ツバサクロニクル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「「っと」」
「新しい世界へ到着!」
口から吐き出されて着地すると、既に異世界に来ていた。
白い生き物は俺の頭の上に着地する。
他の奴等は気絶してるらしい。
「取り敢えず……」
「休める所でも探すか」
「あんたら、もしかして侑子さんとこから来たんか?」
「「!」」
この時、声を掛けて来た空汰という男の所に世話になる事にした。
その頃には青年達の方も目覚め、雨に濡れた体を拭く。
「……おっと、起きるか?」
「よいしょ」
少年が僅かに反応したのを見て言うと、白い生き物が彼の顔の所まで登った。
何してんだ?
「ぷう、みたいな」
「さ……くら……」
「……ツっこんでくれない。しくしく…」
「??」
如何やらボケたらしいが、目覚めた少年は困惑するだけ。
「あーー、目覚めたみたいだねえ」
悲しむ白い生き物を、金髪の青年が抱き上げる。
「さくら!」
「「急に起きると危ないぞ」」
勢い良く起き上がった少年は、腕に抱えたままの少女を抱き締めた。
「一応拭いたんだけど。雨でぬれてたから」
「モコナもふいたー!」
「寝ながらでもその子のこと、絶対に話さなかったんだよ。君ーーえっと……」
「小狼です」
「えへーーえへーーほめてー」
「はいはい、よしよし」
軽い調子の……モコナ?の頭を撫でる。
「こっちは名前、長いんだー。ファイでいいよー」
「俺もややこしいからな。ハルでいい」
「アキだ」
「ルア=ルーナです」
「ソル=ソーレです」
俺達もテキトーに、ルア達は会釈しながら自己紹介した。
「で、そっちの黒いのはなんて呼ぼうかーー」
「黒いのじゃねぇ!黒鋼だっ!」
黒い青年も怒鳴る様に言う。
「くろがねねーーほいほい。くろちゃんとかー?くろりんとかー?」
「∑うわっ!おいてめっ!何膝のってんだ!」
気付くとモコナ?が黒鋼の膝の上に乗っていた。
俺達はそれぞれルアとソルを撫でる。
「うわっ!!」
「んーーー…?」
「なに、してんだてめぇ」
小狼の声に視線を向けると、ファイが彼の服の中に手を入れていた。
「これ、記憶のカケラだよねぇ。その子の」
「え!?」
すると、小狼の服から一枚の綺麗な羽根を取り出す。
その羽根が小狼に渡されると同時に、モコナがファイの膝の上に乗った。
……何だ、この羽根……
「君にひっかかってたんだよ。ひとつだけ」
「あの時飛び散った羽根だ。これが、さくらの記憶のカケラ」
その羽根は少女の中に入っていく。
「体が……暖かくなった」
「今の羽根がなかったらちょっと危なかったねーーーーー」
「おれの服に偶然ひっかかったから……」
「この世に偶然なんてない」
彼の言葉に全員の視線がファイに向けられた。
「って、あの魔女さんがいってたでしょーー。だからね、この羽根も、君がきっと無意識に捕まえたんだよ。その子を助けるために」
……助ける為に、ね。
「なんてねーー良くわかんないだけどねーー」
「えっ」
「えっ」
「…………」
へにゃんと笑って誤魔化すファイを驚き戸惑う様に見る小狼と黒鋼。
「「…………」」
俺達は視線を交わす。
やはり、考えている事は同じな様だ。
「けど、これからはどうやって探そうかねー。羽根。もう服にはくっついてないみたいだしねぇ」
「はーーーいはいはいっ!モコナ分かる!」
