ツイステッドワンダーランド
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「あ、そういえば双子」
「「?」」
「双子は参加しないのか?」
「「そのつもりはない」」
「もしかして踊れないとか?」
「「誰に言ってるんだ」」
「そうだな……双子の踊りと歌、見てみたいな」
「「は?」」
「さんせー!」
「ああ、参考までに見たい」
「「…………」」
俺達は顔を見合わせる。
……えー……
「「ミュージック準備出来てます!」」
「「えぇ……」」
まさか、ルアとソルに外堀を埋められるとは……
仕方なく、俺達は彼等から少し離れて立った。
「「──捻じれたリズムで踊ろう……♪」」
歌も踊りもエーデュースの練習で見ていたから分かる。
「「満足か?」」
「あ、うん」
「やっぱ双子は凄いな」
「「そりゃどうも」」
「双子も参加すりゃいいのに~」
「「お断りだ」」
それから数日後。
どうやら今日は例のオーディションの結果発表日らしい。
俺達は関係ねぇのもあり、偶々会ったジャックと話していると……
ビュンッ パシッ
「!?」
飛んできた矢をアキが掴んだ。
「矢……!?つーか、あっさり受け止めやがった」
「アキなら普通だな。つーか、括り付けられてんの手紙か?」
「だな」
矢に括り付けられた手紙を見ると、差出人はルーク・ハントでポムフィオーレ寮のポールルームに放課後に来て欲しいというもの。
俺達はまた顔を見合わせる。
……まぁ、それくらいならいいか。
──放課後。
俺達はポムフィオーレ寮へ向かうと、途中で優羽達と出会い、目的地が同じという事で一緒に行く事になった。
「選抜メンバーに選ばれたからには歌や踊りの特訓があるんだろうな」
「そりゃそーでしょ」
「ぐぬぬ……オマエらに負けたかと思うとますます悔しいんだゾ」
「おーい、お前たち!」
ポムフィオーレ寮の前に来た所で、声を掛けられて振り返ると……ジャミルとカリムが歩み寄って来る。
「カリムとジャミルじゃねぇか。どうして
「俺たち2人は選抜メンバーオーディションに受かったんだ。もしや、お前たちも?」
「そーなんすよ!」
「じゃあ、あの日は上手くパフォーマンスできたんだな。良かったぜ!」
俺達はオーディションに参加してねぇのに呼び出されてんだけどな。
「でもオレ様だけが落ちちまったんだ。悔しいんだゾ~~~」
「さすがのヴィル先輩も、君をチームに組み込むのは難しいと思ったんだろう……」
「まぁ、だろうな」
ジャミルと小さい声で、顔を寄せ合って話した。
「元気出せよ、グリム。クラッカー食うか?」
「うっ、またそれか。いらねぇんだゾ」
「そこの7人と1匹。止まりたまえ!」
と、ポムフィオーレの寮服を着た二人組に止められる。
「僕たちのことか?」
「『VDC』選抜メンバーオーディションを通過した方々とお見受けする」
「おう!ヴィルに呼ばれてきたところだ。アイツのところまで案内してくれないか?」
「フッ……残念だったな。そうやすやすとここを通すわけにはいかない!!」
「えっ?」
「ポムフィオーレの門は、美と強さを兼ね備えた者のみが通ることを許されるのだ!」
片方が手袋を投げ落とした。
「さあ、私が投げた手袋を拾いたまえ!」
「なんだ?アイツ手袋を投げつけてきたぞ。どうしたんだ?」
「ボーっとするな、カリム!来るぞ!」
此れを切っ掛けに俺達はポムフィオーレ寮生に襲われながらポールルームを目指す事に。
バンッ!
「はぁ、はぁ……やっとポールルームに辿り着いた!」
「はぁ、はぁ……なんでこんな目に合わないといけないわけ?」
ポールルームに駆け込む様に入る。
特に息を切らさなかった俺達が扉を閉めた。
「それは、アンタたちが選抜メンバーになったからこそよ」
シャラーン!
「ふなっ!?眩しいんだゾッ!」
「どうやら脱落者はいないようね。ひとまず合格」
現れたのは……ヴィル・シェーンハイト。
「ヴィル、こりゃ一体どういうことだ?」
「どうもこうもないわ。ただのウォームアップよ。全身運動で体が温まったでしょう?すぐさまレッスンがスタートできる」
つまり、ポムフィオーレ寮生が襲って来たのは寮長の指示って事か。
「いいこと?これからアタシたちはナイトレイブンカレッジの代表として『ボーカル&ダンスチャンピオンシップ』という戦いの場で世界一を目指すの。あの程度の障害で突破できないメンバーはいらない。大会に向けて、すでに戦いは始まってるの。今この瞬間から、お遊び気分は許さないわ。ビシビシ鍛えていくから覚悟しなさい!」
「お、おう……!?よくわかんないけど、わかったぜ!」
……俺達は関係ねぇんだけどな。
「……なんかこのカンジ……ヴィル先輩、ウチの寮長に似てね?」
「ハーツラビュルとポムフィオーレはどちらも『女王』の精神に基づく寮だからな。自然とそうなるんじゃないか……?」
「おやおや、
「………………」
相変わらず笑顔なハントと暗い表情のフェルミエが現れる。
「選抜メンバーの諸君、まずは合格おめでとう。ブラボー!エースくん、デュースくん、カリムくん、ジャミルくん。エペルくん。そして、私とヴィル。我々7名は今日から
「エペル、です。よろしくおねがいします……」
「やいやい!ちょっと待つんだゾ。ずっとオレ様とコイツを仲間外れにしやがって。不合格にしたくせに、なんでオレ様たちまでここに呼んだんだゾ」
ついに我慢出来なくなったらしく、グリムが割り込んだ。
「それについては私が説明しましょう!私、優しいので!」
「ふなっ、学園長!オメー、毎回突然出てくるんじゃねぇ!びっくりするんだゾ」
「それは失礼。急に出てきているつもりはないのですが……」
急に声を掛けてきた学園長にグリムが驚いて優羽にしがみ付く。
「ゴホン。君たちも選抜メンバーと共に集まっていただいた理由。それは……この週末から『ボーカル&ダンスチャンピオンシップ』本番までの4週間。出場メンバーの強化合宿を行う宿舎としてオンボロ寮を提供していただきたい!」
「「「「「強化合宿ゥ~~~~~!?」」」」」
オンボロ寮を提供しろだと?
