原型ポケモン
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『正座』
「え……」
『正座しろと言っているんだ。おまえの耳は飾りかよ』
わたしがそう言うと、女はのろのろと膝を曲げた。動作がいちいち癇 にさわる奴だ。もっと早く動けノロマ。
『お前、昨日何してた』
「ギラティナさんとやぶれた世界を散歩してました」
『一昨日は』
「あー……ディアルガさんと時間旅行を……」
『っ──この尻軽がぁあッ!!』
「痛あっ!」
渾身の力をこめた尾で女の頭をはたく。すると女は目に涙を浮かべながら生意気にもこちらを睨んできやがった。何様のつもりだコラ。
『おまえは何考えてるんだ、え? あっちにフラフラこっちにフラフラ、この尻軽女が!』
「しっ尻軽って! 私は別に、」
『おまえにその気がなくともわたしにはそう見えんだよ尻軽!』
「っ……だからって、何でエムリットさんにそんなこと言われなきゃいけないんです?」
『そ、れは──』
その通り、わたしには関係のないことである。恋仲であるパルキアさまが仰るならともかく、何故部外者のわたしがここまで腹を立てるんだ。──なんて、こいつは思ってるのだろうな。わたしの気持ちも知らないで、ただただ純粋に不思議なのだろう。
非常に不本意ではあるが、どうやらわたしはこの女のことを"あい"しているらしい。気づいたと同時に散った想いだったが、それでもわたしは良かった。敬愛するパルキアさまの隣で幸せになってくれるのなら、と思い、身を引いたのだ。だがどうだこの仕打ちは。潔く諦めたおれが馬鹿みたいじゃねーか! こんなことになるならさっさと奪っとけば──って違う違うそうじゃない。何言ってんだわたしは、馬鹿か。やはり馬鹿なのか。うるせえ馬鹿。
「エムリットさん」
『あ?』
「あの、ありがとうございます」
『は、え……何?』
女ははにかんで笑っている。今のやりとりの中で感謝する要素があったか? ねーよな? 頭はたいてくれてありがとうとか? お前Mだったのかよ。ならパルキアさまよりもわたしとの相性の方がいいんじゃないか。パルキアさまって尽くすタイプだろ、わたし生粋のSだぜ。……だから何でそっちの考えに行きつくんだよ。発情期か。
「私とパルキアのこと心配してくれてるんですよね。だから、ありがとうございます」
『あ、あー、まあ、そういう、ことになるのか』
「もうすぐパルキアと一緒になった記念日なので、ディアルガさんたちには相談に乗ってもらってただけなんです。だから大丈夫ですよ、私たち絶対別れませんから! 連理の枝というやつです!」
『……いつ夫婦になったんだよ』
「ふっ夫婦だなんてエムリットさんそんな……っ」
『何だよめんどくせーなおまえ!』
あーあ、ほんとめんどくせー。こいつに惚気話を聞かされることも、そのたびどこからか見ていらっしゃるパルキアさまに嫉妬の感情を向けられることも、ふたりの仲を思い知らされて未だ痛むこの心も。全部全部めんどくせーよ畜生。こいなんかわかんないこ
(20121018/25*la)