と、ファイを登っていたモコナが飛び上がった。
「え?」
「今の羽根、すごい強い波動を出してる。だから近くなったら分かる。波動をキャッチしたら、モコナこんな感じに」めきょっ
「げっ!」
「「うわっ」」「「おおっ」」
「なる」
細目なモコナの目が大きくなる。
「だったらいけるかもしれないねーー。近くになればモコナが感知してくれるなら」
「「…………」」
相当驚いたのか、黒鋼が壁と自分の胸に手をついていた。
「教えてもらえるかな。あの羽根が近くにあった時」
「まかしとけ!」
「……ありがとう」
ふむ、モコナは小狼の味方という訳か。
「おまえらが羽根を探そうが探すまいが勝手だかな。俺にゃあ関係ねぇぞ」
その時、黒鋼がそう言ってくる。
「俺は自分がいた世界に帰る。それだけが目的だ。おまえ達の事情に首をつっこむつもりも手伝うつもりも、全くねぇ」
「はい。これはおれの問題だから、迷惑かけないように気をつけます」
真っ直ぐな瞳でコクと頷く小狼に、黒鋼が驚いた様に目を瞠った。
「あははははーー真面目なんだねえ小狼くんーー」
ファイの言葉に小狼は首を傾げ、黒鋼は目を逸らして舌打ちする。
「そっちはどうなんだ」
「んん?」
「そのガキ、手伝ってやるってか?」
「んーーーそうだねぇ。とりあえずオレは元いた世界に戻らないことが一番大事なことだからなぁ」
元居た世界に戻らねぇ……か。
黒鋼とは真逆だな。
「ま、命に関わらない程度のことならやるよーー。他にやることもないし」
マイペースに言うファイの一方、モコナが黒鋼の肩に乗って「よっ!」「∑げっ」と交わしていた。
「そっちのそっくりな奴はどうなんだ」
「「双子だからな」」
「……」
俺達の言葉に、ファイが僅かに反応する。
双子が何かあるのか?
「俺は手を貸してやるつもりだ。暇潰しがてらな」
「ハルがやるなら手を貸す」
「「我々も!」」
手を上げるルアとソルを俺達は撫でた。
カチャ
「よう!目ぇ覚めたか!」
と、空汰と奥さんの嵐が茶と菓子を持って入ってくる。
見知らぬ人間に小狼達が僅かに警戒した。
「んな警戒せんでええって。侑子さんとこから来たんやろ」
「ゆうこさん?」
「あの魔女の姉ちゃんのことや。次元の魔女とか、極東の魔女とか色々呼ばれとるな」
ああ、俺達で言う“渡り鳥”か。
「これを」
「あ!ありがとうございます」
嵐から毛布を渡された小狼が……あー……さくら?を寝かせて上に掛けてやる。
「わいは有洙川 空汰」
「嵐です」
「ちなみに、わいの愛する奥さん。ハニーやから、そこんとこ心に刻みまくっといてくれ」
その愛する奥さんは空汰の言葉を無視して茶を配っていた。
慣れてんなぁ。
「小狼です」
「どうぞ」
「はーーーこんなハニーと結婚できてわいは幸せやーー。つーわけで、ハニーに手ぇ出したらぶっ殺すでっ🖤」
何故か空汰はくるりと黒鋼に振り返り、彼の肩を叩きながら言う。
「なんで俺だけにいうんだよ!!」
「ノリやノリ。ノリは命や!あははは」
……?
何でモコナは踊ってんだ?
「でも本気やぞ!」←いい笑顔
「出さねぇっつの!!」
あくまで黒鋼だけなんだな。
「さて。とりあえず、あの魔女の姉ちゃんにこれ(モコナ)あずかって来たんやな」
「モコナ=モドキ」
「「モドキ?」」
「長いな。モコナでええか」
「おう!ええ!」
モドキ……もし、擬きの事だったら、モコナにはモデルでもあんのか?
