ツバサクロニクル
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「そういえば、お聞きになりましたか。あの噂」
「ああ。『情報屋』の絵里衣からな」
「鬼児の新種が出たって話だろ!?」
新種の鬼児……黒鋼達が聞きに行ってるやつか。
「……と、いけね。そろそろか」
「何が?」
「スコーン」
「あ、食べたい!」
「用意すっから、ちょっと待ってろな」
護刃の頭を軽く撫で、スコーンの様子を見に行った。
「……ありゃモテるだろ」
「本人は直ぐに否定するがな」
「「ハル様は綺麗ですから」」
「綺麗とか言うな」
「「綺麗だろ」」
「あ?」
アキとユキを睨んでもかわされる。
「お前等、誰が飯作ってると思ってんだ」
「「ごめんなさい」」
「…………」
俺達のやり取りを見て、コウが小さく笑った。
そんな事を話している間に掃除は終わり、龍王もカウンターに座る。
「お二人も鬼児狩りなんですね」
「おう!『イの五段階』の鬼児までは倒したぞ」
「小狼、ちょっと任せていいか」
「はい」
小狼に任せ、俺はテーブル席に座るユキにスコーンを出した。
そうすれば、アキが四人分の紅茶を持ってきて、ルアとソル、コウもやって来てお茶会に。
ちゃんと自分達の分は払うつもりだ。
「……ハルの料理は君尋とのは違うが、此れも美味いな」
「君尋?コウ君の兄弟かな?」
「いや……あー、兄弟みたいに育った仲だ」
「「「へぇ」」」
目を細めて言うコウを俺達も微笑みながら見詰める。
そんな風にのんびり話していた時だった。
「……!何か来る」
「「!」」
「「「「鬼児が来た!!」」」」
向こうも察知したらしく、客が一斉に飛び出す。
「ここにいて下さい!」
「小狼君!!」
モコナをサクラに渡し、其に続く小狼。
「…………」
俺は歩いて其に続いた。
俺が外に出た時、小狼は龍王を庇っている所で、視認と同時に愛刀を出す。
「蒼破」
大きな人型の鬼児が鞭の様な腕で二人に襲い掛かった。
その腕が小狼の足を掴みそうなのを、俺の攻撃で防ぐ。
「ありがとうございます!」
「集中」
「はい!」
「小狼君!!!」
「近寄っちゃだめ!!危ないわ!!」
モコナを抱えたサクラが店から飛び出し、護刃が彼女を抑えた。
まぁ、近付いて来るのは俺とでかい苦無を出したユキが弾くけどな。
「海王陣!!!お前、武器は!?」
「武器!?」
「『ロ』より上の鬼児は素手じゃ倒せないだろ!武器はどうした!?」
「一定のレベル以上は武器が必要、か……ますますゲームっぽいな」
輝石を幾つか創ったアキが呟く。
「鬼児が強すぎます!」
「手ぇ出すぞ!龍王!」
「仕方ねぇ!!」
「お嬢ちゃん!!」
「はい!!」
「龍王!!」
「おう!!」
客達の総攻撃。
『キイイイ』
其を受けて、鬼児は消滅した。
「二人とも怪我は!?」
「大丈夫ですよ」
俺達は其々の武器をしまい、サクラと共に小狼達に駆け寄る。
「くっそー!くっそー!!結局、一人で倒せなかったー!!」
「龍王の実力とは関係ないよ。あの鬼児ヘンだったもん」
「咄嗟にこれを使って、鬼児の攻撃を受け止めてしまって……すみません」
どうやら龍王達が支払いの為に出した桜の札を使って庇ったらしい。
皹が入っていた。
「市役所で再発行……?」
其を蘇摩が受け取る前に俺が取り、力を使う。
「「え?」」
「ほら」
皹が入る前に戻し、蘇摩に渡した。
「あ、ありがとうございます」
「小狼、念の為診せて」
「あ、はい」
「ファーストエイド」
「すっげぇ!」
ユキが念の為小狼を診察し、アキが軽傷の龍王を治す。
