ツバサクロニクル
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「サクラ姫!!ハル兄!!」
「小狼君!!」
「おう」
医師が来た所から小狼達が現れた。
「あの羽根さえ手に入れば、こんな小さな小さな町。いや国も全部、意のままだ。何せ、三百年前金の髪の姫はこの羽根の力で城下町の子供達を救ったらしいからな」
「金の髪の姫は子供達をさらって城で殺したんじゃ…!」
「殺すためだけなら、こんな部屋。必要ないだろう」
……ユキ?ルア?ソル?
何か小狼の後ろで引いた様な顔してんだけど。
「そういえばここに来る途中、たくさんベッドがある部屋もあったねぇ」
「城に集めた子供達の為のものか」
……うわ、アキ凄い怖ぇ顔してる。
「羽根を手にした後、王と后はすぐに死んだって!」
と、俺とサクラ、そしてアキの視線がエメロード姫に向けられた。
「「「……違う」」」
「「「「!?」」」」
『お父様とお母様が亡くなったのは事故です』
「王と后が死んだのは事故」
『その後、子供だけがかかる流行病が城下町を襲って、何人もの子供が犠牲になりました』
「その後に子供だけが罹る流行病が城下町を襲い、何人もの子供が犠牲になった」
俺達以外には聞こえてないだろうエメロードの言葉を伝える。
『その時、この羽根が降って来て…羽根の周りだけ何故か病気は力を無くすようでした』
「その時にサクラの羽根が降って来た。羽根の周辺だけは病気は力を無くす様だった」
『凶作も重なり皆、困っていました。だから、少しでも力になれればと城下町の子供達を皆、この城に招いたんです。元気になるまで』
「凶作も重なり、民は困っていた。だから、少しでも力になれればと城に子供達を招いた。元気になるまで」
「じゃあ、いなくなった時と同じ姿で戻らなかったっていうのは……」
「流行病が治ったんだろうな」
さぁ、解明された。
此が真実か。
「幻との会話に付き合ってるヒマはない!」
「!」「獅子戦吼!!」
「ぐっ!?」
「あ」
俺に殴り掛かって来た医師が吹っ飛ばされる。
そのまま俺の前に立つアキと一緒に小狼もサクラの元に駆け寄った。
ズゥゥン
その時、嫌な振動に襲われる。
「何の音かなぁ」
「地震か?」
「「……いや」」
「この音は!」
ドン
「「!?」」
「うわぁっ!」
「水が!?」
上の方の壁が崩れ、水が流れてきた。
「川の水を止めいた装置が壊れたんでしょう」
「あーー古かったもんねぇ。あんまり長い間止めてられないんだー」
「危ない!!」
ドン
「!!」
「「チッ」」
ユキ達の方に行こうとしたら、俺達の前に岩が落ちてくる。
「子供達を上へ!!」
「必ず城から出ます、先に行って下さい!」
「しかし!!」
「「しっかり掴まっていろ」」
「「畏まりました」」
俺はルアをフードの中に入れ、アキは上着の中にソルを入れた。
「「先に行け」」
「はい!」
「待て!」
「「魔神剣!」」
サクラの手を引いて走り出す小狼に続く。
ダンッ
小狼が壁を叩くと、その先に道が出来た。
「こんな所に扉が!?」
「城の見取り図は覚えています。この隠し扉から地上へ抜けられる筈です!」
「!待て小狼!」「止まれ小狼!」
ドッ ガラガラ
扉を抜けたはいいが、その先が崩れる。
「道が塞がった……!」
「羽根を寄こせ!」
「「しつこい」」
まだついて来てたんかよ。
「先生はおれが止めます。その間に通路を左に行けば外に出られます」
「だめ!」「「阿呆」」
小狼にしがみつくサクラに、頭を叩く俺達。
「置いて行くなんて出来ない!」
「……姫……けれど、天井が崩れてこの先へは行けません。このままでは水が満ちて……」
「アレは俺達に任せろ」
「あんな雑魚に負けはしない」
俺は愛刀を、アキも短剣と銃を構えた。
「邪魔をするな!」
「……お前、よく分からねぇけど嫌いだ」
「ハルが嫌いなら、俺も嫌いだ」
……此処で処分しといた方がいいな。
「ハル兄!!アキ兄!!」
小狼の声に振り返ると同時に、小狼が隠し扉を蹴り開ける。
「きゃあ!」
「姫!!」
「「チッ」」
命拾いしたな。
俺達は水に飲まれた小狼とサクラの手を掴んだ。
ザバッ
水の護りを解くと同時に小狼達水面に出す。
直ぐに小狼の手を黒鋼が掴んで引き上げた。
「ひゅー♪『やった』ねーー小狼君達」
……追って来る気配はねぇな。
巻き込まれたか?
「先生は!?」
「わかりません」
「追って来ないってことは……」
ファイが呟いた直後、城が崩れる。
「城と運命を共にした……かなぁ」
……そんな簡単に済みゃいいがな。
「ハル、アキ」
「「!」」
ユキが俺達にタオルを被せた。
安堵した様な瞳に、アキと思わず顔を見合わせる。
……何つーか、久々過ぎて照れんだけど。
ふと、視線を向けるとエメロードが子供の頭を撫でていた。
そして、彼女は小狼に抱えられてるサクラに近寄る。
『子供達を助けてくれて、本当に有り難う』
エメロードが手を翳すと、羽根を護っていた結晶が溶けた。
『この羽根を貴方に返せて良かった。気をつけて。誰かがずっと貴方達を視ている』
「「!」」
誰かがずっと視ている……だと?
其れから俺達は一旦小狼達と別れ、子供達の健康診断をする。
ユキに医療知識があって助かったな。
そして……
わっ わぁっ
親の元へ笑顔で駆け寄る子供達。
「本当に良かった!」
「どこも痛いところはない!?」
「心配したのよ!」
再会する姿を微笑んで見詰めるグロサム。
其に俺達も顔を見合わせ……彼等から離れた。
「きゃっ」「と」
飛び出して来たサクラを受け止める。
「どうした?」
「あ、エメロード姫に会わないと!」
「?」
よく分からねぇが、小狼達と合流して城の前へと来た。
「……だめ。エメロード姫…どこにもいない……」
「前に、侑子言ってた。心配なことがなくなったら、霊はどこかへ行くんだって」
「成仏するってことか」
「ああ、もう気配はねぇ」
「安心したんだな」
「よっぽど子供達のことが心配だったんだねぇ。金の髪のお姫様」
安心した顔してたしたな。
あの時の表情を思い出し、ルアを撫でる。
「けど、エメロード姫がサクラちゃん達に教えてくれた『誰かがずっと視ている』っていうのはどういう意味なんだろー」
「もうひとつ、分からなかったことがあるんです。カイル先生はどうして、あの城の地下に羽根があると知ったんでしょう」
あー……確かに其は気になってたわ。
「本にあったとかじゃねぇのか」
「グロサムさんに聞きました。羽根がエメロード姫の亡くなった後、どこにあるか書かれた本はないそうです。それに、そんな伝承もないと」
「この旅にちょっかいかけてるのが、いるってことかーー」
「『誰か』が」
さて、誰が覗き見してんのかね。
サクラの羽根を一つ取り戻したが、不穏な気配も近付いていた。
end.