4日目 懐かしい味

ちょっと恥ずかしいけれど本当の話だ。引かれてしまったらどうしよう?とも思ったのだが、銀時にならそんな自分も素直にさらけ出せそうな気がするから不思議だ。
一方の銀時もまったく引いた様子等見せず、むしろ目を輝かせる。
「マジで?実はオレ、気になってる店があって。ほら、うちのアパートの最寄駅前に新しく出来たケーキ屋!あそこ平日限定だけど、ケーキのビュッフェやってるって話でよォ。めっちゃ行ってみたいんだけど、男で一人ケーキ屋ってのもハードル高けェし、周りにもそんな甘党な人間いねェから誰も付き合ってくれねェし、よかったら神楽さん今度どうっスか?あそこ、夜は8時までやってくれてるから、今日と同じ位の時間に出てこれるなら、間に合うし」
「えっケーキの食べ放題!?絶対行ってみたいアル」
「よーし、じゃあ今度神楽さんが都合のいい日に誘ってくんね?あ、オレは今んとこ、就活しながらバイトで仕事してるから、休みの融通も利くし」
「じゃあ次はケーキ屋さんで決定アル!って…あ、ごめんなさい。私つい坂田さんにこんなタメ口で…」
ついつい興奮してしまったせいか気付けばまるで古くからの友達のように何の違和感もなくタメ口で話していた事に気付き神楽ははっと青ざめる。
そんな神楽に銀時はブンブンと手を振って答えた。
「いや、それならオレも。つい興奮しちゃって…」
照れたようにはにかむ姿はどこかいつもの大人びた銀時の印象と違い、少年のようなあどけない可愛さが垣間見える。
「あっでも気にせずタメ語でしゃべってもらって大丈夫です。オレもその方が気が楽だし」
にこっと笑う銀時にそれならと神楽も口を開く
「私も大丈夫アル。多分、私坂田さんより年下だし、もともとこんな口調だから、タメ語でしゃべって貰った方が私も気が楽で…」
「んじゃさ、ついでに…神楽、ちゃん…て呼んじゃダメ?」
どこか遠慮がちながらも、はっきりと神楽の耳に届く声で告げられる言葉にドクンと神楽の心臓が大きく跳ねる。
“か、勘違いアル!きっとそういう意味じゅなくて、お隣さんだし?私の方が年下だし?そう、だからこれは深い意味はないわけで…”
ぐるぐると回る思考を振り切るように神楽はこくんと頷いた。
「大丈夫、アル」
「よっしゃ、よかったー。これでお隣さんから友達、くらいには前進かな?あっでもオレばっかってのアレだし、オレも“坂田さん”なんて堅苦しい呼び方じゃなくて、神楽ちゃんが呼びやすい言い方、考えてくんね?」
すっかり気を許したように期待した眼差しを向ける銀時。その姿は、まるでご主人様の指示を待つ忠実な愛犬のようだ。
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