「ハル、今のは……」
「ん?」
「……いや、何でもない」
ルアとソルを抱えたコウが俺達を見詰めた。
「やっぱりここの所、妙だぞ。この国は……」
「…………」
右目を押さえる小狼。
どうやら何か決意したらしい。
「「「…………」」」
「三人共、どうかしたのか?」
コウの言葉にアキとユキを見れば、同じ方向を見ていた様だ。
「「「何でもない」」」
「?」
アキ達も視線を感じてたみたいだな。
「たっだいまー」
ファイの言葉に俺達は振り返る。
「ファイさん!?」
が、そのファイは黒鋼の肩に担がれていた。
「ちょっと、鬼児に遭遇してドジっちゃってーー。あり?お客さん?」
ずるっ
「∑わっ!」
「∑危なっ!」
急に黒鋼が力を抜いた事で、ファイが落ちそうになる。
咄嗟に俺が受け止めた。
「……蘇摩」
黒鋼が蘇摩を見詰めて呆然とする。
「なんでここに!?知世姫も一緒なのか!?」
直後、珍しく動揺した黒鋼の姿に小狼とサクラがぱちくりとした。
「まさか『天照』も同行してんのか!?」
「あ…あの、確かに蘇摩です。でも、貴方とお会いするのは初めてだと思うのですが……」
「え。」
其れから客達を見送り、ファイの治癒をしながら報告会をする。
「店番お疲れさまーー」
「モコナもがんばったのー」
「快癒瞬け……ファーストエイド」
「蘇摩さん、本当に黒鋼さんの国にいらっしゃる蘇摩さんとそっくりなんですね」
「びっくりしてファイ落っことしそうになったーー」
「あはははは」
「うるせぇ!!」
「「落ち着け」」
笑顔でサクラが話し掛け、揶揄う様にモコナが言い、黒鋼が怒鳴った。
「でも。本当に色んな世界にいるんだね。次元の魔女が言ってたように『同じだけど違う人』が。だったら、これからも会うかもしれないねぇ。前いた世界で会った人と」
ああ、それはあるな。
違う世界なのに、同じ人が居るっつーのは俺達も経験済みだ。
ユキの方を見れば、経験があるのか納得した様子だった。
「……ファイ、痛みはどうだ?」
「うん、ないよーー。有り難う」
「どういたしまして」
「酒場のほうはどうでした?」
「そうだ!おみやげがあるんだよーー。良かったー割れてないー」
ゴソゴソと荷物を探るファイ。
「酒場で買ったんだー。カルディナさんのおススメ🖤これ飲みながら話そうよー」
「「え」」
出されたのは……酒。
思わず硬直してしまう。
アキside
「えへへ」はにゃん
「うふふ」ほにゃん
「あはは」ふにゃん
にゃ~~んにゃ~~んにゃ~~んにゃ~~んと笑顔で笑い合うサクラとファイとモコナ。
「弱いなら進んで酒なんて買って来るなっ。よっぱらいが💢」
「それは同感」
酔うと猫化するタイプなのか。
珍しいな。
「でねーー酒場には美人の歌姫と可愛いバーデンダーさんがいたのにゃーーん♪」
「にゃーーん♪」
「色々、お話聞いたにゃーん♪ちょっとヘンだと思ったことあったんだけどにゃーー。あり?何がヘンだっけにゃ?」
「にゃ?」
「んでねーー、オレも
「まだ決めてないにゃー」
「あ!あのねー!侑子がお店の名前は『キャッツ・アイ』にしにゃさいってー♪」
「いいねぇ、猫の目だ。にゃーーん♪」
「にゃーーん♪」
「「………………」」
花が飛んでいる猫トリオ。
黒鋼は視線を外へ向けた。
「おまえも酔ったのかよ」
そして、隣で俯いている小狼に声を掛ける。
「黒鋼さん」
「ああ?」
「ここではある段階以上の鬼児は武器でないと倒せないそうです」
「らしいな」
「おれに、剣を教えて貰えませんか」
真っ直ぐに、真剣な瞳で小狼は黒鋼を見詰めて言った。
「……それはおまえが生きるためか」
