ツバサクロニクル
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《お待たせしました!皆様!時間です!!》
ワァアァァ
《チェッカーフラッグを振るの我がピッフル
知世嬢が現れ、チェッカーフラッグが大きく振られる。
《『ドラゴンフライレース』のスタートだーーーーー!!!》
そして、一斉に飛び立った。
《さあ!豪華賞品を手に入れるのは一体、誰なのか!?ドラゴンフライ達、綺麗に飛び立ちま……Σ!!》
「「「「「「あ」」」」」」
《さっそく一機失格かーー!?》
サクラの機体が落ちそうになる。
グィーー
《いや!持ち直しましたーー!!》
近くを飛んでいた小狼が助言でもしたのか、無事に持ち直して飛び始めた。
とはいえ、同じく近くを飛ぶ知世嬢に声を掛けられて集中が乱れたのか、また落ちかけたが。
「……大丈夫か?」
「「さてな」」
まぁ、小狼が居るなら大丈夫だろ。
《おーっと飛び出して来たのはーー!?やはり『ドラゴンフライレース』上位入賞常連組だー!っと続いて飛び出してきたのはー!?今回初エントリーの二人!『ツバメ号』と『黒たん号』だー!!》
「「ぶはっ」」
「「『黒たん号』」」
「「はははは!!」」
黒たん号……絶対ファイが命名しただろ。
ビュウ
《なんだーー!?》
その時、彼等を突風が襲う。
《突風です!!ドラゴンフライは非常に軽量です!その為、風の影響を受けやすい!!》
そう言っている間にもいくつかのドラゴンフライが突風で破壊され、落ちて行った。
黒鋼やファイは上手く避けたっぽいな。
ゴォ
《よけられるかーーー!!?》
小狼は突風に対し、上空へと飛び上がり避ける。
「やるな、小狼!」
「声大きくなってるよ」
「うっ」
「双子は俺達より耳がいいんだから気を付けてくれるかな」
興奮したらしいコウが大きな声を出すと、ユキが呆れた様に言った。
いや、周り全員興奮して歓声上げてる状態だから、別に気になんねぇんだけど。
一方レースの方、サクラはというと……
《これはすごいーー!初エントリーの『ウィング・エッグ号』見事なターンです!!》
まるで風が来るのが分かったかのように、突風の周りをターンして避ける。
此れには俺も思わず感心してしまった。
風を読んだ?
俺達みてぇな自然に近い種族なら兎も角……竜巻の声といい、サクラも特別な存在なのかもしれねぇな。
《おお!知世社長にスポットが!?こ……これは!》
スポットが当てられた知世嬢が掲げた手の上に、球状の入れ物に入ったサクラの羽根が。
《今回の優勝賞品、
チェスのキングの様な形の塔に向かって光が放たれる。
《さあ!あの
「ねぇ、アレって盗っちゃ駄目かな?」
「「小狼に怒られるぞ」」
記憶の羽根を指さしながらニッコリと笑って言うユキ。
周りが騒がしいから聞こえはしねぇだろうけど、態々口に出すなよ。
「まぁ、いざという時は……」
「頼んだ」
「了解」
「いいのか、其れで」
「「時には大事ですよ」」
俺達の会話で察したらしいコウが苦笑した。
「つーか、アレ本物じゃねぇぞ」
《それが、この町の殆どの電力をまかなえるという噂の充電電池!!》
「の、模造品ですわ🖤」
あ、実況がコケた。
マイク越し聞こえた知世嬢の言葉にコウもガクッとする。
「皆さんが競って下さっている優秀賞品。何かあっては大変ですもの。本物は我がピッフル・プリセンス社が厳重に保管していますわ」
《さ、さすが
『まかせて安心🖤警備はピッフル・ガードへ』と書かれた垂れ幕と一緒に宣言する知世嬢。
宣伝兼ねてんのか。
《更にスピードをあげる先頭集団!それぞれ見事に『ドラゴンフライ』を操っています!って、いきなり後ろからぶっちぎりだーーー!強引に飛び出したのは『黒たん号』ーー!!》
「だからその名前は呼ぶな!!」
おお、此処まで黒鋼の声が聞こえたわ。
先頭集団の中を強引に抜け出した黒鋼。
その黒鋼の作った道を突き進むファイ。
《『ツバメ号』それに続きます!今回のレース参加で優勝も有り得そうだー!さて中盤はどうだ!?おおっとあれは!?『モコナ号』だーーー!!》
小狼のはモコナ号っつーのか。
そのモコナ号は中盤集団から飛び出した。
……このペースなら黒鋼、ファイ、小狼は心配ねぇだろうな。
問題はサクラ、か。
《そろそろ先頭集団はー!!ゴーールです!!》
トップは黒鋼。
流石だな。
《上位20位までは本選に出場出来ます!》
黒鋼に続いてファイ、笙悟っぽい奴、龍王っぽい奴、金髪がゴールする。
《今、5位まで決まりましたー!!残り15人ー!後10人ーー!》
パン
《おおっと!どうしたー!?》
突然、小狼の周辺に居た複数のドラゴンフライが軽い爆発を起こし脱落した。
《調整に問題があったかーー!?》
……違う。
壊れたのは、小さな光が混ざった煙に触れた機体だ。
《11人目が入った!》
その合間を抜けて、小狼がゴールする。
《後、9人だーー!》
終盤の方は完全に煙に巻かれてしまった。
《すごい煙だ!!巻き込まれると方向を見失うぞーー!》
