心地よい風が吹くまで
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79、思い出の場所で
─ バッカじゃねぇの? ─
大きな螺旋階段の先
玄関ホールを抜けると
向かって右側に噴水
左側に大きな木が
こちらを見下ろすように立っていた
よく見ると
木の向こう側の隅に
紙織の着ていた深紅のドレスの端が
少しだけ見え隠れしていた
「紙織さ「来ないで!」」
紙織の方へ向かおうと
歩き始めた豊香は
少し震える紙織の声で
歩みを止めると
少し考え
手前側の木の根元に腰掛けた
「・・・ごめんなさい。俺、知らなくて・・・知らなくてじゃすまされないですよね。・・・ちゃんとしまったから・・・。本当にごめんなさい。」
豊香は
ゆっくりとした口調で紙織に謝ると
そのまま口を閉じた
二人の間に会話は続かず
そよ風だけが
二人の間を行き来している
「・・・まだ整理出来ないの。」
ボソッと紙織から
言葉が漏れた
そして一言一言
吐き出すように話し始めた
「マ・・・お母様が亡くなってから、もう4年も経つの。・・・お父様も千代も・・・外の世界もみんな心の整理ができているのに・・・私1人だけ・・・できてない・・・の・・・。」
冷静さや威厳をを保とうと
一言一言を慎重に話す紙織であったが
とうとう涙が溢れ
止めようとするも
とめどなく溢れてきてしまっていた
「もう嫌ッッ・・・なんで・・・早く・・・大丈夫に・・・なっ・・・て・・・欲しいのに・・・。たかがッッ・・・ウイッグで・・・疾風は・・・マッッ・・・マにッッ・・・似てッッ・・・ないのにッッ・・・止まってよッッ・・・。」
ゴシゴシと袖で目を拭く紙織であったが
その涙が止まることはなく
目が赤くなってきてしまっていた
しまいには喋ることも出来ず
身体を震わせながら泣き始めた
「あの・・・。」
先程まで沈黙していた豊香だったが
意を決してしゃべり始めた
「俺、自分の言葉でちゃんと伝えたいので、少し言葉遣いが荒くなりますが、ご了承ください。・・・
バッカじゃねぇの?」
豊香の言葉に
泣いていた紙織は
勢いよく豊香の方を振り向いた
「ちょっと!!!馬鹿とはな「『もう』4年でも『たかが』ウイッグでもない・・・。
『まだ4年』
『大切なウイッグ』
だろ・・・?たった4年で整理も何もつくはずねぇだろ?・・・そんな簡単なもんじゃねぇよ・・・。」
豊香は目を閉じたまま
深くため息をつくと
そのまま喋り始めた
「4年で整理できるなら・・・おr・・・私だって、こんなに悩まないよ・・・。そもそも他の人と比べることも無い・・・一人一人の思いや悲しみは、同じものさしで測ることも、何かと比べることも出来ないし・・・他人の心の中なんて傍から見ても分からない。もしかしたら千代さんも紙織のお父さんも顔や態度に出さないだけで、まだ悩んでいるかもしれない・・・。だから、すぐに整理できなくても別いいんだよ・・・ゆっくり・・・ゆっくり・・・紙織が納得できるまで・・・いつか思い出しても心が温かくなるまで、何年かかったっていいんだよ。」
紙織に伝えているような
自身にも言い聞かせているような
どちらにも取れるような
豊香の言葉
豊香は空を見上げ
少しだけ微笑んだ
紙織は豊香の言葉に耳を傾け
同じように空を見上げた
すると豊香はスっと立ち上がると
紙織の前に立った
「てか、悩めるって凄いことなんだよ?・・・それだけ、大切な思い出や人だったってことだもん。胸張れよ。変な牽制や力を誇示しても、紙織の為にはならない。・・・たまには息抜きも必要だよ!・・・以上でした。お聞き苦しい言葉ですみません。」
そういうと豊香は
苦笑いしながら頬をかくと
空いている方の手で
紙織に手を差し伸べた
