原型ポケモン
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くいっと袖を引かれ、視線を向けるとマッスグマがこちらをじっと見上げていた。
「ん? どうしたの?」
私が声をかければ、マッスグマは両手に抱えたたくさんの道具を笑顔で差し出してきた。ハイパーボールや元気の欠片、その他諸々。期待に満ちた眼差しでこちらを見つめる彼に、私は苦笑を返すしかなかった。
マッスグマは道端に落ちているものを拾ってはいつも私に渡してくれる。それは非常にありがたい。ありがたいのだけれど……。
「あー、ありがとう、でも……」
私が言いよどんでいると、マッスグマは迷惑だったかとでも言うように顔を曇らせる。長年一緒にいたからすぐにわかった。彼は確実に誤解している。
「ちっちがうよ! 拾ってきてくれるのはすごく嬉しいの!」
ならば何故、と悲しげな表情をするマッスグマ。そんな彼を見ていると良心がちくちく痛む。思えば彼はジグザグマの頃からこうだった。ものを拾っては毎回私に見せにきたので、良い子良い子と褒め過ぎたのかもしれない。正直、貴重な薬やらを拾ってきてくれた時などはすごく助かるのだ。しかし問題なのはそこじゃない。私はマッスグマの目線に合わせて腰を屈めた。
「もらいたいのはやまやまなんだけどね……もう鞄の中いっぱいで、これ以上入らないんだよ……」
マッスグマはハッとしたように目を見開いた。今まで彼が拾ったものはすべて私の鞄に入れていたのだが、そろそろ限界だ。前の町を発つ時に一応整理はしたのだけれど、次の町までは思ったより距離があったらしい。
膨らんだ鞄と私の顔を交互に見つめて、マッスグマはうつむいてしまった。
「ありがとマッスグマ、気持ちだけ受け取っとくから」
今にも泣き出しそうな彼を必死になぐさめる。マッスグマは持っていたものを全部地面に下ろすと、私の首にぎゅっと抱きついてきた。ぽんぽんと優しく背中を叩いてやれば、彼は肩口にぐりぐり額を押しつけてくる。
「多分もうちょっとで次の町に着くと思うんだ。ポケモンセンターで一旦鞄の整理するから、そしたらまたいろいろ拾ってきてくれる?」
「マグ……」
「マッスグマからのプレゼント、私いつも楽しみにしてるんだよ?」
「マッ、グマ?」
「ほーんーと!」
ようやく笑顔が戻ったマッスグマと並んで歩く。とりあえず今日のうちには次の町までたどり着きたいなと、ただ切実に思った。センチメンタル
ロマンチシスト
(20120420/25*la)