ツバサクロニクル
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バッ ドン
老人を庇う孫娘、そんな二人を庇うサクラ、そして……鞭を掴んでバカ息子の顔を片足で踏む小狼。
「き……貴様!!昨日の!!そこをどけ!!」
「どきません」
「蓮姫の領主の恐ろしさを思い知らせてやる!!」
「煩せぇぞ、バカ息子。万物に宿りし生命の命を此処に……リザレクション」
「そうだ!おまえはただの『その息子』だろ!それもバカの!」
「うるさいーー!」
小狼を振り払うバカ息子。
「その扇!!」
「行けーーーー!!」
バカ息子が背負っていた扇を振るうと、兵士の様な者が出て来る。
剣に対し、蹴りで対抗する小狼。
「扇から出て来たの?」
「あの扇は、私の
春香の言葉に思わず彼女を見た。
「頼まれた薬を作ったり、呪いをしたり、不思議な力を持ってた。でも、決してその力を悪いことになんか使わなかった!それが秘術師の誇りだって言ってた!なのにあの親子は!!」
小狼はそのまま兵士と戦う。
「一年前、流れの秘術師としてこの蓮姫にやってきて、それまで大した秘術も使えなかったのに突然、強くなって。その時いた領主様を追い出して自分が領主になったんだ!それを阻止しようとして、母さんは戦って……今の領主に殺されたんだ!!」
『あなただけでも逃げて!!』
『アーサーッ!!』
『セリカァッ!!』
『セリカ……義姉さん……』
「……胸糞悪ぃ」
直後、小狼の一撃が決まると同時に兵士が幾つにも分かれた。
「危ない!!」
「いや、大丈夫だ」
小狼は一撃ずつ兵士を倒していく。
「うおおぉぉ!」
ガッ ドサッ
「やった!!」
兵士は全滅。
「いい気になりおってー!!」
バカ息子が地団駄を踏んだ。
ゴオオォォオオ
「この音……風が来る!!」
「!!」
小狼を引っ張り、場所を入れ換える。
直後、風が来た。
「思い知ったか!これが領主の秘術……!?」
「おっと、悪ぃ。ぬか喜びさせちまったか?」
風は俺に触れる前に消える。
「地水火風は俺を傷付けねぇんでな」
まぁ、風の影響でフードが取れたけどな。
「……あー?」
笑いながら言ったら、バカ息子が顔を赤らめて見てきた。
うわぁ、面倒な感じ。
「つーか、割り込んだ俺が言う事じゃねぇかもしれねぇけど。随分過保護な親だな?」
「本当だな!息子のケンカに親が出てくるのか!本当に最低親子だな!おまえ達は!」
「う、うるさい!!悔しかったら親父を倒してみたらどうだ春香!まあ、おまえでは触れることも出来ないだろうがな!」
高笑いしながら言うバカ息子の言葉に、春香は悔しそうに俯く。
が、それでも強く顔を上げた。
「吠えてろ!暗行御吏が来れば、お前達の悪事はすべて裁かれることになるんだからな!!」
「けっ。来るもんか!滞納した罪で税をさらに倍にする!」
「そんな!!」
「払えなければ店は没収!じいさんとおまえはムチ打ち300回だ!」
その言葉に涙を卯かべる孫娘に歩み寄ると、バカ息子と目が合う。
「もしくは、そいつを差し出してもらおう!」
「俺?」
咄嗟に敵意を向けるルアが飛び出さねぇ様に抱えた。
「ハーーーッハハハハ!」
「……そいつはどうかね」
大笑いして立ち去るバカ息子に、負の加護を少し掛けてやる。
カクン
「!」
「………っ!くそーーー!!!」
膝をついて叫ぶ春香。
「おかえりーー、どうだった?黒たんと、ずっと言葉が通じてたってことはあんまり遠くに行かなかったのかな。何かーー……あったみたいだね」
出迎えたファイ達に先程の事を話した。
春香の母の話の時、アキも険しい顔をしていたから俺と考えは同じらしい。
「そっかーー。また領主とか息子が出たんだー」
「しかし、そこまでやられて、なんで今の領主をやっちまわねぇんだ」
「やっつけようとした!何度も、何度も!でも領主には指一本、触れられないんだ!領主が住んでいる城には秘術が施してあって、誰も近寄れない!」
「なるほどー。それがモコナの感じた不思議な力かー」
「不思議な力がいっぱいで羽根の波動良くわからないの」
ファイの言葉にモコナはコクコクと頷く。
「あの息子のほうはどうなの?人質にとっちゃうとかさーー」へろっ
「「わぁ、物騒」」
「∑えっ」
「……おまえ、今さらっと黒いこと言ったな」
「ん?」
「だめだ!秘術で領主は蓮姫の町中を見張ってる!息子に何かしたら…!」
「昨日とか、今日の小狼君みたいに、秘術で攻撃されちゃうかーー」
まぁ、俺とは相性は悪そうだけどな。
「一年前、急に強くなったって言ってたね、その領主。サクラちゃんの羽根に関係ないかなぁ」
……確かに、正義の件も考えりゃその可能性は高ぇ。
だが、そう易々とは其処には行き着かねぇと思うが。
「辻褄が合わねぇだろうが。記憶の羽根とやらが飛び散ったのはつい最近の話だろ」
「次元が違うんだから、時間の流れも違うのかも」
「其れに、何も現代だけに飛び散ったのとは限らねぇ」
「もしかすると、その次元の過去の時代に飛び散っているかもしれない」
そう話している間に、小狼は立ち上がった。
「確かめて来ます。その領主の元に羽根があるのか」
「待って!小狼君、また危ない目に遭うかもしれないのに……」