さぁ、サクラ……お前が風を読めるなら、抜けられる筈だ。
《後3人!!!》
サクラが煙から抜け出した時には、残りは少なくなっていた。
《後2人!後一人―!》
最後、サクラと護刃っぽい奴がほぼ同時にゴールする。
《ほぼ同時かー!?20人目はどっちだー!?カメラ判定です!》
……カメラを見るまでもねぇ。
勝者はサクラだ。
《最後の一人は!!『ウィング・エッグ号』だーー!!》
ワアァァ
さて、無事に予選は通過。
「ハル、見えてたか?」
「ん?ああ……一部始終見えてたぞ」
「「?」」
「ハル様は目がとてもいいのです」
「ですので、他の方よりも多く、細かく見えます」
「へぇ」
「因みにアキは?」
「俺は聴覚だな。流石に遠いが、音で何となく察せる」
「そうなのか」
「……俺も負けられないな」
まぁ、俺達のは生まれ付きなんだけどな。
「……ルア、知世嬢にアポ取っといてくれ。話しとかねぇとな」
「畏まりました」
「4人揃って予選通過ということで」
「かんぱーい🖤」
「「「「お疲れさま」」」」
その日の夜。
俺達は予選通過した彼等を労う事に。
「あ、黒鋼先に飲んじゃってるー。いーけないんだー♪」
「ふん」
「「まぁ、黒鋼だしな」」
寧ろ俺達に合わせる方が異常だな。
「でも、サクラちゃん頑張ったねー」
「ありがとうございます」
「モコナも楽しかったージェットコースターみたいで」
ああ、結構激しかったからな。
「でも、びっくりしたねぇ。途中で、なんだかいっぱい墜落しちゃって」
「『ドラゴンフライ』は調整が難しいらしいですし」
「ジェットコースター?」
「びゅーんてあがってびゅーんて落ちるの」
……もし、俺が見ていたのが全て事実なら、ある程度の予測が立てられるが……其れを言うのは今じゃねぇ、か。
「んーでもねーー。後で予選通過した人に聞いたんだけど、あんなにリタイアが多かったのはないって言ってたよ」
「なんか仕掛けでもあったってのか?」
「それはわかんないーー。リタイア続出したのオレ達がゴールした後だったしー。小狼君、何か気付いた?」
「いえ。飛んで来る他の機体の破片を避けるのに……」
「集中してたもんねぇ。んーー、じゃあサクラちゃんは?」
「キラキラしてました!」
にっこりと笑いながらサクラは答えた。
キラキラ?
「キラキラ?」
「うふふ、キラキラ!煙がね、キラキラしてたの!風に乗って飛んでたの!その中をびゅーんて飛んだの!!」
そのままびゅーんびゅーんとモコナと手を取って回るサクラ。
……まさか……
「ひ、姫!?」
「「「「…………」」」」
嫌な予感に俺達と黒鋼は視線を交わす。
「そうだ!飛ばなきゃ!!」
「飛ぼう!!」
「「Σ」」
「あ、おい……」
「姫!」
「ちょっと待て!」
サクラはモコナと共に出て行き、其れを慌てて小狼とコウが追い掛けて行った。
その間に、ファイがサクラが飲んでいたコップを取る。
くんくん「これ、お酒入ってるーーあはははははー」
「何!?小僧と姫には飲ませるなっつっただろ!!」
「ちゃんと別けたぞ」
面倒くさがりな所があるアキを見れば、何か言う前に否定された。
「モコナのにも入ってるからー犯人はモコナかなー。モコナ、サクラちゃんのにも入れたな」
「アキ……面倒くさがって、ちゃんと仕舞わなかっただろ」
「…………」
「「目逸らすな」」
ブロロロロロ バルンバルン
「だめです!姫!!」
「止めろ!待て!!」
「小狼君達も一緒に飛ぼう!」
「…………」
ぷすんぷすん
「わーーーー!」
ヒュルルルル~~
「…………💢💢」
ガッシャーン
「💢」
外の賑やかな声に揺れるトレーラー。
「押さえてろよ小僧!」うがーー
「いってらっしゃーい。お父さんの出動だーー」
「アキも行け」
「行った方がいいと思う」
「……分かった」
それからサクラが捕獲されると同時に解散する事に。
「アキ、少しは反省しろ」
「すまん」
「それくらいにして、今日はもう休もうか」
「そうだな、ちょっと疲れた」
アキとコウが直ぐにベッドに入り、俺は窓辺に座る。
「……ハル」
「ん?どうした」
「ハルは、あの煙の犯人見えてたの?」
「まぁ……俺の目はよく見えるからな」
「じゃあ……」
「其れはまだ確定ではないし、動機が分からないからな」
「…………」
「ユキ、まだ敵とは限らないぞ」
俺の言葉に目を鋭くさせていたユキがキョトンとした。
無自覚なのか?
「ユキ、先ずは俺達と対等な友達で家族になれ」
「え、それって、もうなってる」
「俺達はな。お前はまだ、俺達の役に立とうとしてる」
「!」
「直ぐには分からないかもだが……俺はお前と対等になりたいんだ」
「……参ったな。此れでも長生きの筈なんだけど」
「ずっと誰かの為に、誰かの役に立つ為に生きて来たんじゃないか?」
「……そうかも。でも、俺は対等であり、双子の刃になりたいからね」
「そうか。よろしく……特にアキを」
「アキなんだ」
「彼奴は俺の為に動いて、俺の為なら無茶するから」
「分かった」
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