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バスケットシューズと
フロアが擦れ合う音
規則正しいドリブルの音
そしてボールとゴールネットが擦れる音
雄英高校 球技用体育館Δ(デルタ)では
一人の女の子が
黙々とバスケの練習をしていた
彼女の名前は東雲 豊香
彼女は今年3年になり
初めてヒーロー科から
女子バスケットボール部の
主将となった逸材だ
人一倍負けず嫌いで
時間があればこうやって
1人で練習をしている
「おい・・・いつまでやってんだ。」
フリースローを決め
また1から練習しようとした
豊香であったが
体育館入口に寄りかかり
気だるそうに声をかけてきた
少年の声に動きが止まった
彼の名前は爆豪勝己
豊香の彼氏であり
彼もまた初めてヒーロー科から
男子バスケットボール部の
主将となった逸材だ
豊香はごめんと一言謝ると
急いでモップを取りに行き
床の掃除をしようとするも
はぁと溜息をつきながら
スリッパで入ってきた爆豪に
モップを奪い取られた
「・・・着替えてこい。」
それだけを言うと
爆豪は丁寧にモップで
端から床を掃除し始めた
そんな爆豪の姿を見て
豊香は顔がニヤけるが
鬼の形相で振り向いた爆豪に
足早に更衣室へと消えていった
「お待たせー!帰ろ、勝己!」
急ぎ足でシャワーと着替えを済ませ
更衣室から出てくる豊香
爆豪は更衣室入口にある
ベンチに座りながら
携帯をいじっていた
豊香は爆豪の隣に座ると
覗き込むようにして顔を見せた
すると爆豪の口がモゴモゴと
動いているのに気づいた
「ねぇ、何食べてるの?」
豊香は起き上がると
爆豪のカバンやポケットの辺りを
キョロキョロと見る
すると爆豪の左ポケットから
何やら金色の袋が見え隠れしていた
豊香は素早く
ポケットの中の袋を引きずり出すと
それは何かの包み紙であった
「・・・カロリーメイト?」
豊香は引きずり出した袋を
綺麗に広げてみる
するとその袋は
手軽に食べられカロリーだけでなく
ビタミンやミネラル、タンパク質など
人体に必要な栄養素がバランスよく取れ
大人から子供まで大好きな
いわゆる栄養食の袋であった
豊香はこれ美味しよねや
昔あったポテト味1番好きだったなぁや
今、缶に入ったドリンクタイプがあるんだよなど
様々な情報を爆豪に伝えてくる
しかし
豊香はふと袋を見て気づいた
カロリーメイトは
1袋に2本入ってる
だがこの袋には
1本も残っていない
爆豪の事なので
袋を開ければ1度で必ず食べ切り
開封済みのものを後で食べたりはしない
さっきまで楽しそうだった豊香の顔は
みるみるうちに不機嫌になっていく
「バカ勝己・・・残しておいてくれても良かったじゃん・・・。お腹すいてたのに・・・。」
豊香はそう言うと
ベンチの上で体育座りをして
頭を膝の上にうずめた
爆豪は本日2度目のため息をすると
豊香の頭に手を置き
ワシャワシャと乱暴に撫でた
「・・・んなんで怒んなよ。・・・悪かったよ。」
爆豪は撫でていた手のスピードを緩めると
子供をあやすかのように
ゆっくり撫でた
「・・・ホントに思ってる?」
豊香は顔を埋めたまま
爆豪に問う
すると爆豪は何かを閃いたのか
撫でていた手を止め
カバンをガサゴソと漁り始めた
そして何かを取り出すと
自身の口の中に入れ
おい、と豊香に声をかけ
顔をあげさせた
「んだよ、そんな簡たn!?・・・んふッッ・・・ふぁめ?」
豊香は渋々顔をあげると
爆豪の手が豊香の頬に添えられ
気づけばキスされていた
唇から広がるチーズの味
そして何かを口移しで入れられ
その何かを確かめるために舐めてみた
するとレモンの酸っぱい味の後に
ほのかに甘いミルクの味が
口の中に広がってきた
「ありがとう///・・・って、別にキスする必要なくない?」
豊香は飴のお礼をするも
そもそも手で渡せばよかったじゃんと
子供のように頬をふくらませる
すると爆豪はイタズラに笑い
帰るぞとはぐらかすと
寮の方に歩き出した
豊香は置いていかれまいと
早足で爆豪に駆け寄り
爆豪の手を取って歩き出した