ツバサクロニクル
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ファイとコウに休んで貰いつつも、無事に今日の営業時間を終える。
「ファイ、平気ーー?」
「うんー。随分、ましになったよーー。頭も痛くなくなってきたしーー」
「すみませんでした!」
「「落ち着け落ち着け」」
「「大きい声ですね」」
「誰も怒ってないからね」
途中から合流したファイとコウ。
その内、コウは深く頭を下げて来た。
カラン♪カラン♪
「お帰りなさ……小狼君!!」
扉を開けた先に居たのは……ずぶ濡れにボロボロな小狼が。
「小狼、いっぱい怪我してる!」
「また鬼児に出会したー?」
「いえ。あ、着替えてきますね」
パタン
扉の向こうに消えた小狼。
「サクラちゃん、これ」
心配そうにその扉を見詰めるサクラに、ファイが瓶を差し出す。
「傷薬。もってってあげて」
「はい!」
そして、サクラは軽い足音で追い掛けて行った。
「あれは、剣の訓練のせいー?」
「「?」」
「酔ってんじゃなかったのかよ」
「あははは、あの時はまだちょっと意識あったんだーー。その後は目が覚めたらベッドの上だったけどー」
意味が分からず、コウと一緒に首を傾げていたら、アキとユキに頭を撫でられる。
「初日から相当厳しい先生みたいだねぇ」
「あのガキがそう望んだからな」
「でも、確かに急いだほうがいいかもしれないね」
ファイが黒鋼に飯を出しながら言った。
「織葉さんが言ってたでしょー。『桜都国の鬼児は、鬼児狩りが誤って一般市民を傷つけてしまわないように、みな異形』だって。それって、つまり『鬼児は意図的に作り出されたものだ』っておとだよねぇ」
アキと視線を交わす。
やはり、アキの勘の通りかもな。
「この国の鬼児って管理された『狩りの標的』みたいなものじゃないかなぁ。それなら、市役所が鬼児の動向を把握してるの分かるしーー。それなのに、最近鬼児の動きがおかしいらしいねー。それと」
「新種の鬼児、か」
「……サクラちゃんの羽根が関わってるのかもしれない」
俺やモコナから、気配を察知させない……っつー事は、厄介な奴が居るかもしれないな。
翌日。
店の中は俺達だけだった。
小狼と黒鋼は剣の稽古、ファイとサクラとモコナは買い出しに行っている。
客を捌きつつ、気紛れにピアノを弾くユキに合わせて歌った。
そんな俺達をチラチラと見るコウ。
「本当に皆は上手いな」
「「本当に素敵でした」」
客が帰った後、のんびりと談笑する。
「そういえば、ハルの髪……其れは編み込み、か?」
「ああ」
「凄いな。俺は簡単に纏めるしかしないんだが……」
「ルアが率先してやるからな。お前もやってみるか?」
「ん?いいのか?少し興味があったんだ」
そう話したコウが俺の前に座り、その長い髪を梳かした。
「瞳の色は眼鏡で誤魔化していたんだが、この髪は君尋が誉めてくれたから、伸ばしたかったんだ」
「君尋、というのはお前の兄弟か?」