「生きてやると決めたことをやるためです」
見詰め合う二人。
「面倒くせぇが、おまえが強くなりゃそれだけ早く次の世界に行けるか。俺ぁ、人にものを教えたことなんざねぇから知らねぇぞ」
その言葉に顔を輝かせる小狼。
が
「有り難う御座います!黒鋼さんっ」
「にゃ?」
「おいっおまえもきっちり酔ってんじゃねぇかよ!!」
モコナに深々と頭を下げる小狼の姿に、黒鋼がツッコむ。
「おまえら、それ以上一滴たりとも飲むな!💢」
まだ飲む猫トリオにもツッコみ……
「じゃあさっそく」びしっ
「待てい!だからそれでどうしようってんだよ!!」
お玉を構える小狼にツッコみ……
「構えはこれでいいですか?黒鋼さんっ。あっ、もっとこうですか」テーブルに掛けられた椅子に向けて
「にゃ!」ハンカチ猫耳装備
「にゃ?にゃにゃ!」同じく
「にゃあにゃ!にゃにゃにゃーん」同じく
「💢💢💢」
黒鋼にストレスが溜まっているのが分かった。
俺はハルの耳を、ユキがコウの耳を塞ぐ。
「だから、もうおまえら全員寝ちまえーー!!💢」
其れから、黒鋼の捕獲が始まった。
「おまえらも手伝え!」
「「動けない」」
今の俺の膝の上には、何処からか出した布に包まっているハルが頭を置き、ユキの肩には眼鏡を外したコウが寄り掛かって寝ている。
こんな可愛いハルを置けるか。
「ったく、せめてそいつらみたいに寝りゃいいのに」
何とか部屋に押し込んだ黒鋼が残った酒を飲みながら言った。
「でも、意外だな。ハルは酒弱いんだ」
「ああ、昔から一杯飲んだ辺りで布に包まるんだ。俺が膝を貸せば、そのまま寝る」
「コウ君といい可愛いね」
「……その綱平ってのは信用出来るのか」
黒鋼がコウを不審げに見ながら問い掛けてくる。
「……あのさ、この子……人じゃない気がするんだけど」
「間違いでは無いだろうな。この子は神の血を引いてる」
「「!」」
はっきり言えば、ユキと黒鋼が驚いた様な顔をした。
「どんな神かは分からん。だが、勘が鋭いハルが受け入れたんだ。大丈夫だろ」
「……本当にハル主義なんだから」
俺の言葉にユキははぁと溜め息を吐く。
「唯、俺は信頼してないから」
「分かっている」
君付けで呼んでる時点で、まだ様子見なんだろうな。
「……所で、お前達は酒に強そうだが……」
「「?」」
ある秘蔵の心水もとい酒を出した。
「強いけど旨いの飲みたくないか?」
「「飲む」」
ハルside
翌日。
店はそれなりの賑わいを見せている。
まだ寝ているファイは居ねぇが、宿酔いとかにはならねぇタイプらしいサクラとアキ達で店を回していた。
「あ~~う~~」
「うぅ、ん……」
「おはようございます。お客様がいらっしゃったんでお店、開けたんですけど……」
「おはよーファイ🖤」
「「大丈夫か?」」
「わ~~~」くわんくわん
「だ、大丈夫ですか?」
「じゃ、なさそうだね」
宿酔いらしいファイに、眠そうなコウ。
「なんか、頭の中で鳴ってるーー」
「ファイ、宿酔いだー」
「薬、用意した方が……っと」
「俺が持って来るよ」
ぱったり…とその場に倒れ込むファイに、俺の方に倒れ込むコウ。
コウを抱き止める間に、ユキが薬を取りに行く。
「サクラちゃん達は平気ーー?」
「はい!今日は寝坊せずに起きれました!」
「「そうだな」」
「…………」
サクラはキラキラな笑顔で答えた。
サクラは心水関連強いのか?
「そいえばー『ワンココンビ』はーー?」
「武器の確保と」「修行だそうです」
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