「オンボロ寮で寝泊まりするってこと!?」
「が、学園長。なぜ同じ学園内で合宿をする必要が……?俺達は所属寮にそれぞれの部屋が用意されています」
「チームワークを育むためです。君たちは寮も、学年も、生まれた場所や文化も異なる。ともに生活することで、相互理解を深めていただきたいのです」
……確かに一緒に旅をする事で親睦が深まり、絆が深まっていく……というのは俺達も経験してるから分かるんだけどな。
「確かに、一流の音楽グループがチームワークを高めるために、寝食を共にするのはよくあることね」
「ポムフィオーレでも良いかなと思ったのですが、それでは違う寮のメンバーはアウェイ感が出てしまう。しかし、オンボロ寮であれば全員フラットな気持ちで合宿できるのではないか、と考えたのです」
「い、いきなりそんな事言われたって……」
「やば……しょっぱなからメンバー降りたくなってきた……」
学園長の言葉にエーデュースは戸惑っている様子だった。
「寮まぜこぜで合宿なんて、すげー面白そうだな!でも、オレとジャミルが2人とも寮をあけて大丈夫なのか?」
「それについてはご心配いりません。学園長である私の権限で、参加メンバーを全面的にバックアップさせていただきます。私、とぉ~っても優しいので。学園としても、君たちには他校を下し“世界一”の称号を手に入れてもらいたいですからね」
「待つんだゾ。オレ様たち、選抜メンバーじゃねぇのになんで協力してやんなきゃなんねぇんだ!?絶~っ対にお断りなんだゾ」
まぁ、グリムの意見も分かる。
自分が出れねぇなら協力する義務はねぇしな。
「おやグリムくん、そんなこと言っていいんですかねぇ?もし寮を合宿場として提供してくれたらすごく良いことがあるかもしれないのに……」
「ふなっ?な、なんなんだゾ。その良いことって……」
「もしチームが優勝した暁には、アタシとルーク2人分の賞金をオンボロ寮に寄付するわ」
賞金には興味ねぇって事か。
貰える物は貰っときゃいいのに。
「どうしてですか?」
「アタシはそんな雀の涙みちなギャラ興味ないもの」
「ヴィルのために働いてくれるサポートメンバーに礼を尽くすのは、当然のことさ」
「500万マドルを7等分して、その2人分もらえるってことは……ええと……」
「約142万マドルだ」
「ふなっっっっ!?それって……ツナ缶が4000個よりいっぱい買えるんだゾ!?」
優羽が俺達に視線を向けた。
「空いてる部屋を提供し、サポートするだけでチャンスが手に入るのに絶~っ対に嫌なんですよね。オンボロ寮を宿舎にしていいなら、水回りも経費でリフォームしようかなぁと思っていたんですがねぇ。はぁ~、非常に残念です。この話はなかったことに……」
「うぐぐ……ツナ缶富豪になれるチャンス……なぁ~ユウ~……どうするんだゾ?」
困った様にグリムは優羽を見上げる。
「……どうする?双子」
「まぁ、彼処はそもそも学園長のだしな」
「其処に住まわせてるという前提がある以上、断れないか」
「だよね……わかりました、提供します」
「そうですか!ご提供していただけますかぁ~!私も合宿スタートに向けていろいろ手配をしておかないと「ちょっと待て」いっ!?」
話を纏めようとする学園長にアキが膝蹴りをした。
其れに優羽が目を瞠る。
「……いいの?」
「いいんじゃねぇか?」
「何が水回りのリフォームだ。そんなものとっくにハルに改善済みだ。協力する以上、学園側からも対価を要求する」
「へ?しかし、オンボロ寮の光熱費と「そうやってお前が優羽を脅したと聞いたから、それ以降オンボロ寮に関わる金は俺達が出している」えぇ!?」
「そもそも生活費も俺達が出してるからお前の金は使われていない筈だが?それに加えて本来学園側の手違いで来た優羽やハルへの保護義務はお前にある筈。其れを脅して雑用をやらせる等言語道断。其れに此処で俺がお前を止めなければ合宿に関わる諸々はハルが負担するだろう」
まぁ、そんなつもりだったけど。
俺は途中からお茶を出し、優羽やエーデュース、カリムとジャミルと飲み始めた。
「わ、わかりました!負担は全部私が持ちます!」
「それだけじゃ駄目だ。万が一優勝出来なかったとしてもオンボロ寮には報酬を寄越せ。それこそツナ缶や優羽が欲しい物を」
「そ、それは……」
「……あ゛?」
「ひっ、わかりました」
「話は終わったかー?」
「ああ。説教はまた今度にする」
「(説教じゃなかったのかぁ)」
「で、ではみなさん、練習頑張ってくださいね!……あ、双子には別件でお願いしたいことが……」
「「?」」
アキにお茶を渡せば、アキは飲みながら学園長に冷たい視線を向ける。
「実は双子は歌が上手いと聞きまして……双子には余興をお願いしたく」
「「あ゛?」」
「ひっそれではお願いします!!」
学園長は言い逃げしていった。