ツバサクロニクル
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新しい世界に降り立つ。
「ん、バラバラになったな」
「そうみたいですね」
「暑そうな世界だね」
「確かに」
俺達側のメンバーは俺とユキとコウとルア、小狼とサクラだった。
まだ眠っているサクラをテキトーな草の上に寝かせる。
熱帯雨林の様な世界だな。
「少し見て来ます。姫をお願いします」
「あ、俺も行こう」
「「行ってらっしゃい」」
小狼とコウが話しながら歩いて行くのを見送った。
「……なぁ、ユキ」
「ん?」
「俺の料理不味いか?」
「え、普通に美味しいけど」
「いや、お前あんま食わねぇだろ」
「確かに。よくアキ様の器に自分の分を入れてますよね?」
「あー……うん。元々あんまり食べなくて。癖かな」
俺達の言葉に苦笑するアキ。
「……俺、さ。育ちの環境とか色々あって、味がしないんだ」
「!」
「だけどさ、双子の作った料理だけは味が感じられるんだ。もう何百年も味なんて感じなかったのに。正直最初は驚いたよ。泣きそうにもなった……と言っても、今まで食べて来なかったから、全然食べれないんだ」
「そうか……あの料理は味見が出来ないからか?」
「多分違うかな?料理って魚入れとけばいいって、教えて貰ったし」
「それ間違いだからな?魚入れたら駄目なのもあるからな?」
何でそんな知識だけあんだよ……。
と、その時、サクラが動く。
「わたし、また途中で眠っちゃったんだ……あ……『
「落ち着け」
「大丈夫だから、ね?」
目覚めて早々、目の前の景色に驚くサクラに苦笑しながらユキと宥めた。
「目が覚めましたか?」
「小狼君!」
「……一応、俺も居るんだが」
「お帰り、コウ」
苦笑するコウの肩に手を置く。
「ここって……」
「桜都国じゃないんです」
「わたしが眠ってる間に移動しちゃったの?大変な時にわたし、眠ってたのね。桜都国で会った人達にお別れも言ってないし」
サクラへの説明を小狼に任せ、俺とユキはコウを撫でた。
「サクラ姫……姫の羽根、取り戻せなかったんです。小さかったおれに戦い方を教えてくれた人が羽根を持っていて、そのまま別の世界へ移動するのを止められませんでした」
握った拳に力を込める小狼。
そんな小狼の手をサクラがそっと握る。
「小狼君、怪我は?」
「……いえ」
「ほんとに?」じっ
「ほ、ほんとです!」
疑う様な目に小狼は慌てて答えた。
「黒鋼さんは?ファイさんは?モコちゃんは?ルアちゃんとソルちゃんは?双子さんは?ユキさんにコウさんは?」
「怪我してねぇな」
「同じく」
「俺も」
「大丈夫です!」
「モコちゃん?モコナですよね。みんな大丈夫かと」
サクラ、モコナの事モコちゃんって呼んでるのか……。
ルアとソルもちゃん付けみてぇだし。
「良かった。みんな、怪我がないなら本当に良かった」
「…姫……」
目映い笑顔を浮かべるサクラ。
ガサッ
「!?」
ビュン ヒュッ
木の実の様な物が飛んで来て、其れをユキが苦無で全て撃ち落とす。
その後直ぐにまた木の実が飛んで来た。
其れに今度はルアが前に出て防御壁を繰り出す。
ジリ
「!チッ」
「きゃあ!」
咄嗟にサクラを引っ張るが、纏めて蔦で作られた網の罠に吊り上げられた。
「姫!!」「ハル!!」
ゴッ
「小狼君!!」
「「コウ(君)!」」
そんな俺達に気を取られたルアが防御壁を解いてしまい、小狼とコウの頭に木の実がぶつかる。
其れに一瞬気を取られたユキがルアを抱えて、木の上へ。
「小狼君ーーー!!」
そのまま小狼とコウは、彼等を取り囲んだ生き物達に連れ去られた。
俺は自分の苦無を出して、蔦を斬りながらユキの方に視線を向ける。
ユキはルアを連れたまま、生き物達の後を追った。
「っと、ほら、降りて大丈夫だ」
「小狼君!」
「コラコラ、落ち着け」
先に抜け出してサクラを受け止める。
そのまま駆け出しかけたサクラを押さえた。
「でも!」
「ユキが追ってる。流石に危なくなったら手ぇ出すだろ。其れに、今は彼奴が先」
「え?」
俺が指差した先……其処に居たのは、アキ達。
「何かあったのか?」
「小狼君達が攫われたんです!」
俺達はユキが追ってる事も含めて、アキ達に説明する。
其れから、俺達は彼等の後を追い掛けた。
「まぁ……ハルが警戒してないなら、大丈夫だと思うがな」
「いいから行くぞ」
「此方です!」
ルアと繋がっているソルの案内で、俺達は駆け抜ける。
「小狼君達を捕まえたのは、耳としっぽが生えた小さい人達だったとー」
「はい!」
「この世界にゃ珍しいタイプだったな」
「どういう事だ?」
「モコモコだった」
「モコモコ……」
何か違和感あったんだよなぁ……。
「桜都国でやった訓練はどうなってんだ。木の実後ろ頭にぶつけて昏倒とはな」
「わたしがハルさんを巻き込んで、あの木の蔦に吊られてしまって、それを助けようとして……!」
「まぁ、桜都国ではああするしかない状況だったとはいえ、剣を扱うにはまだまだだな」
「先生きびしー」
「コウももっと鍛えねぇといけねぇな」
「……程々にな」
因みに俺はサクラを抱き抱えた状態で走りながら話していた。
「あっち!煙だ!!」
そんなサクラに抱えられてるモコナが指差した先、大きめな煙が上がっている。
「小狼君!!」
「「あ」」
駆け込んだ俺達は思わず転けそうな位、脱力した。
何せ、小狼とコウは例の生き物達と呑気に食事をしているのだから。
「大丈夫でしたか?」
コクコク「小狼君は!?」
駆け寄って来る小狼とコウ。
序でに少し離れた所に居たらしいユキも、ルアを腕に抱いて歩み寄って来る。
「タンコブできてる!」
小狼の後頭部を撫でながら言うサクラ。
逆に俺はコウとユキに軽くチョップした。
「「あいた」」
「コウは油断し過ぎ。ユキはコウを見捨てただろ」
「平気です。それに、色々事情もあったみたいですし」
「事情ー?」
例の生き物達がわらわらと近寄って来る。
「なんだてめえら」ギロッ
が、黒鋼に睨まれて小狼とコウの後ろに並んだ。
隠れてるつもり、なんだよな?
