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それから俺達は眺めのいい外で昼飯を貰った。
「ぷっはぁ~~っ、これおいしー!」
豪快に酒を飲むモコナに苦笑する。
「ねね、これも貰っていい?」
「どうぞ」
「よーし!侑子に送ってあげよー♪」ごばぁ
「「Σう…器ごと?!」」
「おー」「凄いですね」
酒の器ごと飲み込むモコナ。
侑子の所つってたから、次元の魔女の所にでも繋がってんだろ。
「ちゃんと食べているか?小狼」
「は、はい!」
外に居る為、鳥が寄って来た。
左腕を差し出せば其処に停まり、右手で食べ物をやる。
「……ここは『修羅ノ国』というんですね」
「そう。ここは、我ら阿修羅族が統べている国だ」
「夜叉族というのは?」
「我らが戦っている者達だ。永きに亘ってな」
小狼の問い掛けに穏やかに答える阿修羅王。
あ、やばい。
鳥スゲェ寄って来た。
「夜叉族はどこからあの城に来るんですか?」
「さあ」
「「え?」」
「夜叉族も月が現れ、中天に上りきるまでの間だけ、あの空に浮かぶ城に何処からか招かれるらしい。少なくとも近隣国からなどではないようだな。あそこ以外で夜叉族と会った者もおらんし」
互いに何処から来たか分からねぇ相手と戦ってんのか。
「どこから来たか分からない人達と戦っているんですか?」
「そう。遥か古から」
「何故?」
「あの城を手に入れたものは、望みを叶えることが出来ると言われている」
望み、ね。
こりゃ、サクラの記憶の羽根の可能性が高まったな。
「……望みを叶える」
「そんな言い伝えの為に、もう何代も阿修羅族と夜叉族は血を流しているんだ。あの月の城で。望みのない者などいない。もし『自分には何の望みもない』という者がいたら、それは己の心の奥を知らぬだけだ」
……確かにな。
俺だって自分の望みで旅をしてるし、仲間を作ってる。
「……貴方の望みはなんですか?」
「…………」
小狼の問い掛けに、阿修羅王は笑顔を浮かべるだけだった。
「旅をしていると言っていたな、小狼」
「はい」
「サクラとこのモコナ、ハルと綱平と?」
「あと四人と」
「何の為に?」
「探し物があるんです」
「それがこの国に?」
「分かりません。でも、可能性があります」
小狼が言いながら俺とモコナを見て来た為、俺達は頷いて返す。
「お願いがあります」
「何だ?」
「おれを月の城に連れていって欲しいんです」
その言葉に流石の阿修羅王も驚いた様に動きを止めた。
「あそこは
「死にません。やらなければならないことがあるから」
強い瞳ではっきりと告げる小狼。
「駄目だ」
「阿修羅王!」
喰って掛かろうとする小狼に対し、阿修羅王はにこと笑う。
「その格好では、な」
「え?」
……お茶目、っつっていーのか?
「それにしても、モテるなハルは」
「ん?」
「「「確かに」」」
急に俺に話が振られたんだが。
つーか、もしかして肩やら頭やらに停まってる鳥の事言ってんのか?