そんな小狼の袖を掴んで止めようとするサクラ。
「平気です」
「でも……」
「大丈夫です。羽根がもしあったら取り戻して来ます」
「小狼君……」
何度も彼女へと向けた笑顔で応える小狼。
……危ういな。
「ちょっとまってーー」
そんな中、ファイが手を上げる。
「ん、安心して。止めるワケじゃないからーー。でもね、あの領主の秘術結構、すごいものみたいだからねぇ。ただ行っただけじゃ無理でしょう。せめて、城の入り口にかかってる術だけでも破らないと」
「だなぁ。遠くから見た感じでも、城に何か掛かってやがった」
「多分、下手に近付いたら取り込まれるか弾かれるだろう」
「おまえら、なんとか出来るのかよ」
「「「無理」」」
俺達は揃ってずびしと黒鋼に返した。
……いや、時間掛けりゃ出来るかもしれねぇけど、相性悪いからな……。
「って、いかにも策あり気な顔で言うなーー!!💢」
「「そんな顔してたか?」」
「「主にファイ様が」」
「侑子に聞いてみよう!」
「あの次元の魔女に?」
すると、モコナの額?にある赤い石の様なモノが光、壁に写し出す。
『あらモコナ。どうしたの?』
「しゃべったーー!」
「「おおー」」
「ほんとにモコナは便利だねーー。これ異世界に通じてるんだー」
「便利にも程があるだろ!ああ?!」
其れから俺達は次元の魔女に状況を説明した。
『なるほど。その秘術とやらを破って城に入りたいと』
「そうなんですーー」
『……でも、あたしに頼まなくてもファイは魔法使えるでしょう?』
「あなたに魔力の元渡しちゃいましたしーー」
「「…………?」」
魔力の元を渡した……?
『あたしが対価として貰ったイレズミは「魔力を抑えるための魔法の元」。あなたの魔力そのものではないわ』
「まぁ、でもあれがないと魔法は使わないって決めてるんで」
多分、ファイが僅かに見せた笑顔の違和感を黒鋼も小狼も気付いただろう。
『双子は?特にハルなら関係ないでしょ』
「確かに俺はその気になりゃ、どんな空間にで干渉出来るし、目視範囲だったら簡単に転移出来る」
「なら、やりゃいいだろ」
「単純な話じゃないからな」
「あ?」
「彼処は俺達とは相性の悪い穢れ……謂わば毒みたいなものが存在している。幾ら耐性があるとしてもリスクがある」
「其れに一緒に飛べるとしたら精々アキ達ぐらいだからな。お前達は一緒に飛べる程愛着ねぇ……其れじゃ、納得出来ぇだろ?」
「……はい」
小狼を見て言えば、彼は頷く。
……つーか、次元の魔女は俺達の正体を知ってんのか。
本当、何者だよ。
『いいわ。城の秘術を破れるモノを送りましょう。ただし、対価をもらうわよ』
対価、か……。
「おれに何か渡せるものがあれば……」
「これでどうですかーー?魔法具ですけど使わないし」
と、ファイが恐らく魔法の杖だと思われる物を差し出した。
『……いいでしょう。モコナに渡して』
「いくよー」
ずるずるずる
モコナの口の中に入っていく杖。
結構デカいのに……凄ぇ光景だな。
飲み込んだモコナはめきょっとなる。
「いいんですか」
「うん、いいんだ」
ぽん
杖と交換する様に黒く丸い物がモコナから出て来た。
「これが、秘術を破るもの……」
「「…………!!」」
其れを認識して、俺達は受け取った小狼から離れた。
「え?」
「どうしたの?二人ともー」
「其れを近付けるな、特にハルに!」
「何つー物を持ってんだ、あの魔女」
恐らく其れは……俺達が触ってはいけないものだ。
それから俺達は領主の城に向かう事に。
「いやだ!!私も領主の所へ行く!」
「領主の城には秘術が施してあるしね、危険だよーー」
が、出発する時になって春香が一緒に行くと迫っている。
俺達は其れを少し離れた所から見ていた。
「承知の上だ!一緒に行く!!」
「んーーー困ったな」
「俺ぁ、ガキの説得はできねぇからな」
ファイとモコナが黒鋼をチラッと見るが、彼は顔ごと視線を逸らす。
「照れ屋さんだからーー?」
「テレ屋さんー♡」
あ、黒鋼が怒った。
「言って領主を倒す!母さんのカタキをとるんだ!!」
春香がが小狼の腕を掴む。
「絶対、一緒に行くからな!いいだろ!?小狼!!」
小狼は……その手をすり抜け、彼女に背を向けた。
「だめです。ここで、サクラ姫と待っていて下さい」
そして歩き出す小狼に続き……俺達は城に出向く。
「言えば良かったのにーー春香ちゃんを連れていかないのは、これ以上迷惑かけないためだって」
道中、ファイがそう言い始めた。
「オレ達みたいな余所者泊めて一緒にいる所も見られてる。その上、連れだって城に乗り込んだら、領主を倒せなかった時に春香ちゃんがどんな目に遭うかわからないもんね」
「………」
「とにかく、その領主とやらをやっちまえばいいんだろ」
「で、サクラちゃんの羽根が本当に領主の手元にあれば……」
「取り戻します」
……全員やる気ばっちりみてぇだな。
「ルア」「ソル」
「「はい」」
「「お前達は春香とサクラと一緒に居ろ。必ず護れ」」
「「畏まりました」」
ルアとソルは其々俺達から離れ、留守番となった春香とサクラの方へと向かう。
ルアとソルが居れば、何があっても大丈夫だろ。
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