ツバサクロニクル
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「で。どこなんだ、ここは」
黒鋼の言葉に思わず苦笑する。
「おっきい湖だねぇ。家とかも全然見えないしね」
「人の気配もないみたいですね。霧もでてますし」
俺達が降り立ったのは湖の畔だった。
あるのは大きな湖に一面の霧くらい。
「モコナ、どう?サクラちゃんの羽根の気配するーー?」
「強い力は感じる」
「どこから感じる?」
「この中」
モコナが指したのは湖。
んー……確かに何かあんな。
「∑潜って探せってのかよ」
黒鋼の言葉にモコナがこっくりと頷く。
「「なら、俺達が……」」
「待って。わたしが行きま……………す」
「∑あっ」
「おっと」
ふら~~~と倒れるサクラを黒鋼が支えた。
「サクラ寝てるーー」
「春香ちゃんの所で頑張って、ずっと起きてたからねぇ。限界きちゃったんだねぇ」
俺達はサクラを寝かせ、其々探索する事にする。
「「俺達が湖に潜るな」」
「おれも行きます」
申し出てきた小狼を見つめ、俺達は顔を見合わせた。
「「俺達の手を放すなよ」」
「はい!」
「ルアとソルは」
「サクラについてな」
「「畏まりました」」
其れから俺達は聖隷術を使いつつ、小狼の体調を考えて休憩を取りながら湖を探索する。
パチパチ
焚き火をし、小狼の冷えた体を温めていた。
「………?……小狼君」
「目が覚めましたか?」
そんな中でサクラが目覚め、そんな彼女に笑顔を向ける小狼。
「黒鋼さんとファイさんとモコナは、辺りを探索してくるってついさっき……」
「……冷たい」
小狼の手に触れたサクラが心配そうな顔をする。
「あれからずっと湖に潜ってたの?」
「ハル兄やアキ兄と一緒に、休みながらですよ」
「わたしの記憶だから、わたしが行きます」
「夜になった水温が下がっています」
「だったら、やっぱりわたしが……」
「おれがそうしたいんです」
二人の会話を俺達は其々ルアとソルを撫でながら聞いていた。
「それに今、あなたはまだ記憶の
「だったらせめて火にあたって、休んで。ね」
「……はい」
袖を掴むサクラに小狼は頷いた。
其れを見届けて俺が立ち上がると、アキも立ち上がる。
「小狼、サクラ。ちょっと散歩してくるわ」
「俺も行く」
「え、はい。わかりました」
俺はルアを抱えて湖の上を進んだ。
アキも同じ様に抱えてついて来る。
「──果てなき夢を……♪」
「──座標なき……♪」
湖上で歌いながら散歩していた時……
パァアァ
「「!」」
湖が光出した。
俺達は視線を交わし、そのまま湖の中に入る。
「「!」」
深く入ると、ゴーグルを着けて口を押さえた小狼を見付けた。
息が続かねぇんだろ。
「!」
小狼を左右から掴んで聖隷術を使う。
直後……
「「町?」」
湖の底に小さな町があった。
その町を覗き込んでいると……
パアッ
「!?」
上に発光物が現れる。
其に見上げると、大きな光る魚が居た。
すると、小さな町が賑やかになる。
……つまり、あの魚が太陽代わりなのか。
と、魚から一枚の鱗を落とし、其れを小狼が受け止めた。
俺達は顔を見合わせた後、上に戻る。
「小狼!!」
「モコナ」
戻ってたのか、モコナ達。
「サクラが!サクラがぁーー!!」
サクラが?