「ハル様は人以外に愛されるという魂の性質なのです」
「そうなのか」
「だから鳥が集まって……」
「いい事ばっかじゃねぇけどな」
「そうなのか?」
「生き物によっちゃ、美味そうって意味で愛されるからな」
「「美味そう?!」」
捕食対象として、愛玩として、色々な意味で愛されるらしいんだよな。
あくまで人以外には。
「その時はアキ様が相手をボコりますね」
「アキ?」
「俺の双子の兄だ」
「ほお、兄がいるのか」
「おう。双子のと歳の離れたのがな」
「え、そうなのか」
「ハル兄って、弟なんですね」
「まぁな。今は弟妹が沢山居るが、元は末っ子だ」
「「え、意外」」
「お前等仲良しか」
そして、日は沈み……月が昇り始める夜となった。
「月の城にどこの者とも知れぬ者をお連れになるなど!何をお考えなのですか!?阿修羅王!」
「何も。ただ、見たいと思っただけだ。「望みが叶うところを」」
阿修羅族の中に装備して紛れる小狼とコウと俺。
ルアとモコナにはサクラの所に残って貰ってる。
「……阿修羅王?」
楽しそうだな、王は。
「ハル、鎧は?」
「要らねぇ。俺の場合だと唯の重しになっちまうからな」
ゴゴゴゴ
と、始まりそうだな。
「行くぞ。小狼、綱平、ハル」
「はい!」「ああ!」「おう」
ユラ
そして、景色が変わった。
ドシュ ドサッ
早速斬られやがったな。
其処に居たのは……
「ファイさん!?黒鋼さん!?」
「アキ!?ユキ!?」
「おー」
蒼氷を携えた黒鋼、弓矢を携えたファイ、大剣を携えたアキ、苦無を携えたユキだった。
ウオオオオオオ
「「!?」」
「…………」
「ぎゃあ!」
「わあっ!!」
「黒鋼さん!!ファイさん!!」
「ハル、アレはアキとユキだよな!?」
「落ち着け。此処は戦場って事を忘れんな」
次々と斬り伏せていく彼等。
……大剣、ね。
「お前等、奴等を知ってるのか!?」
「分かりません!でも……そっくりなんです!」
「あの四人は強いぞ。恐らく夜叉王配下で最強だ」
「だろうな……コウ、見ておけ」
「!」
俺は愛刀片手に駆け出す。
「!」
「よぉ」
ガキンッ
アキの姿の奴に斬り掛かれば、向こうも大剣で応じて来た。
「……何時ぞやとは逆だな」
「……あの時は俺からだったか」
「おう。俺が義父さん側についた時な」
「ああ、分かってる……小狼とコウには誤魔化してくれ。一応別人で通すつもりだから」
「ん、分かった。つーか、何で大剣なんだよ」
「海賊スタイルだと銃の説明が面倒だったから……お前の目から見て、夜叉王はどうだ?」
「間違いねぇと思うぞ。穢れで微妙だけどな」
「そうか」
剣を交わしながらアキと話す。
視線を向ければ、小狼も黒鋼と剣を交わしていた。
と、小狼が追い詰められ、其れを阿修羅王が炎で助ける。
その阿修羅王へと炎を斬り裂いて接近する黒鋼の姿に、俺も其方へと動いた。
ガキン
「見事だな……どちらも」
阿修羅の首に突き付けられそうだった剣先を俺の愛刀で受け止める。
「……やるか?」
「ああ」
ギュルル
「「!」」
黒鋼目掛けて飛んで来た三日月形の武器、ブーメラン。
「王!!おのれ!!」
ああ、あの側近の奴か。
カッ
「くっ!!」
彼は黒鋼を襲うとしたが、その前に左肩に矢が刺さった。
「俺の相手だ。手出しすんな」
「…………」
ファイは……喋らねぇ設定か?
