心地よい風が吹くまで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
64、食卓を囲む
─ あの人がいるんだから、気軽に友達なんて呼べないだろうし。 ─
「東雲君、良かったらこれも食べて。お口に合うといいんだけど。」
轟の姉 冬美に
煮物を勧められた豊香は
現在、轟家の食卓にいる
豊香が障子に倒れ込んでしまった後も
一触即発だった轟とエンデヴァーだったが
冬美の静止と
豊香の怪我によって
(腕を障子の割れたところで切っていた)
中断された
その後、手当のために母屋に行くと
焦凍の友達だからという理由で
夕食を共にすることが決まったのだ
だが、この食卓には
冬美と轟、轟の兄 夏雄の
3名のみしかいない
一家の大黒柱であるエンデヴァーは
轟や夏雄の態度で
同じ食卓に並ばない理由は
なんとなく分かった
だが先程から
母親の姿が見えない
誰も話題にしないので
こちらとしても聞きづらい
詮索するのも野暮だと思い
豊香は他愛のない話題で
乗り切ることにした
「急にごめんなさいね。焦凍のお友達が家に来るなんて初めてだったから、嬉しくて!」
冬美は最後のおかずをテーブルに運び
自身も食卓についた
「まぁ仕方ないよ。あの人がいるんだから、気軽に友達なんて呼べないだろうし。」
冬美が運んできたおかずに
手を伸ばしながら
夏雄が会話に入った
「でも、今日はあの人に呼ばれてきたんでしょ、東雲君。何の話をしてたの?」
夏雄はそう言うと
手にしたおかずを頬張り
目の前にあったお茶に手を伸ばした
「あはは・・・そんな大したことじゃないですよ・・・?体育祭での評価とご指導を・・・」
頂きに来ただけですと
言葉を続ける豊香だったが
それはテーブルと食器がぶつかる音で
遮られた
「・・・あんな奴に教わることなんて何も無いだろ。・・・ご馳走様。」
轟は冷たく言い放つと
食器を片付け
食卓を後にした
「あ~、気にしないで。焦凍はあの人の話になると機嫌悪くなるから。」
まぁ俺もだけどと笑いながら
おかずをつつく夏雄
なら、その話題は避けて欲しかったと
心の中で思う豊香であった
「遅くまでごめんなさいね、また良かったら遊びに来て。」
食事が終わり
帰ろうとする豊香に
玄関まで見送りに来た冬美
あの後、轟の小さい頃の写真を
持ってきた冬美の
轟自慢が始まってしまった
そのおかげで
轟家の事情はある程度把握出来た
(轟母の入院の理由や今日初めて病院に見舞いに行った、亡くなった兄がいるなど)
「いえ、こちらこそこんな時間までお邪魔してしまって申し訳ございません。と・・・焦凍君にもエンデヴァーさんにもよろしくお伝えください。」
そう言うと冬美に一礼して
玄関を出ようとした
「あっ!そうそう!お父さんがこれ、東雲君に渡してって。」
冬美は玄関横に置いてあった
手提げ袋を持ち
豊香に手渡した
帰りの電車の中
さすがに在来線で数時間揺られるのは
時間的にも精神的にもキツい
豊香はどこかで節約しようと考えながら
新幹線の窓から外の風景を眺めていた
──────────────────
おまけ
「そう言えば、エンデヴァーさんから貰った袋、開けてないや。」
帰宅後、手提げ袋を持ったまま
ソファーに座り込む豊香
手提げ袋は某有名和菓子屋の袋
せっかく頂いたものを
無駄にしては行けないと思い
手提げ袋を開け
中を確認してみると
「・・・羊羹。羊羹。お茶。羊羹。・・・。」
そこには数人で食べるような量の
羊羹と抹茶が入っていた。
「みんなで食べればいいのに、素直じゃないなぁ。・・・って、この量、1人でどうやって消費するんだよ・・・。」
豊香はできる限りの
羊羹の消費方法を考えるも
