2日目 それはまるでドラマのような
「えーっといつものケチャップは・・・」
引っ越しから2週間、新しい環境にも慣れた神楽はその週末、アパートに職場の同僚達を集めて女子会を開く事になっていた。
女子会を翌日に控えた金曜日の夕方、神楽は仕事帰りに、すっかり買い物にも慣れたいつものスーパーで買い出しを行っていた。
女子会は土曜日の午後、一品づつ持ち寄ってのランチパーティーとなる予定だが、翌日も日曜で休みとなれば、アルコール好きのお妙とあやめがお茶やソフトドリンクで満足するはずがない。ずっしりと重い買い物カゴの中には、食材の他にビールやチューハイに混じってお妙とあやめの好きなロゼワインと白ワインも1本ずつ入れていた。
明らかに荷物になるそれらを最後にカゴに詰めてからレジに並んだのだが、そこで料理として出す予定だったラザニアに使うケチャップを切らしていた事を思い出した。渋々重いカゴを持って神楽はもう一度売り場へと引き返す。
「ううーっ・・・よりによって一番上なんて…」
いつも好んで使っているメーカーのケチャップも、もちろん店には置いてあったが生憎それは棚の一番高い列に置かれていた。ちょっと背伸びすれば届きそうな気もするが、手にはワインのビンが2本も入った買い物カゴ。無理をして手を伸ばし、バランスを崩したら大変な事になってしまう。一度買い物カゴを足元に置いて取ろうかと神楽が逡巡していた時の事だった。ひょいっと後ろから出てきた手が神楽の欲しかったケチャップの棚へと伸びる。どうやら神楽の後ろにも、同じケチャップを求めていた客がいたようだ。
「あ、ごめんなさいアル!」
邪魔になってはいけないと慌てて神楽が身を引く。けれど一瞬気を抜いた隙に神楽の体の重心は重いカゴへと引っ張られてしまった。
「っ、間に合わないアル」
ガラス瓶が割れる事だけは避けたい。必死にカゴを庇いつつ、己は尻餅をつく覚悟で神楽はぎゅっと目を瞑る。
けれどその直後、背中に伝わってきたのは叩き付けられるはずの床の硬さではなく、ふわりと優しく、けれどぐっと力強く支えられる感覚だった。
「あれ?私…」
恐る恐る神楽は目を開いた。視界に飛び込んでくるのはお店の天井。続いて横から低い男性の声が降ってくる。
「間一髪。大丈夫?怪我してない?」
続けざまに飛んでくる質問。けれどその声は優しく穏やかで、神楽の事を心配してくれているそれだった。
引っ越しから2週間、新しい環境にも慣れた神楽はその週末、アパートに職場の同僚達を集めて女子会を開く事になっていた。
女子会を翌日に控えた金曜日の夕方、神楽は仕事帰りに、すっかり買い物にも慣れたいつものスーパーで買い出しを行っていた。
女子会は土曜日の午後、一品づつ持ち寄ってのランチパーティーとなる予定だが、翌日も日曜で休みとなれば、アルコール好きのお妙とあやめがお茶やソフトドリンクで満足するはずがない。ずっしりと重い買い物カゴの中には、食材の他にビールやチューハイに混じってお妙とあやめの好きなロゼワインと白ワインも1本ずつ入れていた。
明らかに荷物になるそれらを最後にカゴに詰めてからレジに並んだのだが、そこで料理として出す予定だったラザニアに使うケチャップを切らしていた事を思い出した。渋々重いカゴを持って神楽はもう一度売り場へと引き返す。
「ううーっ・・・よりによって一番上なんて…」
いつも好んで使っているメーカーのケチャップも、もちろん店には置いてあったが生憎それは棚の一番高い列に置かれていた。ちょっと背伸びすれば届きそうな気もするが、手にはワインのビンが2本も入った買い物カゴ。無理をして手を伸ばし、バランスを崩したら大変な事になってしまう。一度買い物カゴを足元に置いて取ろうかと神楽が逡巡していた時の事だった。ひょいっと後ろから出てきた手が神楽の欲しかったケチャップの棚へと伸びる。どうやら神楽の後ろにも、同じケチャップを求めていた客がいたようだ。
「あ、ごめんなさいアル!」
邪魔になってはいけないと慌てて神楽が身を引く。けれど一瞬気を抜いた隙に神楽の体の重心は重いカゴへと引っ張られてしまった。
「っ、間に合わないアル」
ガラス瓶が割れる事だけは避けたい。必死にカゴを庇いつつ、己は尻餅をつく覚悟で神楽はぎゅっと目を瞑る。
けれどその直後、背中に伝わってきたのは叩き付けられるはずの床の硬さではなく、ふわりと優しく、けれどぐっと力強く支えられる感覚だった。
「あれ?私…」
恐る恐る神楽は目を開いた。視界に飛び込んでくるのはお店の天井。続いて横から低い男性の声が降ってくる。
「間一髪。大丈夫?怪我してない?」
続けざまに飛んでくる質問。けれどその声は優しく穏やかで、神楽の事を心配してくれているそれだった。
