ツバサクロニクル

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ナマエ
本来のナマエ


 ドサッ

大勢の人間が居る場所。

其処に俺達は落とされた。

「ああー?次はどこだ?」
「何か市場っぼいなー」
「わーなんだか見られてるみたいー」
「そりゃいきなり現れればそうだろう」
「てへ♡モコナ注目のまとー!」
「また妙な所に落としやがって!」

取り敢えずサクラに手を貸そうと立とうとした時……

「なんだ、こいつら!どこから出て来やがった!!」

 ゴッ

「お」「あ」「「おお」」「わ♡」「「わぁ」」

大柄の男がサクラの腕を掴み、直後小狼の蹴りが大柄の顔に決まる。

 ズザァァァ

おお、結構吹っ飛んだな。

「おまえ!誰を足蹴にしたと思ってるんだ!?」

やっぱ体でけぇからタフなのか。

「やめろ!!」

男が迫って来ようとした時、屋根の上から声が掛かった。

「誰かれ構わずちょっかい出すな!このバカ息子!!」
「「バカ息子」」
春香チユニヤン!!」

屋根の上に居たのは、小狼達よりも幼い少女。

「誰がバカ息子だ!!」
「おまえ以外にバカがいるか?」

ムッキーと怒るバカ息子に対し、キョロキョロと周りを見る春香と呼ばれた少女。

「このーー!」
「失礼な!!高麗コリヨ国の蓮姫リヨンフイを治める領主リヤンバンのご子息だぞ!」

また独特な言語の世界だな……。

「領主といっても一年前までは、ただの流れの秘術師シンバンだったろう」
親父アボジをばかにするかーー!領主に逆らったらどうなるか分かってるんだろうな!春香!!」

少女はグッと唇を噛む。

「この無礼のむくいを受けるぞ!覚悟しろよ!」

そう喚くと、バカ息子は大勢の取り巻きを連れて去った。

「怪我は?」
「大丈夫です。ありがとう」

サクラの言葉に小狼は笑顔で返す。

「やー、なんか到着早々派手だったねー」
「小狼すごいー!飛び蹴り!」
「んだ、ありゃ」
「あ゛」
「「「「あ」」」」

小狼の言葉に視線を向けると、消費だろう野菜?の様な物が転がっていた。

「すみません、売り物なのに」

小狼は頭を下げながら商品を回収する。

店主は気にしてないらしい。

「モコナも手伝いするーー!」
「ほらー黒ぴんも拾ってーー」
「あーー?めんどくせーなー」
「あー、ちょっと待ってろ」
「「「「!」」」」

風の聖隷術で商品を集めて箱に戻した。

「あいつらまた、市場で好き勝手して!」
「この町にも早く暗行御吏アメンオサが来てくれればいいんだが……」

アメンオサ……?

眠くなったきたらしく、座り込むサクラにルアとソルが左右から支える。

「ヘンな格好」

……何か、ハッキリ言われたな。

「あはははははーヘンだってーー黒りんの格好ーー!!」
「俺がヘンならおまえらもヘンだろ!」
「「否定はしない」」

皆生まれは違ぇしな。

「おまえ達ひょっとして!!」
「「?」」
「来い!」
「????」
「あ!待って下さい!」

少女がサクラの手を掴んで駆け出した。

「なんか忙しいねぇ」
「めんどくせーー!💢」

状況はよく分からねぇが、一先ず俺達は追い掛ける。




 じっ ちょこんっ

誰かの家までやって来た俺達。

凄い見詰める少女に小狼とサクラが戸惑っていた。

「あ、あの、ここは……」
「私の家だ」
「どうして、急に……」

ファイは家の飾りを見て、黒鋼は漫画雑誌を読んでいる。

自由か。

「おまえ達、言うことはないか?」
「え?え?」
「ないか!?」
「いや、あの、おれ達はこの国には来たばかりで、君とも会ったばかりだし……」
「ほんとにないのか!?」
「ない、んだ……け……ど」
「がんばれ!小狼!!」

ずずいっと迫りながら聞かれ、たじたじしながら小狼は返した。

「良く考えたら、こんな子供が暗行御吏なわけないな」

はーーーっと深く溜め息を吐きながら言われる。

「あめんおさ?」

目を擦りながらサクラが問い掛けた。

「暗行御吏はこの国の政府が放った隠密だ。それぞれの地域を治めている領主達が私利私欲に溺れていないか、圧政を強いていないか、監視する役目を負って諸国を旅している」
「水戸黄門だーーー!!」
「みと?」
「?」

ひゃっほーい!と喜ぶモコナに、首を傾げる小狼とサクラ。

「さっきから思ってたんだけど。なんだ、それは?なんで、まんじゅうがしゃべってるんだ?」

小狼に説明しているモコナを指差し、少女はどきどきした様子で聞く。

「モコナはモコナー!!」
「∑わっ」
「まぁ、マスコットだと思ってーー。もしくはアイドル?」
「モコナアイドルー」

少女の方に跳んだ後、モコナはくるくると回り出した。

「オレ達をその暗行御吏だと思ったのかな。えっと……」
「春香」
「春香ちゃんね。オレはファイ。で、こっちが小狼君。こっちがサクラちゃん。それとハル君にアキ君、ルアとソル。で、そっちが黒ぷー」
「黒鋼だっ!!💢」

