心地よい風が吹くまで
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86、駆け引き
─私には自身を犠牲にしても、無事に皆様を助ける義務があります。─
「・・・次。」
ついに犯人が
豊香達の所に来た
豊香は書記氏と目を合わせ
互いに頷いた
「書記 一だ・・・。そして隣にいるのが娘の紙織と豊香・・・豊香の婚約者の爆豪君だ。」
書記氏はそれだけを伝えると
紙織の手をぎゅっと固く握った
「あんたがこのパーティの主催者か・・・。ありがとよ、俺らの金儲けの準備をしてくれて・・・。」
男は薄ら笑いを浮かべると
名簿を閉じ
仲間のところに戻ろうとした
「ねぇ・・・」
豊香は意を決して
犯人に話しかけた
「あぁ?女が何の用だ。」
犯人は目を細め
豊香の目の前に立った
威圧的な態度の男を目の前に
豊香は軽く息を吸うと
力強い声で犯人に向かって
言葉を発した
「目的は何ですの?要求は?」
少しだけ声が震えたものの
上手く隠せた豊香
犯人は豊香の言葉に
チッと舌打ちをすると
ポケットから
小さな消しゴムを取り出し
豊香の顔の前に
差し出した
「これは俺の個性で爆弾に替えてある消しゴムだ。これ一つの威力は人一人の頭を簡単に吹っ飛ばせるぐらいだ。・・・殺されたくなければ、黙ってろ。女でも容赦しねぇぞ。」
犯人は消しゴムを
チラつかせたまま
参加者名簿を握ると
豊香達に背を向けた
だが豊香は引くことなく
消しゴムを持った犯人の腕を掴み
自身の頭の前に持ってきた
「脅しのつもりでしょうが、私はそんなものに屈しませんわ。今回のパーティは我が書記家が経営する会社で主催したもの。ここにいる全ての方を危険に晒してしまっている以上、私には自身を犠牲にしても、無事に皆様を助ける義務があります。」
豊香の真っ直ぐな瞳に
犯人は動揺を隠すことが出来ず
一瞬腰が引けてしまった
豊香はその隙を見逃すことなく
畳み掛けるように話し始める
「ですので、あなた方の目的を教えてください。そして、人質を解放してください。どうしても人質が必要なら、私一人が残ります。それとも丸腰である私が怖いですか?」
かなり強気に出た豊香
正直恐怖心が無い訳では無いが
今はここにいる人質の安全と
犯人達の目的が何なのかを
把握することが大切だ
これは先日
相澤によるヒーロー基礎学で
学んだことである
立てこもり事件は
人質の解放
犯罪行為の目的の把握
を早期に行うことで
犯罪行為の被害を
最小限に抑えることが出来る
また立てこもり事件の場合
多くが身代金の要求であり
その場合には
すぐに人質を殺したりは
しないという事だ
豊香は
バクバクとうるさい心臓の音を
顔に出すことなく
犯人をひたすら見つめていた
すると犯人もプレッシャーからか
頬に一筋の汗が見えると
一瞬、身代金という言葉が
犯人の口から出た
だがそれは
もう1人の犯人によって制止され
止められた男は
そそくさとその場を後にした
犯人は先程確認した名簿を見ながら
何やら数を数えている
「・・・17・・・18・・・19・・・で、主催者と娘達の4人を足して23。」
謎の確認を目の当たりにした
豊香達だったが
通信機から『ピッ』と音がして
Missガーベラの声が聞こえてきた
「疾風。そちらの声は聞こえていたわ。今、急いで建物内にいる人々の避難を進めているわ。あと、迂闊に声を出すと怪しまれるから、YESかNoで答えられるもしくは、数で答えられる質問をするから、できる範囲で答えてちょうだい。」
YESなら1回
Noなら2回
数はその分だけ
通信機を叩いてとの事だった
豊香は
自然な動きで耳を触ると
通信機を1回叩いた
そしてMissガーベラの
質問に答えていく
"犯人は何人?" "トントン"
"犯人は武器を持っている?" "トン"
"周りにプロヒーローはいる?" "トントン"
順調に答えていっている豊香
すると犯人達は
従業員の座っている位置に近づくと
手前にいる女性スタッフ
2人を立たせた
「おい・・・フロントと連絡できるようにしろ。」
立たされた女性スタッフ達は
首を縦にブンブンと振ると
急いでクロークに
走っていった
数分後
ワイヤレス電話機を持ってきた
女性スタッフ達は
恐る恐る犯人に手渡すと
急いで他のスタッフが座る位置へと
戻っていった
痩せ型の犯人は
電話機の発信ボタンを押すと
スピーカーにして
全員に聞こえるように
電話を始めた
『プルルルルルルルルルルルッッ・・・』
静かな部屋に
