原型ポケモン
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触れ合った指先からほのかに伝わってくる体温は、想像していたものよりもうんと温かかった。こんなこと言うと当たり前だって笑われちゃうかもしれないけれど、ミュウツーもちゃんと生きてるんだなあって、私とおんなじなんだなあって、何となく嬉しくなった。
ふふふ。
緩んだ頬か、笑った振動か、どちらかは分からないけれど、そんな私を訝しく思ったのだろう。疑問詞を伴って私の名を呼ぶ声が、じんわりと脳髄に染み込んでいく。高いとも低いとも思える、だけどそのどちらでもない、摩訶不思議な声。そしてそれに何でもないよと返す私。
ミュウツーは戦いのためだけに作られたポケモンだという。だから優しい心を持って生まれてこなかったのだと。それならば──と以前ミュウツーは言った──それならば、お前を愛おしいと思う自分は、"ミュウツー"ではなくなってしまったのだろうか。
「ミュウツー」
『どうした』
だけどこうして名前を呼べば、ちゃんと返事をくれるから。自分が誰なのかなんて、他人が決めることじゃあないのにね。私のそんな思いが、いつか君に届けばいいのになあ。
「あったかい、ね」
『……ああ』
「もうちょっとだけ、手を繋いでてもいい?」ありふれて、ありあまり、あふれでる
その問いの答えは、柔く握り返された指先だけが知っている。
(20161115/25*la)