心地よい風が吹くまで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
61、静寂と思い出と憎悪と
─ No.1ヒーローにのみ許されていた。─
「足は崩してもらって構わない。」
離へ案内され中に入ると
そこには重厚な座卓と
大輪の菊が所狭しとあしらわれた座布団が2枚
向かい合わせに置かれていた
エンデヴァーは奥の座布団に
あぐらをかいて座ると
腕を組み目を閉じた
豊香はそっと
エンデヴァーの向かい側に座ると
一瞬考え、正座をした
カコッと鹿威しの音だけが聞こえ
部屋の中は静寂に包まれた
「昨日の件だが」
静寂を破ったのはエンデヴァー
豊香はただその言葉に耳を傾ける
「簡潔に言えば、彼女を引き取りたいからだ。」
豊香は面を食らった
ここに来るまでの間に
自分なりに
エンデヴァーが豊香を探す理由を
考えていた
だが、この答えは予想外だ
豊香はめいいっぱい
頭をフル回転させるが
支操とエンデヴァーの関係が分からない
「支操家の当主については知っているか?」
返事のない豊香へ
エンデヴァーが質問をしてきた
もちろんYESかNoだけの返事で構わないと
一言つけ加えてだ
豊香はYESとだけ答え
エンデヴァーの次の言葉を
待っている
「支操家 当主 支操 幸彦とは、雄英高校からの付き合いだ。互いにヒーロー科に在籍しており、卒業後も就職したヒーロー事務所が近く、仕事終わりには飲みにも行く間柄だった。」
エンデヴァーの口から発せられる言葉は
淡々としながらも
どこか昔を懐かしみ
そして柔らかささえあると
思えるような口調だった
「当時はお互い独身で血の気も多く、毎日何件敵を捕まえただの、依頼をこなしたなど他愛もない話で競い合っていた。しばらくして幸彦に彼女ができ、それが将来の伴侶となる夏美さんだった。」
目を閉じ思い出すかのように話すエンデヴァー
幼い頃に両親を亡くした豊香にとって
父や母の話を聞ける人は
ほとんどおらず
ましてや若い頃の話など
父からも母からも聞いたことはなかった
「お互いに仕事も順調、幸彦は私生活も順調でこれがこのまま続くのだと思っていた。」
先程まで穏やかだったエンデヴァーの口調に
ピリッとした緊張感が漂ってきた
「程なくして幸彦は実家に戻り、俺自身も事務所の開業や結婚と様々なことがあったため、次第に会う機会は少なくなり、最後に会ったのは10年以上前になっていた。都内で行われるヒーロー集会に幸彦が参加すると聞き、久しぶりの再会に、積もる話はたくさんあった。しかし、その再会は叶うことはなかった。」
エンデヴァーはゆっくりと目を開け
自身の手をギュッと握りしめた
「前日に支操の屋敷に敵が侵入。そして一家全員が亡くなったとの報道があったのだ。」
豊香の手が震え
心臓の音が早くなるのが分かる
豊香は必死に手の震えを抑えた
忘れもしない
9年前のあの日
あの忌まわしい事件が起きた
「当時、強盗目的の敵がヒーロー宅に入り、ヒーローと相打ちになったと報道されていたが、俺には幸彦がそんな敵と相打ちになったなどにわかには信じられなかった。俺は独自に調べるため、ヒーロー協会に情報開示を求めたが機密事項扱いとなっており、閲覧できるのは、一部の事件に関わったヒーローと・・・」
一瞬言葉に間ができたと思ったら
血が滲むのではないかと思うぐらい
自身の手を握りしめるエンデヴァー
その目には悔しさと
憎悪が見え隠れしていた
「No.1ヒーローにのみ許されていた。」
─ No.1ヒーローにのみ許されていた。─
「足は崩してもらって構わない。」
離へ案内され中に入ると
そこには重厚な座卓と
大輪の菊が所狭しとあしらわれた座布団が2枚
向かい合わせに置かれていた
エンデヴァーは奥の座布団に
あぐらをかいて座ると
腕を組み目を閉じた
豊香はそっと
エンデヴァーの向かい側に座ると
一瞬考え、正座をした
カコッと鹿威しの音だけが聞こえ
部屋の中は静寂に包まれた
「昨日の件だが」
静寂を破ったのはエンデヴァー
豊香はただその言葉に耳を傾ける
「簡潔に言えば、彼女を引き取りたいからだ。」
豊香は面を食らった
ここに来るまでの間に
自分なりに
エンデヴァーが豊香を探す理由を
考えていた
だが、この答えは予想外だ
豊香はめいいっぱい
頭をフル回転させるが
支操とエンデヴァーの関係が分からない
「支操家の当主については知っているか?」
返事のない豊香へ
エンデヴァーが質問をしてきた
もちろんYESかNoだけの返事で構わないと
一言つけ加えてだ
豊香はYESとだけ答え
エンデヴァーの次の言葉を
待っている
「支操家 当主 支操 幸彦とは、雄英高校からの付き合いだ。互いにヒーロー科に在籍しており、卒業後も就職したヒーロー事務所が近く、仕事終わりには飲みにも行く間柄だった。」
エンデヴァーの口から発せられる言葉は
淡々としながらも
どこか昔を懐かしみ
そして柔らかささえあると
思えるような口調だった
「当時はお互い独身で血の気も多く、毎日何件敵を捕まえただの、依頼をこなしたなど他愛もない話で競い合っていた。しばらくして幸彦に彼女ができ、それが将来の伴侶となる夏美さんだった。」
目を閉じ思い出すかのように話すエンデヴァー
幼い頃に両親を亡くした豊香にとって
父や母の話を聞ける人は
ほとんどおらず
ましてや若い頃の話など
父からも母からも聞いたことはなかった
「お互いに仕事も順調、幸彦は私生活も順調でこれがこのまま続くのだと思っていた。」
先程まで穏やかだったエンデヴァーの口調に
ピリッとした緊張感が漂ってきた
「程なくして幸彦は実家に戻り、俺自身も事務所の開業や結婚と様々なことがあったため、次第に会う機会は少なくなり、最後に会ったのは10年以上前になっていた。都内で行われるヒーロー集会に幸彦が参加すると聞き、久しぶりの再会に、積もる話はたくさんあった。しかし、その再会は叶うことはなかった。」
エンデヴァーはゆっくりと目を開け
自身の手をギュッと握りしめた
「前日に支操の屋敷に敵が侵入。そして一家全員が亡くなったとの報道があったのだ。」
豊香の手が震え
心臓の音が早くなるのが分かる
豊香は必死に手の震えを抑えた
忘れもしない
9年前のあの日
あの忌まわしい事件が起きた
「当時、強盗目的の敵がヒーロー宅に入り、ヒーローと相打ちになったと報道されていたが、俺には幸彦がそんな敵と相打ちになったなどにわかには信じられなかった。俺は独自に調べるため、ヒーロー協会に情報開示を求めたが機密事項扱いとなっており、閲覧できるのは、一部の事件に関わったヒーローと・・・」
一瞬言葉に間ができたと思ったら
血が滲むのではないかと思うぐらい
自身の手を握りしめるエンデヴァー
その目には悔しさと
憎悪が見え隠れしていた
「No.1ヒーローにのみ許されていた。」