原型ポケモン
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ミュウツーが何やら思案顔で自分の手のひらを見つめている。何かあるのかと覗いてみたけど、その中は空っぽだった。
『◯◯』
「ん?」
『手を出せ』
「……何で?」
『いいから早く』
若干イライラしたようにミュウツーがそう言うので、私はおそるおそる右の手のひらを上に向けて差し出す。ところが『そうじゃない』と手首をグイッと掴まれて、顔の前に手の甲がくる位置で(つまり指先が上にくる形で)固定されてしまった。
「ちょっと、痛いんだけど」
『黙ってろ』
ミュウツーは額にしわを寄せたまま私の手に自分の右手を重ね、そのまま指を絡ませようとする。が、手の形が違うのでなかなかうまくいかない。
『……やはりダメか』
「どうしたのミュウツー? 手なら握るだけでも、」
『指を絡ませるものを、コイビトツナギと言うのだろう』
「……え」
『私たちはコイビトだ。違うか?』
「ちが、わない……」
とうとう諦めたらしく、掴んでいた手首を離された。その後もミュウツーは己の手を、結んだり開いたりしながら忌々しそうに見ている。そんなミュウツーの姿を見て、私は思わず吹き出してしまった。
『何がおかしい』
「い、いや……っ、そうじゃなくて……く、ははっ!」
いけない、余計不機嫌にさせてしまった。これ以上気を害してはいけないと、私は何とか笑いをおさえて、ミュウツーに目を向ける。
「ごめんごめん、おかしくて笑ったんじゃないよ。えっとつまり、ミュウツーは私と恋人繋ぎがしたかったの?」
『……悪いか』
「全然。むしろ嬉しかった」
『ふん。この私がヒトの真似事をするなど、さぞ滑稽だったろうな』
「もー、何でいっつもそうネガティブに考えるかなあ」
自虐的なミュウツーの頬を人差し指でつっつくと、うっとうしいとでも言うようにジロッと睨まれた。だけどそれも、今はまったく怖くない。
「ねえミュウツー、恋人繋ぎだけが恋人のすることじゃないんだよ?」
私はミュウツーの腕にするりと自分の腕を絡ませて、驚きで目を丸くするミュウツーを見上げた。普段は堅物なミュウツーだけど、意外と可愛らしい一面も持っているらしい。
(20130201/25*la)