原型ポケモン
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オノノクスは優しい。パートナーである私をいつも守ってくれている。例えば私の苦手な雷からだったり、野生のポケモンからだったり、少し前まで世間を騒がせていたプラズマ団からだったり──彼はいつだって、私の身を一番に考えてくれていた。
そしてそれは、恋仲という関係になった今でも続いている。
「オノノクス、キスして」
「ダメだ」
返ってくる答えはいつも同じ拒絶の言葉。オノノクスの背に抱きつきながら、私は彼がため息をついたのを感じた。
呆れられたかしら、いい加減鬱陶しいかしら。
でも彼は優しいから、私を引き剥がしたりはしないのだ。
「キス、したい」
「……◯◯、いつになったらわかってくれるんだ」
知ってるわ。私のためなんでしょう? その巨大な牙から、守ってくれてるんでしょう?
わかってる。わかってるわ。わかってるのよ。それでもね……。
「私だって女だもの、好きなひととキスしたいわ」
「……」
「オノノクスは、私とキス……したくない?」
「ッそんなわけないだろ! オレだって……オレだってお前とキスしたいさ」
オノノクスはゆっくり振り向いて、私の頭を撫でる。彼の切ない声は、胸の奥をじりじりと刺激する。
いっそのこと無理やりキスしてやろうかと思った。痛いのは嫌だけど、彼の牙なら怖くない。それでもきっと彼は優しいから、私を責めることはなく、私を傷つけた己の身体を呪うのだろう。
したいのに、できない。
このもどかしい思いは、もうどうにもならないの?
「……◯◯」
「な、に」
「これは、その、◯◯が望んでるのとは違うかもしれないが……」
「オノノクス?」
あっちへ行ったりこっちへ行ったり。せわしなく動く彼の視線。なかなか煮え切らないオノノクスにもう一度声をかければ、やがてごくりと喉を鳴らして私を見下ろした。
「目を、閉じてくれないか」
「……うん」
「そのまま顔を上げて、口を開けて」
一体何をするのかという恐怖心と、間抜けな顔を見られる羞恥心があいまって、ドキドキする。
顔に影がかかった。
「んぅっ」
口の中に何かが侵入してきた感覚に、思わず目を開け──慌てて閉じた。カアッと頬が熱くなる。
初めのうちは恐る恐る触れていたそれは、徐々に激しさを増していく。私も合わせて必死に舌を絡ませた。
外気に触れて少しひんやりするけれど、それ以上にオノノクスの舌は熱かった。
オノノクスの唾液が舌を伝って口に流れこんでくる。先ほどの彼のように喉を大きく鳴らしてそれを飲み下し、私たちはどちらからともなく舌を離した。
「あ、はぁ……ん……っ」
肩で息をする私をオノノクスはそっと抱き寄せた。そのまま彼のたくましい胸に頭を預ける。ずっと見上げていたせいで首が痛い。
「……オノノクスのえっち」
「仕方ないだろ……これしか思いつかなかったんだ」
「変態、スケベ、むっつり」
「……すまん」
「……ううん、いいの。──嬉しかったから」
あなたとキスが出来るなら私、何だって構わないわ。
(ねえ、もう一回して)
(ダメだ)
(何故?)
(止まらなくなるから)
(……えっち)
(20120229/25*la)