紙織はフッと笑い
豊香の手を取ると
馬鹿じゃないの?と言い
屋敷の中へ戻っていった
─ バッカじゃねぇの? ─
大きな螺旋階段の先
玄関ホールを抜けると
向かって右側に噴水
左側に大きな木が
こちらを見下ろすように立っていた
よく見ると
木の向こう側の隅に
紙織の着ていた深紅のドレスの端が
少しだけ見え隠れしていた
「紙織さ「来ないで!」」
紙織の方へ向かおうと
歩き始めた豊香は
少し震える紙織の声で
歩みを止めると
少し考え
手前側の木の根元に腰掛けた
「・・・ごめんなさい。俺、知らなくて・・・知らなくてじゃすまされないですよね。・・・ちゃんとしまったから・・・。本当にごめんなさい。」
豊香は
ゆっくりとした口調で紙織に謝ると
そのまま口を閉じた
二人の間に会話は続かず
そよ風だけが
二人の間を行き来している
「・・・まだ整理出来ないの。」
ボソッと紙織から
言葉が漏れた
そして一言一言
吐き出すように話し始めた
「マ・・・お母様が亡くなってから、もう4年も経つの。・・・お父様も千代も・・・外の世界もみんな心の整理ができているのに・・・私1人だけ・・・できてない・・・の・・・。」
冷静さや威厳をを保とうと
一言一言を慎重に話す紙織であったが
とうとう涙が溢れ
止めようとするも
とめどなく溢れてきてしまっていた
「もう嫌ッッ・・・なんで・・・早く・・・大丈夫に・・・なっ・・・て・・・欲しいのに・・・。たかがッッ・・・ウイッグで・・・疾風は・・・マッッ・・・マにッッ・・・似てッッ・・・ないのにッッ・・・止まってよッッ・・・。」
ゴシゴシと袖で目を拭く紙織であったが
その涙が止まることはなく
目が赤くなってきてしまっていた
しまいには喋ることも出来ず
身体を震わせながら泣き始めた
「あの・・・。」
先程まで沈黙していた豊香だったが
意を決してしゃべり始めた
「俺、自分の言葉でちゃんと伝えたいので、少し言葉遣いが荒くなりますが、ご了承ください。・・・
バッカじゃねぇの?」
豊香の言葉に
泣いていた紙織は
勢いよく豊香の方を振り向いた
「ちょっと!!!馬鹿とはな「『もう』4年でも『たかが』ウイッグでもない・・・。
『まだ4年』
『大切なウイッグ』
だろ・・・?たった4年で整理も何もつくはずねぇだろ?・・・そんな簡単なもんじゃねぇよ・・・。」
豊香は目を閉じたまま
深くため息をつくと
そのまま喋り始めた
「4年で整理できるなら・・・おr・・・私だって、こんなに悩まないよ・・・。そもそも他の人と比べることも無い・・・一人一人の思いや悲しみは、同じものさしで測ることも、何かと比べることも出来ないし・・・他人の心の中なんて傍から見ても分からない。もしかしたら千代さんも紙織のお父さんも顔や態度に出さないだけで、まだ悩んでいるかもしれない・・・。だから、すぐに整理できなくても別いいんだよ・・・ゆっくり・・・ゆっくり・・・紙織が納得できるまで・・・いつか思い出しても心が温かくなるまで、何年かかったっていいんだよ。」
紙織に伝えているような
自身にも言い聞かせているような
どちらにも取れるような
豊香の言葉
豊香は空を見上げ
少しだけ微笑んだ
紙織は豊香の言葉に耳を傾け
同じように空を見上げた
すると豊香はスっと立ち上がると
紙織の前に立った
「てか、悩めるって凄いことなんだよ?・・・それだけ、大切な思い出や人だったってことだもん。胸張れよ。変な牽制や力を誇示しても、紙織の為にはならない。・・・たまには息抜きも必要だよ!・・・以上でした。お聞き苦しい言葉ですみません。」
そういうと豊香は
苦笑いしながら頬をかくと
空いている方の手で
紙織に手を差し伸べた
紙織はフッと笑い
豊香の手を取ると
馬鹿じゃないの?と言い
屋敷の中へ戻っていった