原型ポケモン
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俺が進化してまず何を思ったかといえば、ああこれでやっと◯◯を見下ろせるぞということだった。今の俺の背丈はざっと2メートル。対して◯◯は、まあ……そこいらの女と比べりゃ幾分ちっこいが、コドラであった時の俺よりかは遥かに大きかった。だが今はどうだ。◯◯が手をうんと伸ばしたとしても、俺の肩にだって届きゃしない。惚れたメスより背は高くありたいというのは、オスとして当然の心理だと思っている。そういうわけで俺は長年の願いをようやっと叶えることができた。──しかしだ。
「ちょっと、かがんでよ」
どうやら俺のご主人さまはこの現状がお気に召さないようで、さっきから俺の腕をぐいぐい引っ張ってきやがる。そんなことをされても、こっちは痛くも痒くもないのだが。びくともしない俺の腕を見て、◯◯はぷくっと頬をふくらませた。あれ、こいつこんなにガキっぽかったっけか。
「今何か失礼なこと考えたでしょ」
「グガゴゴ……」
じとっと下から睨んでくる◯◯から逃げるように視線を明後日の方向に向ける。すると今度は腹のあたりをべしべし叩きながら尚かがめと催促してきたので、仕方なしに地面に片膝をついてやった。すると目の前にはさっきとは打って変わった、にんまり顔の◯◯がいた。反射的に顔をのけぞらせようとしたが、それよりも早く、口の端っこに、柔らかい感触、が、──
「進化おめでと」
してやったりとほくそ笑む◯◯は、ちゃんと大人の女の顔をしていたから。俺は酸欠のヒンバスよろしく、口を馬鹿みたいに開閉させることしかできなかったのである。
・・・★でこぼこラブソング★・・・
彼が進化して私がまず何を思ったかといえば、ああついに抜かされてしまったなということだった。私は平均よりも身長がだいぶ低い。同い年の友人たちと集まっても、私一人だけ子どもみたいでいつもちょっと、いや、かなり悔しい思いをしていた。そんな私がせめて手持ちのポケモンよりは背が高くありたいと考えるのは至極当然のことだと思う。そういうわけで、私は私より背の低い手持ちの子たちに囲まれている間だけ、ほんの少しの優越感に浸ることができたのだ。──つい最近までは!
「ちょっと、かがんでよ」
手持ちの子の中でも古株のコドラが、先日進化を迎えた。彼をゲットしたのはまだトレーナーになりたての頃だったため、まさかあんなに小さくて可愛いココドラが最終的に2メートル越えのポケモンに進化するなんて思いもしなかったのである。もちろん嬉しい気持ちの方が断然強いのだけれど、それはそれ、これはこれだ。
私がいくら腕を引っ張ってもまったく意に介することなく、「え、今虫が止まった?」みたいな反応をするボスゴドラの、何と忌々しいことか! 私が必死になってるのに、あろうことかうっすらと笑みを浮かべる始末。こいつ絶対馬鹿にしてる!
「今何か失礼なこと考えたでしょ」
するとボスゴドラは気まずげに唸りながら視線を逸らした。図星かお前! そう叫びたい衝動に駆られた時、ふとある考えが頭をよぎった。馬鹿にされっぱなしは、性に合わない。
腕を引っ張るのは諦め、正面にまわってその鉄のように固いおなかを叩く。やがてしぶしぶといった感じに膝を折ってくれたので、私はすかさず彼の口元に自分のそれを押しつけた。
「進化おめでと」
私の不意打ちにボスゴドラは何ともうぶな反応を見せる。──うん、背が低いのも、案外悪くないかもしれない。だって彼がうつむいて隠そうとする赤い顔も、下から覗くことができるのだから。
(20140307/25*la)
「ボスゴドラが進化して嬉しいんだけど自分より背が高くなってしまってちょっと落ち込む夢主と、夢主より背が高くなって何だか優越感を感じるボスゴドラ」というリクエスト作品