「事情はそこの兄ちゃんらから聞いた。主にそっちの金髪と双子のほうやけどな。黒いほうは愛想ないな。ほんま」
「うっせー」
「とりあえず兄ちゃんら、プチラッキーやったな」
「えーっと、どのへんがーー?」
「モコナは次に行く世界を選ばれへんねやろ?それが、一番最初の世界がココやなんて、幸せ以外の何もんでもないでーー」
空汰は部屋の中を移動し、窓に手を掛けた。
「ここは、阪神共和国やからな」
阪神共和国……か。
「ここは阪神共和国。とってもステキな島国や!まわりは海にかこまれとって時折、台風が来るけど地震は殆どない。海のむこうの他国とも交流は盛んやで。貿易もぶいぶいや」
何故かパペットにホワイトボードで説明を始める空汰。
「四季がちゃんとあって、今は秋。ごはんが美味しい季節やな」
春は花見で一杯、夏はビールがおいしい、冬はおなべがおいしい……って、飯か酒じゃねぇか。
「主食は小麦粉。あとソースが名産や!」
絵は……たこ焼きにお好み焼きか?
「法律は阪神共和国憲法がある。他国と戦争はやってない」
ふぅん?
あの子の故郷みてぇな国だな。
「移動手段は、車、自転車、バイク、電車、船、飛行機、あとはーー乳母車も一応移動手段かな、ハニー」
「…………」
嵐の方は喋んねぇのか。
「島の形はこんな感じ。形が虎っぽいんで通称『虎の国』とも呼ばれとるんや」
あー……確かに横から見た虎みてぇだな。
「そやから阪神共和国には虎にちなんだモンが多い。通過も
「………」
「野球チームのマークも虎や」
虎が象徴なんだな。
「この野球チームがまたええ味出しとってなぁ!むちゃくちゃ勇敢なんやで!ま、強いかっちゅうと微妙なんやけど。おっと場外乱闘は得意やで」
「はーい、質問いいですかー?」
と、ファイが手を挙げた。
……挙手制?
「はい、ファイ君」
「この国の人たちはみんな、空汰さんみたいなしゃべり方なんですかー?」
「やきゅー?なんだそりゃ」
「球を使った競技」
「んな水くさい。空ちゃんでええで」
「「「空ちゃん」」」
「はーーい」
「…………」
「わいのしゃべり方は特別。これは古語やからな」
古語……なのか。
「この国で過去使われていた言葉なんですか」
小狼が興味があるらしく質問する。
「そうや。とう殆ど使われてへん言葉なんやけどな。わい、歴史の教師やから古いもんがこのままなくなってしまうも、なんや忍びないなぁと」
「歴史の先生なんですか」
「おう!なんや、小狼は歴史興味あるんか」
「はい。前にいた世界で発掘作業に携わっていたので」
「!」
「そりゃ、話が合うかもしれなーー」
あ、アキが反応した。
「それならば、ハル様とアキ様とも」
「話が合うかもしれませんね」
「そうなんですか?」
「ハル様は伝説と其れに関わる事件を調べる事が」
「アキ様は発掘された骨董品や芸術品が」
「「好きですから」」
……いや、その通りなんだけど。
態々紹介される事でもねぇんだけど。
「はーい。もうひとつ、質問でーす」
「はーい」
「で、ここはどこですかー?誰かの部屋ですかー?」
「ええ、質問や!ここはわいと
「…………」
空汰……空ちゃん?に肩を抱き寄せられても、無言無表情な嵐。
「ええやろ~美人の管理人さんやでーー。そのうえ、料理上手やーー」
うっとりと語る空ちゃんの一方、飽きたのか黒鋼が居眠りを始める。
「そこ寝るなー!」
パコン!
「なにぃ!?」
黒鋼の真上から、まるで頭を叩かれた様な衝撃が。
其れに俺達の間に緊張感が走った。
「なんの気配もなかったぞ!」
きょろきょろと周囲を見渡す黒鋼。
「てめぇ、なんか投げやがったのか!?」
「投げたんなら、あの角度からは当たらないでしょーーー。真上から衝撃があったみたいだし?」
「何って、