ファイが俺達を紹介してくれるが、黒鋼だけ茶化して紹介し、黒鋼が怒鳴って返す。

「つまり、その暗行御吏が来て欲しいくらい、ここの領主は良くないヤツなのかな?」
「最低だ!それにあいつ母さんオモニを……」

 ゴオオォ ミシミシ

その時、強い風の音とそれに家が圧迫されている音がした。

「風の音?」

この感じは……

「外に出ちゃだめだ!!」
「「堅牢なる守護を……バリアー!」」

ゴオォオ バキバキ

俺達が聖隷術を発動するのと同時に暴風が家の中を襲う。

屋根やら一部の家具やらを破壊した風はフッと消えた。

モコナを抱いてるファイは立ったまま、消えた風を見詰めている。

「自然の風じゃないね、今の」
「ああ」
「誰かが操っていたな」

其れも、強い力で強引に。

「領主だ!」

咄嗟に俺達が庇った春香が立ち上がった。

「あいつが、やったんだ!!」







『『──?』』
『二人、共……』

もう一度出会った彼の髪と瞳が変わっている。

微笑む彼だが、その表情は弱々しい。

『『…………』』
『!』

思わず彼に二人で抱き付いた。

『……優しいね、二人は……俺、母上を……』

続けられた言葉に俺達は更に強く抱き付く。

『其れでも友達で居てくれる、のか?』
『『当然だ』』
『……ありがとう、二人共』







そんな事があった翌日。

俺とルア、小狼とサクラは春香の案内で町に繰り出す事に。

「羽根の波動感じるか?」
「分かんない」

小狼の頭の上で悩んだモコナががっくしと落ち込む。

「このあたり全部なんだか、不思議な力でいっぱいなの」
「不思議な力?」
「なんつーか、この町全体を覆ってる……だろ?」
「そうそれ!」
「僕達の防御壁に似てるかもしれません」
「確かにな」

まるで、異様な力で町全体を結界で覆われてる様な……

「よう!春香!見たことないお嬢さん連れてるな!」

と、俺達の前をサクラと手を繋いで歩いていた春香が声を掛けられた。

「客人なんだ。遠くから来たんだって」
「おう、旅の人か!なら一緒にどうだ?」
「これなんですか?」
賭博トギだよ。知らないのか?」
「同じようなものは見たことあるんですけど。サイコロかな、これは」
「多分同じ様な物だ。多分賽だな」

お椀の中に入っている二つのサイコロを小狼と共に覗き込む。

「なに、簡単だよ。これを二個振って、足した数が相手より多いほうが勝ちだ」

へえ、数で勝負するタイプか。

足した数が偶数か奇数かで賭ける方は知ってんだけどな。

「ささ、運だめしだ!」
「?」

そして、サイコロはサクラの手に。

「ったく、好きなんだから。おじさん達は。で、今一番多い数出したのは誰だ?」
「これ何だ?」
「モコナーーー」
「「わっ!しゃべった」」
「あんま脅かしてやんなよ」

モコナに驚く男達に思わず苦笑した。

「わしだよ。11だな
「そんなの!どっちも一番多い数の6を出して合計12じゃなきゃ勝てないじゃないか!素人相手に何て勝負を!」

サクラがお椀の中に出したのは……二つ共6な12。

俺達以外、春香含めた町の人々が驚いた様にカクーンと口を開ける。

「やったーー!サクラの勝ちーー!!」
「は…はははは…ま……まあ、そういう運もあるからなぁ。つ、次だ!ささ、お嬢ちゃん振って!」

更に振るサクラ。

結果は12。

その後、更に二連続で12を出した。

「もう、勘弁してくれーー!」
「?」

最終的に男達が泣き出す。

俺と小狼は思わず顔を見合わせた。

「サクラ大勝ちー♡おみやげいっぱーーい♡ようふくももらったー♡」
「いいのかな、色々もらって…」
「いいんだよ。其が賭っつーもんだからな」
「モモまんおいしいー」

サクラが勝ち取ったお陰で、俺達は服を換えている。

「すごい。何度振っても6と6しか出ないなんて。『神の愛娘』なんだな、サクラは」
「神の、愛娘?」
「特別に運のいい人間のことをそういうんだって。神様が特別に愛してるから幸運なんだって」
「では、ハル様は神の愛息子ですね!」
「んー……」

否定……出来ねぇな。

「今までもずっとそうだったのか?」
「分からないの」
「なぜだ?」
「わたしが覚えてるのは……自分の名前と、後、砂漠の中にある街並みのことだけなの。まわりは砂ばかりで……でも、その中のわずかな緑と水を愛しんで生きている。そんな所。それ以外は何も思い出せないの」

俯く小狼の頭を撫でた。

「……ごめん。いやなこと聞いたな」
「今、なくなった記憶を集めるために旅をしてるんだって。わたしは忘れてしまってるんだけど。そう、教えてもらったの。えっと……小狼君に」

言いながら小狼へとサクラは振り返る。

「はい。サクラ姫」

其に少しの間を置いて、小狼は笑顔で返した。

……小狼とサクラは本当は……

 ガシャン

「やめて下さい!!」
「この店はまだ領主様に納めるべき税金を払っていないだろう!」
祖父ハラポジは病気なんです!薬代がいるんです!だから、もう少し待って下さい!!」
「いいや!待てないぞ!!」

音と騒ぎに視線を向ければ、あのバカ息子がまたやらかしているらしい。  

「今すぐ滞っている税金、耳を揃えて払ってもらおう!!」
「無理です!前の領主様の時の二十倍の税なんてとても払えません!!」
「だったら、そのじいさんをもっとムチ打ってやる!100回だ!!」

振るわれそうになる鞭。

「やめて!!」
「やめろーー!」




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