原型ポケモン
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ゴツ、という小気味よい音がしたのでふり返ると、ボスゴドラがフローリングの床に寝そべっていた。ああ、また傷ついちゃう。彼のためにシリコンマットを買おう買おうと思ってはいるのだが、結局いつも忘れてしまうのだ。
最近仕事が立てこんでいたせいで、あんまり構ってあげられなかったからかなあ。こうすれば私が「こらー!」って叱りにくることを理解しているのかも。ふだんのボスゴドラはとっても聞き分けのいい子なのだが、いじっぱりな部分もあるためなかなか素直に甘えてはくれないから。
「はいはい」
眼鏡をはずして立ちあがり、ボスゴドラのもとへ向かう。仕事なんてこの際あと回しだ。大事な大事なパートナーと天秤にかけるまでもない。
「ほら起きて困ったちゃん、床が傷だらけになっちゃうよー」
ぽんぽんとボスゴドラの頭を軽くたたく。はがねタイプはひんやりしてそうなイメージだけど、熱を通しやすいため意外に彼らの体はあたたかい。ところが私の猫撫で声が気に入らなかったのか、ボスゴドラはちらりと一瞥をよこしただけで、またそっぽを向いてしなった。あちゃあ、完璧へそ曲げてるわこれ。そのうえ頭を床にこすりつけるものだからもう大変だ。ごりごりと削れる嫌な音がする。やだそれだけは勘弁して!
「わあああっごめんほんとごめん! ねえお願い、機嫌なおして? 謝るからあ!」
がばっとその巨体に抱きつくと、ボスゴドラの動きはぴたりと止まり、次第にくつくつ震えだした。こ、こいつ、笑ってるな!?
すっ、とようやく彼のわざとらしいジト目と視線がかちあう。わかったわかった、わかりました、私が悪かったですよ。さっきの彼と同じように、ぐりぐりボスゴドラに頭を押しつけた。ちょっと痛いけれど、まあそれもご愛敬ということで。
やがてぐるんと視界がまわり、気づけば私はボスゴドラのおなかの上。楽しそうにくるくるのどを鳴らす彼の背後に、やりっぱなしの資料が見える。だけど今はそんなの無視無視。もうちょっとだけ、この子とだらだらしていたい。
相棒とのコミュニケーションが足りてなかったのは、どうやら私も同じだったようだ。
(20190603/25*la)