保存方法を確認した後
そっと手提げ袋を閉じ
風呂の準備をし始めた
─ あの人がいるんだから、気軽に友達なんて呼べないだろうし。 ─
「東雲君、良かったらこれも食べて。お口に合うといいんだけど。」
轟の姉 冬美に
煮物を勧められた豊香は
現在、轟家の食卓にいる
豊香が障子に倒れ込んでしまった後も
一触即発だった轟とエンデヴァーだったが
冬美の静止と
豊香の怪我によって
(腕を障子の割れたところで切っていた)
中断された
その後、手当のために母屋に行くと
焦凍の友達だからという理由で
夕食を共にすることが決まったのだ
だが、この食卓には
冬美と轟、轟の兄 夏雄の
3名のみしかいない
一家の大黒柱であるエンデヴァーは
轟や夏雄の態度で
同じ食卓に並ばない理由は
なんとなく分かった
だが先程から
母親の姿が見えない
誰も話題にしないので
こちらとしても聞きづらい
詮索するのも野暮だと思い
豊香は他愛のない話題で
乗り切ることにした
「急にごめんなさいね。焦凍のお友達が家に来るなんて初めてだったから、嬉しくて!」
冬美は最後のおかずをテーブルに運び
自身も食卓についた
「まぁ仕方ないよ。あの人がいるんだから、気軽に友達なんて呼べないだろうし。」
冬美が運んできたおかずに
手を伸ばしながら
夏雄が会話に入った
「でも、今日はあの人に呼ばれてきたんでしょ、東雲君。何の話をしてたの?」
夏雄はそう言うと
手にしたおかずを頬張り
目の前にあったお茶に手を伸ばした
「あはは・・・そんな大したことじゃないですよ・・・?体育祭での評価とご指導を・・・」
頂きに来ただけですと
言葉を続ける豊香だったが
それはテーブルと食器がぶつかる音で
遮られた
「・・・あんな奴に教わることなんて何も無いだろ。・・・ご馳走様。」
轟は冷たく言い放つと
食器を片付け
食卓を後にした
「あ~、気にしないで。焦凍はあの人の話になると機嫌悪くなるから。」
まぁ俺もだけどと笑いながら
おかずをつつく夏雄
なら、その話題は避けて欲しかったと
心の中で思う豊香であった
「遅くまでごめんなさいね、また良かったら遊びに来て。」
食事が終わり
帰ろうとする豊香に
玄関まで見送りに来た冬美
あの後、轟の小さい頃の写真を
持ってきた冬美の
轟自慢が始まってしまった
そのおかげで
轟家の事情はある程度把握出来た
(轟母の入院の理由や今日初めて病院に見舞いに行った、亡くなった兄がいるなど)
「いえ、こちらこそこんな時間までお邪魔してしまって申し訳ございません。と・・・焦凍君にもエンデヴァーさんにもよろしくお伝えください。」
そう言うと冬美に一礼して
玄関を出ようとした
「あっ!そうそう!お父さんがこれ、東雲君に渡してって。」
冬美は玄関横に置いてあった
手提げ袋を持ち
豊香に手渡した
帰りの電車の中
さすがに在来線で数時間揺られるのは
時間的にも精神的にもキツい
豊香はどこかで節約しようと考えながら
新幹線の窓から外の風景を眺めていた
──────────────────
おまけ
「そう言えば、エンデヴァーさんから貰った袋、開けてないや。」
帰宅後、手提げ袋を持ったまま
ソファーに座り込む豊香
手提げ袋は某有名和菓子屋の袋
せっかく頂いたものを
無駄にしては行けないと思い
手提げ袋を開け
中を確認してみると
「・・・羊羹。羊羹。お茶。羊羹。・・・。」
そこには数人で食べるような量の
羊羹と抹茶が入っていた。
「みんなで食べればいいのに、素直じゃないなぁ。・・・って、この量、1人でどうやって消費するんだよ・・・。」
豊香はできる限りの
羊羹の消費方法を考えるも
保存方法を確認した後
そっと手提げ袋を閉じ
風呂の準備をし始めた