小さな嘘
★小さな嘘★
「ギャーッ!!!」
けたたましい絶叫が万事屋の朝を告げる。
声の主はほかでもないこの「万事屋」の主、坂田銀時。
「うーん…銀ちゃん朝からうっさいネ。まだ8時前ョ。」
布団から半分だけ顔を出し目覚まし時計にちらりと目をやると再び布団へと潜り込もうとした少女、この家の居候で万事屋メンバーの一人神楽の服の首根っこを銀時はひしと掴んだ。
「もしもし神楽ちゃん?コレさ、神楽ちゃんのお布団かな?」
少し上ずった声で銀時が尋ねる。
「銀ちゃん何寝ぼけた事言ってるネ。コレ銀ちゃんのお布団!私のはあっちョ」
布団の中から右腕を突き出し、真っ直ぐに押入れを指差すと神楽は平然と言い放った。
「ははっそうだよねー。って悪ふざけもいい加減にしろー!!これじゃあ俺が間違いおかしたみたいじゃねーか!新八が見たらドン引きだよ!俺ロリコンオヤジって言われちゃうよ!」
「うっさいなーそれで朝からギャーギャー騒いでたアルか?」
「他に何があるってんだよ!分かったらさっさと出てけ」
銀時は勢いよく布団をめくり上げるとまだ布団でまるくなったままの神楽に向かってちっちっとまるで小動物を追い払うように手を振ってみせる。
そんな銀時の仕打ちに、いつもなら
『失礼アルな!ちょっと寝ぼけて徘徊してきただけじゃねーか!私だってこんなオッサン臭い布団、頼まれたって二度と寝てやらないネ』
なんて売り言葉に買い言葉のやり取りがあるのが常なのだが、今日の神楽は少し様子が違った。
銀時の言葉に何か返事を返すわけでもなく、ただ驚いたような、それでいて少し泣きだしそうな顔でじっと銀時を見つめている。
「なっ…悪かったよ。少し言い過ぎた。謝るから、ね、神楽ちゃん。そんな顔すんなよ。オレ泣かれるのだけは苦手なんだよぉ~」
さっきまでの勢いはどこへやら、神楽の様子に銀時も思わず戸惑いを見せると、幼子をあやすように神楽の頭を優しく撫でる。
しかし神楽の顔にじわりと浮んだのは銀時を打ち負かせた時の嬉しそうな満面の笑みではなく、大きな瞳から今にも零れ落ちそうな涙の粒だった。
「…銀ちゃん…昨日の事なんも覚えてないアルか?」
「え!ちょ…昨日…?昨日は…長谷川さんと飲み行ってそれから…えっと…ヤベッ飲んだ後の事まったく覚えてないワ…。ってやだなぁ神楽ちゃん。そんな冗談どこで覚えてきたの!大人をからかうもんじゃないよー。はははっ第一オレ胸デカイ子が好きだし、結野アナみたいな綺麗なお姉さんとかーメガネっ子も悪くないよな、うん」
引きつる笑み。冷たい汗がツーッと一筋、銀時の背中を流れ落ちた。
「銀ちゃんのバカっ!!もういいネ!」
血の気の引いた銀時の顔に思いっきり枕のサンドバッグをお見舞いすると神楽は自分の寝所である押入れへと駆け込み、ピシャリと扉を閉めてしまった。
「ギャーッ!!!」
けたたましい絶叫が万事屋の朝を告げる。
声の主はほかでもないこの「万事屋」の主、坂田銀時。
「うーん…銀ちゃん朝からうっさいネ。まだ8時前ョ。」
布団から半分だけ顔を出し目覚まし時計にちらりと目をやると再び布団へと潜り込もうとした少女、この家の居候で万事屋メンバーの一人神楽の服の首根っこを銀時はひしと掴んだ。
「もしもし神楽ちゃん?コレさ、神楽ちゃんのお布団かな?」
少し上ずった声で銀時が尋ねる。
「銀ちゃん何寝ぼけた事言ってるネ。コレ銀ちゃんのお布団!私のはあっちョ」
布団の中から右腕を突き出し、真っ直ぐに押入れを指差すと神楽は平然と言い放った。
「ははっそうだよねー。って悪ふざけもいい加減にしろー!!これじゃあ俺が間違いおかしたみたいじゃねーか!新八が見たらドン引きだよ!俺ロリコンオヤジって言われちゃうよ!」
「うっさいなーそれで朝からギャーギャー騒いでたアルか?」
「他に何があるってんだよ!分かったらさっさと出てけ」
銀時は勢いよく布団をめくり上げるとまだ布団でまるくなったままの神楽に向かってちっちっとまるで小動物を追い払うように手を振ってみせる。
そんな銀時の仕打ちに、いつもなら
『失礼アルな!ちょっと寝ぼけて徘徊してきただけじゃねーか!私だってこんなオッサン臭い布団、頼まれたって二度と寝てやらないネ』
なんて売り言葉に買い言葉のやり取りがあるのが常なのだが、今日の神楽は少し様子が違った。
銀時の言葉に何か返事を返すわけでもなく、ただ驚いたような、それでいて少し泣きだしそうな顔でじっと銀時を見つめている。
「なっ…悪かったよ。少し言い過ぎた。謝るから、ね、神楽ちゃん。そんな顔すんなよ。オレ泣かれるのだけは苦手なんだよぉ~」
さっきまでの勢いはどこへやら、神楽の様子に銀時も思わず戸惑いを見せると、幼子をあやすように神楽の頭を優しく撫でる。
しかし神楽の顔にじわりと浮んだのは銀時を打ち負かせた時の嬉しそうな満面の笑みではなく、大きな瞳から今にも零れ落ちそうな涙の粒だった。
「…銀ちゃん…昨日の事なんも覚えてないアルか?」
「え!ちょ…昨日…?昨日は…長谷川さんと飲み行ってそれから…えっと…ヤベッ飲んだ後の事まったく覚えてないワ…。ってやだなぁ神楽ちゃん。そんな冗談どこで覚えてきたの!大人をからかうもんじゃないよー。はははっ第一オレ胸デカイ子が好きだし、結野アナみたいな綺麗なお姉さんとかーメガネっ子も悪くないよな、うん」
引きつる笑み。冷たい汗がツーッと一筋、銀時の背中を流れ落ちた。
「銀ちゃんのバカっ!!もういいネ!」
血の気の引いた銀時の顔に思いっきり枕のサンドバッグをお見舞いすると神楽は自分の寝所である押入れへと駆け込み、ピシャリと扉を閉めてしまった。