「よく寝てるのっ♥」
モコナの言葉に駆け出した小狼は思い切り転けた。
「「大丈夫か?」」
「驚いた!?驚いた!?これもモコナ108の秘密技のひとつ、超演技力!!」
「く~」
秘密技の数、煩悩の数と一緒かよ。
「ほんとにびっくりしたみたいだねぇ。けどねぇ。きっと、これからもこんなこと、いっぱいあると思うよ」
俺達はファイを見る。
「サクラちゃんが突然、寝ちゃうなんてしょっちゅうだろうし、もっと凄いピンチがあるかもしれない。でも探すんでしょう、サクラちゃんの記憶を。だったらね、もっと気楽に行こうよーー。辛いことはね、いつも考えなくていいんだよ。忘れようとしたって忘れられないんだから」
……確かにな。
皆、何かしら抱えてるもんだしな。
「君が笑ったり、楽しんだりしたからって、誰も小狼君を責めないよ。喜ぶ人はいてもね」
その言葉を聞いた小狼は何かを思い出す様に微笑んだ。
「モコナ、小狼が笑ってるとうれしい!」
「勿論、オレも。あ、二人と黒ぴんもだよねー」
「「ああ」」
「俺にふるな」
ファイの言葉に頷きながら小狼の頭を撫でる。
「……ん」
「目、覚めたー?」
どうやらサクラも起きたらしい。
「小狼君!小狼君が湖に!!」
「∑」
が、いきなり立ち上がって湖に走り出した。
「ここにいます!!」
そんな彼女を慌てて小狼が止める。
「!…良かった」
まぁ、落ち着いてよかったわ。
「あのね、サクラちゃん。これからどんな旅になるか分かんないこどさぁ。記憶が揃ってなくて不安だと思うけど。楽しい旅になるといいよね。せっかくこうやって出会えたんだしさ」
「はい」
ファイの言葉に笑顔で頷くサクラ。
「まだ、良く分からないことばかりで、足手まといになってしまうけど。でも、出来ることは一生懸命やります。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げるサクラに、小狼は少し驚いた様に目を瞠った。
そして、目を閉じて微笑む。
「そういえば湖の中、大丈夫だったーー?すっごい光ってたけどー」
「あ!町があったんです!」
「はあ?」
「え?え?」
俺達は湖の底の町について話した。
「なるほどーーーこの国の人達は湖の中にいるんだねーー」
「強い力、このウロコから出てる力と同じ」
「ということは、姫の羽根は……」
「これ以外に強い力感じない」
「ないってことかー」
「うん」
「無駄足かよ」
まぁ、今までがラッキーだったんだろうな。
「でも、小狼君楽しそう」
「まだ知らなかった不思議なものをこの目で見られましたから」
楽しそうに微笑む小狼。
「「……!」」
ふと、空間が動く気配を感知する。
其に視線を向けると……
「……っと」
「「「「!」」」」
一人の青年が降り立った。
「「……ユキ?」」
「あ、覚えていてくれたんだ」
「「最近思い出した」」
「あ、俺も同じ」
綺麗過ぎる程の整った顔に瞳に映る三日月。
最近夢で思い出した友人─
「久し振りと初めまして。俺は
「「…………?」」
碧凪?
其れは、俺達の知らない名前だった。
「ちょっと、色々あってね。本来は君達の知ってる方だから、雪って呼んで。唯、普段は癖でコッチを名乗ってるんだ」
「俺達がハルや」
「アキと名乗ってるのと同じか」
「そういう事……というか、そっちを名乗ってくれてるんだ」
ユキは心底嬉しいという風に微笑む。
「えっと、ハル兄のお知り合いですか?」
「兄……?ええっと、友人だよ。序に、此れからは君達の旅に同行する予定」
「「「え」」」
「?」
ユキも一緒に来るのか?
「此れからは俺も一緒に行くよ」
「そうだな……アレから何があったか」
「沢山話そう」
「うん」
こうして、俺達の旅に同行者が増えた。
『ユキヤ……ちょっと言い辛い』
『発音が違うな』
『俺からも二人の名前は長いよ……あ、ハルとアキって呼んでもいいかな。それなら俺でも呼びやすい。二人はユキって呼んでよ』
『『ユキ……うん、言いやすい』』
『よし、決定』
『……俺、此れから違う所に行くんだ』
『『え?』』
『遠い所なんだ。もう会えないかもしれない……其れでも、友達でいてくれる?』
『『勿論』』
end.