「このヒト、顔こわいけど取りあえず、いきなり噛みついたりしないからーー」
「取りあえずってのは何だ!!」ギラリ
「えへへ~♪怖い顔はいいんだー♪」
「黒鋼とファイなかよしー🖤」
……まぁ、ある意味仲良しだな。
「魔物がいるんだそうです。この森を抜けて、更に奥の樹海に」
「突然、現れて此奴等の住処を荒し廻ってるそうだ」
其れから俺達は座って、事情とやらを聞く。
「みんなで戦った」
「けど、ぜんぜんダメ」
「あの恐ろしいものイケニエささげろっていった」
「おいしそうなイケニエ渡したら、もう森荒らさないって」
「で、おいしそうな小狼君と綱平君を捧げようとしたとーー」
「モコナも美味しそうなのにーーぃ🖤っていうか満漢全席に匹敵する御馳走加減なのに~~ん🖤」
「「食べられるんだぞ」」
美味しそう、か。
たまに似たような事言われて、襲われるなぁ。
「で、焼いて捧げられそうになったつうのに、何のんきに飯食ってんだよ」
「その魔物、話を聞いていると本当に、急に現れたらしいんです。そして、圧倒的な力を持っている」
「今までのサクラちゃんの羽根絡みの事件と似てるかもーー」
羽根か……その気配は感じねぇけどなぁ。
「あの恐ろしいものが現れないように出来るかもしれないって、これら、いった。だからほどいた」
「これら、くわしいことが聞きたいといった。だから座った」
「いっしょに座ったら、仲間。仲間ならいっしょに食べる」
「なるほどー」
小狼とコウにぴとっと抱き付く生き物達。
独自のルールって訳か。
「モコナ、ハル兄、羽根の気配は?」
「……うん、感じる。近い」
「そう……だな」
「「?」」
俺の言い方にアキとユキが視線を向けて来たのが分かった。
「魔物退治ってわけか」
一方でにっと笑う黒鋼。
「黒様うれしそーー。テンション上がってたのに、不完全燃焼になっちゃったもんねぇ」
「ふん」
「わたしも行きます」
その時、強い目でサクラが言う。
「姫……」
「足手まといにならないように頑張ります。一緒に行かせて下さい」
「……はい」
サクラの意志に、小狼も微笑みながら頷いた。
……サクラも随分と強くなったな。
記憶が戻ったってのもあるが、彼女自身がこの旅で強くしてんだろうな。
そして、俺達は件の魔物の元に向かう事に。
「みんなで行くのだめ!」
「だめ!」
が、生き物達に邪魔をされている。
「え?え?」
「みんな行って帰って来なかったらイケニエいなくなる。ひとり残って!」
あー……まぁ、確かに。
「あははは。しっかりしてるーー」
「こいつら💢」
「でも、誰を……」
「「それな」」
残して行くのは一人でいいとはいえ……誰を残していったもんだ。
「モコナを残しちゃうのは問題かもーー。いざという時、言葉が通じなくなると困るし。黒りーは、もちろん行く気満々だしー。ハル君も行く感じだよねー?」
「まぁ、な」
「それなら、アキ君達もついて行くよねー?」
「ああ」「そうだね」「あ、ああ……」
出来りゃ、確認してぇ事もあるから行きてぇけど。
「じゃあ、オレ残るよーー」
「でも……!」
「サクラちゃんは行って来てーー。危ない目に遭うかもしれないけど、それでも行きたいんでしょ?」
「はい」
という事で、ファイが残る事になった。
「ルア」「ソル」
「「畏まりました」」
ルアとソルが各々俺達から降りて、ファイの足元へと移動する。
ルアとソルがいりゃ、最悪の事態は避けれんだろ。
「ここで応援してるよーー」
「さっさと行くぞ」
そして……
「魔物が住む樹海へ」
俺達は樹海を目指して歩き出した。
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