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ジムリーダーに就任した日を境に、私の幼馴染は変わってしまった。私が大好きだった笑顔は消え、代わりに顔をしかめるようになった。聞き慣れた明るいしゃべり方もしなくなり、厳格な言葉遣いになった。私のよく知っているアスナちゃんは、突然いなくなってしまった。
ジムリーダーになったからって、あんまり気負う必要はないのに。だけどバトルがそこまで得意ではない私の言葉では、ふつふつと熱く燃えたぎる彼女の心をしずめることはできなかった。
彼女のことだ、きっと憧れのおじいさんみたいになりたくて、形から入ろうとしてるんだろう。私はそんな真面目なアスナちゃんが好きだったから、彼女が頑張っているのなら、精一杯応援してあげたいと思った。
けれど。
「あの、◯◯……」
「なあに、アスナちゃん」
「あたし、その……」
手に汗握る激戦の末、アスナちゃんはバトルに負けた。嬉しそうにヒートバッジを受け取ったあの子を見送ったあと、アスナちゃんは真っ先に私のもとへと来てくれた。
視線を泳がせながらしゃべるものだから、鮮やかな花火のようなその赤い髪がふわふわ揺れて、彼女には失礼だがとても可愛らしかった。
ぎゅっとこぶしを握りしめ、自分自身に喝をいれたアスナちゃんは、ようやく私と目を合わせてくれた。あ、何日ぶりだろう。最後に笑い合ったのが、まるで遠い昔のように感じた。
「ごめんね、◯◯……あたし、自分を見失ってた。頑張らなくちゃ、みんなが認めてくれるような、強いジムリーダーにならなきゃって、ちょっと無理してたみたい」
「アスナちゃん……」
「あの子とのバトルに負けて、やっと気づけたんだ。自分らしくでないと、ポケモンたちもついてきてくれない。ジムリーダーになったからって変に変わる必要なんかない。あたしはあたしのままでいていいんだよね」
照れくさそうに頬をかきながら、アスナちゃんは笑う。
「私は、アスナちゃんが信じた道を進めばいいと思ってた。それでアスナちゃんの目指してるものに近づけるのならって。──でもね、私が昔からよおく知ってるあなたがいなくなってしまうのは……やっぱりちょっとだけ、寂しかったな」
「くうっ……ごめん……!」
わかってる、これは八つ当たりでしかない。元のアスナちゃんに戻ってくれたのは嬉しいけれど、彼女を変えたのが私ではないことがほんの少しだけ悔しかったのも事実だ。
しかし顔の前で手を合わせて平謝りする彼女を見ていると、ちりちりくすぶっていた私の心なんて小さなことのように思えてくるからまったく不思議である。
合わせられた彼女の両手をそのまま自分の手のひらで包みこみ、お互いのおでこをくっつける。こつんと触れたそこからは、アスナちゃんの優しい体温を感じられて、とても安心した。そうして私は、ああ本当にアスナちゃんが戻ってきてくれたんだなあ、とようやく実感できたのだ。陽炎に焦がれた
「私はありのままのアスナちゃんが一番好き」
「あたしも◯◯が一番好き!」
私の視界には今、私が大好きな笑顔を浮かべたアスナちゃんだけが広がっている。
(20150204/25*la)
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