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「ハーヤートーくーん!!」
会いたい会いたいと願っていた彼女の声が背後から聞こえてきたかと思うと、振り返る前にがばっと首元に腕が回された。
「なっ、は!? ◯◯? 君、いつ帰って」
「ただいまただいまー! 会いたかったよハヤトくーん!」
ハヤトの言葉を遮った彼女は、彼の頬に軽い音を立てて唇を押しつけた。何が起こったかまったく分からずしばらく呆然としていたハヤトだが、理解が追いついたとたんカッと顔が熱くなった。自分よりも薄い◯◯の肩を掴むと、思いきり腕を突っ張って彼女を引き剥がす。
「ばっ馬鹿! 何するんだ!」
「何って、挨拶だよ、カロスの」
「◯◯はジョウトの人間だろ! は、はしたないことをするな!」
「えー」
早鐘を打つ心臓を鎮めるため大きく深呼吸をする。落ち着けハヤト、クールに行こう。
会って3秒でハヤトの寿命を3年縮めたこの◯◯という少女は、ジム巡りをするために半年前ここキキョウシティからカロス地方へと旅立った、ハヤトの幼馴染である。帰ってきたということは、すでに向こうのジムを制覇してきたのだろう。相変わらず彼女のバトルセンスには驚かされるばかりだ。まあ、今回驚かされたのはそれだけではないのだが。
ハヤトは常日頃から袴を愛用するほどの根っからのジョウト人であるから、カロスにかぶれた様子の◯◯に対して怒りを覚えていた。今一度彼女にどれだけこのジョウトの文化が美しいものなのかを言い聞かせようとしたが、当の本人は「挨拶くらいいいじゃないの」と口を尖らせている。
しかしハヤトはそこで気づいた。彼女はこの頬に口付ける行為を、挨拶だと言って異性である自分に対して恥じらいもなくやってのけた。ということはだ、彼女がカロスにいた頃、同じように他の男にも……
「まさかそれ、おおお男にもしてたんじゃないだろうな!?」
「し、してないよさすがに! 私がしたのは女の人にだけ!」
「そ、そうか……」
「されたことはあったけど」
「くっそおおお! オレが、オレがジムリーダーなんて立場でさえなかったら!」
一緒にカロスまでついていって何が何でも阻止したのに! と頭を抱えるハヤトを見てさすがの◯◯も思うところがあったのか、「でもほんとのほんとにただの挨拶だし!」と慌てて付け足した。
「男が女に下心もなくキスなんかするか!」
「そ、そういうもんかなあ?」
「そういうもんだ!!」
「──なら、女だってそうだよ」
耳元で聞こえた◯◯の声に驚いてハヤトが顔を上げると、目の前に彼女の顔があった。触れた、とハヤトが認識する前に離れていった◯◯は、うっすら赤く頬を色づかせてハヤトの目をじっと見返している。
「は……え……はッ!?」
「これも挨拶だと思う?」
いくらカロスでも、唇を合わせるキスがただの挨拶なわけがない。それくらい頭の固いハヤトだって知っている。ふっくらとした感触が残る唇を抑えながら硬直するハヤトを見て、◯◯はくすりと笑った。
「ハヤトくん顔赤いよ」
「うううるさい!!」
彼女の余裕のある表情が腹立たしいことこの上ない。女からキスを迫るとは、なんて破廉恥なんだ。次は絶対オレからキスしてやるからな! 真っ赤になった顔を隠しながら、密かにズレた誓いを立てるジョウト男児であった。
(20150521/25*la)
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