「厳密には兄弟の様に育った関係だ」
「そうか」
「そもそも眼鏡も君尋が掛け始めたから、掛けた様なものだ」
「兄弟が大切なんだな」
目を閉じて話すコウ。
……やっと、肩の力が抜けたな。
其れから暫くしてファイとサクラが帰り、また店が賑わう。
カラン♪カラン♪
「ワンコ一人で帰って来たー」
「お帰りなさい」
「おう」
サクラの声に視線を向ければ、小麦粉を肩に担いだ黒鋼がいた。
「おかえりーーお使いありがとーー」
「今度は店の奴に運ばせろ」
「でも自分で持って帰ったほうが安いんだよー。だから勝って来るって小狼君がーー」
「あの、小狼君は」
「まだ鍛練中だ」
「すみませーん」
「あ、はーい」
サクラが客に呼ばれて行く。
「ファイ、店任せていいか」
「ん?」
「ちょっと出て来るわ」
「りょーかい」
「お供します!」
奥に置いてある上着を羽織れば、直ぐにフードにルアが突っ込んで来た。
「あ、俺も」
すると、コウが俺について来た。
コウと談笑しながら歩く。
「あ、ハル兄、綱平さん」
「あ、昨日の!」
と、前から小狼と龍王が駆け寄って来た。
「はは、ボロボロだな」
小狼の頭をポンポンと撫でると、彼ははにかんだ様に笑う。
「うわぁぁ!!」
悲鳴が聞こえ、小狼と龍王が駆け出した。
「ハル、行かないのか?」
「行くさ……唯、鬼児の相手は鬼児狩りだからな」
俺達も其れに続く。
「この先だ!!」
どうやら二人組の男が鬼児と戦っている様だった。
大きな目玉がついた花の様な鬼児。
オオオオオオ ドン
その鬼児は月の光を集め、強烈なビームの様なものを放つ。
「!」
ガッ
諸に受けて飛んで来た男達を俺とコウが受け止めた。
「っハル、ぶれないなんて流石だな」
「おう、まぁな……万物に宿りし生命の息吹きを此処に……リザレクション」
「あの二人、ちょっとは名の知れた鬼児狩りだぞ、それを一閃で…!」
小狼の視線が桜の木に留まっている。
その視線を辿ると、青年が座っていた。
「星史郎さん……」
小狼の知り合いか?
青年は穏やかに微笑んでいる。
「久しぶりだね、小狼」
「どうして、星史郎さんがこの世界に……」
バッ
「うわっ!」
龍王に襲い掛かる鬼児。
「だめだ!数が多すぎる!逃げるぞ!」
「でも……!」
「逃げても恥じゃねぇ!このままだとやられるぞ!!」
「来たれ爆炎 焼き尽くせ……バーンストライク!」
「!」
龍王を襲っていた鬼児を聖隷術で一掃した。
元から聖隷術は利くのか、星史郎と呼ばれた青年に歪まされたのか。
龍王が小狼の腕を掴んで走って来る。
「あれが噂の新種の鬼児だな!」
そのまま俺達は店に戻った。
カラン♪カラン♪カラン♪
「どうしたの?」
「新種…の鬼児に会っ…た」
どうやら護刃が来ていたらしい。
「戦ったの!?」
「いや、鬼児を従えてて、それが凄い数で……だから……そのまま逃げた……けど。でも……あれは絶対…強い!」
……やっぱり小狼の様子がおかしいな。
あの青年、小狼にとっては特別な存在か?
