ツバサクロニクル
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「この……!!」
「…………」
強い光が迫るが……
「守護法陣」
其れを光で防ぐ。
「幾ら穢れで多少弱って様が、聖主がそう簡単に倒せる訳ねぇ……?」
近付く光の気配。
此れは……
「みんな!目を覚ませ!!」
サクラを連れた春香が鏡を掲げた。
その鏡から光から放たれ……
「はっ、なんだ?」
「どうしてこんな所にいるんだ」
光に包まれた町人が正気に戻る。
其に俺も詐欺師を解除した。
「この鏡は人にかけられた術を解く。母さんの秘術道具だ」
「春香!!サクラも!!」
町人はモコナにぎょっとしつつも、俺達の方に駆け寄る。
ルアとソルは案内役か?
「私の秘術を操る力はまだ弱いけど、でも!この鏡にかけて、もうお前なんかに町の人達を自由にはさせない!」
「くそぉ!!」
……完全に領主の奴、パニクってんな。
まぁ、面倒だから其でいいんだけど。
其に遅れてアキ達もやって来た。
「あれー?なんだが人いっぱい?」
「三人とも遅いー!!」ゴッ
「うるせえ」
「こっちも色々あったんだよー。ごめんね」
モコナが黒鋼の顔に突っ込む。
ソルもアキに駆け寄り、そのままよじ登った。
「……羽根を返せ。それはサクラ姫の
「小狼君……」
「ま……待て!」
歩み寄る小狼に、腰を抜かした様に後退りする領主。
「これを使えば春香の母親を生き返らせられるかもしれん!わ、わしを傷つけたりすればそれも出来なくなるぞ!」
「「……!!」」
その言葉に怒りが沸く。
「この強大な力を使えば、きっと母親は……!」
「おまえが殺したんだろ!この町を守ろうとした母さんを!!」
俺が殺意をぶつける前に、春香が叫んだ。
「それに!母さん言ってた!どんな力を使っても失った命は戻らないって!!どんなに私が会いたくても、もう母さんには会えないんだ!!」
春香の言う通りだ。
どんなに望んでも、後悔しても……死者は蘇らせられない。
例え、時の聖主だとしても。
「それなのに、そんなたわごと!」
涙を流しながら激昂する春香をサクラが抱き締める。
「……春香。仇を討ちたいか」
静かに問い掛ける小狼。
「それで、気が済むならいい。けれど、春香が手をかける価値のある男か?」
その言葉に春香は一度目を閉じた。
「こんな奴……殴る手が勿体ない!」
「よく言った」
春香の頭を撫で……小狼の前に割り込む。
そんな俺の隣にアキが並んだ。
「「……ふざけた事言いやがって」」
「ひっ」
領主にだけ殺気を向けた。
「ハル、俺がやる」
「…………」
アキが俺の前に出て、領主へと手を伸ばす。
「わ、わしに触るな!く……来るなー!」
『そこまでだ』
「「!」」
その時、領主の顔が長い爪の手に覆われた。
『よくも私をこんな城に閉じこめてくれたな』
「ひっ」
領主の背後に現れた女性。
彼女は領主を腕の中に納め、更に背後に異空間を生み出す。
『この
「い…いやだ!!」
「「喚くな、煩い」」
「信用しても大丈夫そうだよーーその
へぇ、秘妖っつーのか。
「やめろ!」
『安心しろ。秘妖の国で、息子共々最高の持て成しをしてやろう』
「いやだぁー!!」
ズルズルと引き摺られていく領主。
俺達は冷めた目で其れを見下した。
『春香とやらはおまえか』
「……そうだ」
……そーいや、春香の母親と面識がありそうな感じだったな。
『おまえの母親は良い秘術師だった。この領主の卑劣な罠によって亡きものとなったが。私との戦いで己を磨き、おまえが成長してそんな己以上の秘術師になることを楽しみにしていると言っていた』
懐かしむ様に、哀しむ様に、慈しむ様に春香を見る秘妖。
『強くなれ。私と秘術で競えるほどに』
「……なる。絶対に」
春香の決意を見届けた秘妖は俺達を見る。
「……二度とこの地に来させるな」
「確実に罰を与えろ」
『勿論』
まぁ、俺達が負の加護を与えるから、生き残ったとしても不幸だらけだろうけどな。
俺は目の前で救える命があれば手を伸ばす……だが、正義の味方じゃねぇ。
敵や俺にとっての悪人に容赦する気はねぇ。
『では、またな』
「ひっ」
足掻こうと記憶の羽根に手を伸ばす領主の腕を蹴った。
『可愛い虫けらどもと異界の尊きものよ』
「ひいいぃいい!」
そして、領主は異空間に消える。
領主が居なくなった事で秘術が消え、記憶の羽根を閉じ込めてた珠も消えた。
小狼は回収した記憶の羽根をサクラへと渡す。
パアァァァ
サクラの体に入る記憶の羽根。
「どうして……誰もいないのに……」
そう呟いた後、サクラは眠りに就いた。
倒れるサクラを受け止める小狼。
「羽根、もうひとつ…取り戻せた」
翌日。
「ありがとう。領主をやっつけてくれて」
俺達は次の世界に飛ぶ事に。
春香を始め、町の人達が見送りに来てくれてる。
「おれは何もしてないよ」
眠そうだな、サクラ。
うつらうつらしているサクラの頭を撫でる後ろで、モコナと黒鋼が遊んでいた。
「あの城の秘術が解けなかったら、ずっと領主には近付けなかった。だから小狼達のおかげだ」
「いや、本当におれは何も……」
「いい加減受け取ってやれ」
「こっちこそありがとぉ。春香ちゃんにもらった傷薬良く効いたよー」
小狼の頭を撫でるアキ。
流石に穢れで疲れた俺達は聖隷術は使わず、秘妖との戦いでの傷は春香の傷薬を使って治している。
「母さんがつくった薬なんだ。私にはまだ無理だけど、でも頑張って、母さんに恥じない秘術師になる」
輝く様な笑顔の春香。
「なれるわ。きっと」
「うん」
春香の手を握って告げるサクラに、春香も涙を浮かびながら握り返した。
ファサァ
モコナの背から翼が出る。
「あ、そろそろ行く?」
「行く」
おお、町の人達が動揺してんな。
「なんだ!?どこ行くんだ!?なんであれ、羽根が生えてるんだ?」
あ、春香もか。
「まだ来たばかりなのに…!」
「やらなければならないことがあるんだ。元気で」
そう、春香と笑顔で別れ……俺達は次の世界へと飛んだ。
「……思い出したよ、そうだ……俺には大事な友人が居たんだ」
「碧凪さん?」
「……そう、思い出したのね。どうしたい?」
「……行きたい。彼等の元に」
「貴方がそう思うなら行きなさい」
「ありがとう。行ってくるよ……侑子さん、君尋」
とある世界で、友人の元へと一人の青年が旅立つ。
end.