電話のコール音だけが響く
そして受話器を取る音がすると
女性の声が聞こえてきた
─私には自身を犠牲にしても、無事に皆様を助ける義務があります。─
「・・・次。」
ついに犯人が
豊香達の所に来た
豊香は書記氏と目を合わせ
互いに頷いた
「書記 一だ・・・。そして隣にいるのが娘の紙織と豊香・・・豊香の婚約者の爆豪君だ。」
書記氏はそれだけを伝えると
紙織の手をぎゅっと固く握った
「あんたがこのパーティの主催者か・・・。ありがとよ、俺らの金儲けの準備をしてくれて・・・。」
男は薄ら笑いを浮かべると
名簿を閉じ
仲間のところに戻ろうとした
「ねぇ・・・」
豊香は意を決して
犯人に話しかけた
「あぁ?女が何の用だ。」
犯人は目を細め
豊香の目の前に立った
威圧的な態度の男を目の前に
豊香は軽く息を吸うと
力強い声で犯人に向かって
言葉を発した
「目的は何ですの?要求は?」
少しだけ声が震えたものの
上手く隠せた豊香
犯人は豊香の言葉に
チッと舌打ちをすると
ポケットから
小さな消しゴムを取り出し
豊香の顔の前に
差し出した
「これは俺の個性で爆弾に替えてある消しゴムだ。これ一つの威力は人一人の頭を簡単に吹っ飛ばせるぐらいだ。・・・殺されたくなければ、黙ってろ。女でも容赦しねぇぞ。」
犯人は消しゴムを
チラつかせたまま
参加者名簿を握ると
豊香達に背を向けた
だが豊香は引くことなく
消しゴムを持った犯人の腕を掴み
自身の頭の前に持ってきた
「脅しのつもりでしょうが、私はそんなものに屈しませんわ。今回のパーティは我が書記家が経営する会社で主催したもの。ここにいる全ての方を危険に晒してしまっている以上、私には自身を犠牲にしても、無事に皆様を助ける義務があります。」
豊香の真っ直ぐな瞳に
犯人は動揺を隠すことが出来ず
一瞬腰が引けてしまった
豊香はその隙を見逃すことなく
畳み掛けるように話し始める
「ですので、あなた方の目的を教えてください。そして、人質を解放してください。どうしても人質が必要なら、私一人が残ります。それとも丸腰である私が怖いですか?」
かなり強気に出た豊香
正直恐怖心が無い訳では無いが
今はここにいる人質の安全と
犯人達の目的が何なのかを
把握することが大切だ
これは先日
相澤によるヒーロー基礎学で
学んだことである
立てこもり事件は
人質の解放
犯罪行為の目的の把握
を早期に行うことで
犯罪行為の被害を
最小限に抑えることが出来る
また立てこもり事件の場合
多くが身代金の要求であり
その場合には
すぐに人質を殺したりは
しないという事だ
豊香は
バクバクとうるさい心臓の音を
顔に出すことなく
犯人をひたすら見つめていた
すると犯人もプレッシャーからか
頬に一筋の汗が見えると
一瞬、身代金という言葉が
犯人の口から出た
だがそれは
もう1人の犯人によって制止され
止められた男は
そそくさとその場を後にした
犯人は先程確認した名簿を見ながら
何やら数を数えている
「・・・17・・・18・・・19・・・で、主催者と娘達の4人を足して23。」
謎の確認を目の当たりにした
豊香達だったが
通信機から『ピッ』と音がして
Missガーベラの声が聞こえてきた
「疾風。そちらの声は聞こえていたわ。今、急いで建物内にいる人々の避難を進めているわ。あと、迂闊に声を出すと怪しまれるから、YESかNoで答えられるもしくは、数で答えられる質問をするから、できる範囲で答えてちょうだい。」
YESなら1回
Noなら2回
数はその分だけ
通信機を叩いてとの事だった
豊香は
自然な動きで耳を触ると
通信機を1回叩いた
そしてMissガーベラの
質問に答えていく
"犯人は何人?" "トントン"
"犯人は武器を持っている?" "トン"
"周りにプロヒーローはいる?" "トントン"
順調に答えていっている豊香
すると犯人達は
従業員の座っている位置に近づくと
手前にいる女性スタッフ
2人を立たせた
「おい・・・フロントと連絡できるようにしろ。」
立たされた女性スタッフ達は
首を縦にブンブンと振ると
急いでクロークに
走っていった
数分後
ワイヤレス電話機を持ってきた
女性スタッフ達は
恐る恐る犯人に手渡すと
急いで他のスタッフが座る位置へと
戻っていった
痩せ型の犯人は
電話機の発信ボタンを押すと
スピーカーにして
全員に聞こえるように
電話を始めた
『プルルルルルルルルルルルッッ・・・』
静かな部屋に
電話のコール音だけが響く
そして受話器を取る音がすると
女性の声が聞こえてきた