「どうしたの?小狼君」
「あの鬼児と一緒にいた人は、おれの知ってる人かもしれない……その人は、おれに戦い方を教えてくれた人です」
小狼の師匠、か。
其れはまた厄介だな。
一先ず、この日の夜は解散する事に。
コンコンコン
「ん?どうした?」
「相談したい事があるんだが」
「取り敢えず、外にでも出るか」
別室に寝泊まりをしているコウ。
熟睡し始めているアキ達を起こさない様に、彼と共に外に出る。
「ハル!俺を強くしてくれ!」
コウがバッと頭を下げた。
「俺は此処よりも平穏な世界で育った。怪異に好かれ易い君尋を護る為に、剣を振るう事もあった。だが、今のままでは弱い。だから、俺を強くしてくれ」
「そうだな……教えんのは苦手だから、剣の相手くらいはしてやる」
「!ありがとう!」
という事で、俺はコウの相手をする様になる。
翌朝、俺達は普段通りの朝を迎えた。
「おはようございます。すみません、遅くなって」
「だいじょーぶ。今、ちょうどいい感じに焼き上がったよー」
「おっはよー」
「おはよう」
「黒鋼、ひとりで食べ終わっちゃったー」
「食える時に食う。何があるか分かんねぇからな」
黒鋼の分だけ空になった皿。
「わーー忍者っぽい♡」
「忍者だ!!」
「ありがとうございます、いただきます」
「で、今日一日のワンココンビのスケジュールはーー」
「モコナピーンチ!たぁすけてぇ」
「市役所に行きたいです」
そんな事があり、ワンココンビは市役所へ行く。
彼等を見送った後、サクラ達は片付けを、俺達は開店の準備をしていた。
「ゆっくりで良いよーサクラちゃん」
「はい。でも、もうちょっとだから」
「頑張るねーー」
「一緒に旅してるみんなにわたし、何も出来ないから。出来る事だけでも頑張りたいんです」
皿洗いをしながら、決意を話すサクラ。
「いつか……少しでも、辛い事を分けてもらえるよう……に……」
「きゃーー!サクラ危ない!」
その時、サクラが眠りに就いてしまう。
そんな彼女をファイが受け止めた。
「……本当に良い子だね、サクラちゃん。他に構ってる暇なんてない筈のオレが、幸せを願ってしまうくらい」
そう言うファイの微笑みは……何時もの様な上っ面だけのものではなかった。
「……ファイ、ちょっと買い出し行ってくる」
「ハルが行くなら俺も行く」
「あ、俺も行く!」
「うん、お願いねー」
ユキとルアとソルにファイと共に店を頼み、俺達は買い出しへと向かう。
アキとコウと共に一通り買い出しを終えた頃。
「……!」
「「ハル?」」
何だか嫌な予感がした。
「嫌な……予感がする。此れは……ユキ?」
「「!!」」
俺達は急いで店に戻る。
「此れ、は……」
「ハル!アキ!コウ!」
店の中は滅茶苦茶になっており、居るのは眠っているサクラと側に居るルアとソル、モコナだけ。
ユキとファイの姿がなかった。
「「何があった」」
「「実は……」」
ルアとソルから、何があった聞かされる。
星史郎らしい青年が店に来て、鬼児に二人を襲わせた。
結果、二人が居なくなってしまったらしい。
話を聞いた直後、小狼と黒鋼が駆け込んで来る。
モコナが彼等に説明した。
「……喰われたのか、鬼児に」
「分からない……お客さんだと思ったの。マントみたいなの被った男の人で、その人が鬼児で連れて来たみたいで……」
「……どんな男だ」
「ファイがね、『星史郎さんですか?』って」
小狼の表情が変わる。
「あのね。小狼に、伝えて欲しいって。『小狼を待ってる。桜の下で』」
「……黒鋼さん、兄さん達。桜姫をお願いします」
「「「…………」」」
一人で行くつもり、なんだな。
「勝てる相手なのか」
「いえ。おれでは星史郎さんには勝てないでしょう。でも……行きます」
勝てなくても行く……そうだよな。
小狼みてぇなタイプは一人で行くよなぁ。
「……日が変わって、おまえが帰らなかったら。後は俺の勝手だ」
「「同じく」」
「……有り難う御座います」
小狼が一人、外へと向かった。
「小狼!!」
モコナが声を掛けた直後、羽根の力を感知する。
「サクラの羽根の力感じる!強くなってる!でも、何か変な感じがする!!」
「……気を付けろ」
小狼達を見送った後、俺は愛刀を出した。
「?」
「……来る」
バンッ
鬼児が店を襲撃して来る。
俺が迎撃するのと同時に、黒鋼がサクラを肩に担いだ。
「獅子戦吼」
「チッ!」
「コウ、モコナ達を」
「あ、ああ!」
俺の背後にサクラをアキに預けた黒鋼が並ぶ。
アキはサクラをお姫様抱っこしつつ、輝石で援護してくる。
コウはルアやソル、モコナを抱えた。
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