93、女の勘

─ アンタ、雄英高校ヒーロー科1-Aの ─













その頃女性トイレでは
奥の着替えスペースに
女性スタッフと豊香が入っていた


｢ふっふ〜ん♬︎｣


女性スタッフは
鼻歌を歌いながら中に入ると
豊香に扉を閉めるように言う

豊香は警戒しつつも
言われた通りに扉を閉めると
女性スタッフは
目を細め豊香の顔をじっと見る


｢ねぇ･･･どこかで会ったことある？｣


そう言うと女性スタッフは
豊香の顔を手で触れると
ゆっくりとスライドさせ
豊香の唇に触れる

豊香は驚き
咄嗟に目を離してしまう
するとクックックと笑い声がすると
女性スタッフは冗談と言い
豊香に後ろを向いて
着替えるように指示をした


｢なんなんだ･･･。｣


豊香は意味がわからないと思ったが
着替えないと話は進まないと思い
とりあえず後ろを向くと
背中のチャックに手をかける

ふと背中に視線を感じ
横目で確認をすると
女性スタッフがニヤニヤとしながら
豊香の着替えを見つめていた


｢･･･見ないでください。｣


豊香は自身を包み込むように
両手で隠すも
女性スタッフは自身の後ろにある
大きな鏡を指さし
どちらにしても
着替える姿は見えてしまうのだから
気にする事は無いと主張する


豊香は女性スタッフに
立ち位置を変わるようにお願いをすると
あっさりと豊香の要望を受け入れ
立ち位置を変わると
後ろを向いて着替え始めた


｢ふぅ･･･。｣

豊香はほっと胸をなでおろし
自身も着替えを始める



だが目の前の鏡には
女性スタッフの過激な下着姿が写り
豊香は急いで目をつぶりながら
服を脱いだ

そして豊香が服を脱いだ瞬間
頭を強く引っ張られ
頭皮に痛みが走った

あまりの痛さに
豊香は頭を押えると
真後ろから女性スタッフの声が聞こえ
豊香の顔から血の気が引いた
















｢やっぱり〜。アンタ、雄英高校ヒーロー科1-Aの東雲 豊君でしょ？顔が好みだから、テレビで見て、覚えてたんだよね〜♡なんでこんな格好してるのかな？｣
















女性スタッフは
まるで新しいおもちゃを与えられた
子供のように喜ぶと
手に持っていた
豊香のウィッグを床に落とし
豊香に覆い被さるように
抱きついてきた



｢これは･･･｣



豊香は咄嗟に自身の胸を隠す

正体がバレたのも問題だが
東雲 豊が女であることが
バレてしまう方が
遥に問題であった




すると女性スタッフは
豊香の手をどけさせ
豊香の胸を包み込むように触った






"終わった･･･"






そう思った豊香であったが
自体は思わぬ方向に向かってしまう