ザッ
「!」
そうしている間に二人が囲われる。
アキ達は少し離れた所で此方を見ていた。
フワァ
「「「「!!」」」」
「っと、こりゃ……守護方陣!」
「夜魔・天狼剣」
遠隔からの広範囲攻撃。
俺と俺の守護方陣の範囲外の奴等が吹き飛ぶ。
「おのれ!夜叉王!」
「はー。だから俺の相手だっつってんだろうが。夜叉王」
高台に居る夜叉王、そんな彼を見上げる阿修羅王。
二人が見詰める中、また景色が揺らいだ。
「今度はとどめを刺すつもりで来い、ガキ」
そして、俺達は修羅ノ国にまた戻る。
「傷は?」
「大丈夫です」
「そうは見えないが……やらなければならないことがあるからか?それが小狼の望みの強さなのだな」
「……阿修羅王」
微笑んで小狼を見ていた阿修羅は、月の城を真剣な眼差しで見上げた。
「……万物に宿りし生命の息吹を此処に……リザレクション」
「「「「「!」」」」」
「此れである程度傷は癒えただろ……悪ぃがおのれは此れで休ませて貰う」
「……ああ、ゆっくり休め」
呆気に取られる彼等をスルーし、先には部屋に帰らせて貰う。
「お帰りなさいませ、ハル様……大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと当てられただけだ。悪ぃが少し休ませて貰う」
「はい、畏まりました」
「っハル!」
寝床に入ろうとすると、俺を追い掛けて来たらしいコウがやって来た。
「俺は……何も出来なかった」
「…………」
「もっと俺を強くしてくれ!今度こそ、ハルの隣で戦える様に!見ているだけは御免だ!」
……ああ、いい目になったな。
元々焚き付ける為だったし、丁度い。
「おう……でも、今は休ませてくれ」
「!そ、そうだな。ゆっくり休んでくれ」
「おー」
そして、俺はサクラと代わる様に眠りに就かせて貰う。
ガカッ
「遅い」
「っ!」
「もっとリーチを生かせ。其れでは一瞬でやられる」
「はい!!」
翌日。
俺は本格的にコウに戦い方を教えていた。
「……どうした?小狼」
「!」
「あ、いえ……すみません、邪魔をしてしまって(凄い……ハル兄の雰囲気が何時もと全く違う。触っただけで斬れそうだ)」
「いや、気にするな……コウ、休憩するぞ」
「っ……はい……っ」
激しくやったからな……凄い息切れてるな。
「で、どうした?」
「(雰囲気がいつもの感じに戻った……)あ、ちょっと街に行こうと思って。黒鋼さん達の事を聞きに行こうかと」
「そうか……コウ、休憩がてら一緒に行って来い」
「え、でも……」
「どの道夜までにゃある程度回復しとかなきゃ保たねぇしな……あ、コウ」
「?」
コウを手招き、腕輪を両腕に付ける。
「っ重」
「俺の靴と同じ位の重さ」
「(こんな重いのを着けて、あんなに速いのか……!?)」
「取り敢えず、その腕輪で攻撃力を上げるぞ。慣れたら次は足な」
「わ、分かった」
「よし、小狼。コウを頼んだ」
「は、はい」
そして二人を送り出した。
「教えるのは苦手だと仰っていたのに」
「まぁな。実際苦手だから実践形式なんだよ」
俺が戦い方を教えたのは……うん、数えられる位だな。
「何となく此れから必要になる気がしてな」
「……もしかしたら、正式な渡り鳥……陪神になるかもしれませんね」
「あー……陪神か……なるのかねぇ」
「何の話だ?」
「「!」」
振り返ると、阿修羅が歩み寄って来ている。
「ああ、ちょいと俺の種族と能力的な話だ。で、そっちは何か用か?」
「……少し聞きたい事があってな」
「何だ?」
「神になる、というのはどんな感じだ?」
思わず阿修羅王を見た。
……その話は、この国では出してねぇんだが。
「……別に。神だろうと何だろうと俺は俺の選んだ道を進む。それだけだ……だが、成った以上唯の人としては生きられねぇ」
「……そうだな」
「……お前は、願いの為に神にでもなるつもりか」
「さぁ?」
「其処まで愛してんだな」
今度は俺の言葉に阿修羅王が目を瞠る。
「……気付いていたのか」
「まぁ、経験はそれなりにあるんでな」
「そう……だな」
「介入する気はねぇよ。お前はお前の選んだ道を進めばいいだろうし」
「ああ、そうだな……此れからサクラと食事をする。ハルもどうだ?」
「俺はいい。女同士でゆっくり話でもして来い」
「そうか……最後にもう一つ。小狼の事は、知ってるのか?」
「…………彼奴がどんな存在だろうと、俺を兄と呼ぶ限り末弟だ」
「ふふ、そうか」
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