「ピッフル・プリンセスの知世嬢は幼なじみなですよ」
「そうなんですか」
幼馴染みが開催するレースに自らも参加する良い所の出の坊っちゃん、か。
「『ドラゴンフライレース』は知世嬢が主催している大切なレース。不正行為を見逃してはおけません」
「俺もこの国の
頭を抱え、呆れた様に溜め息を吐く笙悟。
「すべての女性が存在して下さる事。それだけで至福です」
小狼達が戸惑う仲、モコナはぱちぱちと拍手した。
割りとこういうタイプいるよな。
「昨日のレース。リタイアが非常に多かった。それもその光る粉が映った後、突然に……ここです」
映像が止まる。
「風はゴールから吹いてました」
「撒かれたタイミングや風向きを考えても、その光る粉とやらを撒いたのは予選通過者の中にいるってのが残の分析だ」
聞きながら目の前の二人を観察した。
「この中の誰かが、妨害工作の犯人です」
さぁ、此奴等は何方だ?
小狼達がその言葉に驚き、俺の方を見る。
うん、何で俺?
「やはり、貴方は無実でした」
「え?」
残青年が微笑み、サクラの手を取って言った。
「貴方もです、小狼君」
「どういう事です」
「その椅子。
「うわぁ、卑怯」
笑顔で告げた笙悟に俺も笑いながら言う。
「レースに関する説明や情報を見ても驚いていらっしゃいましたが、焦ってはいない。心拍、脈拍共に正常値だと報告がありました」
「お二人とも同じです」
「貴方達はレース参加者ではないので除外しました」
「そう、か」
「この国にはそんなものまであるんですか」
「完璧とはいえませんが、かなりの精度を誇っていると自負しています」
「イモノヤマ・カンパニー製だしな」
椅子型の嘘発見器か。
対象に知られず、つーのはいいな。
「ただ、心の底から自分の頭の中で作った虚構を信じたり、真の悪人がつく嘘はなかなか発見出来ないのですが」
「そりゃそうだ」
「?何故そんな当たり前風何だ?」
「周りから見たら間違ってる事でも、其奴にとっちゃ正義だって事もある。其れは嘘発見器じゃ見抜けねぇだろ」
「其れが悪や正義でも?」
「んなもの唯の曖昧な主観だ。立場が違けりゃ其奴の掲げる想いも違うだろ」
「成程」
俺の言葉にコウは何か考える仕草をした。
「それでも、貴方は違います。きっと」
「モコナも無実~~」
残青年はにっこり笑いながら言う。
「そりゃ保証するわ」
「ああ。サクラは純真だからそんな考えなんて持たないし、小狼も正々堂々と正面から挑むタイプだからな」
「そうだよ、小狼も犯人じゃないよ。あとね、黒鋼とファイもーー」
モコナが映像の中の二人を花で指しながら言った。
「お知り合いですか?」
「一緒に旅をしてるんです」
「六人でか?」
「+二人と二体」
「モコナも一緒ーー!」
「八人と三ロボット?」
……具体的な数になると、俺達多いな。
慣れてるけど。
「支度がおありなのに、お引き留めして申し訳ありませんでした」
「俺こそ悪ぃな、暴れて」
「気にすんな」
「飲み物ごちそう様でした」
「では、また」
サクラと小狼が会釈して歩き出す。
俺達も一度彼等に視線を向けて、其れに続いた。
そんな俺達を彼等は険しい表情で見送ってるのに気付きながら。
プロロロロロ
「「お帰り」」
「おっかえりーー。ん?なんかあったー?ここんとこ、ぎゅーーってまたなってるよ。小狼君」
ファイに指摘され、自分の眉間を擦る小狼。
気になる事があると直ぐに眉間に皺寄せんなぁ、癖か?
「マーケットで会った人が……」
小狼が説明しようとした時だった。
モコナがめきょっとなる。
「!?」
そして、急に飛び上がると額?の石?から光が放たれる。
「次元の魔女!?」
光の先、映し出されたのは次元の魔女だった。
へぇ、モコナって通信機能あるんだ。
「どうしたの侑子!わーい侑子だ侑子だ♥️」
『ちょっと用があったの』
「用、ですか?」
「黒んぴ警戒してるー」
確かに警戒……つーか、威嚇してね?
『服は?』
「あぁ!?」
『元いた国での服はどうしたの?』
どうした?
俺とコウの分は俺が持ってるが……
「沙羅ノ国に置いて来てしまったんです」
「白まんじゅうが無理矢理、別の国に連れて来やがって」
「戻ってもそのまま、すぐこのピッフル国に移動しちゃったからねぇ」
その言葉に次元の魔女が体をずらす。
と、其処には少女達によって掛けられている小狼達の服。
「わたしの服!」
『沙羅ノ国から回収しておいたわ』
……アキとユキのはねぇな。
彼奴等も自分の分は回収済みか。
「侑子、すごいーー!!」
「有り難うございます」
小狼が律儀にぺこりと頭を下げた。
「さっさと寄越せ」
『だめよ』
「「?」」
「何?」
次元の魔女の言葉に俺達は首を傾げ、黒鋼がイラついた様に返す。
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