心地よい風が吹くまで
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78、母の正体
─ 隠密ヒーロー シークレット ─
「は?・・・ぇっ??何?」
豊香があっけに取られていると
衣装部屋から出てきた千代が
ため息をつき
紙織が出ていったドアを
見つめていた
「・・・申し訳ございません、疾風様。そのウイッグは色々事情がありまして・・・。お嬢様の前では使用は禁止なのです・・・。」
千代はお預かりしますと言うと
さっとウィッグを豊香の頭から外し
衣装部屋に戻ってしまった
慌てて千代の後を追うと
先程のケースの中に
閉まっているところだった
「あの・・・すみません、勝手に出してしまって・・・。もし良ければ、理由を聞かせて貰えませんか?」
豊香はしゅんとすると
申し訳無さそうに
千代に理由を尋ねた
先程の紙織の反応を見ると
かなりまずい理由なのかもしれない
きちんと理由を知らなければ
紙織に謝っても意味は無いだろう
すると千代は
ポケットから手鏡を出し
内側が見えるように
豊香に向けてきた
中には鏡の面と
もう一面には
20歳ぐらいの男性と
先程のウイッグと同じ髪型の女性が
並んで写っていた
その女性はどことなく
見覚えのある
面影をしている
「その写真は数年前にお嬢様のお母様である陽狐(ヨウコ)様と一緒に撮った写真です。陽狐様はとてもお優しい方で、出来の悪かった私を雇ってくださり、仕事だけでなくプライベートも親しくさせて頂いておりました。」
千代はゆっくりと
自身の心の中を語るように
そして当時を懐かしむように
話し始めた
「陽狐様は表向きは書記家の経営する出版社の経理部長ですが、その正体は『隠密ヒーロー シークレット 』として、日々敵の情報収集、潜入と依頼を行っておりました。私もそのお手伝いをしていたのですが、ある日、陽狐様おひとりでの任務中に事故にあい・・・亡くなられてしまいました。」
千代は目を細め
静かに手鏡を閉じ
ポケットに閉まった
「通常であれば、ヒーローの死はテレビや雑誌等で報道されます。ですが、秘密裏に動くことがメインだった陽狐様は、亡くなった時にテレビや雑誌等で取り上げられることも無く、当時6歳であったお嬢様にとって、いきなり切り離されたように陽狐様がいらっしゃらなくなってしまったのに、世界は何事も無かったかのように動いていることが受け入れられず、今も心のどこかで陽狐様をお探しになられているのだと思います。」
この屋敷に来た当初
感じていた違和感
歴代の当主の写真や肖像画
書記氏と紙織の写真
紙織だけの写真など
色々なところに
飾ってあるにも関わらず
ひとつとして見当たらなかった
母親の写真
それは現実を受け入れられない
紙織の為に行っていた行為だったのだ
「疾風様のご両親もお亡くなりになられているのですよね・・・?申し訳ございません。少し調べさせて頂きました。」
千代は申し訳なさそうに
豊香に伝えると
豊香は伏し目がちに目線を落とし
コクんと頷いた
「・・・そうです。9年前に敵の襲撃にあって・・・目の前で亡くなっているそうです。俺にとってすごく衝撃的だったせいなのか、はたまた別の理由なのか、未だに事件の前後の記憶がないんですよね・・・。」
豊香は苦笑いをしながら
頬を指でかいた
「俺・・・紙織さんに謝ってきます。」
そう豊香は言うと
部屋を出ていこうとする
「疾風様!!・・・お嬢様なら中庭にいらっしゃると思います。」
中庭はお嬢様と陽狐様の
思い出の場所ですのでと
柔らかな声で伝えた千代は
深々と豊香に頭を下げた
豊香は短く
はいと答えると
急ぎ足で中庭へと向かった
─ 隠密ヒーロー シークレット ─
「は?・・・ぇっ??何?」
豊香があっけに取られていると
衣装部屋から出てきた千代が
ため息をつき
紙織が出ていったドアを
見つめていた
「・・・申し訳ございません、疾風様。そのウイッグは色々事情がありまして・・・。お嬢様の前では使用は禁止なのです・・・。」
千代はお預かりしますと言うと
さっとウィッグを豊香の頭から外し
衣装部屋に戻ってしまった
慌てて千代の後を追うと
先程のケースの中に
閉まっているところだった
「あの・・・すみません、勝手に出してしまって・・・。もし良ければ、理由を聞かせて貰えませんか?」
豊香はしゅんとすると
申し訳無さそうに
千代に理由を尋ねた
先程の紙織の反応を見ると
かなりまずい理由なのかもしれない
きちんと理由を知らなければ
紙織に謝っても意味は無いだろう
すると千代は
ポケットから手鏡を出し
内側が見えるように
豊香に向けてきた
中には鏡の面と
もう一面には
20歳ぐらいの男性と
先程のウイッグと同じ髪型の女性が
並んで写っていた
その女性はどことなく
見覚えのある
面影をしている
「その写真は数年前にお嬢様のお母様である陽狐(ヨウコ)様と一緒に撮った写真です。陽狐様はとてもお優しい方で、出来の悪かった私を雇ってくださり、仕事だけでなくプライベートも親しくさせて頂いておりました。」
千代はゆっくりと
自身の心の中を語るように
そして当時を懐かしむように
話し始めた
「陽狐様は表向きは書記家の経営する出版社の経理部長ですが、その正体は『隠密ヒーロー シークレット 』として、日々敵の情報収集、潜入と依頼を行っておりました。私もそのお手伝いをしていたのですが、ある日、陽狐様おひとりでの任務中に事故にあい・・・亡くなられてしまいました。」
千代は目を細め
静かに手鏡を閉じ
ポケットに閉まった
「通常であれば、ヒーローの死はテレビや雑誌等で報道されます。ですが、秘密裏に動くことがメインだった陽狐様は、亡くなった時にテレビや雑誌等で取り上げられることも無く、当時6歳であったお嬢様にとって、いきなり切り離されたように陽狐様がいらっしゃらなくなってしまったのに、世界は何事も無かったかのように動いていることが受け入れられず、今も心のどこかで陽狐様をお探しになられているのだと思います。」
この屋敷に来た当初
感じていた違和感
歴代の当主の写真や肖像画
書記氏と紙織の写真
紙織だけの写真など
色々なところに
飾ってあるにも関わらず
ひとつとして見当たらなかった
母親の写真
それは現実を受け入れられない
紙織の為に行っていた行為だったのだ
「疾風様のご両親もお亡くなりになられているのですよね・・・?申し訳ございません。少し調べさせて頂きました。」
千代は申し訳なさそうに
豊香に伝えると
豊香は伏し目がちに目線を落とし
コクんと頷いた
「・・・そうです。9年前に敵の襲撃にあって・・・目の前で亡くなっているそうです。俺にとってすごく衝撃的だったせいなのか、はたまた別の理由なのか、未だに事件の前後の記憶がないんですよね・・・。」
豊香は苦笑いをしながら
頬を指でかいた
「俺・・・紙織さんに謝ってきます。」
そう豊香は言うと
部屋を出ていこうとする
「疾風様!!・・・お嬢様なら中庭にいらっしゃると思います。」
中庭はお嬢様と陽狐様の
思い出の場所ですのでと
柔らかな声で伝えた千代は
深々と豊香に頭を下げた
豊香は短く
はいと答えると
急ぎ足で中庭へと向かった