ツバサクロニクル
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何が切欠かは、覚えていない。
だが、たまに取る睡眠……その中の夢で俺は何処かの屋敷?に居た。
俺の側には少年と小さな狐?が居て、彼と共にその屋敷で暮らしているらしい。
視界をチラつく白い布?に何故かとても安心して、俺に振り返る少年に微笑む。
唯、少年の顔には影が掛かっていて、どんな表情……いや、顔すら分からない。
時々何か言っている様だが、唯一判別出来る口が動いているのが分かるだけで、声も聞こえない。
見覚えがある気がするが、誰なのか分からない。
「…………」
目覚めると、アーキスが難しそうな顔をしていた。
「アーキス?」
「ん?ああ……夢渡りが勝手に発動したみたいで……」
「勝手に?珍しいな」
「ああ……其処で、少年と少女が閉じ込められてる……?みたいな夢で」
「何だ、その疑問だらけの夢は」
「お互いに必死そうだったのは覚えてるんだが……最後に必ず少女の背中に羽が出て、飛んで行ってしまうんだ」
「……其れは、双方辛いんじゃないか?」
「ああ、辛そうに見えた……お互いに手を伸ばして……そういえば、確か少年の方が名前を叫んでいたな」
「名前?」
アーキスが言おうとした時、俺の領域に干渉しようとする違和感を感知する。
「どうした?」
「何者かがこの領域に干渉しようとしてきた」
「誰だ?」
「さあ。流石にこの空間に……」
「……ハーヴェル?」
「呼ばれてる……?何故か、行かなきゃいけない気がする」
「……ハーヴェルのそういった勘には従った方が良い。直ぐにルアとソルを呼ぶから、今度は一緒に行くぞ」
「分かった」
そして……俺達は異世界へと降り立った。
「最後の子達が来たわね」
「「「!」」」
降り立った先は、雨が降っている。
そして、俺達の目の前には女性と少年。
背後には三人の青少年と一人の少女が居た。
……この女性、気配が……
「初めまして、ね。私は次元の魔女とも呼ばれていて、ここは願いを叶える所。勿論、対価は必要よ」
「……ハルだ。此方はルア」
「アキ。此方はソル……願いを叶える場所……ね」
アキ達が俺を見る。
「……俺は誰かに呼ばれ、何処かに行かなければいけないとは思った。だが、行き先は分からねぇ。逸れでも転移した先が此処だった」
「そうね。あなたはここを介する必要があったのよ」
「…………ならば、俺の願いは決まった。その先に行きたい」
「俺達はそれに付き添いたい」
「なら、あなた達への対価は、彼らと共に行く事」
その言葉に俺達は改めて背後の彼等に振り返る。
「……!」
一瞬、アキが少年と目を閉じている少女を見て驚いた気配を察知した。
「彼らと共に遠回りでもそこへ行く事。つまり、時間と拘束ね。残りの分の対価は既に貰っているわ」
「「…………?」」
彼女に対価を支払ったつもりはねぇが……?
「……分かった。此奴等と行けばいいんだな」
「ええ」
「アキ、ルア、ソル……悪ぃが付き合わせる」
「勿論」
「「お供します」」
俺達は後ろの彼等に一歩近付く。
「では、行きなさい」
と、女性が持っていた丸い耳が生えた白い生き物の背から羽が生えた。
ゴァアアア
そして、その口に勢い良く吸い込まれる。
なんつー転移方法だよ……っ。
こうして、記憶の羽を巡る旅が始まる。
この旅で、俺は自身が知らなかった自分を知る事になる。
end.